こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は312話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
312話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 侵攻
会議室の机上に長い地図が広がっていた。
地図にはネルゲンを含む近隣王国の位置と名前が記されている。
ネルゲンは巨大な国だ。
そのため、多くの国と国境が隣接するしかなかった。
セイブリアンは地図上のクローネンバーグを冷眼視する。
クローネンバーグとレッタは、ネルゲンの西の国境に接していた。
彼が押し殺すように地図を手で握る。
会議室に集まった大臣たちが皆息を殺したまま、彼の手振りと視線に集中していた。
セイブリアンの剣のような声が間こえた。
「続けろ」
その言葉に伝令兵がびくっとして腰をまっすぐに立てた。
彼は手紙に書かれていた内容をもう一度伝える。
「クローネンバーグとレッタの連合軍が西部国境を侵犯し、戦争を宣言しました。最初の回転では勝利しましたが、予想より敵軍の火力が強いです」
勝利の知らせにもかかわらず、セイブリアンは喜ぶことができなかった。
ネルゲンが猛獣なら、クローネンバーグとレッタはせいぜい鹿か羊ぐらいでしかない。
羊と鹿に首筋を噛まれた猛獣とは。
さらに、戦書に書かれた内容によると、まだ連合軍は退く勢いがないようだった。
セイブリアンの顔に深い怒りが込み上げてきた。
息を殺して雰囲気をうかがっていた元老たちが、慎重に口を開く。
「殿下、大丈夫でしょう。そもそもクローネンバーグとレッタ、どちらも軍事力の強い国ではないじゃないですか」
「それに西部要塞が陥落したことはありません。2回目の回転ではきっと大勝を収めるでしょう」
元老たちの言葉どおり、両国が連合を結んでも恐れるほとではなく、西部の要塞は難攻不落の歴史を誇っていた。
にもかかわらず、セイブリアンは沈黙している。
その自明な事実を連合軍も知っているはずだ。
では、なぜ負けることを知って戦争に出るのか?
きっと魂胆があるはず。
セイブリアンは大臣たちの慰労に答えず、伝令兵に向かって尋ねた。
「敵軍の規模はどうか。大体の数はどうだ?」
「西部軍よりやや多い程度です。しかし、頭数より武器の差が深刻です。連合軍側から奇異な武器を持って出てきました」
「どんな武器なのか?」
王の問いに伝令兵はためらった。
無礼や緊張というよりは、何と説明すべきか困惑しているように見える。
「魔弾という魔法のような武器です。弓のような遠距離武器ですが、小さな火砲のようで矢と違って発射体が見えません。生まれて初めて見る武器なので、私たちとしても対処が難しい状況です」
その説明に大臣たちはやや当惑した表情をしていた。
小さな火砲とは。
伝令兵が黙々と説明を続ける。
「妖精たちがその魔弾を製造して販売したそうです。司令部はその武器を購入しようと試みましたが、失敗しました」
その言葉を聞くと、セイブリアンはなぜクローネンバーグで戦争を敢行したのか見当がつく。
また、妖精王国で取引をやめた理由も。
セイブリアンは沸騰中を落ち着かせようとした。
アビゲイルの義理の兄弟であるケインが来た時を思い出す。
連合を結び、レッタとモルカを征伐し、異種族を相手に戦争を繰り広げようという、その
貪欲で血なまぐさい計画。
霧散したと予想していたが、こんな風に出るとは予想していなかった。
ネルゲンと同盟関係にあったレッタが裏切ったことに腹は立たなかった。
そもそも裏切りはいつも念頭に置いて生きてきたから。
腹が立つのは別の理由からだ。
悲報に動揺していた代わりに、一人がつぶやくように話し出す。
「王妃様がクローネンバーグ出身なので、助けてもらえるのではないでしょうか」
アビゲイルの名前が取り上げられると、空気が槍の先のように鋭くなる。
大臣の発言にみんなの頭の中が忙しく動き始めた。
不穏な視線もいくつかあった。
「クローネンバーグの王女はこの戦争について本当に何も知らなかったのだろうか?私たちの情報を盗んだのではないのか?」
「王妃を人質にして交渉を進めることもできるなら・・・」
魔女裁判で嫌疑なしを受けた後、アビゲ仕事に向けた世論が少し柔らかくなったが、すべての大臣が好意的なわけではなかった。
