転生令嬢は治療スキルで異世界のみんなを救おうと思います

転生令嬢は治療スキルで異世界のみんなを救おうと思います【22話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「転生令嬢は治療スキルで異世界のみんなを救おうと思います」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【転生令嬢は治療スキルで異世界のみんなを救おうと思います】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「転生令嬢は治療スキルで異世界のみんなを救おうと思います」を紹介させていただきます。 ...

 




 

22話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 刻まれた紋章

しばらくして、双子がロンを連れて戻ってきた。

「連れてきたよ!」

「サナ、大丈夫か?」

あと三十分しか残っていないというのに、一体何があったのかと小一時間問い詰めたい状況だった。まったく、イアンは心配性なんだから。

「酔っ払いの誘拐犯が、くだらないことで揉めていて時間がかかったんだ」

「俺は自分の仕事をしていただけだ! それに酒場を経営しているだけで、酔っ払いだなんて……」

「誰がそんなこと信じるんだよ」

レオンはロンの言い分などまるで意に介さず、「酔っ払い」「くそジジイ」などと根拠のない悪口を並べ立てた。ロンは後ろめたいことでもあるのか、不満そうに顔をしかめながらも黙って耐えている。

(……兄に口答えする末っ子みたい)

そろそろ少女に握られた手を離してもらおう――そう思った、まさにその時だった。

ロンの大きな背中の向こうから、一人の人物がゆっくりと姿を現した。

「お前、ここで何をしている」

「え……? レナート?」

「ちゃんと覚えていたんだな」

レナートがゆっくりとこちらへ歩み寄ってくる。あまりにも不意に距離を詰められたので、私は思わず肩をすくめてしまった。

すかさず、エブリンがさっと私の前に躍り出て、彼を遮るように立ち塞がった。

レナートはエブリンをじろりと見下ろす。

「また私を邪魔するつもりか?」

「サナ様がお困りですので、少し距離を取っていただけますか?」

「口調こそ丁寧だが、その目は今にも人を刺し殺しそうだな。大した度胸だ」

「私はただ、少し距離を置いていただきたいとお願いしているだけです。以前にも同じお願いをしましたよね」

「記憶がないな」

客観的に見ても、エブリンは今にも噛みつきそうな勢いでレナートを睨みつけていた。

その一方で、私はといえば、久しぶりに見る彼の圧倒的な美形ぶりに見とれてしまっていた。

(相変わらず、その顔だけで世の中を渡っていけそう……)

もしこの世界に映像メディアがあったなら、彼はとっくに世界中の人々を魅了していたはずだ。けれど、この世界で私が見聞きした限りでは、獣人は身を隠して暮らさなければならないことが多く、人々が彼の美貌を目にする機会はほとんどない。

少し伸びていた白銀の髪は記憶よりも短く整えられており、以前は暗がりで見えなかった瞳が、今は神秘的な紫色に輝いていた。端正な顔立ちと鋭い眼差しが、冷たく皮肉めいた雰囲気を漂わせている。

よし、私。よだれを垂らさなかっただけでも十分に成長したと言えるだろう。

あれからもう四年が経った。

我が家は父も母も美男美女だし、レオンやイアン、エブリンも人並み外れた美しさだ。おかげで私の美的感覚は日々すっかり鍛え上げられていた。それに、毎日のようにレイヴンを見てきたのも大きい。レナートが白銀の髪を持つ美少年なら、レイヴンもまた黄金の髪を持つ美しい少年へと成長していたからだ。

(……なんだか私、顔だけで人を評価する変態みたいじゃない?)

