悪役なのに愛されすぎています

悪役なのに愛されすぎています【135話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【悪役なのに愛されすぎています】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

135話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 望む場所へ

「ごめん……」

彼女を見つけて馬から飛び降りたクロードが、最初に口にしたのは謝罪の言葉だった。

「……坊ちゃま?」

メロディが驚いて彼を見上げた瞬間、クロードの体が一瞬ふらついた。

メロディは慌てて彼の腕を掴んだ。

彼女に抱きかかえられるような姿勢になったまま、クロードは低い声で息を吐きながらもう一度謝った。

「ごめん……。……探さないでってお願いしたのを、忘れたわけじゃありません。」

「いったいどれだけ無茶して来たんですか?」

彼女の問いかけに、クロードは視線を伏せた。

馬を乗り換えるために村へ立ち寄った時を除けば、彼はただ、走り続けていた。

馬上で眠り落ちそうになるほどに。

「……わかりません。日付なんて、数えていませんでした……」

その顔を見た瞬間、メロディの息が詰まった。

「……何か、あったのですか?」

「あなたの力が、必要です。焦る必要はありませんが……」

「そ、そんな、すぐにと言われても……」

メロディは困惑しながら、そっと視線を逸らした。

そして一歩、後ずさる。

「ここには、すでに神聖術を扱える方々が――」

「メロディ嬢。」

クロードが再び距離を詰め、勢いよくその腕を掴んだ。

「オーガストがいても、足りないのです。」

「……え?ロレッタが回復していないって、どういうことですか!?」

メロディは目を大きく見開き、ゆっくりとまばたきした。

ロレッタが回復していないというその言葉は、まるで彼女がすでに覚悟を決めたという意味のように聞こえた。

でも、そんなはずがない。

彼女はまだ十数歳の少女だ。

そんなこと、起きるはずがない。

メロディはクロードが何かを隠していると確信した。

「メロディ、頼む……」

クロードは彼女の両腕をつかみ、必死に訴えた。

メロディは平静を取り戻し、冷静に答えた。

「先生や村の人たちにきちんとお別れを言ってください。何も言わずに去るなんて、そんな失礼なことできませんよ。意味、分かりますよね?」

クロードは一瞬、言葉を失った。

メロディに説明しなければならないことが、あまりにも多すぎた。

ロレッタが、通常のフィシスとは比べものにならないほどの魔力に侵されていること。

そして、その影響で彼女の体が徐々に蝕まれていることも――。

クロードは、メロディの腕を掴んだまま話し始めようとした。

だが、そのとき。

メロディの背後に別の人影が見えた。

視線を上げると、そこにはワイリー・ニルが立っていた。

肩を落とし、花束を手にしたまま。

「ニ、ニル……?」

メロディはその存在に気づくと、驚きのあまり声を上ずらせた。

「べ、別に誤解しないでください。この方は――」

彼女が慌てて弁明しようとした瞬間、ニルの方が先に口を開いた。

「……行ってください。」

「え……?」

「その人がそんな状態で、わざわざここまで来たということは、きっと本当に危険なんでしょう。」

「でも!」

「先生や村の人たちには、私がちゃんと伝えておきます。だからメイさんは……」

彼は床を見つめていた視線をようやく上げた。

「毎日新聞ばかり読んで、過去を懐かしむのはやめて、望む場所へ行ってください。」

 



 

