私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに

私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに【40話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ...

 




 

40話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 無垢なる聖女の仮面を被って

「いらっしゃいませ、サミュエル家のお嬢様」

魔法商店の重厚な扉を開くと、店長が私に気づき、いち早く恭しく頭を下げた。

「お久しぶりです、店長」

「もう一年になりますね」

「ええ。今年も良い品を見せてくださいね」

ここは、現代で言えば最高級のブランドショップのような場所だ。私が来店するたびに「必ず良いものを買う」という確かな姿勢を示してきたため、店長も私の好みを熟知していた。

店長は自信に満ちた笑みを浮かべる。

「かしこまりました。すぐに特別な商品をお持ちいたします」

店内には数多くの美しい商品が並んでいるが、それらは私の目当てではない。本当に高価で質の良い一級品は、すべて奥の特別室に保管されているのだ。すでにこの店のVIPである私を、店長はいつもそのように特別扱いしてくれた。

「商品は奥から持ってきていただくとして、私は少し店内を見て回っていますね」

「さようでございますか。あちらの棚には新しく入荷した商品がいくつかございます。ご覧になるだけでもお楽しみいただけるかと」

店長が指さした一角を、私は興味深く眺めた。彼が奥へ引き下がると、私はさっそく教えられた場所へと足を向ける。

この世界に転生し、暮らすようになってから、現代には存在しない『魔法』や『神聖力』に興味を抱くのは、私にとって当然の成り行きだった。小説の文字としてしか知らなかった、現実ではあり得ない奇跡が目の前で本当に起こるのだから、不思議で仕方がない。特に、以前に折れた両脚が神聖力によって一瞬で完治した経験をしてからは、その興味はさらに強くなっていた。

一度は自分でも魔法を学ぼうと志したこともあった。しかし、残念ながら私には才能が皆無だと言われてしまったのだ。「学ぼうと考えるだけ無駄だ」とまで冷たく突き放され、私はきっぱりと諦めるしかなかった。

その代わり、私の情熱は「魔法道具のコレクション」へと向かった。

ただ好きだから集めているだけで、実際に使ったことは一度もない。なぜなら、魔法道具は尋常ではなく高価だったからだ。好奇心を満たすためだけに気軽に使い捨てられるような代物ではない。

両親からは「どうせ使わないのに、なぜそんなものを買うんだ」と呆れられたが、私にとっては珍しいものを手元に置くこと自体が至高の趣味だった。一つ、また一つとコレクションが増えていくたびに、えも言われぬ満足感に満たされる。

「おっ!」

棚の実用的なコーナーで、虫除けの魔法道具を見つけ、私は思わず声を上げた。匂いも音も光も放たずに、瞬時に効果を発揮するらしい。これがあれば、夏に蚊に刺される不快感とはおさらばだ。

魔法道具と言っても、すべてが世界を揺るがすような大げさなものばかりではない。こうした旅人や傭兵向けの、生活に根ざしたちょっとした実用道具もたくさん流通している。店内の一般棚にあるもののほとんどが、そうした実用品だった。

値段が手頃なら買おうかと説明を読み進めると、それは一回限りの使い捨て商品だと分かった。

「うーん……残念」

夏の間中、蚊に刺されないためだけに買い続けるには、いささかコストパフォーマンスが悪すぎる。

『私は賢い消費者だから、無駄遣いはしないわ』

そう自分に言い聞かせ、商品を棚に戻そうとした、その時だった。

「何がそんなに惜しいのですか?」

不意に横から声をかけられた。

近くに誰かがいることには気づいていたが、まさか話しかけられるとは思っていなかった。驚いて振り向いた私は、その場で息を呑み、動きを止めてしまった。

そこには、私と同年代ほどに見える、とてつもない美青年が穏やかな笑みを浮かべて立っていた。一瞬で言葉を失うほどの、完璧な美貌だった。

実を言うと、私は人の容姿に対する評価が少し厳しい。この私の体自体がかなり整った容姿をしているし、何より、小説の主人公である幼なじみのルチという、とびきりの美男子を間近で見慣れているからだ。さらに言えば、あのハリソンも負けず劣らずの魅力的な外見をしている。そんな二人を見慣れた私をして、彼らに匹敵するほどの美男子に会ったのは、転生して以来初めてのことだった。

