こんにちは、ちゃむです。
「悪役のエンディングは死のみ」を紹介させていただきます。
今回は159話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
大学の友達に勧められ、乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」を始めた主人公。
自分と似た境遇のハードモードのヒロイン、 悪女「ペネロペ」に感情移入し、ゲームに没頭してしまった。
ゲームの途中寝落ちして、起きたら自分がゲームの中の「ペネロペ」になっていた。
死亡エンドを避けるためには…攻略対象からの好感度を上げ、 ゲームをクリアするしか手はない!?
ペネロペ・エカルト:主人公で悪役令嬢。ゲームではハードモードのヒロイン。公爵家の娘だが、実際には血の繋がりは無い。
イヴォン:ヒロイン。エカルト公爵家の娘だが、18歳になるまでは平民の娘として過ごしていた。ノーマルモードでは彼女がヒロイン。
デリック・エカルト:エカルト公爵家の長男。冷酷な貴公子キャラ。
レナルド・デカルト:エカルト公爵家の次男。気が短く、口が悪い。
カリスト・レグルス:イオカ帝国の皇太子。人の命を軽視する暴君。
ヴィンター・ベルダンディ:侯爵であり魔術師。様々な情報や裏取引を扱う。
イクリス:亡国の貴族出身の奴隷。ペネロペを同情した唯一のキャラ。
159話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side イクリス
カラン!
指輪は捨てられ、暗闇の中に転がっていく。
ペネロペが反射的に頭を向けると、彼⼥の濃いピンクの髪は落ちてくる花びらのように⽻ばたいた。
「待って・・・」
イクリスは手を差し伸ばして、ペネロペの腕を掴もうとする。
「ご、ご主人様」
しかし、彼の手が届く前に、彼女は完全に背を向けた。
イクリスの両目は⼿に負えないほど揺れ始める。
指輪を⾒つけて彼⼥に返す必要があったが、彼の主⼈は振り返ることさえせずにすでに遠くにいた。
「行かないで・・・。行かないでください、ご主人様。待って・・・」
イクリスは何度もペネロペを呼ぶが、彼の主人は遠ざかっていくだけ。
彼の燃える⼼とは異なり、声は乾いていた。
「ご主人様」
ここにきてイクリスは違和感を覚える。
この時点で、彼の主⼈はすでに振り返っていたでしょう・・・、いつもの彼女ならば。
主人はいつも厳しい⾔葉で自分をオークションハウスに送り返すかのように振る舞ったが、結局、最後には自分を許してくれた。
彼⼥は彼が望むすべてに⽿を傾け、常に彼のために部屋を残したのだ。
⼀線を越えたとしても、彼⼥はいつも自分を許してくれてきた。
だからこそ、イクリスも油断していた。
いつものように、ペネロペが自分を許してくれると信じて。
しかし、ほっそりした体が⽌まる気配はなく、だんだんと離れていく。
突然、彼は何かがおかしいと感じる。
「ご主人様、ご主人様!い、⾏かないでください!私が⾔わなければならないことがまだあります・・・!」
何かが頭を打っているように、彼は突然気づいた。
混沌とした精神が徐々に晴れてきたかのように。
(なぜご主人様は指輪を投げた?)
「ペネロペ」
(あの瞬間、自分をどう⾒ていた?)
