こんにちは、ちゃむです。
「悪役のエンディングは死のみ」を紹介させていただきます。
今回は138話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
大学の友達に勧められ、乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」を始めた主人公。
自分と似た境遇のハードモードのヒロイン、 悪女「ペネロペ」に感情移入し、ゲームに没頭してしまった。
ゲームの途中寝落ちして、起きたら自分がゲームの中の「ペネロペ」になっていた。
死亡エンドを避けるためには…攻略対象からの好感度を上げ、 ゲームをクリアするしか手はない!?
ペネロペ・エカルト:主人公で悪役令嬢。ゲームではハードモードのヒロイン。公爵家の娘だが、実際には血の繋がりは無い。
イヴォン:ヒロイン。エカルト公爵家の娘だが、18歳になるまでは平民の娘として過ごしていた。ノーマルモードでは彼女がヒロイン。
デリック・エカルト:エカルト公爵家の長男。冷酷な貴公子キャラ。
レナルド・デカルト:エカルト公爵家の次男。気が短く、口が悪い。
カリスト・レグルス:イオカ帝国の皇太子。人の命を軽視する暴君。
ヴィンター・ベルダンディ:侯爵であり魔術師。様々な情報や裏取引を扱う。
イクリス:亡国の貴族出身の奴隷。ペネロペを同情した唯一のキャラ。
138話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side イクリス
ヒュン!
カカシに到達する直前。
木刀が停止し、一枚の紙が入る分だけの隙間しか残さなかった。
衝撃波だけで藁が飛ぶ。
しかし、カカシに傷はつかなかった。
(最近は色々な事を考えてしまう・・・)
昨⽇、スペンサー卿が⽊⼑で頭を殴ったことを思い出す。
イクリスは頭を横に振り、再び剣を上げた。
そして剣先を見つめる。
しかし、集中⼒は⻑くは続かなかった。
剣先に映る誰かの顔のせいで。
『イクリス』
自分の唯⼀のご主人様の笑顔は、いつも冷たかった。
奴隷に心を開くことはない。
それはイクリスが誰よりも知っていた。
彼⼥が⽬的を達成するために、⾼額で⾃分⾃⾝を購⼊して世話をしていることを。
彼⼥の美しい唇からは、自分を毎回⼼配していると言っているが、⾃分を⾒つめている彼⼥の⽬には決して暖かさが伴っていない・・・。
それにもかかわらず、自分はどうして彼女をいつも待っているのだろうか?
その理由が分からない。
イクリスは、⾃分が役に⽴たなかったらオークションハウスに送り返すと告げた彼女を嫌っていた。
実際、彼⼥だけでなく帝国の全てを憎んでいる。
(愚かな雌⽝が・・・)
自分に1億の⾦を使った愚かな⼥性を徹底的に使うことを誓っていた。
今、自分は⽝のように振る舞っているが、チャンスがあれば、彼⼥の細い⾸を折って、公爵家とインカ帝国を消し去る思いでいる。
しかしその誓いは、毎回彼女の笑顔によって破られてきた。
冷たくて冷淡なご主人様が時々微笑んでくれると、伝説の魔術師の⼥王と同じくらい美しくて魅⼒的だったのだ。
⽬を閉じて彼女を思い出すと、すべてを諦めて落ち着きたいと思うことがある。
『あなたは私にとって⾮常に重要な⼈物です』
「重要な人物・・・」
それはどういう意味なのだろうか?
彼⼥は自分が必要だと⾔った。
敗北した国の奴隷である自分を。
自分の⾝分を知って唾を吐く他の帝国の人々とは異なり、彼⼥は毎回、必死に私に尽くしていた。
『あなたは私にとって⾮常に貴重な⼈です、イクリス』
「私はあなたにとって貴重な人物・・・」
そう考えると剣先が震える。
「私が帝国から脱出したとしても、戻る場所はない」
ご主人様の言葉は正しかった。
今、祖国は完全に破壊され、地図上から消えている。
少し前に会ったデルマンの⼈たちは憤慨していたが、意外にもほとんどの⼈が幸せそうだった。
デルマンの不⽑の⼟地とは異なり、この場所は資源が豊富で、⽂明ははるかに発達している。
その上、奴隷の扱いはそれほど悪くはなかった。
一般人よりは少ないけれど、ある程度のお⾦は稼げる。
⼲ばつで餓死したデルマンと⽐べると、この場所は天国のようだと⾔う⼈もいた。
イクリスは、彼らに何も⾔うことができなかった。
自分の立場は、彼らの人生よりもさらに繁栄していたのだから。
(私のご主人様は私が彼⼥に頼んだことの全て、そして私が望んでいたことを叶えてくれた)
奴隷には、治療、空腹、学習、さらには⾃由な時間さえ許されないはず。
けれど、奴隷であるはずの自分は、ご主人様にそれらのお願いをしてきたのだ。
いつからだろうか?
