こんにちは、ちゃむです。
「憑依者の特典」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
150話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 神々が仕込んだ豪華報酬
私はなぜか少し戸惑って、ただまばたきをした。
[『魂を裁く天秤』が、息を殺して見守っています。]
[『創造経済管理者』が、それ以上は有料コンテンツだと通知を送っています。]
[『世界を築く天秤』が、あなたの資産状態を盗み見ようとして嘆いています。]
[『天機漏洩監察官』が、惜しいなら原作破壊をやめろと叫んでいます。]
幸いだったのか不幸だったのか、その妙な空気はすぐに霧散した。
「困るような質問だったなら、忘れてくれ。」
「いえ、困るというわけではなくて……」
そもそも答えを否定するところから始めてしまったせいで、うまく言葉が出てこなかった。気がつけば、私も無意識のうちにテリーの癖を真似して、乾いた唾を飲み込んでいた。
彼は私の返事を長く待たなかった。テリーは短く笑うと、再び正面へ顔を向けて言った。
「分かっている。」
何を分かっているの? ――そう声に出しては聞けなかった。どこか無表情になったテリーの顔の上に、夕暮れの光が差し込んでいた。風が止み、よどんだ空気が一層重く感じられる。
彼がようやく口を開いた。
「いや。」
「うん?」
「私が王子だそうだ。」
「……」
「それなら王妃は私の母で、第三王子は実の弟になるのか。」
「……」
「……はは。」
こぼれた笑い声が妙に耳に残った。失望に満ちた乾いた笑いなど、初めて聞いた気がする。彼はこんなふうに笑う人ではなかった。その姿を見ていると、私まで胸が苦しくなった。
「テリー……」
そっと肩を叩こうとしたが、彼は再びこちらを振り向いた。
「それでもよかったよ、アイ。」
「……よかった?」
「君は、私が何を経験してきたのか、そしてこれから何を経験するのかを知っているだろう。君が知っていてくれてよかった。」
そうか。私があなたの人生を百回目まで見守ってきたという事実が、今だけは慰めになるのか。それなら私も……。
「うん。よかった。」
あなたが一人で抱え込み、耐えなければならなかった痛みを、せめてその記憶だけでも共有できるのだから。何か少しでも慰めになることをしたかった。だから手を伸ばして、彼の銀髪をそっと撫でた。
テリーはおとなしく私の手を受け入れた。少しでもその顔から陰りが薄れてくれればと願いながら、私は手を動かし続けた。すると、かすかな震えが彼をよぎった。
「……どうして笑うの?」
「くく、くくすぐったいんだ。もう耐えられない。」
……耐えていたのか。せっかく人を慰めようとしていた側としては少し複雑な気分になる言葉だった。それでも、やっぱりよかった。細められた目元と、柔らかく持ち上がった口元。今度こそ本当に笑っている顔だったから。
私は手を引っ込め、視線を正面へ向けた。
「あなたの名前、どうする?」
「名前?」
「レミニクと呼んだほうがいいのかなと思って。」
「テリーでいい。今までどおり。」
やはり彼には、自分が王子になるつもりなど欠片もないらしい。
「分かった。実は私もその名前のほうが好きだよ、テシリド・アルジェント。」
彼が目を大きく見開いた。海のような青い瞳が、まん丸になってあらわになる。やがて遅れて笑みがその唇に浮かんだ。
「それでも、この世界に一人くらいは私を肯定してくれる人がいるんだな。」
「当然でしょ。」
私は自信たっぷりに答えた。私の人生の半分ほどは、すでに彼を中心に回っている。赤く染まった海のような瞳を見つめながら、私は励ました。
「だから、自信を持って。」
「うん、頑張ってみる。」
そう答えるテリーの声には、確かな笑みが混じっていた。そのまま私とテリーはマグカップを傾けながら、夕暮れへと沈んでいく太陽を眺めた。
ピリン!