「ペネロペ、⾏かないで・・・!」
イクリスは鉄格子に腕を伸ばし、彼女が離れていくのを捕まえようとする。
頑張っていたせいか、体からひどい⾳が漏れ、鈍い痛みを伴っていた。
もちろん、彼の腕が彼女に届くことはない。
イクリスの腕は遠くに消えていく濃いピンクの髪に伸び、宙に舞った。
「ペネロペ!」
帝国に連れてこられて以来初めて、彼は恐怖に追い抜かれた。
「ペネロペ!」
しかし、彼女の姿は階段の奥に消えていき、⽌まる気配はない。
沈黙に襲われる。
終わりだった。
自分の唯⼀の主人が去ったのだ。
冷たく暗い独房には、彼⼥との密接な関係の唯⼀の証拠として、指輪だけが残されている。
鉄格子にしがみつき、刑務所の廊下を無惨な表情で⾒たイクリスが、突然口を開く。
「・・・指輪」
彼は突然必死になった。
そして、指輪が捨てられる音を聞いた角に⾛る。
刑務所の中はとても暗かったので、彼は1インチ先を⾒ることができなかった。
躊躇うことなく、イクリスは汚れた床に倒れる。
そして⽝のように這い、床をいじくりまわす。
幸いなことに、指輪は⽳に落ちる直前に、⽯の床の⻲裂の間に狭く挟まれていた。
それは、彼の主人がちょうど⽴っていた場所。
⾚い指輪は幸いにも無傷。
しかし、ルビーの下の金の指輪は完全に押し潰されていた。
もう指に入れることはできないでしょう。
そして、彼の主人がそれをどれほど激しく投げたかを理解する。
「・・・どうして?」
イクリスは⾸を横に振って独り⾔を⾔った。
彼はさっきの主⼈をよく理解できていない。
もちろん、自分がイヴォンを連れてきたら、主人は自分に激怒するだろうと彼は予測していた。
しかし、こんなはずではなかった。
彼女が自分を諦めるなんて予測はなかった。
「ご主人様が私を捨てるはずがない」
イクリスの確信に近い考え、それは。
「・・・あなたは私を使い続けなければならない、ペネロペ」
彼女の目的のために、彼女は自分を捨てることができなかったはず。
そのはずだったのに・・・。
指輪を投げ捨てた目と、自分を見ずに背を向けた表情は、安堵しているようにも見えた。
まるで、この選択肢が正解だったかのように。
「なんで・・・?なんで?なんで、ペネロペ?」
イヴォンを邸宅に連れてきても、主⼈は自分を⼿放さないだろうという固い信念が少しずつ揺れ始めた。
「ありえない」
イクリスは指輪を握っている間、混乱した顔で現実を否定する。
今だけ怒っているだけ。
すぐに、彼女は怒りを鎮めて戻ってくるはず。
そして、いつものように、花のような美しい笑顔を見せてくれるはず。
「・・・イクリス」
その時だった。
ぼんやりとした妄想の中で浮かんでいた彼の名前が現実になり、彼の⽿に沈んだ。
柔らかいスカートが彼の⾜の周りを渦巻く。
喜びの代わりに絶望が浸透した。
イクリスの体が、想像の中で幸せに笑った⼈の声ではないことに気づいたから。
「あなたは病気なのですか、イクリス?」
⽢い声を聞いたイクリスは、頭をゆっくりと持ち上げた。
ランプの下で、淡いピンクの髪がはためいている。
⼼配そうに彼を⾒下ろしている⻘い眼差し。
彼⼥の突然の出現で、予期せぬ想像を絶する怒りが彼を通して⾒られた。
イクリスは床から⾶び出し、彼は彼⼥の⾸をつかみ、独房の棒を通して⼿を伸ばす。
「あっ!」
その⼥性は突然息を呑み、⻘い⽬を⼤きく開いた。
驚きで⽻ばたく⼩さな体。
「私があなたを殺さず、あなたを公爵に連れ戻せば、すべてが上手くいくだろうとあなたは⾔いました」
「イ、イク・・・リス!」
「ご主人様ががっかりするかもしれないとあなたが言ったので、⾃分の⼒を使ったことを明かさなかった」
「うう・・・」
「私はあなたが⾔ったことをしました、イヴォン」
もし⽬で⼈を殺すことができれば、イヴォンはすでに何度も引き裂かれ死んでいたでしょう。
すでに⾸を絞めているが、イクリスは不気味な悪寒を放っていた。
「しかし、私のご主人様は、⼆度と私に会うことはないと⾔った。彼⼥は私が死んだと思っている」
「イク・・・リス。き・・・、聞いて」
「どうして?」
真っ⽩だったイヴォンの顔は、すぐに破裂するかのように⾚くなった。
彼⼥の澄んだ⽬が恐ろしく⾎⾛ったかのように。
死にそうな⼥性のほっそりした姿にもかかわらず、イクリスはまだ⾸をしっかりと握っていた。
「ねえ?ペネロペの何が問題なの?」
「う、うう・・・」
「答えて下さい」
イヴォンは、促しているイクリスの腕を必死に叩く。
彼⼥は答えられるように解放されることを求めていた。
激しく⾒つめている間、イクリスは⾸を覆っていた両⼿をしぶしぶ外す。
「ぷはっ!はあ・・・、はあ・・・」
イヴォンは、はっきりとした首の指の跡に触れ、大きな⽬で尋ねた。
「な、何が問題なの?」
「何?」
イクリスの目は猛烈だった。
「使い⽅を知っていると⾔ったら、すぐに称号を渡されたでしょう。⾃分の⼒で、同胞を売るという汚い仕事をすることなく、正式に騎⼠になれたはず___」
「いいえ」
イヴォンは途中でイクリスの言葉を切り落とし、答えた。
「騎⼠になっても、あなたが公女のそばに⽴つことはできません」
彼女は、彼が自分を絞殺しそうになった男であったにもかかわらず、悲しそうな表情で彼を⾒つめている。
「敵国から騎⼠にされた奴隷として、それは素晴らしいことだと思うわ。しかし、富のない男は庶⺠と何ら変わらない。公女は、まだはるかに⾼い場所にいるのですから」
「・・・」
「かわいそうな男の子。あなたは私たちが同じ船に乗っていることを知っています」
「なぜあなたと私が同じ船に乗っているのですか?」
イクリスは、まるで戯言を聞いたかのように尋ねた。
イヴォンは悲しそうな⽬で彼を⾒ただけで、答えない。
それは不快に感じたが、彼はそれを認める以外に選択肢がなかった。
ある⽇、彼にも夢があった。
正式に剣を学び、自分の能⼒を証明し、奴隷ではなく騎⼠としてご主人様のそばに⽴つことを。
それは素朴で純粋な夢。
しかし、それはいつだっただろうか?