気がつけば、私の周りは美男美女ばかりになっていた。もちろん、私が意識してそういう人材を集めたわけではない。家族や友人が飛び抜けた美形でなかったとしても、私はまったく気にしないつもりだ。これは本心である。

けれど、「見ていて気分がいい」と思うのはまた別の話だ。美しいものは美しいのだから仕方がない。娯楽の少ないこの世界で、現代のコンテンツにあふれた環境から来た私が退屈せずに過ごせている理由の一つは、振り向けば目の保養になる顔ぶれが揃っていることだった。

「お久しぶりです、レナート」

「さて、そんなに久しぶりだったかなと思っていたが……君を見ていると、ずいぶん時間が経ったように感じるな」

人間より遥かに寿命の長い獣人の基準では、まだそれほど時間は経っていないのかもしれない。獣人は成人すれば二百年は軽く生きると言われている。だが、大人になるまでの道のりが過酷なのだ。保護者がいれば別かもしれないが、一人で人間社会を生き抜くのは容易ではない。

「まだそんなに経っていないと思っていたのに……」

「もう四年も経ったんですよ」

人間にとっても、まして子どもにとっての四年は途方もなく長い時間だ。毎日のようにぐんぐん成長する時期なのだから。

「……大人になると、時間が過ぎるのがあっという間に感じるんだよ」

レナートは少し照れくさそうに言った。大人になると時間があっという間に過ぎ去る――その感覚なら、前世の記憶を持つ私にも痛いほどよく分かる。

「何を分かったような顔をしているんだ?」

「私だって、もう立派な大人ですよ!」

本当に大人なのだ。一度死まで経験した精神年齢を甘く見ないでほしい。

「そうか、そうか。ちゃんと話せるようになったし、敬語まで使うようになったんだな」

「タメ口でもいい?」

「もちろん構わないよ」

レナートはふっと柔らかな笑みを漏らした。

こんなことを言ったら笑われるかもしれないけれど、私は彼にどこか「親戚の叔父さん」のような安心感を覚えていた。親でも保護者でもない。けれど、いざという時には絶対に味方になってくれそうな、そんな頼もしさ。前世の叔父はまったく味方になってくれなかったけれど、彼にはそれを感じるのだ。

まだ数回しか会っていない相手にこんな印象を抱くのは、かつて私を助けてくれたからだろうか。

レナートはしばらく私をじっと見つめていたが、やがて視線を落として口を開いた。

「それで、ここで何をしているんだ? それは……」

レナートの視線が、私の手を握りしめたまま眠っている少女へ向いた。

「カナリア族か」

「えっ、そうなの?」

「貴族に人気のある獣人の一種だ。この子も捕まって、ようやく逃げ出してきたんだろう」

レナートはほかの獣人たちの事情にも詳しいようだった。ちょうどよかった。私は獣人専門の病院を開きたいと思っていたから、彼にはいろいろと教えてもらえそうだ。

「今度、カナリア族のことを知っている限り全部教えて!」

「私がいない間に、ロンがお前に失礼をしたと聞いた。だから謝りに来たんだ。それとは別に、ロンが決めたとおり灰色狼族はお前に協力する。個人的にも、お前の望みはできる限り叶えてやろう」

「ロンも手伝ってくれるとは言っていたけど、正直ちょっと不安だったの。来てくれてよかった!」

後ろでロンがぼそっと呟いた。

「悪口は本人のいないところで言うものじゃないか……」

「私はそんな卑怯なことはしない」

「面と向かって言う悪口ならいいってこと!?」

ロンの叫びに、レナート、レオン、イアン、エブリンの四人が同時に答えた。

「「「「問題ない」」」」

ロンはすっかり意気消沈して肩を落とした。

「まあ、お客様がたくさん。それに、久しぶりの顔もいるわね」

その時、お母様とマリアが部屋へ入ってきた。

お母様は部屋に入るなりレナートに気づいて声をかけ、レナートも軽く会釈を返す。

「レナート。ちょくちょく顔を出すって言っていたのに、まったく来ないものだから、死んだのかと思ったわ」

「残念ながら、まだ生きています」

「私の娘の命の恩人が死んだら困るもの。前にも言ったけれど、力になれることがあったら遠慮なく言いなさい」

お母様とレナートは面識があったのだろうか。ああ、あの日、私の両親に許可をもらってから部屋に来たと言っていたのを思い出した。

レナートは慣れた様子で一歩後ろへ下がった。一方のロンは、お母様が現れた途端に顔を真っ青にし、巨体を壁にぴったりと押しつけて縮こまっている。お母様がにこやかに笑えば笑うほど、ロンの顔色はますます青ざめていくのだった。そんなロンを、レナートは呆れた目で見つめている。

