こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は64話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
64話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 暖かい風
令嬢の失礼と捉えらてる発言に、王妃は怒りを隠さなかった。
むしろ恥ずかしいというように頬を赤らめている。
「えっと・・・。落ち着きがなかったですね。ドレスを見て、思わず興奮してしまって、その・・・」
その姿が愛らしく、令嬢たちはみんな口を開く。
先ほどまでは恐ろしく見えていた王妃だったのに。
まさか、王妃がこれほど純朴で、明朗で、慈悲深い人だったとは。
クララの話は聞いていたが、正直信じられずにいた。
令嬢たちの表情が少しずつ解け始める。
一人の令嬢が恐る恐る口を開く。
「王妃様はドレスについて詳しいようですので、他のドレスについても教えていただけますでしょうか?」
「令嬢もドレスに関心があるのですね!もちろんです。ミパルティが流行した時期の、アルディという服もあったのですが!」
アビゲールは水を得た魚のように浮かれ出す。
令嬢たちは先ほどとは全く違う態度で彼女の話を傾聴した。
お世辞でも、媚でもない。
本当にアビゲールの話を聞くのが楽しかったのだ。
いつの間にか、お茶会はまるで教室のような雰囲気に。
カリンは我に返る。
いつの間にか、再びアビゲールに注目が集めていたことに気づく。
虚しく、無念だった。
今回は本当に自信があったから。
デザイナーたちを甘やかして、やっと完成したドレスなのに、こんなにも呆気なく敗れるなんて・・・。
高揚していた気持ちはいつの間にか消えていた。
残っているのは酷い敗北感だけ。
「・・・私は用件ができましたので、これで席を外させていただきます」
「カリン令嬢?」
カリンは怒りを抑えながら席から立ち上がる。
無礼だと分かっていても仕方がなかった。
これ以上この場に居たくないから。
狼狽えた令嬢たちを後にして、彼女は茶室を退出する。
涙が出そうだった。
今日をどんなに期待したことか、今日こそ勝てると思っていたのに。
歯を食いしばりながら歩いていると、カリンは妙な視線を感じた。
後ろを振り向くと、警備兵たちが自分を見ている。
何か変だった。
一種の驚愕がこもっている表情。
なぜ自分をあんな目で見るのか理解できなかった。
階段を歩いていると、正面には大きな全身鏡が。
そこには自分の姿がそのまま映っている。
朝まで綺麗に見えたドレスがボロボロに見えた。
何かが目に留まり、カリンはピタッと立ち止まる。
赤色。
驚いて後ろを見ると、お尻の辺りに赤い血が滲んでいた。
月経。
白い生地なので赤が特にはっきりと見える。
まるで雪の上に落ちた血の跡のよう。
どうして急に始まったのだろうか?
コルセットをつけてから、月経が不規則になり始めたのだ。
理由はなんであれカリンは狼狽えていた。
堪えていた涙が溢れ出す。
恥をかき、服に血まで滲み出る悲惨さは言葉では言い表せられなかった。
この事実がお父様の耳に入ったら、一体どれだけ叱られるのか想像もできない。
いいや、想像したくなかった。
カリンは廊下の片隅にしゃがみ込む。
この格好で馬車のある場所まで行くことはできなかった。
けれど、いつまでもここに座っているわけにはいかない。
涙を流している時、カリンは誰かの足音を聞く。
足音は自分に向かって飛んできていた。
「カリン令嬢!」
世の中で一番聞きたくない人の声。
しかし、不思議にもその声が救いのように聞こえてきた。
アビゲールが走ってきた。
大層切羽詰まった表情を浮かべて。
馬鹿らしくも、その顔を見てカリンはホッとしてしまった。
あれほど切なげな表情で訪ねてくる人を見たことがないから。
しかし、彼女はすぐに自分を責めた。
他ならぬアビゲールを見て喜ぶ自分に。
弱い姿を見せたくなかった。
手の甲で目尻を拭うが、それでも変わらず涙が溢れる。
カリンはシミだらけの顔で刺々しく口を開く。
「何でしょうか、王妃様?」
「あの・・・、さっき血が出ているのを見たのですが」
「それで?私を侮辱しに来たのですか?」
カリンは死にたくなった。
王妃はきっと、自分を指差して軽蔑するだろうから。
しかし、アビゲールは笑わなかった。
ただ大きな布をカリンに巻いてあげるだけ。
「まずはこれで隠して、私の部屋に行きましょう。着替えをあげます」
アビゲールはただただ心配そうな表情を浮かべるだけ。
嘲笑う様子は微塵もなかった。
・・・このまま彼女について行ってもいいのではないか?
