こんにちは、ちゃむです。
「悪役のエンディングは死のみ」を紹介させていただきます。
今回は113話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

大学の友達に勧められ、乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」を始めた主人公。
自分と似た境遇のハードモードのヒロイン、 悪女「ペネロペ」に感情移入し、ゲームに没頭してしまった。
ゲームの途中寝落ちして、起きたら自分がゲームの中の「ペネロペ」になっていた。
死亡エンドを避けるためには…攻略対象からの好感度を上げ、 ゲームをクリアするしか手はない!?
ペネロペ・エカルト:主人公で悪役令嬢。ゲームではハードモードのヒロイン。公爵家の娘だが、実際には血の繋がりは無い。
イヴォン:ヒロイン。エカルト公爵家の娘だが、18歳になるまでは平民の娘として過ごしていた。ノーマルモードでは彼女がヒロイン。
デリック・エカルト:エカルト公爵家の長男。冷酷な貴公子キャラ。
レナルド・デカルト:エカルト公爵家の次男。気が短く、口が悪い。
カリスト・レグルス:イオカ帝国の皇太子。人の命を軽視する暴君。
ヴィンター・ベルダンディ:侯爵であり魔術師。様々な情報や裏取引を扱う。
イクリス:亡国の貴族出身の奴隷。ペネロペを同情した唯一のキャラ。

113話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- イクリスの涙
灰色の瞳に初めての情熱が渦巻いている。
彼の目からは涙が溢れていた。
それにもかかわらず、イクリスは相変わらず無表情のまま。
感情のない人形のように。
だからすぐに気付かなかった。
彼が今泣いているという事実に。
「イクリス」
なんとか声を絞り出す。
「泣いているの?」
信じられなといういう気持ちを込めて。
「・・・」
息を切らして、イクリスは涙を流しながら私をじっと⾒つめ、答えてくれない。
しかし、彼の頭上には、澄んだ濃い⾚色のゲージバーが。
心が沈む。
反射的に頭を上げて、彼の頬に手を置く。
「泣かないで、イクリス。どうして泣いているの?」
親指で涙をぬぐい、子供をあやすようになだめる。
私は1000万ゴールドを支払った。
[好感度84%]
「え?」
鮮やかな⽩い数字に息を呑む。
(な、なんで84%?)
頭の中がパニックに。
前回ガラス温室でチェックした時は間違いなく86%だった。
その光景をはっきりと覚えている。
初めてイクリスの好感度が下がった。
「ご主人様、教えてください」
その時、黙っていた彼が口を開く。
「あの男は誰ですか?」
息苦しい声で。
「彼は皇太⼦よ」
その瞬間、イクリスの瞳が震えた。
「皇太子?」
「ええ」
なぜ彼がこんな反応をしたのか理解できる。
皇太子はイクリスの故郷を滅した犯人なのだから。
「皇太子は私に話すことがあったので、邸宅に⽴ち寄ったの。私はそれを受け取っただけ」
「彼は何を届けに来たのですか?」
私が話し終えると、イクリスはすぐに尋ねてきた。
「宮殿から古代の遺物や資料を貰ったわ」
ダイヤモンド鉱⼭を受け取ったという事実を隠した。
それは何の役にも⽴たなかったから。
「何故、彼が直接来たのですか?通常であれば、宮殿に来させるはずなのに」
しかし、イクリスはあまり納得していないように見える。
躊躇った末に答える。
「私は病気だったから」
これ以上の⾔い訳は考えられない。
驚いたことに、イクリスの⽬はゆっくりと広がった。
「病気だったのですか?」
「だから私は宮殿に⾏くことができなかったのよ。それで、殿下が立ち寄っただけ」
「・・・」
「本当は話すつもりはなかったのだけど・・・。だから、私はすぐにあなたに会いに来ることが出来なかったわ」
イクリスの質問が途切れる。
「・・・」
彼は何を言えばいいのか分からない表情だった。