「サナ」

「お母さん、こっちを見て」

「うちの娘ったら、忙しい仕事を放り出して駆けつけた母親の顔も見ずに、いきなり本題なの?」

後ろからぎゅっと抱きしめられ、頬をすり寄せてくるお母様を見て、ロンとレナートは呆然と口を開けていた。私はもう慣れっこだったけれど、さすがに少しだけ恥ずかしい。さっき自分で「もう大きくなった」なんて言ったばかりなのだから。

「離してよ、お母さん!」

「嫌よ! キスしてくれるまで離さないんだから!」

「あとでしてあげるから」

「唇に?」

「…………」

どうしてお母様は、年々おじさんみたいになっていくのだろう……。

初めて会った頃のお母様は、清楚で可憐で上品そのものだったのに。日が経つにつれて私の前ではすっかり気さくなおじさんのような話し方になってしまったのだ。

一度、お父様に真面目に相談したことがある。

すると、お父様から返ってきた答えはこうだった。

『うちの娘があまりにもそっけないからじゃないかな?』

……実はお父様も、少し寂しかったらしい。

けれど、よちよち歩きだった三歳くらいならともかく、流暢に話せるようになってからは、親が望むような幼い子どもらしさなんて、とても演じきれなかったのだ。いや、私なりに努力はしているつもりなのだが。意識して「愛してます」と言ったり、キスをしたり、普段も少し甘えた口調を心がけてはいるのだから。

「寝る前にキスを十回してもらわなくちゃ……」

駄々をこねていたお母様の声が、次第に真剣なトーンへと変わった。

「これは……魔族の紋章ね」

「えっ!?」

「ここで弱みを握れるとは思わなかったわ」

お母様はいたずらっぽく歯を見せて、にやりと笑った。正直、めちゃくちゃ格好よかった。

「シャナ、これを消せそう?」

「やってみれば、できると思います」

「さすが私の娘ね」

お母様は小さな声で付け加えた。

「皇后陛下の呪いを解いたのも、やっぱり偶然じゃなかったということね」

(……えっ、昔、皇后陛下って呪いにかかっていたの!?)

「この子が、あなたの最初の患者さんになるのね」

「はい」

「大切な娘の記念すべき最初の患者さんだもの。お母さんも全力で力を貸すわ。……やるべきことがあるわね。マリア、それからレナート」

指名されたレナートとマリアが、一歩前に出た。

「レナート。久しぶりだけど、いきなり頼みがあるの。この子がどこで、誰に売られたのか、その経緯を調べてくれない? 報酬はたっぷり用意するわ」

「アナイス様、私一人でも調査できます」

マリアが遠慮がちに言うと、お母様は優しく首を振った。

「マリアはサナのそばについていてあげて。それがあなたの役目でしょう?」

「ですが……」

「この件は、お前より私の責任だ」

久しぶりに会ったレナートは、相変わらず余計な一言を付け加える癖があるようだった。マリアが今にも殺しそうな目で睨みつけているのに、本人はどこ吹く風で取り合わない。

「それじゃあ、シャナ。この子を治療してあげて」

「はい!」

お待たせしました!

