こんにちは、ちゃむです。
「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
100話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 陽だまりの約束
朝になった。
下腹が温かいと思ったら、いつの間にかミツバチが私の腹の上で体を丸めて寝ていた。
ユリが作ってくれたウィッグを布団代わりにして。
私はそっと体を起こした。
「ん?」
ドタン!
どうやって寝ていたのか、ミツバチは横に転げ落ちてしまった。
でも不思議なことに、目を覚まさない。
「ま……まあいいか、あれ。ちゃんと寝てればいいし。」
私はそっとウィッグを持ち上げた。
正直、少しお節介かもしれない。
私がアセリアにこのウィッグをプレゼントしたいと思うのが、本当にいいことなのかも分からない。
ただ、もしアセリアが本当に過去の私と同じで、
私と同じ考えを持っているのなら——
きっとこのウィッグを気に入るはずだ。
アセリアは喜びそうだが、アルミテル団長は衝撃を受けたようだった。
「皇女様!」
「しっ、アセリアが起きちゃいますよ。」
「皇女様、それは一体……」
「きれいでしょ?」
「……」
「え、きれいじゃないですか? おかしいですね。きれいじゃないはずがないのに。」
「……」
私は指でアルミテル団長をつんと突いた。
「きれいですよね?」
「……きれいです。とても。」
「似合いますよね?」
「に、似合ってはおりますが……ですが、その……」
「アルミテル団長を見て思いついたんです。私はこのヘアスタイルを“ショートカット”と呼ぶことにしました。あとでビアトン卿に話して、辞典にも載せてもらうつもりです。」
私は背中に隠していたウィッグを取り出した。
「ユリが作ったものだから、品質はすごくいいんです。それに、まだ未熟ではありますけど、私なりに復元魔法もかけてあります。」
その過程で、レベルが少しだけ上がった。
リベルに刻まれていた復元魔法を研究しようとして、あれこれいじっているうちに、その過程で復元魔法の術式が壊れてしまった。
それは私にとって、とても悲しいことだった。
もう一度復元魔法をかけ直せたらよかったのだが、どうやらリベルの物理的な耐久力がそれに耐えられそうになかった。
「これ、リアにプレゼントしたいんですけど……嫌がりますか?」
「……」
団長が何かぶつぶつ言っているのが聞こえた。
「え? よく聞こえません」
「どうして……」
彼は拳をぎゅっと握りしめた。
その様子は、なぜか怒っているようにも見えたが、どうやらそうではないらしい。
「どうして、私たちにここまでしてくださるのですか?」
「私はショートカットをやってみたかっただけです。ついでに、切った髪をどう使えばいいか考えただけで。」
「私たちにそこまでしてくださる理由が、理解できません。」
肩が小さく震えていた。
私が髪を切ったことが、かなり大きな衝撃だったらしい。
この時代の常識からすれば、確かに相当思い切ったことだろう。
「理解しなきゃいけませんか?」
「……え?」
「すべてを理解する必要はないと思います。理解できないことだってありますし。」
「それでも、理由が……」
理由なら、いくつもあった。
将来裏切るかもしれないアルミテルを、今のうちにこちら側に引き寄せておきたい——そんな思いがあるのも確かだった。
そして、私と同じ姿をしているアセリアに、どうしても心が向いてしまうのも本当だった。
それに、ショートカットに惹かれているのも嘘ではない。
新しい人生を手に入れた今、せっかくならやりたいことは全部やってから去ろう——そう決めていた。
これもその一つだった。
「いい友達になりたいんです。」
「……」
「私には、同い年の友達が一人もいなかったんです。でも、できたんです。ユリっていう子で、私にとって一番大切な友達です。」
「……」
前世でも、本当に友達と呼べる人はいなかった。
私は、同い年の子たちが友情を育んで、幸せそうに笑っているのを――ただ見ているだけだった。
時間を一緒に過ごしている様子を見ると、あんなに羨ましくなるものなんだと思った。
「いなかったのに、できてみたら……すごく、すごく良かったんです。」
これは本心だった。
