潔癖症な黒幕のガイドなんて御免です

潔癖症な黒幕のガイドなんて御免です【32話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「潔癖症な黒幕のガイドなんて御免です」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【潔癖症な黒幕のガイドなんて御免です】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「潔癖症な黒幕のガイドなんて御免です」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載...

 




 

32話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 狙うは女王蜂のバッグ

「お前は早期リタイアして働かずに暮らすのが夢なんだろう? だったら、のんびり休んでいればいいのに、なんでわざわざまた働いて金を稼ごうとするんだ」

クロードはどうにかして私を説得しようと必死だった。

「えっ、私の夢が早期リタイアだって、どうして知ってるんですか?」
「……」
「とにかく、クロード様はご存じないでしょうけど、普通の人って大金を使うと罪悪感が湧いてきて、『また働いて少しでも稼がなきゃ』って思うものなんです。私も少しでも稼いで、この罪悪感を解消したいんですよ」

一番近い時間帯の講習は20分後だった。時間にはあまり余裕がない。私は慌ててバッグを取り出した。

特に持ち物の案内はなかったが、とにかく講習へ行く準備を始める。筆記用具くらいは持っていったほうがいいだろう。ペンと小さなノートをバッグに入れ、今度は着替えるためにクローゼットへ向かった。

その間も、クロードはずっと私の後ろをついてくる。

「四千億ベルクは確かに大金だけど、お前一人の面倒も見られないほどじゃない。お前が望むなら、残っている財産だって全部やる」
「それとこれとは別です。たとえるなら、お腹いっぱいご飯を食べたあとでも、締めのアイスクリームは別腹で食べたくなるようなものですよ」
「いや、その例えはどうなんだ……」
「それに、この機会にお金の大切さを少しは学んでください。二千億ベルクで済んだ罰金を自分で四千億ベルクに倍増させるなんて、そんな勢いでお金を使うのはやめてください! さっきだって四千億ベルクを捨てたばかりなのに、今度は残りの財産まで全部あげるなんて、軽々しく言わないでください」
「お前、お金がたくさんあっても買うのはせいぜいパンやお菓子くらいなのに、どうしてそんなにお金に執着するんだ?」
「だって私は、四千億ベルクの四千万分の一にも満たない年収で暮らしてきた、ごく普通の庶民だったんですよ。……着替えるので、もう出て行ってもらえますか?」
「何を今さら。どうせ全部見たんだから、このまま俺の前で着替えれば……」
「……出て行ってくれないんですか?」

私がじっと見つめると、クロードは小さくうめいた。髪をかき上げ、大きくため息をついた彼は、結局不機嫌そうな顔のまま部屋を出ていった。

急いで着替えを済ませ、出かける支度を整えて部屋を出る。すると、その間にクロードは考えを変えたらしい。

「じゃあ、一緒に行く」
「え?」
「一人では行かせられない。危ない」

思わずあきれてしまった。何が危ないというのだ。まだ幼いガイドたちでさえ普通に受けている研修なのに、もう立派な大人の私が何を危険だというのか。

私は答える気にもなれず、黙って靴を履き始めた。ところが、クロードは本気でついて来るつもりらしく、後を追おうとする。

結局、私が彼を止めることになった。

「ちょっと、どこへついて来るつもりなんですか?」

ガイド研修に、契約済みの――実際には契約していないけれど――エスパーを連れて来るガイドなんていない。大学の新入生歓迎会に、空気も読まず夫を連れて来るようなものではないか。

まるで新入生を送り出す保護者みたいだった。私が止めると、クロードは真顔で言った。

「センターに俺が入れない場所なんてない」
「今回を機に、『入れない場所もある』ってことを覚えてください」
「……ロズ、頼む」
「そんなに嫌なら、四千億ベルクを取り戻してきてください。それまで私は毎日、真面目に働いてお金を稼ぎますから!」

とても真剣な顔でそう宣言し、玄関のドアを勢いよく閉めた。

ドアが閉まる寸前まで、まるで世界の終わりのような呆然とした表情を浮かべるクロードが見えた。これまで散々彼に振り回されてきたけれど、初めて一本取ったような気分だった。

