憑依者の特典

憑依者の特典【124話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「憑依者の特典」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【憑依者の特典】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「憑依者の特典」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっております...

 




 

124話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 永遠の泉

私は人魚たちが身につけていた真珠のネックレスをすべて回収し、その代わりに雑貨を渡した。

これでダンジョンに来た当初の目的はすべて達成した。

振り返って一行を探した。

テシリドとアッシュは、あの遠くにあるクラーケンの死体のそばにいた。

近づくと、テシリドが待っていたかのように目で合図してきた。

「アイ、ルーティングして」

「うん、わかった」

クラーケンの死体の中から出てきた戦利品は、スキルブックとアイテムが一つずつ。

【スキル】『穢れなき闇』対象領域の光を遮断し、完全な暗黒地帯を形成する。

名前からしてエレメンタル系の魔法かと思ったが、意外にも神聖属性のスキルだった。

どういうわけか、その名に「穢れなき」と付いているのがしっくりこない気が。

「ふむ、意外と使えるかもしれない?」

私が独断で決めるのもどうかと思い、テシリドに意見を尋ねた。

「テリー、あなたが覚える?」

同じチームだから、私とテシリドのどちらが習得しても問題はなかった。

しかし、闇に対して強い抵抗感のある彼は使えないと言って首を振った。

「私はいい。私には合わない」

「うん、わかった」

遠慮せず、私が習得した。

今すぐ重要なのはスキルブックよりもアイテムのほうだった。

私の手にあったのは、茶色のラム酒の瓶だった。

中身が空のように軽い。

ただの普通のラム酒の瓶に見えたので、クラーケンが海のゴミでも飲み込んだのだろうと勘違いして、そのまま見過ごしてしまいそうだった。

実際、原作でもテシリドは同じようなミスをしていた。

もしアルコール中毒のエキストラがこのラム酒の瓶を手に入れて運命を変えた、という描写がなければ、私も気づかなかっただろう。

私はテシリドの目の前で、見せつけるようにラム酒の瓶を軽く振った。

「一杯やる、テリー?」

「遠慮しておく」

いかにも真面目な聖騎士様らしい。

「じゃあ、私一人で飲むか」

冗談めかして言い、コルク栓を抜いて中身を手のひらにトントンと叩き出した。

すると、くるくる巻かれた羊皮紙の地図と、鈍く光る鍵が出てきた。

【アイテム】『宝の地図』

神秘的な海の中には、さまざまな宝が眠っている。

潮が引き、海底が露わになった今、地上の生き物であるあなたに宝を手に入れる機会が訪れた。

この地図はあなたを「沈没した宝船」「神聖遺物の遺跡」「永遠の泉」のいずれか一か所へと導いてくれる。

【アイテム】『宝の鍵』

宝の地図で見つけた宝を手に入れるために使用する鍵。使い切りのため、どの宝に使うかは慎重に選ばなければならない。

『海の宝だ!いいね!』

[創造経済管理者]が今回は合法的な拡張パックの使用だとして承認します。

私の選択はもちろん宝船。

貧しい暮らしを抜け出すため、金貨や宝石を根こそぎ持ち帰るつもりだった。

ただし、大々的な宝探しに出る前に、片付けておくべきことがある。

私は横に出口ゲートが生成されたのを確認し、アッシュのもとへ歩み寄った。

「アッシュ」

「はい、姉さん」

「あなたは先に公爵邸に行っていて。私の名前を出せば入れてくれるはずよ」

「え?何を……あ、いや、ちょっと待って……!」

私はゲートへとアッシュの背中を押し、そのままダンジョンから追い出した。

私とテシリドだけでも十分に上級者の動きはできる。

わざわざ再三の邪魔を挟む必要はない。

それに、利益を分ける気もないのに連れ回すだけなら、いくら察しのいいアッシュでも不満を抱くのは当然だ。

最初から外しておくほうが楽だった。

そんな合理的な理由で追い出したら、周囲の反応も悪くなかった。

(ふう、これで安心してあなたに話しかけられる)

「どうせ追い出すつもりだったけど、まさかそっちから先に動くとはね」

アグネスとテシリドは、どこかすっきりしない表情をしていた。

まあ、とにかく。

そろそろちょっとした副収入を取りに行く時間だ。

私は上機嫌でアグネスとテシリドに向かって言った。

「さあ、ご注目。クラーケンの腹の中から何が出てきたか見てください、皆さん」

(何だって?)