まず目を引くのは、光を浴びてきらめく銀糸のような髪だ。透き通るほど白い肌とのコントラストが息を呑むほど美しく、涼しげな目元には、サファイアをそのまま埋め込んだかのような、深い青の瞳が輝いている。赤みを帯びた形の良い唇には、柔らかな微笑みが湛えられていた。

ルチが冷徹さと圧倒的な力強さを感じさせる美男子なら、この青年は優雅で、どこか触れれば溶けてしまいそうな柔らかな雰囲気をまとっている。

「すみません。急に話しかけて驚かせてしまいましたね」

「いえ、大丈夫です。少し不意を突かれただけですから。それで……何とおっしゃいましたか?」

「何がそんなに惜しいのか、お聞きしてもいいですか?」

低く笑みを含んだその声は、耳元を優しく撫でるように甘く、聴いているだけで心がとろけてしまいそうだった。彼はさらに穏やかに目を細めて微笑みかけてくる。

『わあ……こんな国宝級の美男子が、今まで一体どこに隠れていたの?』

貴族の同年代なら、私もある程度は顔を把握しているつもりだったが、彼は完全に初対面だった。しかし、貴族ではないと言い切るには、その立ち居振る舞いに気品が溢れすぎている。

『この人、一体誰かしら?』

そんな疑問を抱きながら、私は自然と彼の姿を見つめ、ようやく問いかけに答えなければならないことを思い出した。

「使い切りだから、もったいないなと思ったんです」

「いえ、一回きりではありませんよ。説明書にもある通り、魔力を補充すれば繰り返し使えます」

どうやら彼は、私が単純に勘違いをしていると思い、親切に教えてくれたらしい。けれど、彼は一つを知っていても、私の事情までは知らなかった。

「それは『魔力を使える人』のお話でしょう? 私のような者にとっては、一回使ったらそれでおしまいなんです」

かつて魔法使いから「魔法に関わること自体、考えないほうがいい」と言われた言葉が苦く脳裏をよぎる。

「なるほど、その点は盲点でした。確かに魔力を持たない方にとっては、完全な使い切りになってしまいますね」

彼の口ぶりからして、彼は自分自身で魔力を補充できる側の人間――つまり、顔だけでなく、才能にも恵まれた『天才』なのだろう。

『やっぱり天才って、こういう涼しい顔をして実在するのね』

私の周りにはなぜか天才ばかりが集まる。そのせいで、天才という生き物を見ると、少しだけ理不尽な反発心が芽生えてしまうのだ。

「この価格設定なら、魔法店側が少なくとも10回分の魔力充填を保証するサービスを付けるべきだと思います」

魔力を再充填して使う商品は他にもあるため、この店にはすでに充填サービスという仕組み自体は存在する。だから、無料サービスを付加すること自体は技術的に難しくないはずだ。もちろん、無料分を使い切った後の再充填は有料になるとしても、今の価格で10回使える保証があるなら、決して高い買い物ではないと感じる。

「分かりました。無料で魔力充填を提供するよう、店に提案してみます」

青年の思いがけない丁寧な返答に、私は目を丸くした。

「もしかして……あなた、この商品の開発者なんですか?」

「はい、そうです」

なるほど、だから棚の前で独り言を呟いていた私に興味を持ったわけだ。

『待って、開発者ということは……』

「魔法使い、なんですか?」

期待を込めて声を弾ませると、青年は穏やかに微笑んだ。

「まだ未熟ですが、はい」

すごい。魔法を習おうとして挫折して以来、本物の魔法使いに会ったのはこれが初めてだった。この世界において、魔法使いは極めて希少な存在だ。魔法の才能がある者だけがその座を許されるため、ごく少数しか存在しない。店長ほどの実力者であっても、自らを魔法使いと名乗ることさえ許されないほど、その壁は高いのだ。

「すごいですね。かっこいいです!」

『うらやましい。本当にうらやましい!』

「まだ修行中の身です。そんなに立派なものではありませんよ」

謙遜しているけれど、それでも十分に素晴らしい。私は興味を持つことすら禁じられたというのに。

『魔法を一度だけでも見せてほしいって頼んだら、迷惑かしら?』

初対面なのが、これほど悔やまれることはない。……でも、初対面なのが惜しいなら、これから関係を築いていけばいいだけのことじゃない?