私の恋人のお金に対する考え方は、私がきちんと教え直してあげる。きっとクロードも、今回のことで「お金は大切に使わないといけない」という教訓を学んでくれるはずだ。



「えっ……F級……?」
「そ、そんなに落ち込まないでください。あくまで形式上のランクですから。特に意味はありませんよ」

がっかりした私を見て、ガイド研修担当の事務チーム長がなだめてくれた。意味がないなら、形式だけでもS級にしてくれればいいのに。

私の手には、大きく「F級」の判が押されたガイド等級認定証があった。

「このセンターでは、エスパーとの適合率が60%を超えていれば、その時点でガイディング純度指数もすごく高かったはずなのに、どうして私がF級なんですか? 悪くてもA級くらいにはなるんじゃないんですか?」

ガイドには、それぞれ相性の良いエスパーがいる。その中でも複数のエスパーと特に相性が良いガイドは、「ガイディング純度が高い」と言われる。不純物が少なく、ガイディング効率が非常に高いという意味だ。

史上類を見ないほどのマッチング率だと言われていたのだから、純度も当然高いはずなのに、それでF級というのはどうにも納得できなかった。

「そ、その……ガイディングの安定性が0だったんです。クロード様と手をつなぐまでは、ガイディング数値がずっと0だったので……」
「……ああ」

それなら納得できる。

ガイドの等級は、【ガイディング純度 × ガイディング安定性】で決まる。

純度がガイディングの「質」だとすれば、安定性は「量」にあたる。つまり安定性とは、一定時間の皮膚接触によってどれだけ多くのガイディングを行えるかを示す数値だ。普通のエスパーなら、皮膚が触れ合うだけでもガイディングが成立するため、安定性は比較的高くなる。

しかし私は、皮膚が触れただけではガイディングが成立しないので、安定性は0という結果になってしまったのだ。

0に何を掛けても結果は0。つまり、私のガイディング能力の総合評価も0ということになる。本来ならガイドとして登録すらできなかったはずだが、「ガイドではない」というわけではないので、最低ランクであるF級が与えられたらしい。

「……さあさあ、ランクなんて気にしなくていいんですよ! ロズさんはクロード様と契約したガイドなんですから、それが一番大事です」
「名実ともにS級エスパーと契約したガイドなのにF級だなんて……。じゃあ、せめて見た目だけでも格好がつくように、C級くらいにしてくれてもいいじゃないですか?」
「はは、冗談はそのくらいにして。さあ、試験の時間です。ロズさんなら簡単な試験ですから、行って受けてきてください」

むぅ、冗談じゃないのに……。ぶつぶつ文句を言ながら試験室へ向かった。

試験室には机と椅子が適度な間隔を空けて並べられていた。その半分ほどにはすでにガイドたちが座っており、空席は欠席者の分のようだった。

私が入ると、ガイドたちは互いに視線を交わしながらひそひそと話し始める。気にも留めず窓際の空いている席に座り、ペンを取り出した。ほどなくして試験監督が入室し、試験が始まった。

「簡単な試験ですよ」という事務チーム長の言葉は本当だった。1時間の試験を、私は開始からわずか10分ほどであっさり解き終えてしまったのだ。

(残り50分、ぼーっと座っているだけでもお金がもらえるなんて、おいしい話だな……)

そんなことを考えていたが、すぐに退屈になってしまった。結局、机に突っ伏してひと眠りしようとした、その時――。

コトン、コロコロ――。

一本のペンが私の足元まで転がってきた。後ろの席の誰かが落としたのだろう。

面倒だから寝たふりをして拾わないでおこうかとも思ったが、初日くらいは印象よくしておいたほうがいいと思い直し、体を起こした。

ペンを拾って後ろを振り返ると、席に座っていたガイドがにっくり笑い、手を差し出してきた。試験監督がこちらを見ていないことを確認し、ペンを渡す。こんな簡単な試験でカンニングなんて疑われたら困るからだ。

もう一度眠ろうと机に突っ伏した、その時――。

コツ、コロコロ。

また私の足元に一本のペンが転がってきた。後ろのガイドが、私の椅子をコンコンと叩く。早く拾って渡せ、と急かしているらしい。

(ペン一本まともに持っていられないなんて、ずいぶん図々しい人だな……)

そう思いながらも、もう一度拾って渡してあげた。今度こそ本当に寝ようとした、その時――。

コツ、コロコロ。

眉をひそめて振り返ると、後ろのガイドがにやりと笑いながら、また椅子をコンコンと叩いた。

そして、そのガイドのさらに後ろに、見覚えのある顔が見えた。

シャナ・マッケンだ。

その顔を見た瞬間、すべてを理解した。

(ああ、私を目の敵にしている人か)

海外ドラマに出てきそうな女王様オーラを持つ人物がガイド棟にいるとしたら、それがシャナだった。美人なうえにA級ガイドでもあるため、彼女にガイディングしてほしいと願うエスパーたちが列を作るほどの人気者で、ガイドたちの間でも憧れの存在だった。