まだ子どもだからかもしれないけれど、友達が世界のすべてのように感じられるほどだった。
「私だけがこんな大きな幸せを味わうなんて、できません。私は皇女ですから。人々に、私が感じたこの素敵なものを分けてあげて、教えてあげたいんです。」
もしかしたら、昔の私と同じような人生を送っている子に——
「団長はリアのことを一番よく知っていますよね。だから聞いているんです。リアはこのプレゼント、喜んでくれますか?」
「それは……」
そしてその日、小さな村カルポアで奇跡が起きた。
・
・
・
「私には同い年の友達が一人もいなかったんです。でも、一人できました。ユリっていう子です。私にとって一番仲のいい友達で、とても大切なんです。」
イサベルの後ろに立っていたユリは、思わず胸が温かくなった。
ちょうど窓から差し込む陽の光が彼女を照らし、体も心もぽかぽかと温まっていく。
(私も……私も皇女様のこと、大切に思っています)
声には出さず、口の動きだけでそう伝えた。
イサベルには届かなかっただろうけれど、それでも今はそれで十分だった。
一方で、イサベルとアセリアの間では、何度かのやり取りが続いていた。
「私がどうして、こんなに貴重なものを受け取っていいのでしょうか……」
「……ですか?」
「大事なものだからこそ、大事な人にあげたいんです。」
結局、イサベルはそう言い切った。
「皇女としての命令です。受け取りなさい。」
「……謹んで、お受けいたします。」
「毒でも渡すわけじゃないのに、どうしてそんなに暗い顔をしてるの?」
「それは……」
「悪いことしたって思ってる?」
「……はい。」
イサベルは、アセリアと同じタイミングで言葉を発した。
アセリアは目を丸くする。
「どうして……?」
「どうして……?」
その言葉まで、ぴたりと重なっていた。
アセリアは大きく目を見開いた。
どうやらイサベルが自分の心の中をそのまま口にしたかのように感じたらしい。
「こういう時は“すみません”じゃなくて、“ありがとうございます”って言うんですよ。」
「……ありがとうございます。」
「うん。ほら、早くつけてみて。似合うといいな。」
結局、アセリアはためらいながらも、震える手でウィッグをかぶってみた。
美的センスに乏しいアルミテルがこれまで用意してきたものより、はるかに上質なウィッグだった。
自分で作ったユリも、思わず手に力が入る。
アセリアへのちょっとした嫉妬とは別に、このウィッグが彼女に似合うといいな、という気持ちがあった。
アセリアがウィッグに触れた瞬間、その弾力が――
――だった。
「すごく似合ってる!」
でも、それで終わりではなかった。
「……あれ?」
魔法に詳しくないユリでも、異変に気づいた。
「どうして髪が……?」
根元から色が変わり始めていた。
よくは分からないけれど、イサベルの髪とアセリアの髪が混ざり合っているように見える。
まるで絵の具が溶け合うみたいに。
毛先は黒く染まったかと思えば、次の瞬間には淡い虹色の光がにじみ出し、不思議な光沢を帯びた髪が形作られていく。
やがてそのやわらかな光は全体に広がり、髪の色は完全に変わってしまった。
イサベルは思わず息をのんだ。
「すごい……」
かつらを被せてもらったら、本当に髪が生えてきた。
この奇妙な現象を論理的に説明することはできなかった。
突然現れたそのエメラルド色の髪は、とても美しかった。
「アロンは思わず『ああ……』と感嘆の声を漏らした。」
イザベルも同じだった。
思わずため息がこぼれた。
髪色が変わっただけなのに、アシェリアの雰囲気は大きく変わっていた。
瞳は相変わらず黒いままだったが、髪だけは小説で描かれていた「エメラルド色の髪」そのものだった。
イザベルは大きな衝撃を受けた。
「確かに私と似た顔立ちだったはずなのに……」
変わったのは髪の色だけだった。
「それなのに、すごく綺麗……」
肌は相変わらずやつれていて、血色も悪かった。
それにもかかわらず、ずっと美しく見えた。
「昔の私の顔によく似ているのに……」
もしかすると、自分は自分の顔を正しく覚えていなかったのではないかと思うほどだった。
そしてイザベルは、一つの結論にたどり着いた。
――ただ自分自身を愛せなかっただけで、私も十分に綺麗だったのだ、と。
一方、アシェリアは自分の髪を何度も撫でてみた。
「これは一体どういうことですか?」