クロードがメロディを迎えに出て行ったあと、公爵とロニは休む間もない時間を過ごしていた。

ロレッタはそのほとんどを意識のない状態で過ごした。

彼女の身体で起きている変化を耐えきれず、途中で意識を失ってしまうこともあった。

幸いだったのは、そんな極限状態でも魔力の暴走が起こらなかったことだ。

「手遅れになる前に決断を下さねばなりません、父上。」

一時的に意識を取り戻したロレッタが、魔法陣の中で苦しみもがくたびに、ジェレミアは公爵とロニーに決断を迫っていた。

「……わかっている。」

公爵は重々しくうなずいたが、それでも結論を出せなかった。

選択肢は二つ。

――このまま魔法陣の中でロレッタの体が蝕まれていくのを見守るか。

――あるいは魔法陣を解除し、彼女を蝕む魔力を一気に外界へ放出させるか。

もし前者を選べば、ロレッタは確実に死ぬ。

何もできず、衰弱していく娘を見守るだけになるのは、あまりにも残酷だった。

だが、後者の方法が“救い”をもたらす保証もなかった。

それはより多くの人々を巻き込み、さらなる悲劇を生む危険をはらんでいたのだ。

「……おそらく分かっていると思うが。」

彼が考え込む時間が長引いたため、ジェレミーが先に口を開いた。

「ロレッタは、このまま放っておくわけにはいきません。」

ロニが何かを言い返そうと口を開きかけたが、ジェレミーのほうが先に続けた。

「いずれにせよ良い結末にはならないでしょう。ならば、被害を最小限に抑えるのが賢明です。」

「被害を最小限にだって?!」

ロニが勢いよく詰め寄り、ジェレミーの襟元をつかんだ。

「結局、ロレッタを殺そうって言いたいのか!」

「ええ、端的に言えばそういうことになりますね。」

「お前、正気か?!」

ジェレミーはずれた眼鏡を直しながら落ち着いた声で答えた。

「少なくとも兄さんよりは正気ですよ。間違いなく。」

「ロニー!」

ロニーの声がさらに強まった瞬間、公爵がその肩を掴んだ。

「もうやめなさい。」

「ですが、父上!」

「少し頭を冷やしてきなさい。ロニー・ボルドウィン。」

涙をこらえながら震えていたロニーは、ついに唇を噛みしめて部屋を飛び出した。

「ジェレミア。お前も少し休め。ロレッタはしばらく目を覚まさないだろう。」

公爵がそう促したが、ジェレミアは首を振った。

「いえ、とても休めません。目を覚ますタイミングが不規則なのです。」

そう言ってジェレミアは、床で眠っていたエバンをそっと抱き上げ、ソファの上に寝かせた。

「せめて、エバンが眠っている間だけでも、私が起きて見張っておきます。ロレッタの意識が戻り、魔力が溢れ出した瞬間に、すぐ魔法陣を発動させなければなりません。」

「そうしたらロレッタはまた……」

「苦しむでしょうね。」

暴走する力を無理やり抑え込むたびに、彼女の身体は少しずつ壊れていった。

この頃になるとジェレミーは、妹を守るために作ったはずの魔法陣が、かえって彼女を死へと追いやっているのではないかと思い始めていた。

「おそらくロレッタは、あと数回は耐えられないでしょう。」

公爵は血に染まった人形のように横たわるロレッタを見つめた。

(……元気だったのに)