そんな気がした。
カリンは短い躊躇いの末にうなずく。
アビゲールはカリンを自室に招く。
そして、お手伝いの人たちに指示をした。
「カリン令嬢、浴室に着替えを用意しておきました。サイズが少し違うかもしれませんが、少しの間着るには大丈夫でしょう。何か必要なものがあれば言ってください」
「・・・」
カリンは何も言わなかった。
お礼の言葉が喉から出ることを躊躇っている。
アビゲールはその言葉を残して部屋を出た。
一人残されて、カリンは緊張が解けていくのを感じる。
浴室に入ると、机の上に畳まれていたシュミーズドレスと下着、月経台が見えた。
注意深くシュミーズドレスを持って、彼女はニヤリと笑う。
どれだけ暑くても着なかったシュミーズドレスをこんな形で着れるとは思ってもいなかったから。
お湯で血を拭き取ったあと、服を着替える。
外へ出ると、アビゲールが少し離れた場所に座っていた。
「サイズが合っているようで良かったです。今日着てきた服は洗濯して送りますが、大丈夫ですか?」
その質問にカリンはうなずく。
アビゲールの安堵した表情に、彼女は混乱した。
王妃は悪女として定評のある女性だ。
贅沢三昧し、下の人間を苦しめ、義理の娘であるブランシュまでも虐める残忍な魔女。
「・・・どうして」
カリンは服の裾を握ったまま尋ねる。
「どうして私を助けてくれたのですか?」
もし月経血を流したアビゲールを見たなら、自分は嘲笑っていただろう。
彼女に助けの手を差し伸べることもなかったはず。
なぜなら、アビゲールは自分の敵だったから。
自分の家門が彼女を憎むから。
それはアビゲールも同じだろう。
質問を受けた後も、彼女の表情は静かなまま。
「あなたの苦痛が何なのか理解できますから」
その答えを聞いて心臓がヒヤリとするような気持ちに。
アビゲールは淡々とした口調で話し続けた。
「同じ女性として令嬢がどれほど困難で恥ずかしかったか分かるから。だから手伝いました」
「私はストーク公爵の娘です。なのに、どうして?」
「あなたが誰の娘でも関係なく、私はあなたを助けたのです」
おかしな言葉であり、慰めになる言葉。
面白くないにもかかわらず、その言葉を信じてしまう。
アビゲールの瞳を見れば誰でもそうなるはずだ。
彼女の視線には揺るぎがない。
躊躇いもない。
人は動揺しないのを見ると、畏敬の念を感じるものだ。
カリンはうつむく。
彼女にできるのはそれだけだったから。
アビゲールは咎めず、それ以上聞かなかった。
ただ静かにカリンの肩を軽く叩くだけ。
「さっき急用があると言いましたよね?大丈夫でしたか?」
「・・・もう帰ります」
下女をつけると言ったが、カリンは断った。
彼女は一人、馬車のある場所に向かう。
風が吹いているようだったが、そんなはずがない。
ここは宮殿の中だから。
それにもかかわらず、微風が心を撫で下ろすようだった。
ふわふわしたシュミーズドレスの感覚は想像よりずっと楽で、アビゲールが巻いてくれたショールは、彼女の手のように暖かい。
ふと、この間のブランシュの言葉を思い出す。
『絶対に、カリン様もアビゲール様を好きになると思います!』
今回の一件で、アビゲールとカリンの仲も良くなるのではと期待しています。
二人ともファッションに関心がありますし、カリンに似合う服も作ったら面白そうですよね♪
問題はストーク公爵ですが・・・。