こんにちは、ちゃむです。
「悪役のエンディングは死のみ」を紹介させていただきます。
今回は273話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

大学の友達に勧められ、乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」を始めた主人公。
自分と似た境遇のハードモードのヒロイン、 悪女「ペネロペ」に感情移入し、ゲームに没頭してしまった。
ゲームの途中寝落ちして、起きたら自分がゲームの中の「ペネロペ」になっていた。
死亡エンドを避けるためには…攻略対象からの好感度を上げ、 ゲームをクリアするしか手はない!?
ペネロペ・エカルト:主人公で悪役令嬢。ゲームではハードモードのヒロイン。公爵家の娘だが、実際には血の繋がりは無い。
イヴォン:ヒロイン。エカルト公爵家の娘だが、18歳になるまでは平民の娘として過ごしていた。ノーマルモードでは彼女がヒロイン。
デリック・エカルト:エカルト公爵家の長男。冷酷な貴公子キャラ。
レナルド・デカルト:エカルト公爵家の次男。気が短く、口が悪い。
カリスト・レグルス:イオカ帝国の皇太子。人の命を軽視する暴君。
ヴィンター・ベルダンディ:侯爵であり魔術師。様々な情報や裏取引を扱う。
イクリス:亡国の貴族出身の奴隷。ペネロペを同情した唯一のキャラ。

273話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 相反する感情
乾いた瞳孔で私を隅々まで観察していたイクリスが、再び口を開いた。
「短くすれ違った憎しみを抱いた人に、なぜそんなことを言うのですか?」
わざとなのか、私が言ったこと一つ一つ指摘する彼の声に一瞬胸がドキッとする。
(もしかして嘘だと気づいた?それとも記憶がないと言うのが・・・)
しかし、どちらにしても動揺のない彼の表情からは少しも分からなかった。
しばらく苦悩していた私は、頭を転がすのをやめて素直に答えることに。
「否定的な感情だけを記憶しながら生きていくには、今の私がとても幸せなのよ」
イクリスに言ったことの中で唯一私の本心だ。
「あなたにもそうしてほしいと思って言ったのよ。とにかく今日は助けてもらったし、訳もなく気持ち悪い感情を残したくないから」
「・・・」
「わかったら、もう追いかけないで」
「私があなたを恨んで憎んだということ」
「・・・」
「それは本当ですか?」
対話を終わらせたい私とは違って、イクリスは特に知りたくないという過去を問い詰めてくる。
私はため息をついて答えた。
「あなたに嘘をつく理由があるのかしら」
「私は実は嘘をついていたんです」
私の口調が何かを刺激したのだろうか。
表情一つ変えずに降り注ぐイクリスの言葉に、一瞬息が止まった。
「最初は過去なんか関係なく、あなたを殺そうと追いかけたんです」
彼は私に一歩近づく。
「殺そうと思って・・・、追いかけてきたの?」
本能的な抵抗で一歩後退する。
私が覚えている過去の中の彼は、一度もこのような方法で戦ったことがないからだろうか。
改めて、その点が彼が本当に記憶を失って別人になったことが確認できた。
「記憶もないのに、どうして私を?」
「記憶がないから。あなたを見る度に気になるこの気持ちが嫌いですから」
「・・・気になる気持ち?」
「イライラするような気もするし、ここを走るのが・・・」
イクリスは言葉尻に腕を上げた。
「不愉快でもあるし」
そして私から渡された短剣の先で、私の胸元をトントン叩きながら言った。
私を見る時、彼の心臓がなぜドキドキするのか、それは私にも分からない。
生理的な拒否感なのか、それとも無意識のうちに残った記憶の残滓なのか。
一つ確かなのは、さっきから彼が私を見つめる瞳には何の感情も込められていないということ。
「ずっと気になっていたんですよ。どうしてあなたを見るとそんな気がするのか」
イクリスがまた一歩近づく。
すでに岩壁だったので、これ以上退く場所がない。
私に寄り添ったまま、彼が無表情な顔で呟く。
「記憶を取り戻す方法は五里霧中で。それであなたに付きまとっていれば何か分かるかなと思ったのだけど・・・」
それじゃあ、彼の言葉と態度は矛盾しているのでは?
私が気になって殺したかったという、記憶を失ったイクリス。
しかし、ただ私が安全であるように後ろから魔物を処理してきたイクリス。
3年間姿を隠したまま私の周りを彷徨きながら助けてくれた行動。
頭がくるくる回った。
私はフラつかないように体に真っ直ぐ力を入れて口を開く。
「3年なら、殺す機会が十分あったはずなのに」
「十分ではありました」
イクリスは簡単に納得し、そしてまた否定した。
「けれど、首を切られた魔物たちを見ても、あなたが私を必死に知らないふりをするのを見るのが、思ったより興味深かったのです」
本当に面白さや興味などを尺度にして、すべてを決めてきたのだろうか。
イクリスは相次いで理解できない返事をする。
しかし、私は少しずつ曖昧な彼の真意を読み上げることができた。
私を真っ直ぐ見つめる彼の目は、好奇心と面白さで輝いていながらも、同時に生気がなかった。
昔のイクリスは沼に徐々に沈んでいることも知らず、一つだけを見て疾走する感じだったとすれば、今の彼は文字通り紐が落ちた人形のようだ。
人生の目的も生きる意志も特になく、目の前に突きつけられた興味の種一つだけを追う人形。
そして、それがよりによって運悪く私だったということ。
気になるから殺してみたいけど、そうすれば永遠に好奇心も楽しさも失ってしまうから。
ある意味、天真爛漫な子供にしか言えない考えが、彼の言葉の要旨だった。
完全に記憶を失ったまま、これ以上私を愛していない彼が幸いなのか不幸なのかは分からない。
もしかしたら、これがゲームで隠されていたイクリスの素顔だったのかも・・・。
過去のイクリスよりも、今のイクリスの方が危険なのでは・・・?
3年間の間、ずっとペネロペを殺すことが出来たらしいですし。
このまま皇居についてくる?ことは流石にないと思いますが・・・。