そしてそのシャナは、クロードの件がきっかけで私をひどく嫌っていた。以前は、ことあるごとに悪質な苦情を入れたり、言いがかりをつけて私を困らせたりしていたほどだ。

そんな私が新入りガイドとして入ってきたのだから、シャナを慕う取り巻きたちが、彼女のために私をいじめているつもりらしい。

学園ものの映画なら、転校生は学校内の勢力図を見極め、戦略的に女王蜂グループの取り巻きになるものだ。そうすれば学校の人気者になれるから。

……では、私はどう対応すべきか?

足元に転がっているペンをじっと見つめ、私は腹をくくった。

ペンを拾い上げると、後ろのガイドがにやにやしながら手を差し出してくる。

(これを返したら、また転がしてくるんでしょう?)

私はペンを返さなかった。ガイドは眉をひそめ、「早く渡せ」と言わんばかりに私の椅子をコツコツ蹴ってくる。

気にも留めず、私は窓を少しだけ開けた。そして、そのままペンを勢いよく窓の外へ放り投げた。

「ちょっ、お前、何してるんだ……!」
「そこの人、私語は慎んでください」

驚いたガイドが思わず声を上げ、すぐに試験監督に注意された。後ろでざわついていたガイドは、自分の太ももを軽く叩いて口をつぐむ。

試験監督がゆっくりこちらへ歩いてきた。

「窓は最初から開いていましたか?」
「あ……室内が少し息苦しかったので、私が少し開けました。まずかったでしょうか?」
「いえ。試験が終わるまでは、そのままでお願いします」
「申し訳ありません」
「大丈夫ですよ」

試験監督は窓を閉めながら言った。

そのまま席へ戻ろうとした時、後ろのガイドが今にも泣きそうな声で呼び止めた。

「……あの」
「はい?」
「その、ペンがなくて……」
「……試験を受けるのに、ペン一本も持ってきていないんですか?」

呆れた試験監督は、結局そのガイドにペンを貸してやった。監督が離れると、後ろから「……覚えてろよ」と低く吐き捨てる声が聞こえたが、私は軽く聞き流した。

その後、退屈で体がうずうずし始めた頃、ようやく試験終了のベルが鳴った。

試験監督が答案用紙を回収して教室を出ていくと同時に、後ろのガイドが勢いよく立ち上がった。

「おい、お前……!」
「少し通してください」

あのガイドを相手にしたところで何も解決しない。彼女はただの取り巻きに過ぎないのだから。

蛇を退治するなら、尻尾ではなく頭を狙うべきだ。

私はガイドの横を素通りし、教室の奥へ向かった。そこには、他のガイドたちに囲まれながら、一頭のしなやかなチーターのように悠然と座っているシャナがいた。

「この人、どうしてあんなことをしたの……」
「頭がおかしいんじゃない……?」

シャナの元へ向かう間も教室中がざわついていたが、私には関係ない。シャナの前まで来ると、私はにこやかに挨拶した。

「こんにちは、シャナさん。お久しぶりですね」
「……何?」

シャナは眉をひそめ、不機嫌そうに応じる。

「今日は暑いですね?」
「何を言ってるの……」

私が窓を開けながら脈絡のないことを言うので、シャナは呆れたように笑った。

だが、その余裕そうな表情は長くは続かなかった。私がにっくり微笑むと、彼女は何かを察したように顔色を変えた。

まさか、本人を直接狙うとは思っていなかったのだろう。

私は迷わずシャナのバッグをひっつかむと、そのまま勢いよく窓の外へ放り投げた。

 



  • 金銭感覚の差とクロードの甘やかし
    4,000億ベルクもの大金を簡単に捨てたクロードの金銭感覚を正そうと、ロズは「奨学金で罪悪感を減らす」と言って研修に向かい、同行しようとする彼を毅然と置いて出かけました。
  • ガイド等級「F級」の判定
    ガイディングの純度(質)は高いものの、皮膚接触のみでは発動せず安定性(量)が0と判定されたため、ロズの公式ランクは最低評価の「F級」となってしまいました。
  • 意地悪への豪快な反撃
    研修試験中、元からロズを目の敵にしていたA級ガイド・シャナとその取り巻きからペンを使った嫌がらせを受けますが、ロズはペンの投げ捨てや、最後にはシャナのバッグごと窓の外へ投げ捨てるという豪快な行動でやり返しました。

 

 

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