最強の王様、二度目の人生は何をする？【１６８話】ネタバレ

アートの⽗がかつて率いていたツインホーンのリーダーであるヘレン・シャード。

ヘレンと抱擁をした後、私のパーティメンバーに彼らを紹介する。

「お姫様、ここにどれくらいいるの？」

「私たちはここに来て約３か⽉になると思います。それと、私のことはテシアと呼んでください」

「分かったわ、テシア。そう言ってくれると嬉しい」

彼女は笑顔を浮かべた。

「いつここに来たのですか？」

「今⽇の午後よ。ここに来る前は、約４か⽉間「壁」にいたの」

「壁」とは、敵が攻め込まないようにするための大きな砦。

アラクリアン軍が⻄海岸から侵⼊しているのではないかと私は知っていたが、おじいちゃんは適切な準備ができるまでそれを秘密にしておくように命じた。

「ヘレン、壁に沿って戦うのはどうでしたか？あなたは実際にアラクリアンの魔道⼠と戦ったことがありますか？」

「ええ・・・、アラクリアン軍は非常に強⼒よ。壁の外で、私たちが戦わなければならないのはアラクリアンの兵⼠だけではなく、彼らの⽀配下に置かれたマナビーストもいるわ」

「そうですか・・・」

ヘレンは私の表情に気づき、次のように付け加える。

「ここで起こっている戦いは同じくらい重要、いいえ、おそらくもっと重要よ。ここで殺すマナビーストが多ければ多いほど、地表に現れるビーストは少なくなるのだから。そして、ミュータントを⾒つけて殺せば、アラクリアン軍は何百もの⼈形を失うでしょう」

ここでの戦いに勝つことが、この戦争に不可⽋であることを私も知っていた。

ここに集まった兵⼠の主な任務は、ダンジョンの奥でミュータントを⾒つけること。

ミュータントとはマナビーストであり、ダンジョンのリーダー格であり、アラクリアンによって⽀配されているビースト。

彼らはミュータントを利用して、何百ものマナビーストを制御しているのだ。

ミュータントが存在する限り、マナビーストが滅ぶことはない。

「とにかく。ここに隠れているミュータントはおそらくSクラスのマナビーストなので、あなたの祖⽗はここに多くの魔術師を派遣したのです。それが私たちがここにいる理由よ」

突然、ダンジョンの奥深くに通じるゲート付きの⼊り⼝の１つから大きな声が。

そして重い扉が開くと、向こう側から叫んでいた男が倒れて、意識を失う。

「こんな事は頻繁に起こるの？」

ヘレンは弓の準備をしながら尋ねる。

「いいえ・・・、こんな事は今までなかったわ」

私はいつでも剣を抜く準備ができていた。

「医者を！」

兵士は咆哮し、⾎まみれの斥候を肩に上げた。

ここに配置されたエミッターはいないが、治療に⻑けた⼈は常に数⼈いる。

「リーダー、気にならない？」

スタナードが私をちらっと⾒た。

全員からの視線が痛い。

ため息をついて、私は彼らに従うように話す。

最終的に、ヘレンとスタナードが私と⼀緒に来ることに。

「お、お姫様。どうしてここに？怪我をされたのですか？」

二人の兵士は激しく動揺していた。

「いいえ。先ほど到着したばかりの斥候が気になったの。通ってもいいかしら？」

斥候の意識は戻っていない。

私たちがテントに入ると、遠征隊の助⼿でありリーダーであるドロゴ・ランバートが席から立ち上がる。

「王女様？どうしたのですか？怪我をしたのですか？」

「⼼配しないでください、私は怪我をしていないわ」

ヘレンがここに来た理由を説明する。

「ミュータントに変わったSクラスのビーストが見つかったと聞いたので、彼が何らかの情報を入手したのではないかと気になったのよ」

「なるほど。しかし、残念ながら彼はまだ⽬覚めていません」

ドロゴはため息をつき、安らかに眠っている斥候を肩越しに⾒た。

「ドロゴ、彼が起きたらすぐに知らせてくれませんか？」

「承知しました」

テントを出ようとしたとき、鋭い叫び声で振り返る。

斥候はパニック状態に陥っていた。

「わ、私はどれくらい気を失っていましたか？」

「落ち着け。兵士の１⼈があなたを認識した。あなたの名前はセイヤーですよね？」

「は、はい」

「セイヤー、あなたが戻ってきてからたった１０分かそこらです。何が起こった？他のチームのメンバーはどこに？」

「全員死にました・・・。ノールの待ち伏せに⾜を踏み⼊れて」

セイヤーの⾔葉を処理している間、テントの全員が黙っていた。

「何百⼈もいたに違いありません。そ、そして彼らの後ろに⼤きな扉がありました。まるで彼らが反対側にあるものを保護しているかのように！私たちはそれを⾒つけたと思います。ミュータントの巣窟を⾒つけました！」