こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は92話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
92話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 娯楽事業
「文化事業?」
「ええ、正確に言えば娯楽事業です」
そして、カラクタ伯爵はテーブルの下から予め用意した品物を取り出した。
手のひらより少し小さい長方形の紙束、
貴族の間の遊興カードだ。
「カードだね。カード遊びに対する事業をするということかな?」
「ええ、カード遊びは誰もが好きですが、いざ楽しむのが楽ではありません。カード遊びをする人を集めるのは意外と不便ですから。ですから貴族たちが気軽に来てカード遊びを楽しめる高級事業場を運営してみようかと思うのです」
皇太子はしばらく考えた。
(カード遊びに対する娯楽事業。ユニークな発想だね)
「ところで、どうして我が帝国の首都なんだ?ハンザ同盟の近くにも事業をする場所は多いと思うけど?」
カラクタ伯爵は当然のように答える。
「それは、この東帝国の首都こそ大陸で最も栄た大都だからです。文化事業はこういう場所でしなければなりません」
彼の言葉は妥当だ。
文化娯楽事業は栄た都市に適した事業だったから。
「なるほど」
皇太子はうなずく。
特に問題はなさそうだ。
どうせカード遊びは貴族たちが日常的に楽しむ遊びなのだから。
「分かった。ただのトリックはダメだ」
「これですか?必ず公正に運営されます」
頷いた皇太子が席を立つ。
「それならそう思って進めよう。詳しい話は宰相のオルンとするように」
「はい、よく考えてくださって本当にありがとうございます!」
皇太子はマリと一緒に部屋を出るとき、伯爵に尋ねた。
「ところで、あなたが考えているカード事業の名前は?」
カラクタ伯爵は濃い笑みを浮かべる。
マリがどこかで見たような気がする笑みだった。
「「カジノ」と申します、殿下」
まもなく皇太子とマリの乗った馬車がカラクタ伯爵の邸宅を出た。
カラクタ伯爵は邸宅の2階の自分の部屋で片手にワインを持ってその姿を見守る。
「ずっと綺麗になったね」
そのように呟く伯爵の顔は、以前とは全く違っていた。
好人のように見える微笑は跡形もなく、無感情でゾッとする感じを与える冷たい表情だけが満ちていた。
「誰がでしょうか?」
彼を介護する邸宅の執事が尋ねる。
「フォン・ヒルデルン、いいえ」
伯爵は偽装した仮面を脱いで口を開く。
「モリナ王女」
モリナ王女!
驚くべき話だった。
マリの本当の正体なのだから。
しかし執事は全く驚いた表情を浮かべない。
むしろ平然と答えた。
「はい、この前見た時より凄く綺麗になったようですね」
カラクタ伯爵、いや西帝国の皇帝ヨハネフ三世はうなずいた後、ワインを一口飲んだ。
「これは大変だ。よそ見をしている場合じゃないのに、このままじゃあ本当に惚れそうだ」
「気が向いたなら奪えばいいのでは?」
「何だって?」
「どうせ計画のためには、モリナ王女を陛下のものにするのが最善だったのでは?状況が思いがけず流されたら殺さなければなりませんが・・・」
まるで朝の天気を語るかのように淡々とした口調だったが、その中に盛り込まれた内容は驚くことで鳥肌が立つものだった。
マリをヨハンの女にするか、それとも殺さなければならないなんて?
しかし、ヨハンはその驚くべき話を否定しない。
ただじっと頷いただけだ。
「そうだね、ロイス。君のいう通りだ。計画を完全に我々の支配下に置くなら、殺すことも悪くない選択だね」
ヨハンが口元を上げる。
ゾッとするような笑みだ。
「でも、どうせなら自分のものにしたほうがずっといい」
ヨハンはマリを自分のものにしようとした。
計画も計画だが、彼の心がそれを望んだのだ。
ロイスは頷いて別のことを報告する。
これも驚くべき内容の話だった。
「アヘンを積んだ船が首都近くのユフテ川下流側に間もなく到着するそうです」
「そう?思ったより早いね。数量は?」
「十分です。アヘンが首都に解放されれば、帝国内務省と治安省は直ちに麻痺するでしょう」
「いいね」
ヨハンは満足げな顔をする。
「私たちの痕跡は残していないよね?」
「ええ、オルスデン家や西帝国の方ではなく、最初から3国を回って取引しましたからね。密売人が逮捕されたとしても我々の痕跡は影も見つからないでしょう」
信じらない内容の会話だ。
最近、マリと皇太子が頭を悩ませていた麻薬密売事件の背後に彼らがいたのだから。
ヨハンはニヤリと笑う。
「もうすぐ面白くなるだろう。ランは、どのように対応するのかな?」
ランとは皇太子の幼名だった。
ヨハンはワインを一口飲み、窓の外から遠く夜空を眺める。
マリと皇太子の馬車が消えた方角へ。
カラクタ伯爵の正体はヨハネス三世。
今回のカジノを利用して麻薬を首都に流す予定なのでしょう。
あっさりとラエルが負けるのは見たくないですね・・・。