アルミテルも驚きを隠せなかった。
「皇女様、一体この現象は……!?」
「私にもよく分かりません。魔法術式をコピーして適用する過程で、何らかの作用が起きたような気はしますが……」
もしかすると、些細なミスがあったのかもしれない。
だが今となっては、それを確かめる術はなかった。
原因を探る手がかりになりそうだった『リベル』に刻まれていた既存の術式も、すべて破壊されてしまっていたのだから。
「よく分かりませんが、綺麗ですよ。髪の色が変わったのは少し気になりますけど……リアが気に入ってくれるといいですね。どうですか?」
アシェリアは布団をはねのけて、ベッドから立ち上がった。
同い年ではあったが、イザベルよりもずっと小柄で華奢だった。
アシェリアはイザベルのもとへ歩み寄ると、ぎゅっと抱きついた。
「どうして気に入らないなんてことがありますか?」
「え、え?」
まるで子犬のように、アシェリアはイザベルの胸元に顔をうずめた。
「好きになってもいいですか?」
「……」
「いいえ、好きになります。どうか私を好きになってください。ありがとうございます、皇女様。まるで世界そのものを贈られたような気分です」
心からの想いを込めて、一言一言を大切に伝えるその姿は、どうしようもなく愛らしかった。
髪色が変わったせいだろうか。
以前の自分とはまた違った印象を受けた。
まるで可愛い妹ができたような気分だった。
そのときイザベルは、あることを思い出した。
――そうだ。アシェリアは原作のヒロインだった。
それは、あの有名な“陽だまりのヒロイン”だった。
その陽だまりのヒロインが、今はイザベルの腕の中に収まっている。
まるでハムスターのようだった。
(ああ……私、この陽だまりのヒロインが好きだったんだな)
陽だまりのヒロインは腕を絡め、身を寄せてきた。
【少し危険。】
【その通り。】
【かなり危険。】
・
・
・
最近、魔法連邦はビロティアン魔法帝国の動向を注意深く監視していた。
魔法連邦は、もともと五つだった「創成魔法師」の数を、なんと十二人にまで増やし、その勢力を拡大している。
(そのうち一人であるビヘルムは現在行方不明のため、実質的には十一人だった。)
創成魔法師の中でも長老格にあたるクリアスは、その報告を聞いて満足げに頷いた。
「今、皇女のそばにビアトンはいない、ということだな」
クリアスは先日の天空島公開討論会で、魔法連邦側のVIP兼仲裁者として出席していた創成魔法師である。
その時クリアスはビアトンを観察しながら、ビロティアンの真意が何なのか探ろうとしていた。
だが相手が相手だけに、大した成果は得られなかった。
『相変わらず不愛想だな、ビアトン』
『相変わらずですね、クリアス卿』
『ロベナ大公のもとで魔法を学んだ君が――』
『ロベナ大公のもとで魔法を学んだ君が、いまだにその影響から抜け出せていないのは残念だな』
『私の根性がなかなか直らないものでして』
――そんなやり取りばかりだった。
『テイサベル移動艦隊を動かしているのは、ビロティアンの意向なのか。それとも大公の意向なのか?』
そう尋ねても、返ってくるのは「皇女の意向です」という拍子抜けする答えだけだった。
大きな収穫はなかった。
それでも、一つだけ確信できたことがある。
ビロティアン皇室は、皇女を利用して何らかの大きな計画を進めている。
それは間違いなかった。
これまで世論など気にも留めなかった彼らが、積極的に世論へ働きかけ、皇女のイメージを“陽だまりの姫”として築き上げているのだから。
政治には積極的に関わろうとしなかった彼らが、今や政治にまで力を注ぎ、さらにラーメンやテイサベル移動艦隊を通じて多くの人々の生活へ浸透している。
魔法連邦の立場から見れば、最大限の警戒が必要な状況だった。
「本当に確かなのか? ビアトンは皇女のそばにいないのだな?」
「はい。何度も確認しております」
「では、あの男は今どこにいる?」
「最近はバドカルト湖へ頻繁に向かっています」
「そんな場所で何を?」
「テイサベル移動艦隊を積極的に利用しているようです」
「……まさか、ベクサが直接この世界へ干渉する可能性は?」
「私はないと思います。あの方はご自身が――」
「あの方は、自分の力があまりにも大きすぎることを理解し、自ら隠遁の道を選ばれた方です。世界に影響を及ぼさないと公言していた以上、その信念を破ることはないでしょう」
