偽の聖女なのに神々が執着してきます

偽の聖女なのに神々が執着してきます【134話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【偽の聖女なのに神々が執着してきます】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載...

 




 

134話ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 分岐点:現代、そして4人の男たち

トン、トン。

雨粒が窓ガラスを叩く音が聞こえた。

ズキズキする頭痛に額へ手を当てたまま、私は目を開ける。

見えるのは見慣れた天井。

ん?

……でも“見慣れた天井”じゃない。

どう見ても現代風のインテリアで……あの照明、蛍光灯じゃない!

驚いた私は、ベッドの上でびくっと身を起こした。

ビー、ビー、ビー—

横を見ると、心拍数が表示されたモニターと点滴の管が見えた。

そして、このベッドはどう見ても病院用。ここは明らかにVIP病室だ。

どういうこと?

呆然と周囲を見回していると、突然病室の扉が開いた。

「患者さん、患者さんが!目を覚まされました!」

そして、ぐったり座っている私を見て驚いた看護師が慌てて入ってきた。

その後ろには、続けて押し寄せてくる医師たち。

「患者さん、大丈夫ですか?意識ははっきりしていますか?」

どっと押し寄せてきた彼らは、私の体とつながっている機械の数字を確認していた。

ちょっと待って、どういうこと?

その瞬間、私は反射的に自分のお腹に手を当てた。

確かにそこには“聖痕の子宮”の感触がある。

だとしたら、どうして私はここに……?

「一年ぶりに目覚められました。ここがどこか、お分かりになりますか?」

そして聞こえてきたのは、聞き覚えのある声。

私はゆっくりと目線を上げ、その人を見た。

びくり、と驚いた手が勝手に動く。

「レ… レイハス?」

白衣を着ている男は、どう見ても――どこから見てもレイハスだった。

美しい金髪と、きらめく金色の瞳。

白い服を着た人たちの中でも、ひときわまぶしく輝いている。

驚きで震える私を真っ直ぐに見つめ、観察するようなその視線。

戸惑ったように見えた彼は、少し間を置いて口を開いた。

「主治医のレイ・ワナーです。」

彼のガウンの左胸には “Dr. Ray Wanner” と記されていた。

「混乱なさって当然ですが、患者さんは1年前、胸部外傷で意識を失い、つい今しがた目を覚まされたところです。」

「そちらは….」

状況をまったく理解できない私は、思わず手を伸ばした。

その手をそっと包み込むレイハス。

涙のにじむその瞳に、患者服を着た私の姿が映っていた。

「…目を覚ましてくださって、本当に良かった。」

優しく、温かい声が響いた。

 



 

【20代女子大生、暴漢から友人を救おうとして意識不明に】

私は1年前の記事を検索してみた。

そして、私が刺された現場の写真を見ることができた。

「出血量……ひどいな。」

私が過度の出血で意識を取り戻せなかった、という記事内容。

「じゃあ、私に起きたことは……一体なんだったの?」

長い夢を見ていたかのように、ぼんやりとした場面が思い出せるだけ。

頭の中が霧で満たされたように混乱していた。

「レイ・ワナー教授ですか?ジョンズホプキンス出身の世界的な名医ですよ。神経外科の分野では彼の実力に匹敵する人はいません。理事長が直々にお願いして、韓国までお呼びしたんです。」

レイハスじゃなくて、レイ・ワナー?

しかも神経外科医だなんて……そんなわけがない。

レイハスは大神官なのに!

しばらくして私はスマホを置いた。

ひとまず理解できないことは脇に置いて、少し落ち着くことにした。

深く考えるほど、余計に混乱しそうだから。

まず、このVIP病室は父が用意したのだろう。

裕福な家庭の一人娘である私は、家の中でも扱いが特別だ。

ニュースになるほど大きな事件だった以上、私のことを気にしている人々もいるはずだ。

外ではまだ雨が降っていた。

梅雨の時期なのだろうか。

そのとき、病室のドアが突然開いた。

そして中に入ってきた男性の姿に、私は再び驚かずにはいられなかった。

「目が覚めたのか!」

オーバーフィットのシャツとパンツ、そしてサングラスをかけた男が、サングラスを外した。

アッシュグレーの髪色をした、洗練されたスタイルの男だ。

その男は急いで私のそばに駆け寄った。

驚きで固まっていた私を、つま先から頭のてっぺんまでじっくり見つめながら、彼は言った。

「お前…俺がどれだけ心配したか分かる?」

私の眉間をつまむ男。

「デ…デ….」

そしてまた激しく高鳴りはじめる心臓。

「ディエゴ!!」

魔王ディエゴが、なぜ私の病室にいるの!?