妙な気流が霧のように部屋を満たしていく。
そして、その霧を切り裂くような声が聞こえてきた。
「アビゲイル王妃を利用することを考えているなら、永遠に口をつぐんでいなさい」
その言葉に何人かの大臣たちがびくっとしているのが見えた。
セイブリアンは歯を粉々に砕いた。
「無礼を犯すなら、その代価を払わせるはずだから」
彼はクローネンバーグの宣戦布告や,レッタの裏切りよりもアビゲイルの安危が不安だという事実に憤慨していたのだ。
クローネンバーグがネルゲンを相手に戦争を宣言すれば、一人でここに残っているアビゲイルほど困る人はいないだろう。
それでも彼らは戦争を起こした。
それが耐え難いほど気持ち悪かったし、アビゲールを利用しようとする大臣たちも憎しみに堪えなかった。
自分の心の中をばれた大臣たちは、ひょっとして目が合うのではないかと息を殺す。
ミラードはその薄氷のような空気の中で口を開いた。
「殿下、どうしましょう。使節を送って彼らの要求を聞いてみる方法もありますが」
「交渉はない」
これまでアビゲイルの故国であるため、無礼を許し、悠々と接してくれた。
しかし、これ以上はない。
彼らがアビゲイルを大切にしない限り、寛容になるつもりはない。
「軍隊を派遣するように。そして魔弾という武器に対抗する方法を探すように。司令官は今後単独面談する」
彼はその言葉を最後に会議室を出る。
もどかしい。
会議室を出ても、足元が茨のように感じられた。
相手が先に戦いを仕掛けてきた以上、徹底して圧倒的に勝つつもりだった。
ただ、武器が変わった。
数々の戦術を学んだが、新しい武器が現れるとすべて古いものになってしまった。
頭の中であらゆる戦術を復記し、アビゲイルの執務室に入る。
セイブリアンが来るのを待っていたアビゲイルが飛び起きた。
「ビビ」
彼はかすかに微笑み、アビゲイルの手を握る。
部屋の入り口を境に人が変わったようだった。
先ほど人を殺しそうだった視線は跡形もなかった。
この姿を大臣たちが見たら驚愕するに違いない。
アビゲイルは微笑みで挨拶に代わった。
やせた笑いだ。
静かな声が聞こえてきた。
「思ったより状況が深刻なようですね」
「はい。予想できなかった情報がたくさんありました」
アビゲイルは直接参加できなかったが、鏡を通じて会議の現場を見ていた。
初めて戦争の知らせを間いたときのショックは今でもゾッとした。
自国のクローネンバーグが侵攻するなんて。
大臣たちが自分を利用しようとしているという事実に気づいた時は、むしろ驚かなかった。
自分が甘受しなければならないことだ。
「私のために怒ってくださってありがとうございます。しかし、私をいくらでも利用しても大丈夫です。人質に取って交渉する方法もあるはず・・・」
アビゲイルはセイブリアンをそっと見上げる。
彼の悲しい視線に彼女は小さく笑った。
「殿下は嫌がるでしょう?」
「はい。あなたをこの仕事に利用するつもりは微塵もありません」
アビゲールはそれ以上強要しなかった。
また、自分を利用してもクローネンバーグ側には通用しないはずだ。
もしアビゲイルが人質になることを心配したなら、密書でも送ったはずだが、そのようなことはなかった。
「でも、助けたいです。私にできることなら」
「よろしいですか?クローネンバーグはビビの・・・」
故郷ではないか。
そんな言葉が聞こえるようだった。
アビゲイルはしばらく沈黙し、強く笑う。
「私はもうクローネンバーグの王女ではなく、ネルゲンの王妃です。私は自分の民を守る義務があります」
確固たる信念が込められた声。
手ぶらに違いないが、剣と盾を持って戦場に出た人のような雰囲気が漂った。
その強さと温かさは、錆びない剣刃のようだ。
セイブリアンはやはり彼女らしい目で見ていた。
その覗線と向き合うとアビゲイルは微笑んだが、実は少し心配になった。
アビゲイルはこの国を守ると言ったが、その方法が思い浮かばなかった。
クローネンバーグの軍事状況については何も知らない。
軍事学や戦術についても学ぶことができなかった。
銃という武器については知っているが、詳しいことは知らなかった。
アビゲイルは戦争について何も知らなかった。
・・・いや、本当に何も知らなかったのか?
アビゲイルは何かを思い出したように頭を上げる。
彼女の目は鋭く輝いていた。
「殿下、私に一つ考えがあります」
新兵器の存在が脅威ですね。
アビゲイルの提案とは?