ビアトンの母、ベクサ。
彼女は千年に一人現れるかどうかというほどの天才だった。
創成魔法師たちの頂点に立つ存在――“創成魔法師の上に君臨する創成魔法師”とまで呼ばれたベクサがビアトンを支援するとなれば、事態は厄介になる。
いや、厄介どころではない。
危険そのものだった。
「ご安心ください。ベクサ卿はここ十数年、ビアトンとほとんど接触しておりません。傍から見ても絶縁状態に近い関係です。今さらビロティアンへ力を貸すことはないでしょう」
「そうか……それならいい」
イザベルは先日の討論会で、魔法連邦と料理協会の双方に強烈な印象を残した。
それは、魔法連邦を率いる創成魔法師たちをほぼ味方につけたも同然だった。
「カルフォアだったか? その護衛は?」
「対外的には中将級として扱われている人物が同行しています。平民出身で、名はアルミテル。ジルデル基地キャンプの責任者と見られています」
「その程度なら問題ない。カルフォアには凶悪な殺人鬼どもが潜んでいて、それをかくまう愚かな住民もいるのだったな? 我々が把握している場所は……そうだな、この辺りか」
彼は地図の一角を指差した。
そこはアルミテル中将の家がある場所だった。
「……」
もちろん、凶悪な殺人鬼など存在しないし、それをかくまう住民もいない。
だが、いなければ作ればいいだけの話だった。
「地下牢から何人か引っ張り出して送り込め。そして――」
「3級バスターを発動しろ」
「ほ、本気ですか?」
“バスター”とは無差別爆撃を意味する。
広範囲にわたって大規模な魔法攻撃を浴びせる――それがバスターだった。
バスターは全部で5段階に分類されており、3級バスターは小規模な戦争で使用されるレベルに相当した。
また、正式な宣戦布告なしで行使できる最大規模の攻撃でもあった。
当然、多くの罪なき人々が犠牲になる。
「3……3級バスターで間違いありませんか?」
「ああ。そのくらいでなければ決定的な証拠は残らん。急げ。ビアトンが戻る前にな」
ビロティアンが戦略的資産として扱っている皇女は、今日この地上から消えることになる。
「いや、これだけでは足りないな」
彼は完璧な幕引きを望んでいた。
「私も直接向かう」
「ですが、3級バスターは……」
「それは予定通り実行しろ。私の身は私自身で守る」
3級バスターを発動させ、さらに創成魔法師本人も現地へ向かう。
そうなれば、たとえゼアムリ皇女であっても生き残ることは不可能だった。
「まったく、なぜあれほど戦略資産の管理が杜撰なのだ。宝というものは大切に保管するべきだろう」
彼は幾度ものワープと移動艦隊を乗り継ぎ、瞬く間にカルポア村へ到着した。
3級バスターの発令から、まだ3時間も経っていなかった。
体力的にはかなり無理をしたが、そんなことは問題ではなかった。
「3級バスターも、まもなく始まるだろう」
彼は全身に魔力を巡らせ、強力なシールドを展開したままカルポア村へ足を踏み入れた。
ドォォン!
ほどなくして3級バスターの砲撃が降り注ぎ、村全体が炎に包まれ始めた。
村は瞬く間に焦土と化した。
「なかなか見応えのある光景だな。……まだ生きているようだが」
彼は歩みを進め、皇女が滞在している家の前へと立った。
「なかなか強い気配だ」
おそらく、あの平民出身の中将が放っている魔力なのだろう。
平民出身としては優秀な部類だったが、創成魔法師である自分と比べれば問題にならない。
「証拠は一つ残らず消しておかねばな」
目撃者も残してはならない。
素早く始末を済ませ、この場を去るつもりだった。
男が指を鳴らした瞬間、家の扉が粉々に吹き飛んだ。
「ここに一級凶悪犯をかくまっているという通報を受けて来た」
アルミテルはイザベルたちを背後にかばいながら、一歩前へ出た。
彼が足を踏み出すたびに、まるで大山が迫ってくるかのような圧迫感が広がった。
(強い……)
彼女は即座に剣を抜き放ち、問いかけた。
「何者だ?」
「こんな田舎の村に、なかなかの魔力を持つ者がいるとはな。実に怪しい話だ」
「私の名はアルミテル。ビロティアン帝国所属の中将だ」
「ぷははは! ビロティアン帝国の中将が、こんな辺境の地で何をしているんだ?」
クリアスは事情をすべて把握していた。
だが、それを表に出すわけにはいかない。