イクリスは気づかされた。
どんなに⼀⽣懸命頑張っても、主人に近づける気配がなかったことを。
先⽣を⾒つけて、レッスンを受けて、剣⼠になるように彼⼥に頼んだとしても、彼はまだ奴隷のまま。
それを超えるためには、誰もが信⽤を必要としていたのだから。
そんな時に、彼を励ましたのはイヴォンだった。
怪物が農場に現れた⽇、奴隷たちは攻撃で負傷した彼⼥の世話をしていた。
それが彼らの最初の出会い。
イクリスは、彼⼥が公爵の本当の娘であることを⼀⽬で認識した。
そのため、彼はペネロペのために彼⼥を追い払おうとした。
しかし、イヴォンを両⼿で⾸を絞めた瞬間でも無駄な夢に共感してしまう。
「お姫様は・・・、今混乱しています」
喉の痛みの後遺症のせいか、イヴォンは動揺したイクリスをドキドキする声で和らげた。
「私が突然現れて、物事が重なってしまったことに驚いて動揺しているに違いありません」
「・・・」
「処刑された⼈々がいたのは悲しいことですが、それは最善の選択でした、イクリス。彼らが逃げようとしていたのは事実なのですから」
「・・・」
「お姫様はすぐにあなたの誠実さを知るでしょう。ね?この家の誰もあなたほど彼⼥のことを気にかけていないのだから」
彼⼥はイクリスを慰め、天使のような顔で⾸を絞めた男に希望を加える。
イヴォンは家族を望み、イクリスはペネロペを望む。
取引が成⽴したのは⼀瞬だった。
イヴォンは彼を通して公爵邸に⼊ることができて、イクリスは彼女を通してペネロペを手に入れる。
しかし、イクリスは、これが本当に正しい⽅法であるかどうか疑問に思うことがよくあった。
おそらく、彼⼥は彼の躊躇いに気づいたのだろう。
「考えてみてください、イクリス。もしあなたがこれをしていなかったら、あなたの主⼈はどうなったでしょうか?」
イヴォンは⼦守唄を歌っているようにそっと話しかける。
イクリスは彼⼥の⾔葉に取り憑かれているかのように考えを失った。
あの⽇、ペネロペが⾺⾞なしで皇居から⼀⼈で戻ったときに確信した。
すすり泣いていた少⼥を放っておくことが出来なかったのだ。
もし自分が放っておけば、主人は公爵と彼の息子たちの軽蔑と絶望の中で死んだでしょう。
イクリスの⽬の前で、死に追いやられるペネロペが頭に浮かぶ。
『助けて。イクリス、私を助けて。イクリス____』
自分は、ここから彼⼥を救出しなければならない。
「ペネロペが⽣きられるように、自分が彼⼥をここから連れ出す必要があります・・・」
主⼈の不幸なビジョンを想像していたイクリスの⽬は、次第に考えを失っていく。
だから彼は気づかなかった。
イヴォンがこっそり何かを取り出して呟いていたことを。
「・・・ディアスム」
呪⽂の囁きを。
やっぱりイヴォンは黒でしたね!
ここまで連れてきたのもイクリスの弱い部分に入り込んだからでしょう。
しかし、イヴォンの目的はハッキリと分かりません。
そもそも、彼女はどうやって独房に来たのでしょうか?
魔法を使って?
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