こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は299話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
299話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- カリンの悩み②
虫の羽が燃えるような速度。
カリンは驚いて悲鳴を上げようとしたが、何の音も出なかった。
恐怖で全身がこわばる。
生きたまま乗る恐怖が首筋をぎゅっとひねった瞬間、アビゲイルの声が聞こえてきた。
「カリン令嬢!動かないで!」
その叫びにやっとカリンは気がついたが、目の前に立っているアビゲイルを見て再び固まってしまう。
アビゲイルは素手で火のついたところを打ち下ろしていたのだ。
手が焦げていく匂いがする。
苦痛を我慢できる人がいるはずがなかった。
しかし、アビゲイルはカリンを離さない。
彼女の眉間は痛みで酷く歪んでいた。
「ノマ!クララ!」
アビゲイルは急いで侍女たちを呼ぶ中でも、火を消そうと努めた。
その間からうめき声が漏れる。
自分の指先が焼け、水ぶくれができても彼女はカリンを離さなかった。
「お、王妃様・・・、やめてください、やめてください・・・。手が、手が・・・」
カリンの引き止めにもかかわらず、彼女は止まらなかった。
カリンは彼女の行動を理解できなかった。
なぜ自分のために素手で火を掴もうとするのか。
自分はアビゲイルの邪魔をしようとしているのに。
なぜ私を焼け死ぬように放っておかないのか。
一体どうして。
その間、外に立っていた侍女たちが飛び出してきた。
二人が突然の火事に驚いて固まる。
その間、アビゲイルの叫び声が間こえてきた。
「部屋の奥にたらいがある!早く !」
一番先に気がついたのはノマだった。
彼女はすぐにたらいを持ってきてカリンにかける。
水の音と空たらいが転がる音が騒がしかった。
辛うじて炎が捕らえられた後も、部屋の中には冷たく焦げ臭いにおいが漂っていた。
火が消えると、カリンはそのまま倒れてしまう。
突然のにわか雨が降ったように、カリンの裾がびしょ濡れになった。
足がぶるぶる震えてきた。
恐怖と当惑と罪悪感のためだ。
「カリン令嬢、大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
アビゲイルは急いでカリンを観察する。
カリンはその姿に涙が出そうだった。
自分はどこに怪我がはなかった。
アビゲールのおかげだった。
自分を守るために、彼女の綺麗な手には火傷の跡がいっぱいだ。
後になってその事実に気づいたクララは、切羽詰った状態で医者を呼びに行く。
ノマも、やはり手を冷やすものを探しに行った。
カリンが無事であることを確認したアビゲイルが長くため息をついた。
彼女は少し悲しそうな目でカリンを見つめる。
「カリン令嬢。私は社交界の主役が欲しくてその服を脱げと言ったのではありません。クリノリンドレスが危ないからです」
クリノリンドレスの危険性の一つはまさに火事だった。
体積が大きいため火がつきやすく、すぐに広がる。
クリノリンドレスのせいで1年間に4,000人以上の女性が命を失い、2万人以上が負傷したという報告があるほど、この服には多くの危険性があった。
美しさの裏で怪我をして死んでいった人があまりにも多かったのだ。
アビゲイルはそれに背を向けることができなかった。
「だから、その服じゃなくて、他の服を着てほしいんです。本当に何かあったら・・・」
「この服。お父様が着ろと命令したんです」
カリンの髪から水滴が落ちていた。
彼女はうつむいて呟くように話し続ける。
「だから私はこの服を脱げません」
「でもその服は危険すぎる・・・」
「王妃様、私は王妃様のように強くありません」
カリンは自分の裾をぎゅっとつかんだ。
彼女はすでに燃えて灰だけが残ったかのように、今にも崩れ落ちそうに見えた。
「私が着る服が危険で不便なのは知っています。しかし、それを望む人々がいます」
父が、そして周囲の他の貴族たちがそうだった。
細い腰と豊満な胸を望む人があまりにも多かった。
「私はとても怖いです。父の命に逆らったまま、私が今まで着てきた服を脱ぐ勇気がありません。私は・・・」
ついに、カリンの目から涙がぽたぽた落ち始める。
公爵家の娘でも他人の視線と評価から自由になれなかった。
声に毒気はなかったが、生気もなかった。
自分があまりにもみすほらしく卑怯に見えてしまう。
アビゲイルの目には、自分がどれほと情けなく映っているのだろうか。
涙が何度も流れたその時、アビゲイルがカリンを抱きしめる。
「ごめんね、カリン。あなたの事情も知らずに、あなたに押し付けてばかりいたわ」
アビゲイルは自分が幸運な人であることを忘れていた。
もしセイブリアンがストーク公爵のような人だったら、自分はコルセットを脱ぐことができただろうか?