彼は、ロレッタがフィシスかどうかも分からないという話を聞いた瞬間から、ずっと考えてきたことがあった。

ロレッタだけは、自分の妻のような苦しみを味わうことはないと——。

『……だが、あの子をもっと苦しませてしまった。』

彼はジェレミアから、この事態の原因をすべて聞かされていた。

直接的な原因は、エバンがいじっていた魔力石を常に手元に置いていたことだという。

だが、公爵はそれが決定的な要因とは思っていなかった。

『私がもっと丁寧に説明して、塔への出入りを禁じていれば……。むしろ、あの子の好奇心を刺激するとは考えもしなかった。』

彼は拳を握りしめ、悔しさに耐えた。

過去の自分の行いに対する後悔が、胸の奥からこみ上げてくる。

『もし私がロレッタに、もう少しだけ気を配っていたなら……。』

この事態の責任は、全て後見人である自分にある。

もう一度でも、彼女を抱きしめてやっていたら。

もう一度でも、その手を取ってやっていたら。

――状況は変わっていたかもしれない。

「……それは、父上のせいではありません。」

彼の心情を察したのか、ジェレミーは慰めるように声をかけた。

「これは全部、私の未熟さのせいです。」

「ジェレミー。」

「もし私が、ロレッタの内に秘めた力をもっと吸収できていたら、ここまでの事態にはならなかったはずです。それに……」

ジェレミーは眠るエヴァンを振り返った。

弟子が事態を悪化させたのだから、魔塔の規則に従えば、その弟子がすべての責任を負うことになるのは明白だった。

「……エヴァンのことについてもお詫びします、公爵。」

「いや。」

公爵は首を振った。

エヴァンは、どうにかして彼女の支えになろうと懸命に努力しただけだ。

「だが、最終的な決断は父であるあなたに委ねられるでしょう。この子の保護者なのですから。」

公爵は静かに結論を下した。

「ロレッタは、メロディを待つと言っていた。」

「それは……どういう意味でしょうか?」

「このままにしておくということだ。たとえメロディの到着が遅れて、そのときロレッタがもう目を覚まさなかったとしても――この子はここで彼女を待ちたいと、そう言ったのだ。」

ジェレミアは小さく唇を噛んだ。

「……きっとロレッタも、それを望むと思います。」

「だが、お前は心配なのだろう?」

「えっ……どういう意味ですか?」

公爵が穏やかに視線を向けると、ジェレミアは無意識に自分の膝の上で指先をいじり、視線を逸らした。

「い、いえ。私は……何も。」

「お前は、魔法陣を発動させるたびに罪悪感を感じているな。……もう一度言うが、これは君のせいじゃない。君の魔法には何の罪もない。」

ジェレミーは自分を責め続けてはいたが、内心ではすでに結論を出していた。

ここでロレッタが死ぬことになれば、それはすべて自分の未熟な魔法のせいだと。

「ジェレミー。」

公爵が再び彼の名を呼んだそのとき、魔法陣の上に横たわっていたロレッタの意識がわずかに戻りはじめ、周囲の家具が微かに震えた。

ジェレミーはローブを翻し、すぐに魔法陣の上で両手を高く掲げた。

翡翠色の光がロレッタの身体を包み込み、ほとんど間を置かずに、ロレッタは胸を押さえながら苦しげなうめき声を漏らした。

それからさらに数日が過ぎた。

泣き疲れて眠りについたロレッタは、そのまま深い眠りに落ち、丸一日以上目を覚ますことはなかった。

その苦しげな寝顔を見守りながら、公爵とロニーもついに限界を迎え、うたた寝に落ちていた。

今、起きているのはジェレミアとエバンだけだった。

「……師匠。」

魔法陣のそばでうずくまっていたエバンが、長い沈黙を破って小さく口を開いた。

ジェレミアは床に座ったまま、ロレッタの容体を記した記録帳をめくりながら答える。

「もう少し休みなさい。ロレッタもしばらくはこのままだろう。」

「いえ、そうじゃなくて……その……」

エバンは膝をつき、頭を深く垂れた。

ローブのフードがその顔を完全に覆い隠す。

「ぼ、僕を……叱らないんですか?」

「叱るのは……事が終わってからだ。」

「事が終わる」という言葉の意味を理解したエヴァンは、顔をこわばらせながらロレッタを一瞥した。

「……だめです。」

「嫌なら……」

エヴァンはペンを置き、眼鏡を外してしばらく眉間を強く押さえた。

その仕草からは、かなり疲弊している様子が見て取れた。

「君には、実験体を大切にするよう教えたはずだけど?」

「じ、実験体ですって!?私はお嬢様に対して実験をしたわけでは……!」

「エヴァン。」

ジェレミーが再び眼鏡をかけ、冷ややかな視線を向けると、エヴァンの肩はわずかに震えた。

「……申し訳ありません。」

本人は実験のつもりではなかったが、実際に自分がしたことを思い返してみると、そう言い訳できる状況ではなかった。

理由もなく彼女の体に魔力を無理やり流し込み、検証もされていない魔力石まで渡していたなんて……。

いや、いっそ実験対象として徹底的にロレッタを扱っていれば、こんな事態にはならなかっただろう。

少なくとも実験であれば、魔力を注入した後の彼女の状態を細かく観察し、異常を察知することもできたはずだ。

『お嬢様に流した魔力が異様なほど早く消えたとき、もっと可能性を考えるべきだったのに……』

当時の自分は、ロレッタの体に自分の魔力が宿ったという事実があまりにも嬉しくて、他のことを考えもしなかったのだ。

「誰かを自分の魔力で満たし、完全に支配したいという衝動は、どんな魔法使いにもあるものです。だからこそ、恋に落ちた魔法使いが恐ろしい事件を引き起こすこともあるんですよ。」

