こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は87話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
87話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家族
「お誕生日おめでとう。そう言いたかったのです」
いつの間にか時刻は午前0時を過ぎていた。
今日はアビゲールの誕生日。
「おめでとう」という言葉に大きな意義がないことを知っているが、それでもセイブリアンはその言葉を伝えたかった。
「出来るだけ早くお祝いしたかったのです」
彼の言葉にアビゲールは妙な表情になり、そしてすぐに嬉しそうに笑う。
「ありがとうございます、殿下。誕生日パーティーは開けなくて、その・・・」
苦々しい声になりながら言葉を続ける。
「ブランシュが誕生日パーティーを楽しみにしていたのに、申し訳ありません」
「心配しないでください、アビゲール。彼女はあなたが早く治ることだけを望んでいるはずです」
実際そうだった。
ブランシュもアビゲールのお見舞いに来て、浮かない顔で戻ってきたから。
アビゲールは力なく微笑む。
そうだね、彼女ならきっと私の心配をしているだろう。
ふとブランシュが自分のことを「お母さん」と呼んでいた姿を思い出す。
「そういえば、前回ブランシュ王女のお見舞いに行った時ですが・・・」
アビゲールはゆっくりと話し始める。
ずいぶん前のことを回想するかのように。
「お姫様が私をお母さんと呼びました」
彼女はグラスを運ぶ人のように慎重に「お母さん」という言葉を発音する。
「正直に言うと、私は少し驚きました。ブランシュ王女を大事にしていますが、私があの子の母親だという考えはまだ出来ていませんでしたので」
その言葉はセイブリアンとしても少し意外だった。
いつもブランシュを可愛がっているので、当然娘のように思っていると考えていたから。
「不安だったのです。子供が病気になったことにも早く気づけなかったのに、果たして、私が母親の役割を全うできるのだろうかって」
アビゲールは少し不安そうに見えた。
ある意味無責任な言葉だろう。
しかも夫の前で言うべきことではなかったかもしれない。
けれど、セイブリアンは彼女を責めなかった。
ほんの一瞬言葉を選ぶだけ。
「アビゲール、あなたは何度も私に聞きましたよね。「ブランシュが嫌いなのか?」と」
彼は単語を一つずつ選んでいく。
「私はあの子が嫌いなわけではありません。ただ、父親としてあの子にどう接したらいいか分からないというのも事実です」
まるで生まれたばかりの動物の子供をどう扱うべきか困っているように。
「私は幼い頃、先王殿下と大妃殿下と共に育ちませんでした。別宮で教育を受け、建国祭や新年にお目にかかるのが全てでした」
王族や貴族が子供の教育を家庭教師や侍従、侍女に一任することは珍しくない。
ブランシュを別宮に行かせず、本宮に置いて育てると言った時に驚いた人もいるほどだ。
「王として生きる方法は知っていても、父としての生き方を知りませんでした。あなたが教えてくれたおかげで少しずつ学んではいますが・・・」
セイブリアンは言葉尻を濁したまま、アビゲールをじっと見つめた。
「まだ私には父親という役が不慣れと感じることがあります。その度に、あなたが仰ったことを思い出します」
「私が言った言葉ですか?」
彼女は訳が分からないかのように彼を見上げる。
セイブリアンは囁くように話した。
「私たちは家族になれると」
あの時も今日のような夜。
寒さを避けて身を寄せる鳥のように切実に手を握った夜。
アビゲールがセイブリアンに囁いた夜。
「私は夫としても、父としても何かが足りないのかもしれません。しかし家族になれるというあなたの言葉を信じています」
セイブリアンの瞳が暗闇の中で青く輝く。
彼の瞳はこんなにも優しい青だったなんて。
「アビゲール、あまり怖がらないでください。ブランシュとあなたはもう家族なのですから」
アビゲールは黙り込む。
家族という言葉の響きがあまりにも暖かくて何も言葉が出なかった。
しばらく沈黙したにもかかわらず、セイブリアンは待ってくれている。
彼女はまだ自分の手を握っている彼の手をぎゅっと握った。
「殿下もブランシュの家族です」
アビゲールは少し辛そうに話し、そして微笑んだ。
「私と殿下も家族です」
残った手でセイブリアンの手を重ねた。
「私たちは家族です」
セイブリアンは余った手でアビゲールの頭を優しく撫でる。
「あなたが治ったら、家族で誕生日を祝いましょう」
「ええ、もちろん」
「・・・病気の人の時間を奪い過ぎましたね」
彼は残念そうに話した。
席を離れなければならないが、もう少し彼女のそばにいたかった。
それはアビゲールも同じで、セイブリアンにいてほしいと思った。
「お見舞いに来てくださってありがとうございます。殿下も休みませんと」
しかし、彼女は慎重に手を引く。
「はい、それでは失礼します」
セイブリアンは心残りを飲み込んだまま席を立つ。
アビゲールが眠ろうとしているかのように目を閉じた後、彼は部屋を出た。
改めて家族になった瞬間ですね。
様々な思いをお互いに吐露したアビゲールとセイブリアン。
二人の絆もさらに深まったのではないでしょうか?
早くアビゲールの病気も治るといいですね!