「じゃじゃん!沈没した宝船の位置が記された宝の地図です」

(おお、本当に宝探しができるの?)

「そうです!子供の遊びじゃない、本物の宝探し!さあ、出発しましょう」

そのときだった。

ふいにテシリドが、地図を持つ私の手の上に自分の手を重ねてきた。

「アイ」

「うん?」

「別の場所に行きたいんだけど、いいかな?」

え?宝船を諦めて別の場所に行くってこと?

聞き間違い……じゃないよね。

「テリー、もう一回言ってくれる?」

「別の場所に行きたい」

「……」

私の目が大きく揺れた。

あの拒否の視線を向けたはずなのに、テシリドは自分の意思を押し通すつもりなのか、私の手から地図を取り上げた。

「ここ、永遠の泉に行きたい」

柔らかいけれどはっきりとした口調だった。

「ど、どうしても行くの?」

「うん。宝船よりも永遠の泉のほうが気になる」

「よく考えてみて。宝船だよ、宝船。山のような金貨の山と、拳ほどもあるダイヤモンド、それに高級な銀細工がぎっしり詰まってるはずだよ?」

「アイ」

「うん」

「お願い。宝船の価値と同じくらい、私の聖騎士としての給料を前借りしてくれてもいい」

それ、かなり重いよ。

聖騎士の給料ってどれだけだと思ってるの。

「……はあ」

軽く一生を差し出すようなその提案を、さすがに断ることはできなかった。

「わかった……」

[『魂を裁く天秤』は、これで主人公を買収できる絶好の機会だと歓喜している。]

アグネスが怪訝そうに尋ねた。

(永遠の泉って、何をする場所なの?)

「私にも分かりません」

原作では触れられていない場所だ。

名前から推測するに、寿命を延ばす水のようなものが湧き出る場所なのだろうと思う。

テシリドがなぜそこにこだわるのかは分からない。

すでに百年以上生きた17回目の回帰者が、寿命を延ばすことに興味があるとも思えない。

この世で最も生への執着が薄い人物を挙げるなら、それはどの回でもテシリド・アルジェントだった。

しかも、彼の自然寿命に特別な問題があるわけでもない。

彼は14回目の回帰で、オーラと神聖力の境地を高めるために決意し、生涯を修練に捧げたことがあった。

そのおかげで、自身の自然寿命は平均よりもはるかに長いということもよく理解していた。

それなのに、わざわざ寿命に執着するなんて?テシリドらしくない。

私が答えの出ない疑問に首をひねっている間に、テシリドは宝の地図を手に、人魚たちのいる方へ向かっていた。

[『魂を裁く天秤』は、人魚たちを誘惑しに行くのは明らかだから早く追いかけろと急かしている。]

「そんなわけないでしょ」

……そう言いながらも、足は自然とテシリドを追っていた。

人魚たちが突然狂って、テシリドを水中に引きずり込む可能性も否定できないのだから。

聖騎士様が攫われでもしたら、困るのは私だ。

私の監視のもとで、テシリドは人魚たちと会話を交わした。

「失礼ですが、この泉へ行きたいのですが、道をご存じですか?」

地図を見た人魚の姉妹たちが、口々に答えた。

〈ああ、ここ?もちろん知ってるわ〉

〈たまに行く場所よ。水の精霊たちと遊ぶのにいいところなの〉

〈でも海蝕洞の中にあるから、水の住人じゃないと行きづらいかも〉

〈連れていってあげようか?〉

さっきまで揉めていたクラーケンを倒してくれたおかげか、好意的な提案を受けた。

「そうしていただけると助かります」

テシリドは、わずかに微笑みまで浮かべながら丁寧に応じた。

人魚たちは泉の外へと体を伸ばし、テシリドのもとへ近づいてきた。

水に沈んだ尾びれがゆらゆらと揺れている。

(問題があるの)