【クエスト】『聖教の教主 第3段階』が完了しました。
システムが教主クエスト第3段階の成功通知を表示した。フェロサで祖父に頼んでいた教会の建設が終わったのだ。
「これでようやく、ちゃんとお金を稼げそうね。」
「……ん?」
「ううん、テリー! 何でもない!」
不思議そうにするテリーを見ながら、私は彼のマグカップに自分のマグカップを軽くぶつけた。ささやかな乾杯のあとに飲む星蜜ミルクは、とてもおいしかった。
・
・
・
七黒の塔。
ここは魔法使いを育成する教育機関であり、ラグネイフ魔導共和国の中央行政機関でもあった。世間では通称「魔塔」と呼ばれている。
塔の伝統により、魔塔の主である魔塔主は純粋に魔法の実力のみで選出される。そのため、先代魔塔主が殺害された後、その座は本来であればモリフィス・マルセリオンが継ぐはずだった。しかし彼は現在、神聖教によって人質として拘束されているため、ガステ・ナウジェン伯爵が臨時の魔塔主に選ばれていた。
ナウジェン伯爵は、第6サークルの境地に達した中堅魔法使いだった。仮とはいえ、魔塔主の役目を果たすには力不足な面が多かったが、彼が権力の頂点に立てたのは強大な存在の後ろ盾があったからである。
タタタタッ。
最高実力者とは思えないほどせわしない足取りで、ナウジェン伯爵は螺旋階段を上り、七黒の塔の最上階へたどり着いた。まるで星空そのものを切り取って閉じ込めたかのようなドーム天井の下で、無数の書物をゆっくりと眺めている男がいた。純黒の光沢を帯びた黒髪を持つ美丈夫。
魔族や異端者たちは彼を「生まれながらの混沌」と呼び、唯一神の加護を受ける者たちは彼を「光に対する闇」と呼んだ。そして最後に、この世界の真理へ到達することを許された探求者たちはこう呼んだ。
「ご帰還の報を聞き、駆けつけました。“帰還世界の追放者”様。」
ナウジェン伯爵は深く頭を垂れて言った。リードを前にした態度は、崇拝と敬意に満ちていた。しかしリードは、彼の言葉など聞こえていないかのように、本を手に取って眺めているだけだった。
「お疲れさまでした。現世ではない場所へ行ってこられたのですか?」
「そうだ。」
「ところで、ビンチェスター王国の話はお聞きになりましたか? なかなか面白い出来事がありまして。いやはや、聖剣の主が、はるか昔に行方不明になった第二王子だったそうですよ。ははは! まったく笑えてしまいますよね?」
「……」
もちろん、リードは笑わなかった。場を和ませようとした試みはむしろ逆効果だった。
「申し訳ありません。」
「構わん。」
気のせいだろうか。ナウジェン伯爵は、リードの足元に落ちた影が自分を見つめているような不気味な感覚を覚え、本能的な恐怖に襲われた。リードは面倒そうに影を収め、その圧迫感を解いてやった。
冷や汗を拭うナウジェン伯爵を見ながら、リードが口を開く。
「アイレット・ロデラインは最近何をしている?」
「アイレット・ロデライン……? ああ、神聖教のことですね。最近、フェロサに神聖教の開拓教会が完成したそうです。近いうちに創立式が行われる予定だとか。」
「そうか。」
リードはそれ以上の関心を示さなかった。すると、今度はナウジェン伯爵のほうから尋ねた。
「キメラ研究家を始末する件は、いかがいたしましょうか?」
「……ああ、そういえばアイレット・ロデラインの地下倉庫に“ゴミ”があったな。」
リードはしばし考え込んだ。以前、彼が国境地帯で引き起こしたヘルカイオン事件。その結果として発見された魔力石の露天鉱山。本来であれば、その鉱物資源を巡って隣接する二国の対立は武力衝突へ発展するはずだった。だが、現在の状況を見る限り、アイレットはそれを交渉によって食い止めようとしている。
現在の情勢を見るに、ラグネイフ魔導共和国は、キメラ研究家の身柄を引き渡す代わりに、魔力石露天鉱山の権利を放棄する可能性が高かった。すでにビンチェスター王国とエルペハイム教国の対立を煽ろうとした計画は失敗している。これ以上、教国と共和国の戦争まで引き起こすことはできなかった。
リードは喉を鳴らして低く笑った。
『私の計画をずいぶんと邪魔してくれたな、アイレット・ロデライン。』
リードは彼女をどう追い詰めるか考えながら、瞳の奥に妖しい光を宿した。
「下がれ。」
「え? あ、はい。」
ナウジェン伯爵は引き下がった。リードは、巨大なプラネタリウムのような空間に一人残り、天井を見上げた。頭上には星々が降り注ぐように輝いていた。
私とテリーは、母と父の新婚旅行先から戻ってから二日ほど休養を取った。王国で起きた出来事の顛末について、枢機卿会へ報告する必要があったからだ。だが、テリーをそのまま聖皇庁へ連れて行けば、身分を利用しようと画策する人間たちに捕まるのは目に見えていた。
