こんにちは、ちゃむです。
「悪役のエンディングは死のみ」を紹介させていただきます。
今回は283話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

大学の友達に勧められ、乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」を始めた主人公。
自分と似た境遇のハードモードのヒロイン、 悪女「ペネロペ」に感情移入し、ゲームに没頭してしまった。
ゲームの途中寝落ちして、起きたら自分がゲームの中の「ペネロペ」になっていた。
死亡エンドを避けるためには…攻略対象からの好感度を上げ、 ゲームをクリアするしか手はない!?
ペネロペ・エカルト:主人公で悪役令嬢。ゲームではハードモードのヒロイン。公爵家の娘だが、実際には血の繋がりは無い。
イヴォン:ヒロイン。エカルト公爵家の娘だが、18歳になるまでは平民の娘として過ごしていた。ノーマルモードでは彼女がヒロイン。
デリック・エカルト:エカルト公爵家の長男。冷酷な貴公子キャラ。
レナルド・デカルト:エカルト公爵家の次男。気が短く、口が悪い。
カリスト・レグルス:イオカ帝国の皇太子。人の命を軽視する暴君。
ヴィンター・ベルダンディ:侯爵であり魔術師。様々な情報や裏取引を扱う。
イクリス:亡国の貴族出身の奴隷。ペネロペを同情した唯一のキャラ。

283話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 婚前準備
首都に戻った後は、あっという間に忙しい日々の連続だった。
お腹が膨らむ前に皇帝の国魂という挙事を行わなければならないからだ。
毎日のように魔物を叩きつける時より、もっと気が気でなかった。
「どっちがいい?」
「何がですか?」
「あなたのブーケとして使うのは」
また始まったよ・・・。
朝から、なぜ花束を持った侍従たちを次々と連れて寝室に入ってきたのかと思ったら・・・。
皇帝陛下は今日も相変わらず結婚式の準備に夢中だった。
夢うつつに目をなんとか開けたまま花言葉の説明を聞いていると、適当に選んでという言葉が首の先まで上がってくる。
しかし、先日、言葉通り実行に移して大騒ぎになったことを思い出し、私は努めて我慢した。
「これが良さそうですね」
私はカリストの背後にいる侍女を指差す。
彼女が持っているのはブバルディアで、真っ赤に改良されていた。
丸々とした花びらが綿菓子のように固まっているのが、かなり可愛らしい。
意味もいいし、色も。
一瞬のあくびを辛うじて堪え、私はカリストに顔を向けた。
「陛下とよく似合いますね」
「そうだろ?やっぱり皇后は見る目があるね」
私の選択に緊張で少し固まっていた彼の顔が、春の日に雪が溶けるように解れる。
(じゃあ他の花はなんで持ってきたのよ?)
私は嬉々としている彼の姿に少し呆れた。
最初から堂々とその花の前に立っているのが、誰が見てもこれを選べという圧迫だった。
カリストの目の色にそっくりなブーケとして使われる花を眺めながら、私はゆっくりと今聞いた花言葉を振り返る。
ブバルディアの花言葉は「私はあなたの捕虜」だった。
(とにかく・・・)
結婚までしているのに、このような些細なことさえ見せつけようと努力する彼が幼稚極まりない。
しかし同時に可愛いと思ってしまうのを考えると、私はもう仕方なく同じ水準になってしまっていた。
(あんなに避けようとしていたのに。どうしてこの野郎と・・・)
心の中で少し嘆いている時だった。
「目が眠気でいっぱいだね」
ふと目元に暖かい手が触れる。
「私が起こしてしまったかな?」
カリストは申し訳なさそうな顔で私を見つめた。
妊娠して、めっきり朝寝が増えたようだ。
私は「分かっているなら、いい加減にしろ」という気持ちで不満そうに彼と向き合う。
私の曇った表情にカリストは小さく笑った。
「でもしょうがない。もう少し我慢してくれ。一生に一度の結婚式なのだから」
彼は大人しく優しい声で私を慰める。
ただ「家族」という名前で縛られるだけでも満足する私とは違って、カリストは政務まで差し置いて結婚式準備に邁進するほど熱心だった。
婚前妊娠に、5年も皇帝を放置していたから、私は貴族の目に憚らないように、できるだけ小規模で進めたいのだけど。
しかし、いざカリストにそう言おうとしたら、どうしても口から出なかった。
結婚式を準備する彼の表情が、とてもワクワクして幸せそうだから。
(こんなに好きだと分かっていたら、むしろ婚約じゃなくて結婚しておけばよかったかな・・・)
皇后が宮を投げ捨てて何年も外を歩き回るのは現実的に不可能なことだけど。
それにもかかわらず、あまりにもカリストを焦がしたようで、訳もなく後悔した。
気の毒な気持ちで、罪のない黄金色の髪をじっと見つめていると。
「余計な考えはやめて、もっと寝なさい」
カリストは、親指で皺の寄った私の眉間を優しく擦って勧めた。
つまらない考えをする度に毎回機敏に気づく彼が不思議だった。
愛情たっぷりの真っ赤な目つきに、私はようやくぎこちない笑みを浮かべる。
「陛下、お見送りします」
「いいえ、起きないでいい」
起き上がるように布団を反らすと、彼は思索して私を寝かしつけた。
「常に体には気をつけなければならない。あなたは皇族を抱いた身なのだから」
イクリスに会ったあの夜、その騒ぎを経験したにもかかわらず丈夫だったのに。
カリストは首都に戻った後、私を吹けば飛ぶ羽のように扱った。
「世間は婚約者が仕事に出ようが行かざるまいが、見送りもしない性格のキツい皇妃だと思いそうですね」
首の先まで布団をかけてくれる姿に、私は少し呆れて答える。
しかし、カリストは私の不満そうな表情を軽く無視してして突然頭を下げた。
そして、私の下腹側の布団の上に耳を当てて小さく囁く。
「・・・動いているのか?」
「まだ二ヶ月しか経っていません」
「いつ動くの?」
「五ヶ月は経たないと動きませんね」
これもまた結婚の準備と同じく毎日一緒にする行動だった。
私は目の下にチラつく貪欲な黄金の髪を見つめながら深々と答えた。
もう少しだけ続きます。
カリストは前よりも更に過保護になっていますね。
エカルト公爵家には報告したのでしょうか?







