私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに

私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに【50話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「私が主人公(ヒロイン)だと思ってたのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ...

 




 

50話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 皇子の成長

「ルチアーノ皇子。」

「……」

イザベル皇妃とルチの鋭い視線が、空中で激しくぶつかり合った。

「うっ……お二人とも、私のせいで争わないでください。」

ゼルダはさらに激しく泣き出した。ベティはイザベル皇妃の様子をうかがいながらも、興味津々といった目でその様子を見守っており、デミアンもまた、この予想外の展開を面白がっているような目で眺めていた。

(まあ、人の揉め事というのは、見ている分には面白いものだからな……)

「本当に不思議ですね。どうしてそこまで婚約を嫌がるのでしょう? 何か婚約を避けなければならない理由でもあるのですか?」

イザベル皇妃が鋭く問いかけた。

「私に婚約を避ける理由など、あるのでしょうか?」

「さあ……いろいろ考えられますよね。例えば――」

イザベル皇妃は言葉を途中で切ると、突然こちらへ視線を向けた。

(えっ?)

静かに様子を見ていた私は、その視線に思わず身を固くした。

「もしかしたら、皇子様が気になる相手でもいるのではないか、とか――」

(……それって、私とルチの関係を勘違いして言ってるの? 私たちはそんな関係じゃないって、みんな知ってるよね?)

そう言いたかったが、口には出せず曖昧に笑った。

「そういうことではないと思います。」

それまで黙っていたデミアンが突然口を開いた。皆の視線が集まると、彼は楽しそうに微笑みながら言った。

「お二人は“本当の”親友ですからね。」

ルチは呆れたような目でデミアンをにらみつけた。

「それも、この世で一番仲のいい親友でしょう?」

デミアンの笑みはさらに深まる。

「まあ、ルチアーノ皇子様とエスピン様の仲が良いのは有名ですものね。」

ベティも当然のように同意した。

「男女の垣根を越えた、本当の親友というだけではありませんか?」

実のところ、ベティは私とルチアーノの関係が進展しないことを心から望んでいる人物だった。そう言ったのはベティだったが、ルチは意味深な視線を私へ向けてきた。

(えっ、何? 私は何も言ってないけど。)

イザベル皇妃も探るような目で私を見つめる。その時、ルチが口を開いた。

「さあ。理由は私ではなく、別の側にあるのではないでしょうか。例えば……」

ルチはイザベル皇妃の言い回しを、そのまま真似した。

「別の側、とは?」

ルチの意図に気づいたイザベル皇妃の声には、苛立ちがにじんでいた。

「皇太子妃としてふさわしくない理由がある、とでも言いたいのですか。」

(!)

ルチもゼルダの身辺を調べたの?