「あの、すみません。実は一週間後、私の誕生日パーティーを開くんです。もしお時間があれば、来ていただけませんか?」

私は、常に持ち歩いている誕生日パーティーの招待状を取り出した。何度も招待を断られるうちに、誕生日に来てくれそうな人がいればいつでも渡せるよう、肌身離さず持ち歩くのが日課になっていたのだ。

初対面の私から突然招待状を差し出され、彼は戸惑ったように青い目を丸くした。

「僕を……招待してくださるのですか?」

「はい。ぜひ来てください」

彼は困ったように眉を下げて微笑む。

「私たち、今日初めて会ったばかりですよね?」

「人と仲良くなるって、そういうものじゃないですか」

どうせこれから友達を作るつもりだったのだ。その記念すべき友達が魔法使いだなんて、最高ではないか。

「もし……僕が悪い人だったら、どうするんですか?」

青年は苦笑しながら、冗談めかした口調で問いかけてきた。しかし、そのサファイアのような瞳の奥は、真剣に私を品定めしているようだった。

試されている。そう直感した私は、久しぶりに“あれ”を繰り出すことにした。

――ひまわりが咲き誇るような、とびきり明るい笑顔を、ぱっと顔いっぱいに浮かべる。

「あなたは悪い人ではありません」

まるで世の中の濁りや闇を何一つ知らない、純真無垢な少女のように無邪気に笑ってみせた。青年は戸惑ったように目を見開く。その意外そうな反応を見逃さず、私はさらに彼を真っ直ぐに見つめた。

さっきまで彼の唇に浮かんでいた余裕のある笑みが、ゆっくりと消えていく。

「私には分かります。あなたはそんな悪い人じゃありません」

私はさらに目を細め、いっそ聖女のように無垢に微笑んだ。すると彼は、慌てたように手で口元を覆った。動揺から消えかけた笑みを、必死に隠そうとしているようだった。

「どうして……」

思わず漏れ出たような呟きを、彼は慌てて飲み込んだ。私の揺るぎない態度に、完全にペースを乱されている。

もちろん、私が本気で彼を信じているわけがない。私はただ、彼に一つの“強烈な思い込み”を植え付けただけだ。

――あなたは悪い人じゃない。だから。

「私にひどいことなんて、しませんよね?」

そう言って、彼が私に対して悪意ある行動を取りにくくなるよう、心理的な楔を打ち込んだのだ。

彼の青い瞳が、小刻みに揺れた。きっと今、彼の無意識の中には『そうだ、この純粋な人を裏切るような悪いことはできない』という強迫観念に似た考えが芽生えているはずだ。

「だから、あなたは悪い人じゃありませんよね?」

そう思い込ませる。今の彼なら、もし私に悪いことをしようと迷う瞬間が訪れたとしても、確実に一度は踏みとどまるはずだ。

緊張で強張る彼の表情を見て、私は内心でほくそ笑みながら、さらにまばゆい笑顔を向けた。

・・・

ついに、待ちに待った私の誕生日当日がやってきた。

「お嬢様、今日はお誕生日ですが、お気持ちはいかがですか?」

「もちろん、すごく楽しみよ!」

侍女のユモは、今日はいつも以上に気合を入れて私の髪を丁寧に整えてくれた。髪を綺麗に一つにまとめ、可愛らしい花飾りのついた髪留めで結び、新調した豪奢なドレスを着せてくれる。

「今日はいつにも増してお綺麗ですよ、お嬢様」

「ありがとう、ユモ」

私の言葉に、ユモの表情にふと寂しそうな陰が差した。

「お嬢様、手を差し出してください」

彼女がこれから何をするのか察していた私は、目を輝かせながら両手を差し出した。すると、可愛らしいリボンで結ばれた小さな箱が、私の手のひらにそっと載せられた。

「お誕生日おめでとうございます。後でお祝いに参加できませんので、先にお渡しさせてくださいね」

本来なら、夕方には屋敷の使用人たちが全員集まって私の誕生日を祝ってくれることになっていた。しかし、今日は『新しいお客様』が来ることになっている。そのため、ユモを含めた使用人たちはその場に同席できなかった。私たちは家族のように親しく過ごしているけれど、貴族の屋敷としての世間の目を完全に無視するわけにはいかないからだ。

「ユモ、気を遣わせてごめんなさい。そして、本当にありがとう」

「何を謝ることがあるのですか。新しいお友達ができたら、それでこそ私も安心です」

ユモも、私に友達がいないことをずっと心配していたらしい。私は一人でも十分に人生を謳歌しているというのに、どうしてみんなそんなに私の人間関係を心配するのだろう。

「開けてもいい?」

「はい、どうぞ」

胸を高鳴らせて箱を開けると、中には小指の爪ほどの大きさの上質なアメジストをあしらったイヤリングが入っていた。宝石の美しさを引き立てるシンプルなデザインで、一目で気に入った。

「すごくきれい……! 今日、さっそくこれをつけるわね」

「そう言っていただけると、お作りした甲斐がありました」

バサッ!

