こんにちは、ちゃむです。
「監禁王子のメイドとして生き残る方法」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
65話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 復讐と愛の狭間で
「ロゼ・アティオスが黒魔法と関わりがあると知っていたのなら、私にも話してくださるべきでした。それなのに、話すどころか隠していらした」
リオムはアルベルトの弱点を容赦なく突いた。その通りだった。彼は、“私”だったロゼ・アティオスが死なないことを願っていたのだ。
「これで分かりました。あの日、なぜお一人で牢へ向かわれたのか。なぜ魔法使いたちを一人で尋問されたのか。探ろうとしていたのですね。魔法使いたちがロゼ・アティオスについて何か知っているのではないかと」
リアムは、アルベルトが自分にすべてを打ち明けてくれなかったことに、どこか裏切られたような気持ちを抱いているようだった。
アルベルトはリアムの言葉を否定しなかった。この話をすればリアムと衝突することも分かっていたはずだ。それでも受け止めると決めていただけだった。
「申し訳ありません。しかし私は……あの女性が生きて戻ってきたとしても、それが殿下にとって本当に幸せなことなのかは分かりません」
「お前の非難は甘んじて受けよう。だが、これは言わずにはいられない。私にとっては意味のあることなんだ」
黙っていたアルベルトが口を開いた。リアムの瞳が揺れ、彼は拳を強く握りしめて奥歯を食いしばる。静かな水面に石が投げ込まれたように、彼の感情はゆっくりと波紋を広げていった。
話を聞き終えたリオムは、アルベルトの前にひざまずいた。
「無礼を承知で、申し上げます」
リオムは顔を上げ、アルベルトを真っすぐ見つめた。その緑色の瞳は、深い森のように美しく輝いている。それは本当にアルベルトのことを思っての言葉であり、行動だった。
「陛下。私は今回こそ好機だと思います。彼女から距離を置いてください。そして、本来のご自身を取り戻してください」
リオムは切実に訴えた。
「私情が入れば、優れた君主ではいられません。私は陛下が偉大な君主となられることを願っています。欠点のない王として、その玉座で幸せに生きていただきたい。その一心で申し上げております」
黙って話を聞いていたアルベルトは、静かに立ち上がった。そしてリオムの前まで歩み寄ると、彼を見下ろしながら低い声でささやいた。
「それは、お前が望む私の幸せであって、私自身が望む幸せではない」
リアムは、まるで頭を殴られたように呆然とした表情を浮かべた。まったく予想していなかった言葉だったのだ。
「お前がどれほど私を信じ、支えてくれているかは分かっている。私はすべての者に公平な王であるために努力するし、私を信じる者たちを失望させないよう全力を尽くす。反乱が起きても揺らぐことはなかった」
それは紛れもない事実だった。アルベルトは自らの力と家臣たちの力を借りてロストラトを瞬く間に制圧し、王位に就いてからも着実に地位を固めてきた。私を愛していたからといって、そのせいで政務に大きな支障が出たことは一度もない。
「彼女が黒魔法使いであることを隠していたのは私の過ちだ。お前がどんな非難をしても、私は黙って受け入れよう。だが、私の幸せについてだけは、お前が決めつけるな」
アルベルトは、私の過去を隠していた自分の過ちを認めながらも、自らの幸せだけは誰にも決めさせないという強い意志を示した。
「私は、彼女が教えてくれたことが好きなんだ。何気ない日常がどれほど大切かを教えてくれた人だから」
その答えに驚いたのは、私も同じだった。リオムをなだめる言葉が返ってくると思っていたが、まさかこんな返事をするとは思わなかった。
塔でアルベルトと交わした会話を思い出す。あの頃、アルベルトが目指していたものは、リオムの言う理想の王に近いものだった。いや、「幸せ」というより、それは彼の人生の目標だったのだ。
私が「日々を生きる小さな幸せ」について話したとき、アルベルトはこう言っていた。
『君を幸せにするのは、案外簡単なんだな』
塔での暮らしは、ハヤンだけを変えたわけではなかった。あの生活は、アルベルトの価値観さえも変えていた。私と過ごした何気ない日々が、彼の人生に――。
あなたは私の中に入り込み、「幸せ」の意味を新しく作り変えてしまった。
大変なこともあった。苦しい時もあった。それでも、あなたと過ごした時間の中で、あなた自身も幸せだった。その時間がかけがえのないものになり、あなたと共に生きる日々を大切に思っていたのは、私だけではなかったのだと知れて嬉しかった。
「私の人生の一部になった人を、どうして手放せるというんだ」
アルベルトはリアムを見つめながら、どこか寂しげに微笑んだ。
「お前が思い描くような理想の君主にはなれなくて、すまない」
黙って話を聞いていたリアムは、少しずついつもの冷静さを取り戻していった。無表情に戻った彼が、ゆっくりと口を開く。
「……変わられましたね」
リアムの固く結ばれた唇の間から、抑えきれない感情がにじんでいた。
「私はずっと、自分が殿下を支えなければならないと思っていました。しかし、殿下はもう前へ進んでおられます……。……そうだったのですね。私は幼い頃から、そこで立ち止まったままでした」
最後にそう告げたリオムは、深く頭を下げた。
「陛下の幸せを私が勝手に決めつけようとしたこと、お許しください」
「私も、お前に一度も相談せず、自分の判断だけで物事を進めてしまったことを謝ろう」
顔を上げたリオムの前で、今度はアルベルトがひざまずいた。
「陛下、何をなさって――」
リオムは慌ててアルベルトを立たせようとしたが、アルベルトはその場を動かなかった。そして平然とした表情で言った。