(全力で泳いでも10分以上かかる場所なの)

(水中で呼吸できないといけないわ)

(仕方ないわね。人魚の加護を口づけで与えてあげる)

(こっちに来て。キスしましょう)

「また変なこと言ってる」

私が前に出ると、人魚たちはきゃあきゃあと笑いながら水中へと潜っていった。

「感電する前に出てきて。呼吸魔法をかけてあげるから」

〈ちっ、わかった〉

きちんと魔法がかかっているのを確認してから、私たちは泉の中へ潜った。

見た目よりも内側は深く、足元に広がる水の深さはかなりのものだった。

やがて人魚たちが左右につき、私とテシリドを連れて泳ぎ始めた。

水中に慣れてくると、驚くほどの速さで海底を進んでいく。

深い場所だったが、視界は失われていなかった。

自ら光を放つ青緑色の結晶が、周囲を照らしてくれていたからだ。

(夜光石の一種かな)

採って売れば……いや、やめておこう。

大きな結晶の周りにはサンゴも育っていた。

深海なのに水は温かく、光もある。

住みやすそうな環境だ。

だから人魚たちもここを気に入っているのだろう。

気づけば、私たちは長い洞窟の奥へと入り込んでいた。

暗い天然の通路を抜けると、周囲が再び開けたが、この場所はかなり明るかった。

天井を横切る大きな裂け目から光が差し込んでいる。

人魚たちは進む方向を変え、その光のほうへと泳いでいった。

やがて、水中の探索が終わった。

「ぷはっ!」

〈着いたよ。ここだよ〉

 



 

水面に顔を出すと、異様な光景が広がっていた。

海蝕洞の奥は、閉ざされた巨大な空洞へと繋がっている。

私とテシリドは泉の外に上がり、地面を踏みしめた。

洞窟のあちこちから海水が細く流れ落ちていたが、気にするほどではない。

どうせ帰りもまた潜ることになるのだから。

アグネスが言った。

(不思議な場所ね。地上じゃなくて、まだ海の中みたい)

「そうですね」

深海の真ん中に作られたこの空間には、呼吸できるだけの空気が十分に満ちていた。

それだけではない。

(草も生えてる……?あれ、アイレット、何してるの?)

「採取です」

空洞には、波打つようにしわの寄った銀緑色の葉を持つ植物が、一面に広がっていた。

魔石の光に依存して育ったと思われるそれらの植物。

実は、ただの草ではない。

人魚の涙と並び、最上級ポーションの材料として使われるウンデュラタだった。

「宝船の代わりに薬草畑か!」

私は興奮のまま、ウンデュラタを次々と引き抜いてインベントリに放り込んだ。

アグネスが尋ねた。

(貴重な薬草なの?)

「ええ。最上級ポーションの材料でもありますし、栽培も難しいんです」

(それがどうしてこんなに?)

ふと、ある考えが頭をよぎった。

下水道のように縦横無尽に泳ぎ回っている人魚たちを見回しながら、私は尋ねた。

「ねえ、人魚のお姉さんたち。この薬草って、もしかして皆さんが育ててるんですか?」

ウンデュラタの増殖方法でも教えてもらえたら、と少し期待して聞いてみたのだが――

(え?放っておいても勝手に増える雑草を、わざわざ育てる理由ある?)

