こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は96話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
96話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 平和で心配のない人生
ユフテ川の下流は首都郊外に位置する港。
海を通じて入ってくる全ての物流はこの港を通ることになっている。
マリが乗ることにした船は、港から遠く離れた郊外に停泊していた。
人の目を避けて乗船するために出来るだけ遠く離れた船を調べたのだ。
「出航までは1時間ほど残っています。内部を整理中ですので、少々お待ちください」
船の船長がそう告げる。
「ところで、帝国の貴族がなぜイタリア半島に行かれるのですか?それも、こんな貨物船に乗って・・・?」
船長が静かに尋ねるが、マリは固く答えた。
「それは聞かないことにしたじゃないですか」
「そ、そうですね」
「今後も私がこの船に乗ったという事実は秘密にしておいてください」
「分かりました」
船長はこれ以上聞かないことにした。
どうせ彼は十分なお金を貰ったのだから。
この少女がなぜ独り身で険しい航海をしようとするのか気にする必要もない。
「しばらく風にでも当たってきてください。出稿すれば地面を踏むまでしばらくかかるでしょうから」
マリはうなずく。
ただでさえ本当に帝国を去ると思うと胸が苦しかったので、少し歩きたかったのだ。
(もう本当に去るんだ・・・)
マリは苦々しい表情をした。
(正直、嬉しくないといけないのに。帝国を離れれば、これ以上命の脅威を受けることもないし)
クローヤン王国の滅亡後、今まで皇居に隠れて暮らし、正体がバレるのではないかとどれほど気を揉んできたのか?
地中海の向こうに位置するイタリア半島は帝国と全く関係がない。
したがって、彼女が命を脅かされることもなかった。
(定着も難しくないだろう。私には色んな能力があるから)
彼女が得た数多くの能力の一つを使えば、十分豊かに暮らすことができるだろう。
つまり、あの船に乗った瞬間、マリの第2の人生が始まるといえる。
そして、その人生は平和で心配のない人生になるだろう。
(だから喜ばないといけないのに)
マリは元気のない表情を浮かべる。
「どうして一つも嬉しくないんだろう」
以前のことが思い浮かんだ。
囚人を看病し、最初に能力を得たこと。
色々な人に出会ったこと。
皇太子とキエルハーンと初めて向き合ったこと。
キエルハーンと近づいたこと。
過去の過ちで苦しむ皇太子の心が揺れたことなど。
数えきれないほどのことが彼女の頭の中に浮かんだ。
一度にたくさんのことが思い浮かんで、彼女自身も自分が何を考えているのか分からなかった。
ただ胸が張り裂けそうでもどかしかった。
「歩こう」
マリは首を強く振って足を運ぶ。
心を落ち着かせるために何も考えずに歩かなければならない。
肌寒い潮風に吹かれながらしばらく歩く。
何もない人里離れた場所だったので、とても静かだった。
ところが、しばらく歩いた時。
そろそろ帰ろうと思ったとき、マリは奇妙な光景を見つめた。
「あれ?あれは何だろう?ここにどうして船が?」
マリは首を傾げた。
長い間歩いてきたせいで、彼女は船着場から離れていた。
ところが、なぜか船が川の入口に停泊していたのだ。
「空の船?違うよね?」
人々が慌ただしく船を乗り降りしている。
そして下に待機している馬車に何かを詰めた袋を運んでいた。
「小麦かな?でもこの時間にどうして?」
何かおかしい。
尋常ではない雰囲気が彼女の背筋に流れた。
「まさか?」
一瞬、マリの頭の中で一つの推測が浮かぶ。
「麻薬密輸?」
突然思いついた考えに、彼女はごくりと唾を飲み込む。
麻薬密輸。
最近彼女と皇太子が没頭していた事件で、マリは密輸現場を確認するために数多く港を訪れていた。
(いや、まだハッキリしてない)
あまりにも重大な事案であるため、マリは現在の自分の立場を忘れて緊張した表情で慎重に船に近づく。
幸い廃建物があって身を隠すことができ、彼女はまもなく現場近くに到着した。
すると会話の音が聞こえてくる。
「おい、気をつけろ!高いものなんだから、一粒もこぼしたらダメだからな!」
「最上品のアヘンだろ?貴族たちを相手に密かに取引する予定だって?」
「密かに少しずつ味を見せたら、誰でも耐えられないだろうな」
とんでもない内容の会話にマリの瞳が大きく揺れた。
(本当にアヘンだ!麻薬密輸がここで起きてるなんて!)
まったくの偶然による発見。
チラッと見ただけでも、とてつもない量だ。
(この量が広がったら・・・、帝国に大きな混乱が生じるわ)
マリは一旦席を離れる。
一人でむやみに動いても災いに遭うだろう。
「とりあえず警備隊を呼ばないと。彼らが動く前に警備隊を呼び出せば麻薬が広がるのを防げるのはもちろん、麻薬密輸組織も一網打尽できる」
そう思いながら急いで足を運んだマリは、一瞬立ち止まった。
(今何してるの、マリ?あなたはもう船に乗って去らなければならないじゃないの?)
あまりにも驚くべき事案なので忘れていた。
彼女はもう帝国を去る身だったのだ。
「警備隊に教えるだけなら」
しかし、もうすぐ出港時間なので、遠く離れた警備隊まで行くことはできない。
密輸の事実を警備隊に伝えに行くと、船は立ち去り、脱出計画も失敗に終わるだろう。
脱出当日に麻薬密輸に遭遇するマリ。
こんな偶然があるのでしょうか。
まるで誰かが彼女の行動を止めようとしているかのようですね。
マリの選択は?