「・・・苦しかったですか?」
「狩猟大会で頑張りすぎて、風邪を引いただけよ」
「・・・」
「それで、私はベッドから動けなかったわ」
「・・・どうして?」
イクリスの頬が再び濡れ始める。
「どうして私には一言も教えてくれなかったのですか?」
「・・・」
「どうして毎回一言も言ってくれないのですか?」
「イクリス。それは・・・」
「私に知らせるために、執事、又は、他の誰かを送ることができたはず」
曇った表情とは裏腹に、悲しみに満ちた彼の表情に呆然となる。
何も言えなかった。
イクリスの手に握り締められた花冠がグチャグチャになる。
「わ、私はご主人様の信頼に値しないのですか?」
「あぁ・・・、泣かないで」
急いで彼を再び慰めた。
「主人が弱みを見せたら、私の立場はどうなると思いますか?ね?」
「・・・」
「それと・・・、私の贈り物をしわくちゃにしないで」
花冠を握っている彼の⼿に自分の手を重ねた。
「これはすでに枯れているので、ゴミにしかなりません。捨ててください」
「判断するのは私よ、イクリス」
イクリスの指を少しずつ解いていく。
実際に彼が抵抗していたら、私は解くことが出来なかったでしょう。
「良い子ね・・・」
少しホッとする。
すぐに、私は彼の手から白い花冠を取り除くことに成功した。
よほど強く握りしめたのか、花はすでに半分が押し潰されてすり減っていた。
他の人から見れば、確かにゴミのように見えるかもしれない。
けれど・・・。
「どう?似合ってる?」
イクリスが作った花冠を頭に乗せて、私は可能な限り明るい笑顔で振り返った。
「・・・」
イクリスはしばらく何も⾔わずに私を見つめていた。
「どうしたの?似合っていない?」
頭を傾けて聞いてみる。
しばらくして、イクリスはゆっくりと首を横に振った。
「いいえ」
「・・・」
「とても美しいです、ご主人様」
彼はまるで自分自身に話しかけているかのように呟いていた。
(これは褒め言葉なのだから、好感度が落ちることはないはず)
「嬉しいわ、イクリス。ありがとう」
「・・・」
「私の好きな花だと言いましたか?」
覚えていないふりをして落ち着いて尋ねると、イクリスがうなずいた。
指摘しなかったが、彼の頬は僅かに赤くなっている。
今まで以上に笑顔を浮かべた。
「贈り物を貰ったので、お返しをしないとね。何か欲しいものはある?」
そう尋ねると、イクリスは⾸を横に振った。
いつもの彼ならここで終わっていたはず。
しかし・・・、今日の彼は。
「私はご主人様の唯⼀の騎⼠になりたいです」
彼は何かを求めてきた。
「どういう意味かしら?」
思いがけない答えに、私はイクリスの表情を観察した。
「あなたはすでに私の騎⼠よ。そして、私の唯⼀の騎⼠です」
「・・・」
「そうじゃなかったら、どうして私があなたにそのネックレスを与えたと思う?」
まるで求愛のような言葉。
彼は私が⾒つめていることに気づいているのだろうか?
イクリスは⾸にかけているネックレスをちらっと⾒下ろして答えた。
「ご主人様。もう私に何かを与える必要はありません」
「え?」
私はその発⾔に驚いた。
彼にネックレスを⼿渡したとき、彼はそれにキスをした。
そして、彼の好感度は急激に上がった。
私はそれにとても満⾜していた。
贈り物を渡せば好感度が上昇すると。
そう確信していたのだ。
しかし今、彼の発言の意図が分からなかった。
「じゃあ、何が欲しいの?」
何が不満?
何が欲しい?
私じゃダメ?
あなたのご主人様は別にいるの?
「・・・が欲しいです」
イクリスは躊躇し、すぐに⼝を開けて、はっきりとした視線で私を見つめた。
「私はマスターに・・・、私はソードマスターになりたいです」
イクリスの胸の内を少しだけ知ることができて良かったです。
二人の関係も好感度とは関係なく前進した気がします♪
そして、ついにイクリスからソードマスターになりたいという発言が!
これは嬉しい展開です。