少し遅れて、イヤリングの輝きに気づいた魔獣のファングムが、目をギラつかせながら飛んできた。

バタバタバタッ!

「ダメよ! これは私の誕生日プレゼントなんだから!」

私はファングムの物欲しげな視線を遮り、聞こえなかったふりをした。

見かねたユモがもう一つの箱を開けると、そこには小指の爪の半分ほどしかない、小さな小さなアメジストがあしられた金の首飾りが入っていた。

「ほら、ファングム。こうして首にかけられるように、特別に作ったんですよ」

ユモが優しくファングムの首にそれをかけてあげると、特注品だけあって驚くほどぴったりと収まった。

ピィ! ピィ!?

「私の宝石を独り占めするな」と騒いでいたファングムだったが、鏡に映る自分の姿を見た瞬間、丸い目をさらに大きく見開いた。金の鎖はふんわりとした羽毛に隠れて見えないが、胸元で揺れる紫色のアメジストがこれ以上ないほど目立っている。

ピィピィピィピィ!

ファングムは一転して大喜びし、嬉しそうにぴょんぴょんとステップを踏みながら踊り始めた。

「とても気に入ったみたいですね」

「そうね。本当に、気に入りすぎて困っちゃうくらいだわ」

「ふふ、やっぱりお嬢様にそっくりですね」

「…………」

ユモの言葉に、私は少し押し黙った。

最近、ファングムの執着ぶりを見ていると、昔の自分を思い出して苦しくなる。

実を言うと、私の過剰な物欲は、将来の資金集めのために意図的に身につけたものだった。幼かった私が元手を作る方法など、お小遣いを貯めることくらいしかなく、そのために必要以上にお金に執着している「ふり」をしていたのだ。

けれど、本当にお金が貯まるようになると、今度はその通帳の数字が嬉しくなり、お金好きな自分に酔って、以前よりも遠慮なく強欲に振る舞うようになってしまっていた。

年齢を重ね、ファングムの純粋な欲深さを客観的に傍で見ていると、ようやく昔の自分の行動がどれほど恥ずかしいものだったか、冷静に見つめ直せるようになった。

『ちょっと恥ずかしい振る舞いだったわね。これからは、もう少し欲張りすぎないように上品に生きよう……』

とにかく、ファングムが私のイヤリングを欲しがらなくなったおかげで、私は無事にアメジストのイヤリングを耳に飾ることができた。髪をすっきりとまとめていたため、紫の輝きが実によく映える。

「お嬢様、お誕生日おめでとうございます!」

「ありがとう!」

廊下へ出ると、すれ違う屋敷の使用人たちが、次々と温かいお祝いの言葉とともに小さな贈り物を手渡してくれた。手作りのクッキー、刺繍入りのハンカチ、綺麗なリボンなど、どれも私が気兼ねなく受け取れるように配慮された、心のこもったものばかりだ。

あちこちで温かい祝福を受け、胸をいっぱいに満たしながら、私は約束の時間が近づいていることに気づき、そわそわとエントランスへと向かった。

 



 

 

 

  1. 初対面の銀髪の美青年(天才魔法使い)との出会い

    魔法商店で出会った青年が、自分が諦めた「魔法使い(商品の開発者)」であると知り、主人公は誕生日パーティーの招待状を渡して縁を作ろうとする。

  2. 「純真な少女」を演じる高度な心理誘導

    青年から警戒された主人公は、あえて「あなたは悪い人じゃない」と無邪気に信じ込む演技(思い込みの植え付け)をすることで、彼が自分に害をなしにくくなるよう心理的な楔を打ち込んだ。

  3. 誕生日プレゼントと、ファングムを通した過去の自分への客観視

    誕生日に侍女のユモからアメジストのイヤリングを贈られ、同じく宝石を欲しがる魔獣ファングムの姿を通して、主人公はかつて資金集めのために「お金や物に執着していた過去の自分」の振る舞いを少し恥じる。

 

 

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