私ですら驚いたのだから、本人はなおさらだろう。ゼルダはすすり泣きをぴたりと止め、驚きに目を見開いた。ぽろぽろ流れていた涙も、一瞬で止まった。

「な、何をおっしゃるのですか?」

イザベル皇妃は戸惑ったように言葉を失った。ルチはゆっくりとした視線で、イザベル皇妃とゼルダを交互に見つめながら言った。

「さて、それは当事者が一番よくご存じなのではありませんか?」

ルチの赤い瞳が鋭く光った。まるですべての秘密を知っているかのように。

「何のことか、私には分かりません。」

ゼルダは目を伏せ、ルチの視線を避けた。

「本当に分からないのですか?」

「皇子様、どうして私にそんなことをおっしゃるのですか?」

ゼルダは平静を装おうとしたが、かすかに震える体までは隠せなかった。

「分からないのなら、それで構いません。」

イザベル皇妃は黙り込んだ。ルチが何を知っているのか分からず、困惑しているようだった。

「これ以上お茶を楽しめる雰囲気ではなさそうですので、私はこれで失礼します。」

その場の空気を壊した張本人である私は、真っ先に立ち上がった。イザベル皇妃は、いつものようにルチの無礼を咎めることができなかった。

ルチが私を見たので、私も静かに立ち上がった。

「皇妃様、美味しいお茶をごちそうさまでした。私もこれで失礼いたします。」

「これ以上ゆっくり楽しめる雰囲気でもなさそうですし、私も失礼します。」

デミアンも続いて立ち上がった。ルチはデミアンを不機嫌そうに睨みつけたが、当のデミアンは笑みを浮かべるだけだった。

「皆さん、お帰りください。」

これ以上引き留めても仕方がないと判断したのか、イザベル皇妃は素直に了承した。「またお会いしましょう。」

私は改めて挨拶をしてから、ルチの後を追った。最後に目に入ったのは、こちらを観察するようなベティの視線、真意の読めないスティーブン皇子の眼差し、そしてどこか鋭さを帯びたゼルダの視線だった。

(私、何もしていないのに、どうしてみんなあんな目で私を見るんだろう……)

私たちはイザベル皇妃の庭園を後にし、ルチの宮殿へ向かった。しばらく無言で歩いていたルチが、ふと足を止めた。

「いつまでついてくるつもりだ?」

振り返って問いかけた相手はデミアンだった。彼はまるで最初から同行していたかのように、私たちの後ろを歩いていた。

「少しお話ししたいことがあって、ついご一緒してしまいました。」

いつものように、デミアンは穏やかな口調で答えた。

「話って何だ?」

「申し訳ありませんが、これは皇子殿下に申し上げる話ではありません。」

そう言って、デミアンは私に向かってにこりと微笑んだ。

(まさか……。)

「私にご用件ですか?」

「はい、エスピン。少しお話しできますか?」

本当に私に用があるようだ。忙しいと言って会うのを断っていたのに、一体どういう風の吹き回しだろう?

「その話ならここでしろ。」

「皇子殿下の前でお話しする内容ではありません。」

ルチの刺すような視線にも、デミアンは余裕の表情を崩さなかった。

「それを決めるのは私だ。ここで話せ。」

ルチの我慢も、そろそろ限界のようだった。

「どんな用件か、私も聞いていいですか?」

私が口を挟むと、デミアンは少し困ったような表情を浮かべた。本来なら時間を改めて話すべきことを、ルチの前で切り出すことになるからだ。でも、私にも仕方がなかった。この状況でデミアンと二人きりで行動したら、あとでルチに問い詰められるのは目に見えていた。

「急ぎのご用件ですか?」

私がもう一度尋ねると、デミアンはいつもの穏やかな笑みを浮かべた。

「急ぎではありません。以前お話しした約束の日程を決めたいと思いまして。」

「約束?」

ルチの冷たい声が割って入った。

「はい、約束です。」

わざわざルチの前でそんなことを言うなんて、挑発したいのだろうか。穏やかな笑みの裏に隠されたデミアンの腹黒さがよく分かった。

「エスピン。この作家と約束をしたのか?」

ルチの責めるような視線に、私は素直にうなずいた。

「はい。約束しました。」

「お前……!」

ルチは反射的に声を荒らげたが、すぐに口を閉ざした。言いたいことは山ほどあるのだろうが、デミアンの前では我慢するしかないという表情だった。まずはこの場を収めることを優先したのだ。

「では、明日お会いしましょうか?」

「エスピン!」

ルチが警告するように私の名を呼んだ。私はそれを無視し、デミアンだけを見つめた。デミアンはルチを一瞥すると、目を細めて穏やかな笑みを浮かべる。

「光栄です、エスピン。」

そして今度はルチへ向けて口元をわずかに吊り上げた。勝ち誇ったようなその笑みに、ルチの目には怒りの炎が宿りかけ、私は思わずひやりとした。

「約束の時間は、あとで手紙でお知らせします。それでは失礼します。」

そう言って、早く行くようにと手をひらひら振った。

デミアンは何とも言えない表情を浮かべ、ルチは私を指さしながら命じた。

「さっさと来い。」

今度は、ずっと笑みを浮かべていたデミアンの表情がわずかに揺らいだ。二人の視線が空中で激しくぶつかり合う。

(この二人、どっちも同じくらい子どもっぽいな……)