どうやら、自然に群生しただけらしい。

この場所の環境が、気難しいウンデュラタの生育にぴったり合っているようだ。

ちょうどそのとき、テシリドは私の代わりに空洞の環境を調べていた。

彼は少し離れた場所の壁に手を当てている。

「アイ」

低く呼ぶ声が反響して届いた。

私はすぐに駆け寄った。

「どうしたの?」

「これを見て」

テシリドが指している壁は、まるで岩で塞がれているように見えた。

だが、細かな隙間からは水がじわじわと染み出している。

彼は躊躇なく手ですくって水を一口飲み、確かめたあと、静かに言った。

「この向こうに、永遠の泉があるみたいだ」

「おお、じゃあ今岩から流れてる水が永遠の泉の水ってこと?」

「うん」

「それなら、この水だけ飲めばいいんじゃない?わざわざ宝の鍵を使わなくても……」

「あ、鍵穴ここにある」

カチッ。

テシリドは、どこで見つけたのか岩の横にあった鍵穴に鍵を差し込み、回した。

役目を終えた鍵は、そのまま粉々に崩れてしまった。

こうして宝探しのチャンスは完全に消え去った。

私が内心で涙を飲み込んでいる間に、宝の間は開かれた。

岩が退いて現れたのは、小さな空間だった。

私たちの視線は、その中央へと集まる。

ぽた、ぽた……。

天井に突き出た鍾乳石のような魔石から、絶え間なく滴り落ちる水。

それは美しい石の装飾物の中に、なみなみと溜まっていた。

見た目は井戸というより、噴水のような形だ。

まあ、これも海の宝だというのなら、金銀財宝に劣らない価値と効果があるのだろう。

私は未練を振り切り、泉のそばへ歩み寄った。

「これが永遠の泉ってやつね」

柄杓を取り出して水をすくい、そのまま味見しようと口元へ運んだ、その瞬間――

「……」

(アイレット?)

私はすくった水をそのまま地面に捨てた。

そしてすぐにテシリドのもとへ駆け寄り、その腕を掴んだ。

「アイ?」

真っ赤な顔で戸惑う彼の体を、私はぐいっと向きを変えさせた。

そして――

「さっき飲んだの吐いて!今すぐ吐いて!」

テシリドの背中をバシバシ叩いた。

(ちょ、アイレット!?何してるのよ、あんた壊れたの!?)

「あとでくっつければいいから!」

(あんたの骨じゃないからって適当言ってるでしょ!?)

「アグネスのでもありませんよ!」

(いや、ほんとどうしたの!?ちゃんと理由説明してよ!)

私はテシリドの背中を叩き続けながら言った。

「騙されました」

歯ぎしりした。

「永遠の泉って何かって?この水、人間が絶対に飲んじゃいけない猛毒なんです。それも解毒スキルが効かないタイプの!」

(えっ!?本当なの!?)

このクソ難易度SS級の世界では、料理スキルの習得が必須だった。

そのおかげで『食材鑑定』スキルで対象を見分けられるのだ。

【その他】『永遠の泉の水』

継続的に飲み続けることで、残りの肉体寿命を3倍から5倍に延ばす効果を持つ不老長寿の水。

ただし、肉体の寿命が延びる代わりに、魂の寿命が削られるという副作用がある。

長期的に摂取した場合、以下の症状が現れる。

初期:不眠、悪夢、幻覚、錯乱、精神力の低下

中期:感情の摩耗、記憶喪失、三大能力の喪失

末期:魂の崩壊

末期を過ぎて回復の機会を逃した場合、最終的には「魂の消滅」に至る。

魂の消滅だなんて。魂の消滅だなんて!

思わず手に力がこもった。

ドンッ!

「……っ、痛い、アイ」

声に混じるかすかなうめき。

反射的に、私の手は止まった。

テシリドは苦笑しながら、なだめるように言った。

「アイ、一口飲んだくらいで大きな変化はないみたいだ」

「……」

「だから、そんなに心配しなくていいよ」

「……」

「アイ?」

私は何も答えなかった。

身動き一つしなかった。

さっき手を止めたあの瞬間から、頭の中で引っかかっていた嫌な可能性を必死に探っていたからだ。

テシリドの目をまっすぐ見つめて、口を開く。

「この水、肉体の寿命を最大5倍まで伸ばすんだって」

「うん」

「でも、その代わりに長期間飲み続けると、魂が消滅するらしい」

「……」

「もしかして、それが目的なの?」

問いかけた声は、かすかに震えていた。

そういうことだったのか?