だから私は先に公王城へ向かった。テリーを祖父の保護下に置くためだ。
祖父はテリーの姿を見るや否や目を潤ませ、大平原のように広い胸で彼をぎゅっと抱きしめた。
「大変だったな、孫婿よ。どれほど苦労したことか。」
「大丈夫です……」
「何を言う! 無理に平気なふりをする必要はない。」
「……はい。」
その後、私は一人で聖皇庁へ向かった。
枢機卿会は、テリーが欠席したことで予想通りの不満を口にしたが、私が一言「この機会に、テリーが還俗する姿をご覧になりたいのですか?」と発すると、ようやく静かになった。
何時間にもわたる報告を終えて会議室を出ると、廊下で久しぶりに聖殿騎士団長クロビスと出会った。彼はテリーの代父であるベザリウス・アルジェント枢機卿の親族で、血のつながりはないものの、テリーとは幼い頃から兄弟同然に育ってきた間柄である。
「話は聞きました。テリーが……レミニク王子だったと。」
「はい。」
「血のつながった家族を見つけられたのですから、彼にとって本当に良かったことです。」
クロビスは複雑そうにため息をつき、それ以上は何も言わなかった。聖皇庁が孤児出身の聖職者を軽んじてきた以上、テリーを養子として迎えたアルジェント家が彼を放置してきた責任を完全に免れるのは難しい。私の心の天秤は、どうしてもテリーの側へ大きく傾いてしまう。
〈いる時にもっと大事にすればよかったのにね。〉
アグネスの意見に全面的に同意しながら、私はクロビスへ釘を刺した。
「テリーが養子としてアルジェント家から受け取ったものは、その身分だけです。ですから今さら彼に対して何らかの権利を主張するようなことは、控えていただきたいのです。」
/「承知しました。もし養父がそのような考えを示したなら、私が止めます。どうかご心配なさらないでください。」
「ありがとうございます。」
予想外の感謝を伝え、私は彼と別れようとした。
「殿下、少々お待ちください。私がこれから枢機卿会に報告しようとしている内容をご存じですか? 聖女を見つけたのです。まだ断定はできませんが……名はムリエル・フェリジェと申します。」
やはり見つかったのか。その名は原作に登場した聖女と同じだった。まだ同名の別人という可能性もあるため、私はクロビスの前では特に反応を見せなかった。
〈聖女って、あの時テリーが言っていた相手のこと? 必死に恋をして、三度も振られたっていう……。うーん、やめておこう。なんだか目が据わってきた。〉
アグネスの助言に従い、私は目の険しさを消して冷静に考えた。
『登場が早すぎる気がするけれど……』
[『天機漏洩監察官』が、「原作を考えなしに壊した結果ではありませんか」と皮肉を言います。]
私が必死に生き延びようとしてきた結果が原作崩壊だと言うのだろうか。
[『天機漏洩監察官』が、胸をぽんぽんと叩きます。]
[『世界を構築する精霊』が、「あなたは“運命を壊す才能”にかけては本当に天才ですね」と拍手しながら称賛します。]
[『創造経済管理者』が、あまりにも早い展開に頭を抱えます。]
[『魂を裁く天秤』が、「近いうちに大きな変化が起きるかもしれない」と言い、慌てて警戒態勢を整えようとしています。]
私は思わず尋ねた。
「そんなに急いで知らせるほどのことなんですか?」
「殿下、神は、一人の子を特別に愛しておられるのです。同じ時代に聖女が二人現れた例は、歴史上ありません。少々不安になりまして……事前にお伝えしておいた方がよいと思ったのです。」
クロビスは周囲の視線を気にするように軽く腰を折った。
「それでは失礼いたします、殿下。」
「また今度お話ししましょう。」
そうして聖皇庁での用事を終えた私は、エフェール、ヘスティオ、アッシュら銀彩騎士団の団員たちを引き連れて、そのまま公王城へ向かった。
公王城の応接室に着くと、祖父とテリー、ヒルデだけでなく、もう一人の来客が待っていた。黒髪をきちんとまとめた、知的な雰囲気の若い貴族令嬢。私の友人――ビアンカ・ギルテだった。
応接室で席に着いていた彼女は、銀彩騎士団とテリーへ向かって丁寧に挨拶した。
「ギルテ伯爵家のビアンカ・ギルテと申します。今後、騎士団の事務・行政面の補佐を務めさせていただきます。」
「おお、ギルテ令嬢! 我らが団長殿のご友人ですね。どうぞよろしくお願いいたします!」
「質問があります。今後のお給料もギルテ令嬢が出してくださるのですか?」
「私を雇い主と呼んでも構いませんよ?」
エフェールたちがすかさず親しげに話しかける中、ビアンカはテリーへと視線を向けた。じっと見据えるようなその眼差しには、人を緊張させる鋭さがある。テリーもまた、真面目な表情でビアンカを見つめ返した。