「行かないんですか?」

私が尋ねると、デミアンはようやく私へ視線を向け、再び穏やかな笑みを浮かべた。

「はい。あなたからのお手紙が届くのを静かにお待ちしています。」

そう言うと、デミアンはルチにも挨拶をして、その場を後にした。私は目を細めながら、デミアンの後ろ姿を見送る。

(本当に何を企んでいるのか分からない。)

もやもやした気持ちで見送っていると、ルチの声が響いた。

「さっきの人と、どうして会うつもりなんだ?」

「どんな用件なのか気になるから。」

「何か企んでいることくらい、分かっているんだろ。」

「そのくらい分かってるよ?」

ルチをにらみ返すと、彼は険しい口調で言った。

「会うな。」

(はぁ、この人の執着は本当にすごい……。私に対してこれなんだから、原作のヒロインにはどれだけ執着していたんだろう。まあ、作品名が『お願いだから、執着しないでください!』なんだから当然か。)

「ダメ。会って、相手が何を考えているのか確かめないと。」

「お前が確かめなくても、理由なんて分かりきっている。」

「何だって? 理由を知っているというのか? それは何だ?」

私はその言葉に驚いてルチを見た。するとルチは、本当に知らないというような表情をしていた。

(えっ、本当に知ってるの……?)

「何なの? どうして知ってるの?」

私が問い詰めると、ルチは眉をひそめた後、何か思い出したように笑った。

「なるほど、そういうことか。」

そう言って、一人で納得したようにつぶやいた。

「だから何なの?」

「知らないなら、そのまま知らなくていい。とにかく明日、あいつには会うな。私は警告したからな。」

そう言い残すと、ルチは軽い足取りで再び歩き始めた。

「ねえ、だから何なのよ!」

私は叫びながら追いかけたが、ルチは何も答えてくれなかった。

(えっ、何? 私のいないところで二人で何か話でもしたの?)

この疑問を解くためにも、またデミアンに会わなければならない気がした。そんなことを考えていると、さっきルチがゼルダとイザベル皇妃に向かって言った言葉を思い出す。

「そういえば、さっきのあなた、ちょっと格好よかったよ。」

ルチの腕を軽く叩きながらそう言うと、彼は眉をひそめた。けれど私は感動のあまり、その反応には気づかなかった。イザベル皇妃に真っ向から言い返した姿は、本当に見事だった。

(これが主人公補正ってやつなのかな?)

ルチは私には気を許しているからこそ、私の前では子どもっぽい一面を見せる。その姿が可愛らしくて、見ていて楽しかった。

それでも心配だった。いつか立派な主人公になるのだろうとは思っていたが、急にこんな一面を見せるなんて、何か隠し玉でもあったのだろうか。やっぱり主人公は主人公だ。

(もう子ども扱いするのはやめないとね。ルチを信じて、彼が自分の力で乗り越えられるよう後ろから応援しよう。)

ついに主人公としての魅力を存分に発揮し始めたのだ。

「そういえば、あなたは最初からゼルダの正体を知っていたの? 証拠もあるの?」

いつの間にそんな準備をしていたのかと感心しながら尋ねると、ルチは私をじっと見つめた。

「どうしてそんなことを聞く?」

「まだ証拠はない。」

「っ!」

そう思った瞬間、後頭部を軽く叩かれた。

「何? 証拠もないのに、あんな警告をしたってこと?」

叩くならイザベル皇妃を叩けばいいのに、なんで私の後頭部を叩くのよ! 本当なら、相手に気づかれないよう静かに証拠を集めるべき場面だった。なのに今回のルチの警告で、ゼルダはこれまで以上に慎重に行動するはずだ。当然、不正の証拠をつかむのもさらに難しくなる。

私は飛び上がるようにして問い詰めると、ルチは平然と答えた。

「じゃあ、あそこであんな話を黙って聞いていろっていうのか?」

私は頭を押さえた。つまり、腹が立ったから後頭部を叩いたってこと?