常に警戒していた彼⼥への気持ちが、下心に変化していたことに。
誇りを持たずに帝国にひざまずく⽝のように振る舞うのも良いとさえ思えるようになった。
自分には彼⼥に返済するお⾦がない。
花冠を作ってそれを彼⼥に提供したときは、自分自身に絶望して泣いてしまったくらいだ。
「こんにちは」
⼩さな声が背中の後ろから響き渡る。
イクリスは振り返り、剣を反射的に向けたが、床に投げただけだった。
頭ではなく体が、柔らかな声の持ち主が誰であるかを最初に認識したのだ。
本能のように。
「ご主人様・・・」
イクリスは喘ぎ声でペネロペを呼ぶ。
私はイクリスの⾏動に驚いた。
また、⽊⼑に当たるような体験はしたくなかったので、遠くから彼を呼んだのだ。
しかし、彼は床に⽊⼑を投げて背を向けた。
「今⽇は剣術教室に⾏かなかったのね」
私が知っていたことに驚いたのか、イクリスの目が少しだけ大きくなる。
「騎士団が野営地外の訓練に⾏ったと聞いたので、⼀⼈だと寂しいと思って」
「先⽣は何か用事があるそうで・・・。数日間は午後だけ訓練に行くことになりました、ご主人様」
「本当?」
実際、彼が⾏くかどうかはそれほど重要ではない。
イクリスに持ってきた⼤きな荷物を差し出した。
「受け取って」
前回は使⽤⼈を通して洋服を届けたが、今回は⾃分で渡すことができた。
「これは何ですか?」
「いくつかの軟膏とハーブを持ってきたわ。怪我⼈を治す薬がなかったので、⼭を歩き回ったと言ってませんでしたか?」
「・・・」
「良いものだけを選んだので、困っている⼈々にそれらを配ってください」
私は彼に薬を買うお⾦を与えることができなかった。
敗北した奴隷が集まって、ある種の派閥を結成するかもしれないから。
これが私にできることの全て。
「ご主人様・・・」
喜んでくれると思っていたが、イクリスの表情が浮かないままだ。
「嬉しくなかった・・・?」
「いいえ、そうではありません」
差し出した袋に手を伸ばす彼の手が震えていた。
表情では判断できないので、袋を渡すふりをして指を撫でる。
すぐにメッセージが⽬の前に現れた。
<システム>
[イクリスの好感度を確認しますか?]
[1,200万ゴールド/ 200名声]
(1,200万ゴールド!?)
⻭を⾷いしばって[1,200万ゴールド]を選ぶ。
<システム>
[1,200万ゴールドを引いて、イクリスの好感度を確認します]
(残りの資⾦:46,000,000ゴールド)
[好感度96%]
(残り4%・・・!)
もうすぐ。
震える⼼を⾒せないように努力する。
「ありがとうございますご主人様」
イクリスはそっと⽬を伏せて、⼩さな声で呟いた。
しかし、エンディングには100%以外にもう1つの条件がある。
(もしかして・・・)
できるだけ⾃然に彼と向き合う。
「それ以外に何か⾔いたいことはない?」
「え?」
「・・・いいえ、何もないわ」
イクリスが戸惑った表情を見せたので首を横に振る。
(まだ100%になってないからよね)
緊張を抑えようとしてニヤリと笑う。
「なんて素敵な⽇なのかしら。今⽇は⼀緒にどこかに⾏きたい?」
「出かける?」
「毎日トレーニングしてたら疲れるでしょ?」
そう告げると、イクリスは笑顔を浮かべた。
「ペネロペお嬢様!」
誰かが遠くから私を呼ぶ。
「執事長?」
突然やって来た執事長を⾒て首を傾げる。
「お嬢様、今すぐにお屋敷に戻らなければいけないと思います」
「どうしたの?」
「ちょっと⽿を貸してください」
イクリスをちらっと⾒た執事長は、頭を下げた。
「皇太⼦殿下の補佐官が邸宅を訪れました」
「え?」
突然のニュースに慌てる。
しかしすぐに、カリストが部下を送った理由が分かった。
(ソレイユには何かが残っているに違いない)
「行きましょう」
すぐに執事長を追いかけようとしたが・・・。
スカートの裾が急に締まる。
驚いて頭を向けた。
「あなたは私に会いに来ましたよね、ご主人様?」
私はイクリスの混乱した表情を見る。
初めてのイクリス目線!
復讐の道具としてペネロペを利用しようと考えていたはずが、彼女の魅力に惹かれているようですね♪
そして、エンディングの条件とは?
告白?
今の状況だと、それはないような気も・・・。
捨てられた子犬のような目をするイクリスに対して、ペネロペはどう対処するのでしょうか?
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