しかし彼は、むしろ驚いた表情で私を見返した。

「意識ないと思ってたのに、聞こえてたの?ほら、俺この前の月にやっとデビューしたんだよ。」

「……え?」

「1年前、お前が俺を助けようとして刺されて、もし君が意識を失ってなかったら、ステージに立てなかっただろう。今週ついに音楽番組で1位も取れたんだ。」

私がディエゴを助けようとして腹を刺された、って?

「そうだ。俺の本名はディエゴ。」

ディエゴは私の手を握り、そのまま自分の硬い胸元へ引き寄せた。

レンズをつけたような紫色の瞳が、まっすぐに私を見つめている。

「毎日、君が目を覚ますように祈ってた。ついに願いが叶ったよ。」

「君が…祈るって?誰に…祈って?」

「誰にって、俺の家は代々、熱心なクリスチャンだろ。」

私は「ひっ」と声を漏らし、握られた自分の手を引っこ抜いた。

そして指を立て、彼に鋭く突きつけた。

「あなた、魔王でしょ!!」

その瞬間、窓の外がピカッと光った。

のぞき込むように立っているディエゴの顔が、稲妻の光に照らされてくっきり見えた。
背筋がぞくりと震えた。

やっぱりディエゴは魔王にしか見えない!

しかし、しばらくして彼はふっと笑い、口元を上げた。

「うちのグループのコンセプトが“魔王系”だからさ。」

グループのコンセプトじゃなくて、あなた本物の魔王でしょ!?

とにかく、目の前のディエゴは自分がアイドルのメンバーだと言っているらしい。

そして、1年前、私がディエゴを助けようとして刺され——そのせいでここに寝ていた、というのだ。

暴漢から友達を助けようとして刺されたと聞いたけど……その相手がディエゴだったって?