クリノリンのせいでしっかりと抱きしめにくかったが、それでもァビゲイルは精一杯カリンを抱きしめる。
カリンはびくびくしている間に小さなうなり声を出した。
「王妃様、私はこんな親切にしてもらう資格がありません。私が勇気のない臆病者であることは私もよく知っています」
「いや、そうじゃないよ。怖いのは当然のことだから」
最初にシュミーズドレスを披露した時、人々がどのように反応するかとても怖かった。
彼らが望む服を脱いだ時に触れる覗線があまりにも痛かった。
「ある人たちは後ろで私の悪口を言います。まだこんな服を着るんだって。私もこんな服を着たくて着るわけではないのに、私も勇気を出したいのに・・・」
「カリン」
アビゲイルはカリンの名前を優しく囁く。
その声はとても心地よく、カリンは頭をもたげた。
「あなたの服装であなたを非難する人がいるなら、いつでも私を呼んで。あなたに勇気が出るまで、私があなたの勇気になってあげる」
彼女はとても優しくて勇敢な人が、とても直視することができなかった。
このような話を聞いている間も、カリンは怖くて我慢できなかった。
勇気が出なかった。
「一生私が勇気を持てなかったら?」
私が果たして勇気のある人になれるだろうか?
アビゲイルみたいな人になれるかな?
自信がなかった。
一生変わらないようだった。
アビゲイルはしばらく黙っていたが、傷ついた手でカリンの手をぎゅっと握る。
「それなら、一生あなたの味方になってあげる。一生あなたの勇気になってあげる」
アビゲイルの言葉は炎のようだった。
鮮やかな光。
殺しても死んでも消えそうもない光。
火がすでに消えたと思ったが、消えたのではなく、自分の体に燃え移ったようだった。
その花火が自分の胸に、目についたようだった。
熱い熱気に雪が燃え、涙が流れだす。
人間の涙も真珠になれば、今頃床には数百個の真珠が積もったはずだった。
どうして彼女はこんなに優しくて強いのだろう。
自分がどれほどアビゲイルを苦しめたのか、どうやって一生味方になってくれると言えるだろうか。
「王妃様!主治医をお連れしました!」
その時、クララが急いで主治医を連れて帰ってきた。
アビゲイルの手を冷やすために氷のうを持ってきて、ぼうっとして2人を見ていたノマもやっと気がついた。
「王妃様、大丈夫ですか?手を・・・!」
ノマが冷たい水にアビゲイルの手を浸す。
傷口に冷水が当たると、彼女は自然に眉をひそめた。
その一方で、声だけは淡々としようと努めた。
アビゲイルは、どうしていいか分からない主治医に向かって話した。
「私の火傷は大したものではないわ。カリン令嬢がすごく驚いたし、怪我が心配だから調べてちょうだい」
「は、はい。王妃様。まず手の治療を・・・」
主治医は緊急にアビゲイルの傷を診察する。
その間、助手がカリンの様子をうかがった。
幸いカリンは驚いただけで、怪我はない。
「まず、令嬢を横になれる所に連れて行って、安定剤を差し上げます」
「お願いね」
カリンはメイドたちの助けを借りてよろよろと立ち上がった。
服は燃え、水を浴びて、一度嗚咽した後だったので、化粧はすべて崩れていた。
彼女は何も言わずに部屋を出ていく。
アビゲイルは手の傷よりカリンの後ろ姿がもっと痛く、離れた席をしばらく眺めていた。
アビゲイルの火傷が心配です。
カリンは、今回の一件で変わることができるのでしょうか?