もう大人になったと思っていたのに、まだ子どもだ。感情に流されて先のことが見えていない。

(ときめきも五分と持たないんだから、本当に……)

「証拠を手に入れるまでは、当然隠しておかないと!」

私の指摘に、ルチの表情が険しくなった。でも、私だって腹が立っていた。あまりにも軽率な行動だったからだ。

(これからどうするのよ……)

ゼルダはますます身を隠すだろうし、デリアが手配していた人たちも役に立たなくなるはずだ。ルチが黙っていれば、ゼルダは「証拠はない」と判断して、再び婚約を進めようとするだろう。そうなれば、今度こそ確実に進めるため、さらに素早く動くに違いない。

「正直に言って。」

「何を?」

「あなた、婚約したいの?」

「何を言ってるんだ。」

ルチが鋭く言い返した。うん、その表情を見る限り、婚約したいわけではなさそうだ。

「じゃあ、どうしてあんなことをして、話をややこしくしたの!」

私が負けじと言い返すと、ルチはあきれたように私を見つめた。何よ、その目は!

私がにらみ返すと、ルチは小さくため息をついた。

「お前は時々、俺を子ども扱いしているように見える。」

(だって、まだ子どもじゃない……)

でも、そんなことを言ったら怒るだろう。

「いつもそうってわけじゃないよ。」

「お前は、もう少し俺を信じるべきだ。」

信じようとしていたのに、あなたは何の対策もなく口にしてしまったじゃない。喉まで込み上げた不満をぐっと飲み込んだ。子どもの頃は、相手に信じてもらえないことも傷つくものだ。ルチは自分ではもう大人になったつもりなのだろうが、まだ若いからこんな失敗をするのだ。そのくせ「子どもじゃない」と言い張るなんて。

(これが子どもじゃなくて何なのよ?)

大人な私が理解してあげよう。解決策はこれから考えればいい。

「エスピン。」

気づくと、ルチがじっと私を見つめていた。

「何?」

まだ完全には機嫌が直っていなかったせいで、少しぶっきらぼうな返事になってしまった。ルチは私に向かって手を差し出した。

(この人、最近やたらとさりげなく手をつなごうとしてくるんだけど……)

「だめ。」

「どうして?」

「外だから。」

私たちが手をつなぐことに、特別な意味はない。ただ自然にそうしているだけだ。でも、人目のある場所では話が別だった。

(さっきのイザベル皇妃の反応もそうだったし……)

外で手をつなぐのは、やめておこう。ルチは不満そうな表情を浮かべた。

(この子どもっぽい人め……)

「中に入ったら、また手をつなぐから。」

「早く行こう。」

「うん。」

足早に歩き出すと、ルチと視線が合った。

「また何?」

「エスピン、私を信じて。」

ルチは真っ直ぐな眼差しで私を見つめていた。彼が何を願っているのかは分かるけれど……。

(まだ心配なのよ……)

私は小さくため息をつき、うなずいた。ルチを励まし、支えてあげるのも私の役目だから。

(それにしても、この子はいつになったら立派な主人公らしい男になるのかな?)

先はまだ長そうだ。少し心配になってしまう私だった。

 



 

  1. デミアンとの密会約束

    お茶会を退室した直後、デミアンがエスピンに接近し、ルチの目を盗んで二人きりで会う約束を取り付ける。デミアンの不可解な行動と巧妙な駆け引きに、エスピンは警戒心を強める。

  2. ルチの軽率な告発と後頭部ペトり事件

    ルチが決定的な証拠がないままゼルダの正体や婚約拒絶を公の場で突きつけたため、エスピンは証拠集めが難航することを危惧し激怒する。言い争いの末、ルチは不満からエスピンの後頭部を軽く叩いてしまう。

  3. ルチの成長と拭えない懸念

    イザベル皇妃に真っ向から立ち向かうルチの姿にかつての子供っぽさの成長を見出す一方、エスピンはなおも感情的に突っ走る彼を危うく思い、支え続けるべきか葛藤する。

 

 

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