しばらくして、ディエゴが真剣な表情で私に言った。

「君は……俺の命の恩人だ。」

「……。」

「もう俺は、君のためなら何だってする。命だって差し出せる。」

その言葉を呆然と聞いていた私は、慌てて手を振った。

「いや、いやいや。そんな必要までは……。」

「実は……君がもう一度目覚めたら、胸を張って見せたくて、もっと努力したんだ。その結果、デビューまでできた。」

ディエゴの紫色の瞳は、本気そのものだった。

「あ…そう。」

また頭の中がぐちゃぐちゃしてくる。

しばらくして、彼は私のスマホを手に取り、自分の番号を入力した。

「これは俺の個人番号。今回デビューするときに番号も変えたんだ。家族以外には誰にも教えてない。」

そして彼は一度自分のスマホで私に電話をかけ、そのあとスマホを私に返してくれた。

「明日も来るから。」

真剣なまなざしに、私は思わずぎゅっと身を固くし、咄嗟に手を振ってしまった。

「活動中でしょ…忙しいだろうし、そんなことしなくていいよ。」

「ちょっとした支えになることくらいできるよ。他のことはどうでもいい、君が目を覚ましたんだから。」

ディエゴは、私の拒否に耳を貸すつもりはまったくなさそうだ。

明日も必ず来ると言い残し、病室を出て行った。

私は、閉まったドアをただ呆然と見つめた。

「はぁ……一体どういう状況なの……。」

しかし、その言葉が終わる前に部屋へ入ってきたレイハスの姿に、私は思わず身構えた。

白衣をまとった彼は、口元をわずかに上げながら、じっと私を見つめていた。

やがて、ベッドの前に立ったレイハスが口を開く。

「ディエゴ。」

レイハスの口から出たその声に、私はびくりと体を震わせた。

数秒の沈黙の後、レイハスが続けた。

「将来のK-POPを担う新人アイドル界の有望株だとか。あ、出勤途中のラジオで聞きましたよ。」

まさかと思いながらも、私は胸を押さえた。

「はい。私がディエゴを助けようとして怪我したって……本当なんですか?全然思い出せなくて。」

「意識が戻ってまだ時間が経っていませんから、記憶が不完全なことはありえます。」

レイハスのものとそっくりな金色の瞳は、心臓が止まりそうなほど深く澄んでいた。

「でも、いずれ落ち着けば思い出すはずです。あまり心配なさらないで。」

「……はい。」

カルテをしばらく見ていた彼は、ふと私に尋ねた。

「気分はどうです?」

「はい。目が覚めたばかり、という感じでしょうか。」

少し考えてから、私は彼に言った。

「なんというか、少し変な感じなんです。全部が変わってしまったような……。確かにここは見慣れた場所のはずなのに……変な感じがして。」

「そうですか。」

レイハスの穏やかな声が続く。

「長く昏睡状態にあった方が目覚めると、違和感を覚えることがあります。無意識の深い場所に長く滞在していて戻ってきたことに対する後遺症、と言えるでしょうか。」

「なるほど……。」

「ですが、状態を見る限り、すぐに慣れていかれるでしょう。現実への適応が早いタイプみたいですね。」

「まあ…そうなのかもしれません。」

短いやり取りのあと、静かに沈黙が流れた。

ふと、彼が微笑んだまま、まっすぐな瞳で私を見つめてきた。

「そんなに素直に肯定されると、なんだか戸惑いますね。」

「え?」

胸がどくんと跳ねるような感覚がした。

そして彼は再び口を開いた。

「これまで昏睡状態だった患者さんの脳波を研究してきました。私たちはずっと、長い時間を共にしてきたんですよ。」

「長い時間」という言葉に、ほんの少し重みが感じられた。

まるで心の奥まで見透かされているような視線に、背筋がひやりとした。

「たくさんのことを知ることができました。私にとって、とても価値ある時間でした。」

「研究に……役に立ったなら良かったです。」

なぜか胸がそわそわして、私は反対の腕をぎゅっと抱きしめた。

「はい、あなたは……」

レイハスが口元をわずかに緩めた。

すると、その金色の瞳に一瞬だけ複雑な光が宿った。

「私にとって本当に特別な存在です。」

レイハス――いや、レイ・ワーナー教授が部屋を出ていくのを見送ったあと、私は “特別”という言葉の意味を考えずにはいられなかった。

そうだ、私を研究したと言っていた。

患者として特別だった、ただそれだけの意味だろう。

うん、それ以上深く考える必要なんてない。

長く寝たきりだったせいで、頭がまだ働いていないだけだ。

本当にそうだ。

痩せたせいか、全身を動かすのが大変だったが、私は少しずつリハビリ治療を続け、以前の体力を徐々に取り戻していった。

1年間休学していたのだから、来春には復学の準備も必要で……やることは山ほどある。

「今日はマドレーヌ作ったよ。メンバーたちが欲しがったけど、お前にあげるって言って渡さなかった。俺、偉いでしょ?」

「寝てるんだな。アルバム置いていくよ、おやすみ。」

そんなふうに、毎日のように病院へ通ってきてくれるディエゴは、正直ありがたかったけれど、家族もほとんど来ないこの状況で、彼と過ごす時間が少しだけ心細さを紛らわせてくれていたことも、また事実だった。

「わぁ……人気すごいんだね。」

ディエゴを応援しているコメント欄を眺めながら、私はマドレーヌをつまんだ。

魔界コンセプトの7人組男性アイドルグループ。

その中でもディエゴは群を抜いて人気があった。

「そりゃあ、顔はいいしね。」

こんな子が“親しい男友達”だったなんて、私って案外活動的な性格だったのかもしれない。

ディエゴの動画を見ていた私は、あるバラエティ番組を再生した。

——男女の友達関係ってあると思う?ないと思う?