どうせこの場に生き残りは一人もいないのだから。
「ついには軍人まで売り買いするようになったか。おや、ここは人身売買の現場だったのかな?」
イザベルが一歩前へ出た。
「あなた、私に会ったことがありますよね?」
「私が君みたいな小娘を知っているとでも?」
「いいえ。あなたは私を見ています」
イザベルは、討論会でVIP兼仲裁役として参加していた創成魔法師クリアスのことをすでに把握していた。
「そして、私が誰なのかも知っているはずです」
「何を馬鹿なことを言っているのか分からんな。お前たちも悪党どもの仲間なのだろう?」
イザベルには分かっていた。
言葉を交わしている間にも、クリアスの手に強大な魔力が集まり続けていることを。
イザベルはそのまま言葉を続けた。
「創成魔法師クリアス。あなたに警告します。剣帝国の皇女イザベルに対し、何の根拠もない敵意を向けるのはやめなさい」
「私がクリアスだと? 誰がそんなことを言った?」
一連のやり取りを通じて、イザベルは悟った。
もはや事実がどうかなど問題ではない。
この男は最初から、この場に生き残りを残すつもりなどないのだ。
アルミテルも同じ結論に達していた。
(何も知らずに動いたはずがない。最初から皇女様を狙った襲撃だ)
彼女は剣を構え直した。
(先に仕掛けなければ勝機はない)
そう判断した彼女は地面を蹴り、一気に間合いを詰めて剣を振るった。
狙いはクリアスの首だった。
キィン!
しかし、その一撃は目に見えない無形の魔法障壁に阻まれた。
「悪党にしては、なかなかの腕前だな」
アルミテルも優れた武人ではあった。
だが、創成魔法師に匹敵する存在ではない。
クリアスの掌がアルミテルの腹部に触れる。
ドォン!
爆発にも似た轟音が響き、アルミテルの身体は宙へ吹き飛ばされた。
そして、そのまま地面へと叩きつけられた。
「ぐっ……!」
アルミテルは剣を杖代わりにして、どうにか立ち上がった。
たった一度の交錯で、すべてを悟ることができた。
(勝てない)
強さとは相対的なものだ。
そして、あの男は自分が太刀打ちできる相手ではなかった。
アルミテルは背後を振り返った。
そこには守らなければならない子供たちが三人いる。
「逃げ……ろ……」
勝つことはできなくても、時間を稼ぐことならできるかもしれない。
魔法連邦がバスターを発動した以上、この異常事態は帝国騎士団も必ず察知するはずだ。
それまでの間だけでも、何とか時間を引き延ばせばいい。
考えた。
「皇女様……どうか、お逃げください……」
そのとき、アルミテルは異変に気づいた。
皇女が目を閉じていたのだ。
(強い魔力の波動……?)
熟練の魔法使いから感じられるような、強大な魔力のうねりが伝わってくる。
イザベルは何かを絶えず呟いていた。
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イサベルのウィッグとアセリアの「エメラルド色の髪」への覚醒:
イサベルは「友達になりたい」という本心から、復元魔法をかけた特製ウィッグを原作のヒロイン・アセリアに贈った。アセリアがそれを着用した瞬間、魔法の拒絶・融合反応によって彼女の髪が原作通りの美しい「エメラルド色の髪」へと変化し、二人は本当の姉妹のように固い絆で結ばれた。
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魔法連邦クリアスの陰謀とカルポア村への無差別爆撃(3級バスター):
魔法連邦の長老格である創成魔法師クリアスは、帝国が「陽だまりの姫」として擁立するイサベル皇女を暗殺するため、ビアトンが不在の隙を狙ってカルポア村に凶悪犯がいるという冤罪をでっち上げ、無差別爆撃(3級バスター)を敢行して村を瞬く間に焦土と化した。
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創成魔法師の圧倒的な武力と、イサベルの反撃の予兆:
完璧な証拠隠滅のために自ら現地に現れたクリアスは、正体を見破られてもなお冷酷に襲撃を開始。身を挺して立ち向かった帝国中将アルミテルを圧倒的な魔法障壁と一撃で叩き伏せたが、窮地に陥ったイサベルはその背後で目を閉じ、熟練の魔法使いをも凌駕する強大な魔力のうねりを滾らせて反撃の術式を紡ぎ始めた。