「そこまで……考えていたわけじゃないんです。」

「そうだろうな。だが、まったく違う気持ちだったわけでもないはずだ。」

「結局、私があの子をもっと苦しめてしまったんです。全部、私のせいです。」

「いや。」

ジェレミアは書類を片づけていたエバンのもとへ歩み寄ると、彼の顔を覆っていたフードを外した。

「君のせいじゃない。」

エバンが口を開こうとした瞬間、ジェレミアは彼の両頬をしっかりとつかんだ。

「君には好奇心や感情に従う権利がある。そして、それによって起きたすべての出来事の責任は、私が負う。君の母上が私にその役目を託したあの日から、ずっと。」

「……師匠が母上との約束のせいで、断れないのだとしたら……」

「そんなことはない。絶対に違う、エバン。もう一度言うが、今回の件が終わったら、お前を徹底的に叱るつもりだ。」

「お願いです、そんなふうにしないでください。私を苦しめないでください!」

「苦しめるという意味じゃない。お前に“実験対象”に注意を払う方法を教える、という意味だ。ただそれだけだ。お前はきっと良くなっていく。」

きっと良くなっていく……。

エバンはそんな未来を信じる余裕などなかった。

彼はロレッタの未来を完全に台無しにしてしまったのだ。

もはや彼女に「きっと」という希望を含んだ言葉をかける資格さえない。

「師匠、なぜ……私を見捨てないんですか?」

彼の問いに、ジェレミアが何かを答えようとしたその時――

「……メロ……ディ。」

ロレッタのかすかな声が聞こえた。

薄氷のようなその声には、ほんのわずかに気力が残っていた。

ジェレミアとエバンは彼女に向かって顔を見合わせた。

二人の魔法使いはその瞬間、直感的に理解したことがあった。

――今回、魔法陣を発動させれば、ロレッタはもう耐えきれないだろうということを。

いつの間にか目を覚ました公爵とロニが、ロレッタのもとへ駆け寄り始めた。

同時に、彼女の部屋が揺れ始めた。

いや、部屋だけではない。

屋敷全体のあちこちから、何かが震え、砕ける音が響き渡った。

扉の外では、見張りをしていたヒギンスの驚愕した悲鳴が聞こえた。

ロレッタの身体から始まった魔力の爆発が、今や屋敷全体に伝播し始めたのだ。

ジェレミアはすぐに魔法陣を発動させ、ロレッタを抑えなければと考えた。

先ほど自分でも言った通り、被害を最小限に抑えるのが最善の選択だからだ。

――だが……彼の魔法は、ロレッタを死に至らしめるだろう。

今回は――確実に。

彼は唇を固く噛んだ。

すでに手から放たれたエメラルド色の魔力は手首から肩へとあふれ広がっていた。

魔法陣を発動させるには十分すぎる量だった。

だが、それでも彼はまだ手を魔法陣の上に置けずにいた。

――メロディ・ヒギンス!

ジェレミアは救いを求めるように、その名を声にならない声で呼んだ。

だが……それは何の意味もないことだった。

――ドンッ!

彼がためらっているその間に、凄まじい爆発音が鳴り響いた。

同時に、部屋中の窓ガラスが粉々に砕け、破片が空気を切り裂いて舞った。

ジェレミアは、もうこれ以上時間を稼げないことを悟った。

理性が告げる選択に従わなければならない。

震える手が、ついに魔法陣の上に置かれた――。

『ごめんね、ロレッタ。』

 



 

 

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