ベッドの少女は、最初に見たときよりもずっと落ち着いた様子だった。顔色も良くなり、呼吸も穏やかになっている。入院患者のための食堂も準備しなきゃな、なんて頭の隅で考えながら、私は広げていた痣を再び吸収していった。

ゴクゴクと音を立てるかのように、治癒魔法が体内の「穴」へ吸い込まれ、円形の紋章はみるみる薄くなっていく。

「もう少しで消えそう!」

治癒魔法が吸収される感覚は、以前、皇后陛下を治療したときとよく似ていた。その時になってようやく、当時の皇后陛下にも呪いがかけられていたのだと察した。

(どこがどう悪いのか目で見えないから、こういう魔法の不便なところよね……)

とはいえ、治せるのだから大きな問題ではない。

ほぼ消えかけた紋章の上に、私はそっと指を伸ばした。刻まれた文字の輪郭を、指先でそっとなぞる。もちろんシールや刺青ではないので、擦ったくらいで消えるとは思っていなかったが――。

その時だった。

『……見つけた』

指先がぴりっと激しい熱を帯び、頭の中に聞き覚えのない男の低い声がかすかに響いた。

驚いて顔を上げると、眩い光の中から巨大な手が現れ、私に向かって一直線に伸びてきたのだ。

「えっ!?」

あまりの恐怖とショックに、体が金縛りに遭ったように動かない。

幸いにも、その手は私に触れる直前で霧のように消え去った。だが同時に――指先が触れていた部分から、ぷつん、と重要な何かが断ち切れるような感触が伝わってきた。

「……あ」

私は呆然と、自分の指先を見つめた。

「……失敗した……」

少女の足首に刻まれた紋章は真っ二つに割れたものの、完全には消滅せず、無残にその場に残ってしまっていた。

「サナ様、大丈夫ですか!?」

「うん、エブリン。私は大丈夫……何ともないよ」

転生して以来、初めて味わう治療の「失敗」だった。

けれど、今の攻撃はあきらかに妨害された結果だ。魔族か何か知らないけれど、私の記念すべき最初の患者の治療を邪魔したというの?

(少し力があるからって調子に乗って、見せしめみたいな警告でもしてるつもり? この子をこんな目に遭わせておいて……! それとも『お前を見つけた』なんて脅して、私を怖がらせようとしたわけ?)

私は元来、かなりの負けず嫌いだった。

二十歳そこそこで、一人で幼い妹を育て上げるなんて、並大抵の根性と負けん気がなければできることではない。前世では、今のように頼れる味方がたくさんいたわけではなかった。だからこそ、自分の力だけで歯を食いしばって踏ん張るしかなかったのだ。今は周りのみんなが甘やかしてくれるので、それはそれでとても嬉しいけれど。

平穏に暮らすのが一番だと思って生きてきた。人生の目標は、怠けてのんびり暮らすこと。一生懸命生きているように見えて、実はそこまで必死にならない人生を送ろうと決めていたはずなのに。

(……向こうから買ってきた喧嘩なら、買って立つしかないじゃない)

売られた喧嘩を逃げるつもりはサラサラない。

「大丈夫、大丈夫だから……」

不安そうに顔を覗き込んでくるエブリンに、私は優しく微笑みかけてみせた。

だが、その笑顔を見たロンが、さっと顔色を変えて怯え出す。

「親が親なら、子も子だな……」

……それ、絶対に褒めてないでしょ。

 



 

  • 仲間たちの再会と協力関係の確認

    4年ぶりに再会したレナート(白銀の髪の獣人)から患者が「カナリア族」だと判明し、母アナイスの指示でマリアとレナートが少女の生い立ちや売買経緯の調査に動き出します。

  • 魔族の紋章と治療への妨害

    少女に刻まれた「魔族の紋章」の治療を試みる主人公(サナ)ですが、何者か(魔族)の謎の声と手による妨害を受け、転生後初めて治療に失敗し、紋章の一部を残してしまいます。

  • サナの決意と負けん気

    見せしめのような警告と妨害に怒りを覚えたサナは、持ち前の負けず嫌いな性格に火がつき、売りつけられた喧嘩を受けて立つことを静かに決意します。

 

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