こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は97話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
97話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- マリの選択
「どうして、よりによって今日こんなことが?」
マリは困惑した表情を浮かべる。
あんなに麻薬密輸現場を捕まえようとした時は、ネズミの尻尾さえ見つからなかったのに、このような状況で偶然発見されるなんて。
まるで誰かが彼女の人生に冗談でも言っているような状況ではないか?
(ダメ。私は去らないと)
マリは唇を噛み、できるだけ心を強くしようとした。
(しっかりして、マリ。もう帝国のことはあなたとは関係ない。麻薬問題は皇太子殿下が自ら解決するだろうから、私は去らないといけない)
心の中で苦労して繰り返したが、彼女の瞳は果てしなく揺れている。
マリの頭の中に、あのアヘンが広がって苦痛に陥る人々の姿が浮かんだ。
そして苦悩に陥る皇太子の姿も思い浮かぶ。
きっと彼はまた寝食を忘れて事件にしがみつくだろう。
体を酷使するんも気にせずに。
そこまで考えたマリは、泣きべそをかいて長いため息をついた。
「私が・・・、無視できるはずがないじゃん」
彼女は空を恨めしい目で見上げる。
よりによって去ろうとする時、こんな試練を自分に与えるなんて。
空が憎くて恨めしかった。
マリは目を瞑って走り出す。
その方向は彼女が乗る船が停泊している場所ではなく、警備隊が位置した場所だ。
長い間走った後、マリは中心船着き場近くの警備隊地区に到着した。
「フォン・ヒルデルン卿?」
待機していた騎士が彼女を見て驚いた表情を浮かべる。
最近麻薬事件で何度も訪れたことがあり、騎士はマリの顔を知っていたのだ。
「こんな時間にどうされたのですか?」
「はぁはぁ・・・。早く警備隊の兵士を集めてください。急ぎで」
「え?急にどうして?」
「麻薬密輸現場を捉えました!密輸業者を逮捕する必要があります!」
「・・・!」
騎士の顔色が変わった。
彼も最近、首都を騒がせている麻薬密輸事件をよく知っていたのだ。
「分かりました。すぐに人を集めます」
しかし、問題がある。
今は深夜だったので集められる警備兵の数は多くなかった。
「これで全部ですか?」
「はい」
およそ20名余りの警備兵たち。
犯人は50人を超えているように見えた。
きっと死に物狂いで抵抗してくるはずなのに、この程度の人数では足りない。
「もっと動員できる兵力はありませんか?」
「あるにはありますが・・・」
「どこですか?」
「・・・近くに位置する帝国艦隊です。そこには千人を超える兵士がいます。ですが任意に動くことが・・・」
マリは騎士の言葉の意味を理解した。
治安や事件、事故を担当する警備兵と違って、艦隊は帝国の正規軍。
したがって、あえてマリが動かせる兵力ではなかったのだ。
艦隊の兵士を動かすには皇太子から直接委任された権限が必要だった。
(どうしよう?遅すぎると犯人たちが逃げちゃう)
確実な方法は皇居に戻って皇太子に報告した後、兵力を動かすこと。
しかし、そうすると時間がかかり過ぎ、事件は再び迷宮に陥るだろう。
結局、マリは強引な方法を選ぶことを決心する。
「私が艦隊の責任者の方と話してみます」
「え?でも・・・」
艦隊の責任者はウォード将軍を意味する。
いくらマリが皇太子の寵愛を受ける補佐官だとしても、頑固な将軍が彼女の言葉を聞き入れるだろうか?
「今、それ以外に方法がありません。あのまま放っておけば犯人たちは全員逃げてしまうでしょう。事件は難航するでしょうし、多くの被害者が生まれてしまいます」
「お怒りを受けるかもしれません」
「大丈夫です。犯人たちを捕まえることができれば、その程度は甘受できます」
「さすがフォン・ヒルデルン!分かりました!すぐに準備します!」
その時だった。
氷のように冷たい声が彼らの間に落ちる。
「その必要はない」
「・・・!」
マリの目が裂けそうに大きくなった。
今この瞬間、到底聞けない声が聞こえたからだ。
「・・・殿下?」
当惑した表情で皇太子を見る。
どうして彼がここに来ているのだろうか?
しかも雰囲気も変だ。
皇太子は仮面をつけないまま素顔だったが、マリを眺める目が普段とは全く違う。
怒ったように湧き上がる感情をグッと抑えている感じだった。
(どうして?)
特に彼に対して悪いことはしていないのだけど?
一瞬、マリの頭の中に一つの事実が浮かんだ。
彼があんなにも怒るに値する理由が。
(もしかして?私が逃げようとしたこと?)
バレなかったと思うが、それでなければ皇太子があんなに怒る理由がない。
どんな理由であれ、皇太子が気づいたことは明らかだ。
(ど、どうしよう?)
マリの顔が青ざめていく。
「マリ」
「・・・はい、殿下」
ラエルは深くため息をついた。
「・・・いや、とりあえず仕事を先に解決してから話そう」
マリはその言葉に、刑期を控えた囚人の気持ちになる。
皇太子が警備隊の騎士に顔を向けた。
「麻薬密輸現場を捉えたって?」
「はい、殿下!すべてヒルデルン卿の功です!ヒルデルン卿のおかげで、帝国を乱す犯人を掃討することができるようになりました!」
騎士がマリの功績を大いに称賛すると、皇太子は何も言わずに頷く。
普段なら短くても褒め言葉を残したはずなのに。
「時間が迫っているから、すぐ出発しよう」
皇太子は馬に乗って近くの艦隊に立ち寄り、兵力を派遣した。
そしてすぐに密輸現場を急襲する。
帝国の安全を優先したマリ。
ラエルが怒っている理由は、マリが脱走しようとしたことを知ったからでしょうか?
麻薬現場を取り押さえることは成功したのでしょうか?