「私は王国の臣下でもあります。これからご一緒する間、第二王子殿下を誠心誠意お支えいたします。」
「そうしていただかなくても構いません。それと……その呼び方は落ち着きません。どうか“テリー卿”とお呼びください。」
「承知いたしました、テリー卿。」
ビアンカはあっさりと受け入れた。
私はテリーに向かって言った。
「そんなに気負わなくて大丈夫よ。きっとセレスティードお姉様が、ビアンカにあなたのことを頼んだんだと思う。あなたのことが弟みたいで可愛いって言ってたもの。」
「……そうか。勘違いしていたようだ。」
耳まで赤くなっているテリーを見ていると、わざわざ突っ込むのも野暮に思えた。私は次に祖父へ視線を向けた。
「お祖父様。もし王家から、テリーを保護するためとかいう名目で公王城へ人を寄こしても……分かっていますよね?」
「当然だとも! このわしの公王城に、招かれざる客など一歩たりとも入れさせはせん。安心しなさい。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
私は深く頭を下げ、それから祖父を含む皆に向かって言った。
「それでは、ビアンカと話したいことがあるので、先に失礼してもいいですか?」
ビアンカが来てくれた以上、そろそろ騎士団の事務仕事を引き継がなければならなかった。これから始める新しい事業についても相談したかった。私がビアンカに視線を送ると、さすが長年の親友だけあって、言葉にしなくても察したように頷いた。
[『万象の混沌を監視する瞳』が、二人で徹夜しながら仕事をすることになる未来を期待しています。]
徹夜するほどの長い時間ではない。帳簿を整理し、今後の事業計画を立てるだけだ。するとビアンカが、思い出したように話を付け加えた。
「私も話したいことがあるの。ギルテ伯爵領に積み上がっている、あなたの資産の件よ。」
「それは楽しみな話ね。さあ、行きましょう!」
その時、祖父が私を呼び止めた。
「待ちなさい、可愛い孫よ。お前の教会が完成したことは知っているか?」
「あっ、教会ですか! もちろんです!」
私は即座にうなずいた。第3段階の教主クエスト完了通知が出た時は、本当に嬉しかったのだ。引き継ぎが終わったら、すぐにでも教会へ行って確認するつもりだった。
[クエスト]『聖教の教主 第3段階』が完了しました。
[システム]該当地域へ移動後、クエスト完了報酬を受け取ることができます。
ここでは報酬を受け取れない。報酬を受け取るには教会へ行かなければならないのだ。
[『世界を構築する精霊』が、今回の報酬には特別に力を入れたと胸を張ります。]
[『均衡を司る独裁者』が、報酬の内容を確認して「かなりの大当たりだ」と真剣な表情で語ります。]
[『天機漏洩監察官』が、「前回のバグ修正のお詫びとして渡すと言って苦労して用意したものだろう」と疑っています。]
[『世界を構築する精霊』が、「報酬を配る予定だった項目がなくなったので、今回こっそり追加しただけです」と弁明します。]
神々の会話から、バランス担当である『均衡を司る独裁者』が認めるほど、今回の報酬は相当豪華なものらしいということが分かった。精度を保ちながらも、我らが精霊様はどんな手段を使ってでも信徒に良いものを与えようとしているということだ。
『これぞ神の真の愛! 我らが精霊様、最高だ!』
[『世界を構築する精霊』が、あなたをとても特別に見守っています。]
[『魂を裁く天秤』が呆れたような視線を向けます。]
その時、周囲から拍手が沸き起こった。
「おお、早いな! 神聖卿閣下、おめでとう!」
「教会の完成、おめでとうございます、閣下!」
/「本当におめでとう、アイレット。」
「おめでとうございます、閣下。」
プリンツやレオナルド、カトレア、アロンジェイク、レイウィンたちの顔が頭をよぎる中、ここに応接室にいた銀彩騎士団の面々だけでなく、ビアンカやヒルデ、割って入る心の中のアグネスまでが心から祝福してくれた。
祖父が満足そうに笑いながら、別の提案を口にした。
「では今度は、教会の創立式を開かねばならんな! 新しい教会を建てたのだから、周囲に広く知らせるためにも創立式を開くべきではないか?」
『本当に必要なんですか?』と言いたくなるほど大がかりな話だが、システム(精霊様)も大きな期待に目を輝かせているのが伝ってくる。
私は即座に拳を握りしめた。
「前からずっとやってみたかったんです!」
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