他のメンバーは全員「ある」と答えたのに、ディエゴだけは「ない」を選んでいた。

——あ、ディエゴさんは意外ですね。

MCが聞くと、ディエゴはこう答えた。

——僕、見た目に反してかなり保守的なので……感情もないまま女と密会したり遊んだりするなんて…そんなの、ダメですよ。」

画面いっぱいにディエゴの顔が映っていた。

トレードマークの紫の瞳がカメラをまっすぐ見つめている。

―会うなら、感情がなきゃダメなんです。

一瞬で心臓が跳ね上がり、私は思わず後ろへのけぞった。

頬が一気に熱くなる。

しばらく呆然としていた私は、なんとか話題を変えた。

「……散歩でもしましょう。」

幸い、体調もかなり回復してきていたので、一週間後には退院日が決まった。

もちろんその後もレイ・ワナー教授には定期的に会って治療を続けなければならないが、閉ざされた病院生活から少しでも抜け出せるのは嬉しかった。

いろいろ考えながら、私は病室を出た。

そして、特に意味もなく病院の遊歩道に足を踏み入れたとき。

——チャッ。

前から聞こえた音に、私は思わず肩を震わせた。

「どうして……そんなことがあるの?」

涙声の女性の声がした。

驚いて前を見ると、一組の男女がいた。

ワンピースを着た女性は、誰が見ても目を引くほどの美人で、ぴったりとした黒いスーツを着た背の高い男性は、私に気づいたように視線を向けてきた。

その男性と目が合った瞬間、私は口を塞ぐしかなかった。

『キャ…ス?!!』

黒髪に、青とも緑ともつかない濃い色の瞳。

ほんのり赤い頬、ふわりと漏れる切なげな息。

彼と目が合った瞬間、世界が止まってしまったようだった。

彼の前に立つ女性は、今にも泣き出しそうな潤んだ瞳で言った。

「婚約者だなんて……じゃあ私は、ただ遊ばれていたってことですか?」

ドクン、ドクン――心臓が破裂しそうなほど高鳴った。

キャスは再び彼女に視線を向け、疲れたように言った。

「遊んだ覚えはありません。向こうが一方的にしがみついてきただけです。」

キャスらしい冷ややかな声音が続く。

「振られた腹いせに他人の身体に触るなんて、人間性が最低ですね。」

女性は握りしめた拳をぶるぶる震わせた。

「そんなはずないわ。きっと……私に関心があったはずよ。違う、違うわ。そんなはずない……」

女性は現実を受け入れられないという、歪んだ表情で言葉をつづけた。

「婚約者……だれよ。それも嘘なんでしょ?婚約してるなんて、ただ私を遠ざけるための——」

そのときだった。

キャスが一歩、地面を踏む音を立てた瞬間。

一目で高級だとわかる革靴で地面を鳴らしながら、キャスはまっすぐ私の方へ歩いてきた。

女性はようやく私の存在に気づいたのか、ひどく驚いた表情を浮かべた。

私の目の前に来たキャスが、そっと手を上げた。

「……」

そっと、温かい手のひらが私の頬に触れた。

キャスはやわらかく頬をなでながら、深い色の視線を私に落とした。

赤い唇がわずかに開き、低く柔らかい声が落ちてくる。

「ちょうど出てきたんですね。探しに行こうと思っていました。」

心臓がドクン、ドクンと大きく跳ね、何も言えなかった。

「ヘソングループ末娘、俺の婚約者。」

キャスのほうから風が吹き、爽やかな香りが鼻先をくすぐった。

「……!」

女性は泣きそうに口を押さえ、そのまま駆け去っていった。

私は彼女を追うこともできなかった。

しばらくして、キャスがそっと私の頬から手を離した。

「……」

私は呆然と彼を見つめていた。

ヘソングループ。

祖父が会長を務める会社だ。

もちろん私は四男の“私生児”だから、そのグループとは無関係と言っても、間違いではない。

「……すみません。」

しばらくして彼は軽く唇を噛んだ。

「もっとちゃんとした姿で挨拶したかったのに、こんな形になってしまいましたね。」

そう言ってから、彼はそっと私の頬から手を離した。

私は彼と出会って初めて、問いかけた。

「あなたは……誰なんですか?」

私の言葉に、キャスの表情が一瞬だけ固まった。

すぐに表情を緩め、静かに口を開く。

「目覚めて間もないから、まだ聞かされていないんだね。」

「え、私は……」

そのとき、背後から男性の声が聞こえた。

「理事長!議員が……あっ!し、失礼しました!」

秘書のような男はキャスを呼びかけようとして、遅れて私の存在に気づいたのか言葉を止めた。

キャスは男に、下がれと言わんばかりに手振りをして、再び口を開いた。

「ロイド財団理事長、カン・ミンジェです。」

「ロイド相談役じゃなかったんですか?!」

ぎょっとして私を見る私に、キャスはふっと笑みを浮かべた。

「正直で、度胸のある方ですね。」

「……はい?」

「おっしゃる通り、ロイド財団は CSR を目的として設立されました。いわば、企業の社会貢献ですね。」

キャスは柔らかな表情のまま続けた。

「ロイドグループの長男である私が病院財団を任されたとき、いろいろと言われたことは知っています。たしかに、1年前まではそうでした。病院の全面民営化だとか、政治家におもねった政策だとか……」