回帰を終わらせるために?

魂を消滅させて?

いや、違う。17回目はまだそこまで壊れていない。そんなはずがない……。

「違うよ」

……やっぱり。

ほらね、そうでしょう。

この回の――私がいるこの回のテシリドなら、当然そう答えるはずだ。

気づけば、胸いっぱいに空気を詰め込んでいた。

長く、深く息を吐き出す。

予想が外れてくれてよかった。

それでも私は、最後まで気を緩めなかった。

澄んだ海のような瞳を見つめながら、私は言った。

「じゃあ、それ壊してもいい?」

「……」

このとき私は、ほんの一瞬の沈黙すら待つ余裕がなかった気がする。

「答えて!」

自分でも驚くほど大きな声が出た。

遠くで水しぶきの音が響いた。

(あ、お姉さんたち。水の魔物のオスとメスが喧嘩してるみたい)

(ひっ、あれ強いのよ。巻き込まれたら危ないわ)

(私たちは退こう!)

人魚たちは慌てて離れていき、洞窟には私とテシリドだけが残った。

静寂が、耳が痛いほどに満ちていた。

――それは、私が彼を試す時間だった。

「……ああ。」

低く落ち着いた声が、沈黙をやわらかくほどいた。

普段と変わらない、穏やかな調子だった。

「私が壊す。」

「……」

「最初から、そのつもりだった。」

テシリドは私の手を引き、迷いなく宝物庫から外へと連れ出した。

その右手に、聖剣リブラが静かに現れる。

白い刃に、青い四角の宝石がはめ込まれた美しい剣。

やがて刃は、世界で最も清らかなオーラをまとった。

ひと振り。

放たれた斬撃は、神の鎌のような光となって走る。

――轟音。

壁が一瞬で崩れ落ち、崩落した岩が宝物庫の入口を完全に塞いだ。

もう、戻れないように。

「壊そうと思えば、また壊せるんじゃないの?」

崩れた壁の表面には、まだ細く水が流れていた。

「心配いらない。」

テシリドは壁に片手を当てた。

「蒼き浄化。」

澄んだ青い炎が、壁の内部へと静かに染み込んでいく。

やがて彼は、額に汗がにじむほど神聖力を注ぎ続けた。

すると、壁を伝っていた水は次第に弱まり――やがて完全に止まった。

「水脈は断った。これで安心だ。」

「……うん。」

胸の奥に張りつめていたものが、ようやくほどけていく。

思考も、ゆっくりと落ち着きを取り戻していった。

そしてそのとき、ふと彼がさっき言っていた言葉が、遅れて引っかかった。

「さっき、ここを壊しに来たって言ってたよね。どういう意味?」

これは、私の知らないテシリドだった。

問いかけに対する彼の反応は、予想を少しも裏切らない――むしろ、らしいものだった。

「“永生の泉”に関わることは、神託を受けた聖女でも踏み込めない領域か。」

くすりと喉で笑う音。

その響きは、いつもどおり耳に心地よかった。

けれど――笑みが消えた瞬間。

彼の瞳に、わずかな影が差した。

「“永遠”って言葉、あまり好きじゃないんだ。」

「……」

「たまに、考えることがある。」

「……」

「もし、私が――神に選ばれて死ぬ側になりたいと思ったら。」

静かな声だった。

「そのとき、ただ流されるままに次の回帰へ進むのは……ただ待つしかなくなったとしたら。」

それは、本当にただの想像なのだろうか。

「誰かが私を、死ねないように縛りつけて、終わりを先延ばしにし続けるなんて――あまりにも残酷だと思うんだ。」

静かな声だった。

けれど、その言葉はやけに重く、胸の奥に沈んだ。

――それなのに。

そんな“想像”を語る人の目が、どうしてあんなにも濁っているのか。

 



 

 

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