「どうした。王が臣下の前でひざまずいてはいけないという法でもあるのか? 過ちを犯したなら、それを認めて償うべきなのは、誰であっても同じだろう」
アルベルトの言葉に、リアムはついに小さく笑みをこぼした。冷たい印象の顔に浮かんだその微笑みは控えめだったが、とても彼らしかった。
「殿下を支えなければならないと思い込んでいたとは……あなたもメルシーも、不思議な罪悪感に縛られていたのですね。私は一度も責めたことなどありませんよ」
その言葉は、私には少し意外だった。
「その理由だけで、私が殿下にお仕えしているわけではありません」
「分かっている。もしそれだけが理由だったなら、私もお前を受け入れてはいなかっただろう」
互いに顔を見合わせて笑う二人は、先ほどまでよりもずっと穏やかだった。思っていた以上に、二人の絆は長く深いものだったのだ。
まだ私は、アルベルトという人を知らないことがたくさんある。こんな状況ではあるけれど、それでも彼がどんな人なのかを、少しずつ知っていけることが嬉しかった。私にとってアルベルトは、もう物語の登場人物ではなく、一人の大切な人なのだから。
もし私がこんな状態になっていなかったら、こんな光景を見ることはなかったのかもしれない――そんなことを思った。
複雑な気持ちを抱えた私は、アルベルトとリオムが話している部屋を後にした。リオムは私の存在に気づいていないのだから、あそこに居続けるのは気が引けた。二人だけの時間を過ごさせてあげたかった。
それに、ロゼ・アティオスが今何をしているのかも気になった。アルベルトは彼女を監視しやすいよう宮殿内に滞在させ、契約書を書くまであと一週間の猶予がある。それでも私は不安だった。あのロゼ・アティオスが、このまま素直にアルベルトの指示に従うとは思えなかったからだ。
何度か訪れたことはあるものの、まだ慣れない宮殿の中で少し迷いながらも、私はようやくロゼ・アティオスの部屋へたどり着いた。
部屋に入ると、彼女が外出用の服に着替えていることに気づいた。どこへ行くつもりなのだろう?
首をかしげて見ていると、ロゼが慌ただしく動き始めた。部屋の窓を開けると、彼女は杖を使わずに手を動かして魔法を発動させた。
このまま見送るわけにはいかない。私は急いで彼女の後を追った。魂の姿では彼女からは見えないのだから、尾行するにはうってつけだった。
「本当に、新しい杖を用意しないとね」
夜空へ飛び立ったロゼは、髪をなびかせながらぼやいた。彼女が以前使っていた杖は、今も私の部屋に大切に保管されているはずだ。
夜空を駆けるロゼの表情は暗い。アルベルトの前で見せていた異常な執着は消え去り、今はまるで感情を失ったような虚ろな瞳だけが残っていた。
(――いったい、ロゼはどうしてこんなふうになってしまったの?)
そう考えていた私は、ロゼ・アティオスが魔法を次々と使いながら向かった先に気づき、思わず目を見開いた。
「……どうして塔へ向かうの?」
ロゼ・アティオスが向かった先は、あの塔の前だった。彼女がアルベルトを閉じ込め、そして私とアルベルトが囚われていた、あの塔だ。
ロゼは塔の前で何か呪文を唱えた。すると、塔の扉はあっさりと開いた。ギィ……という音とともに、暗闇に包まれた塔の内部が姿を現した。
中へ入ったロゼは明かりを灯し、急いで階段を駆け上がっていく。階段を上り、さらに上って、私が暮らしていた屋根裏部屋へ入ると、ロゼは屋根裏部屋の天井近くにある何かを引っ張った。
すると天井に小さな扉が開き、私も知らなかった隠し空間が現れた。何かを隠しておくには、うってつけの場所だった。
(――こんな場所があったの?)
「フライ」
魔法を唱えたロゼは、その小さな空間へと浮かび上がって入っていった。屋根裏のさらに屋根裏……とでも呼べそうなその場所は、とても狭い空間だった。
その中で、ロゼがいくつもの道具を集めているのを私は見つめていた。そこには、彼女が黒魔法を使うときに用いる道具があった。素早く動きながらも丁寧に扱う様子から、それが彼女にとってどれほど大切なものかが伝わってくる。
荷物をまとめながら、ロゼは不気味に呟いた。
「魂なんて、“生きてさえいれば”いいんでしょう?」
……その「魂」が誰のことを指しているのかは、考えるまでもなかった。
「たとえ幼竜の契約者でも、黒魔法使いに長期間呪われ続けた魂は長くはもたないって」
私がそんな簡単に消えると思っているなんて、大間違いだ。
あまりにもあっさり私を切り捨てようとする彼女を見ているうちに、久しぶりに怒りが込み上げてきた。
宮殿へ戻ったら、まず杖を探して、本当に魔法が使えるのか確かめてみよう。
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アルベルトとリオム(リアム)の対立と和解ロゼの件を隠していたアルベルトに対し、リオムは「理想の君主」であれと諫めますが、アルベルトは「自分自身の幸せ」を主張。過ちを互いに認め合い、二人の深い信頼関係と絆を再確認して和解しました。
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アルベルトの意識改革とヒロインへの想いかつては目標や使命のみを生きていたアルベルトですが、ヒロイン(“私”)と過ごしたことで「何気ない日常の幸せ」を知り、彼女が自分の人生になくてはならない存在だと実感するようになりました。
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脱出したロゼの暗躍とヒロインの決意宮殿を抜け出したロゼ・アティオスはかつての塔の隠し部屋へ向かい、黒魔法の道具を回収しながらヒロインの魂を消し去ろうと企みます。それを追った魂状態のヒロインは怒りを覚え、立ち向かう決意を固めました。