「……」

「でもそれは、もう誰も口にしない話ですよ。むしろ今は、社会的弱者への支援を強化し、海外から著名な教授たちを招いて、誰でも質の高い医療を受けられるよう、その機会を広げているところです。ロイドグループで得た利益を投じ、本当の意味での社会貢献を進めている最中なんです。」

私はぽかんとした表情で彼を見つめた。

つまり、キャス…いや、カン・ミンジェはロイドグループの御曹司であり、この病院の理事長ってこと?

現代でも結局財閥なのか?!

しばらくして、彼は少し顔を赤らめながら別のところへ視線を逸らした。

「相談役って……なんだか大きな勘違いをされたみたいで、ちょっとびっくりしました。」

「いや…そんな意味じゃなかったんです。本当にロイド相談……」

「そうですね。私が言ったあとでも、うちの病院がそんなイメージだとしたら、確かに見直さなきゃいけませんね。」

頭がぼんやりするのは治まった。

だが、どうしても聞かなければならないことがあった。

「えっと……“婚約者”って言い方は、ちょっと……」

「実は、少し驚きました。」

そう言いかけたところで、キャスが言葉を遮った。

彼は落ち着いた様子で、続けてこちらに語りかけてきた。

「僕に興味を持っていた女性たちは、誰一人としてそんな言い方はしませんでしたよ。彼女たちが興味を持っていたのは、利益になる事業か、あるいはうちの家の資産ぐらいです。」

「ちょ、ちょっと待ってください。それとは意味が・・・」

「大丈夫ですよ。本当に。」

いや、全然大丈夫じゃない!

慌てている私の手を、キャスは両手で包み込むようにして掴み上げ、静かに言った。

「これまでずっと浴びてきた上辺だけの言葉とは、まるで違いました。そして、あなたとの婚約を急いで確認した理由は、その奇妙な行動に感銘を受けたからです。」

「え… え?」

「友人のために代わりに怪我をして昏睡状態になった――どんな女性なのか気になりました。あなたはヘソングループの末孫娘さんです。」

彼の問いかけは、私の当惑した表情を金色の瞳に映し出した。

冷ややかな目の奥には、確かな確信が宿っていた。

「私の直感は間違っていなかったようです。」

「……」

「結婚というのは、お互いの人生の方向が一致してこそ初めて成り立つものですからね。慎重になるべきだと考えてきました。」

“結婚”って言葉にハッとなって、私は思わず彼の手を振り払った。

だから家の内情——ロイド商団…いや、ロイドグループで何か騒ぎになってるって話なんだろう。

キャスが私の結婚相手だってこと。

今の“商団”という私の言葉に、彼が何か引っかかったと思ったのに、なぜかそこに食いついたのはそっちじゃなくて……。

『誤解があるみたいです。』

私は気持ちを落ち着かせて、ゆっくりと言った。

「その……」

そして一瞬、口をつぐむキャス。

「…私の第一印象については、改めて無礼をお詫びします。あの女性は、以前あなたに結婚を申し込んできた家の令嬢でして。しつこく付きまとっていたため、きっぱり諦めさせる必要があったのです。」

「さっきの女性、名前はリエとかじゃないですよね?レイヴンとか?伯爵令嬢とか?」

「何の話をしているのかわかりません。」

思わず、ある女性を思い浮かべてしまい、私は咳払いをした。

「ち、違いますよ……とにかく。」

そして私は彼に、はっきりと言った。

「私は家から婚約の話を聞いたことなんてありません。特に、初めて会った男性と婚約なんて。」

“初めて会った”という部分を口にしたとたん、胸が妙にざわついた。

気のせいかもしれないが、キャスもわずかに眉を動かしたように見えた。

しばらく静かに私を見ていた彼は、やがて口を開いた。

「後悔させません。」

やわらかな声が胸の奥に深く落ちてくるようだった。

その唇に浮かんだ微笑みは、どこか艶があった。

「もっと…私のことを知っていただけるように。」

 



 

 

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