こんにちは、ちゃむです。
「悪役のエンディングは死のみ」を紹介させていただきます。
今回は286話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

大学の友達に勧められ、乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」を始めた主人公。
自分と似た境遇のハードモードのヒロイン、 悪女「ペネロペ」に感情移入し、ゲームに没頭してしまった。
ゲームの途中寝落ちして、起きたら自分がゲームの中の「ペネロペ」になっていた。
死亡エンドを避けるためには…攻略対象からの好感度を上げ、 ゲームをクリアするしか手はない!?
ペネロペ・エカルト:主人公で悪役令嬢。ゲームではハードモードのヒロイン。公爵家の娘だが、実際には血の繋がりは無い。
イヴォン:ヒロイン。エカルト公爵家の娘だが、18歳になるまでは平民の娘として過ごしていた。ノーマルモードでは彼女がヒロイン。
デリック・エカルト:エカルト公爵家の長男。冷酷な貴公子キャラ。
レナルド・デカルト:エカルト公爵家の次男。気が短く、口が悪い。
カリスト・レグルス:イオカ帝国の皇太子。人の命を軽視する暴君。
ヴィンター・ベルダンディ:侯爵であり魔術師。様々な情報や裏取引を扱う。
イクリス:亡国の貴族出身の奴隷。ペネロペを同情した唯一のキャラ。

286話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 婚前準備④
まもなく現れたクリスタルボウルの底がスプーンと触れ合い「カチカチ」という音を出し始めた頃。
「ごほん、首都には・・・」
静寂を我慢できなかったのか、公爵が咳払いをしながら口を開く。
「もうすっかり帰ってきたのか」
私はようやく気がつき、顔を上げると、公爵が妙に微笑ましい表情で私を見つめていた。
「もっと用意するように言おうか?」
「あ、いいえ」
やばい、メロンシャーベットに目が眩んでしまった。
恥ずかしさで顔が熱くなり、私はすぐに公爵の質問に答える。
「はい。完全に戻ってきました」
すると、突然公爵の顔が曇った。
「帰ってくるやいなや、結婚だなんて・・・」
「・・・」
「そんなに急いで結婚をする必要があるのか?」
心配そうな声に私は少し不慣れな目で公爵を振り返る。
そういえば、5年前の家出宣言から結婚まで、公爵にはすべて通報に他ならなかった。
私は婚約して以来、エカルトの人々に自分の話をするつもりはあまりなかった。
だからエカルトに伝わる私の消息はカリストが公表することだけ。
最後に物を持っていくと言い訳に公爵家を訪ねてきたのは、純粋に礼儀のしるしだった。
これまでのエカルトの全面的な支持のおかげで皇帝の婚約者という重大な地位にもかかわらず、5年間思う存分歩き回ることができたのだから。
皇帝の独断だけでそうしていたら貴族たちの反感は今より大きかったはずだ。
だからこそ感謝の気持ちで訪ねてきたのだけど・・・。
(だから結局、少しも縁を切ったことがないんだよね)
許せないと拍車をかけ、実は5年間ずっとエカルトの庇護の下にいた。
たとえそれが私が望んだものではなくても。
私は突然訪れた悟りに不意打ちを食らったように大きな衝撃を受けた。
「なんでよりによってあの暴れん坊みたいな・・・、あ、いいや、陛下と結婚するんだ。うん?」
その間、公爵は私を説得するに至ったのだ。
昼食を一緒に取ろうと言った理由はこれだったのだろうか?
「今まで通り過ごせば良いんじゃないのか?やりたい勉強をしながら、探査もして、研究もして」
「・・・」
「世の中を歩き回れば、遥かに良い夫が現れるかもしれないのに。どうしてあの狂った、いや人間の末端、いや・・・、大蛇のような真っ黒なやつを・・・」
相変わらず私に対する心配がいっぱい詰まった青い瞳。
それはもう私に無関心で、私を排斥していた他人の目つきではなかった。
「お父様」
「うん?」
「公爵様」と全く違う呼称で呼ぶと、直ちに答える公爵の顔が春に雪が溶けるように明るくなった。
本当に実の娘でも見つめる愛情のこもった目つきと、表情。
「私・・・、妊娠しました」
それで、どうしてもこれまで他人と同じように伝えさせることができなかった。
一族の一員に起こったことを他人と同じように、もしかしたら他人より遅く知った時の悲惨さ。
それを必ず同じように感じさせる必要があるのだろうか?
それが果たして復讐なのだろうか?
「・・・何だって?」
しかし、そんな思索に耽っていたので、私はまだ見れなかった。
公爵の顔がだんだんと白くなり、真っ青に変色する様子を。
「い、今なんと言った・・・」
口を大きく開けたまま公爵が息詰まる音を出す。
「に・・・、妊娠と言ったのか?」
「はい、どういうわけか・・・」
「に、に、妊娠?」
「・・・」
「妊娠!?に、妊娠なんて・・・、妊娠・・・!?」
公爵は目玉がそのまま転がるほど目を大きく上げたまま、しきりに同じ言葉を繰り返した。
私は恥ずかしくて目を合わせることができず、頭を下げる。
「執事長!」
しばらく何も言わなかった公爵が、椅子を押しながら荒々しく立ち上がった。
そして急いで執事を探し始める。
「ペンネル!ペンネル!」
主人の怒声に執事長が慌てて食堂の中に飛び込んだ。
「お呼びでしょうか、旦那様!」
公爵は呼ばれた執事にすぐに叫んだ。
「剣を持って来い!騎士たちを全員召集するんだ!」
「何が・・・」
突拍子もない命令に執事が呆然とする。
私も同じく訳が分からず驚いた目で公爵を眺める時だった。
公爵は血管が浮き出た首で大声で叫んだ。
「今すぐ兵士たちを率いて皇居に行かなければならない!行ってあいつの首を切り落とさなければ!あえて、うちの娘を・・・!」
怒りをぶちまけた公爵が急によろめく。
「旦那様!」
「お父様!」
執事と私は同時に悲鳴を上げるように彼を呼んだ。
幸いにも公爵は床に倒れず、執事の助けを受けながら再び椅子に座った。
「妊娠、妊娠?に、妊娠だなんて・・・。妊娠・・・」
魂が抜けた人のようにとめどなく「妊娠」を呟く公爵を見ると、改めて彼がどれほど衝撃を受けたのか分かった。
公爵の反応は、大切に育てた子供が速度違反をしたことを知った他の親たちの反応と大差ない。
やらかした時は何も考えていなかったが、真っ青になった公爵の顔色を見ると、自然と気持ちが肅然となった。
やっぱり公爵は妊娠を知らなかったようです。
公爵の動揺する姿が面白いですね。
この後の展開が気になります。







