こんにちは、ちゃむです。
「あなたの主治医はもう辞めます!」を紹介させていただきます。
今回は68話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
68話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 裏切り②
そのすべてのことを見守っていたリチェが慎重に尋ねた。
「公爵様、どうなさいますか?」
「ああ、リチェ」
アルガは一瞬気絶するかと思った。
リチェを眺めるエルアンの表情と声が完全に変わったためだ。
想像もできなかった柔らかい口調でエルアンは笑いながら言った。
「今回もまた君のおかげだよ。こうやって捕まえることをどうやって考えたの?」
アルガは、しなやかな声と堂々とした微笑みに唖然とする。
しかし、リチェは彼のそのような姿に慣れているのか、何気なく答えた。
「助けてくれる方が多かったので可能でした」
「いや、それでもこのすべてを考え出したのはあなたじゃないか」
「それは当然のことです」
「どこか怪我はない?森まで来て・・・毒草に触れたのでは?」
「矢に当たりそうになったのは公爵様なんですが」
「靴は楽なものを履いたの?足は痛くない?」
見ているほど見ものだった。
ほとんどの性格と能力はケイランに似ているが、一つにはまると少しピントがずれるのはイザベルに似ている。
先代のセルイヤーズ公爵夫妻をすべて知っているアルガは、簡単に結論を下すことができた。
二人の性向が極端に発現し、最悪に組み合わされたのだと。
一言で正常ではないという意味だった。
「ところで、どこにいらっしゃいましたか?」
リチェは使い捨ての魔法の指輪を外して言った。
「ああ、偶然皇太子様に会ったんだけど、誰かが攻撃をしていたんだ。ほんの少しだけお手伝いしてね」
「大騒ぎですね」
「うん、だからウェデリック一人いなくなっても誰も気にしないよ」
それまで計算して今日に決めたリチェは、ゆっくりとうなずいた。
エルアンは彼女が取った魔法の指輪を素早く受け取る。
「後でもっといいものをあげるね」
「え?何を言ってるんですか?」
「とりあえず私にちょうだい」
「ああ、こんなものを捨てるのがお好きでしょう?勝手に捨ててください。ところで、どこか怪我はしませんでしたか?」
「全部皇太子が勝手にやったんだ。私は・・・血を見るのが好きじゃないから」
「・・・」
アルガは口をあんぐりと開けた。
偶然会ったということから血を見るのが嫌だということまで、一言一言があっけに取られてしまう。
「でも、どこか怪我したかもしれないから、後でよく見てくれ」
リチェが「分かりました」と答える前に、アルガが無愛想に立ち上がった。
「はい、私が参ります」
エルアンは顔をそむけて彼を見る。
一瞬にして表情が冷ややかに変わっていた。
「フェレルマン子爵は遠い道を移動して大変だと思いますから、少し休んでください」
「いいえ。久しぶりに様子を見るのも兼ねて」
「兵舎の割り当てに時間がかかるのではないかと思うので、今日はリチェにお願いします」
リチェはしばらくためらった後、割り込んだ。
「はい、子爵様。今日は遠いところからいらっしゃったので、少し休んでください」
「やっぱり」
エルアンは笑顔でリチェのそばに立つ。
「リチェはいろいろと優しいね」
「それはそうです」
「とりあえず行こう。足が痛いから私の馬に一緒に乗って降りて」
まるで祭司を祀るように、エルアンはリチェを連れて黒馬に乗り込んだ。
そして、勝手に来いと言わんばかりにアルガとセイリンに目配せをして立ち去っていく。
アルガは静かに隣でウェデリックの護衛騎士を尋ねているセイリンに声をかけた。
「セイリン」
「なに?」
久しぶりに会う兄妹の初めての会話でもある。
「新しいセルイヤーズ公爵・・・ちょっとおかしくない?」
「知らない、私は」
セイリンは誠意なく答えた。
「リチェと一緒にいる時は、ずっとあんなにこじんまりした姿だったよ。それ以外は見たことがないから」
アルガは首を横に振る。
リチェはその違いに全く気づいていないのか、何も考えていない表情だった。
確かに、彼もさっき皇太子といた時のその姿を見ていなかったら、この乖離を認知できなかったかもしれない。
「いい公爵になりそうだ。セルイヤーズ公爵領は平穏だろうし、自分の席はよく守るだろう。けれど・・・」
アルガは静かに結論を出した。
「しっかり狂人だ」
ホアキン団長はウェデリックとアーロンまで連れて密かに公爵城に向かった。
誰も知らないうちに地下牢に閉じ込めるようにというエルアンの命令は、私にとってやや衝撃的だった。
当然、その場で裏切られた気持ちに震えながら、どうしていいか分からずにいると思ったのだ。
一人だけの従兄の裏切りに躊躇しないかと心配したが、むしろ長い間考えてきたように躊躇がなかった。
私は乗馬ができなくて、彼にほとんど抱かれたまま馬に乗っていた。
「大丈夫ですか、公爵様?」
「うん?何が?」
「ウェデリック様が・・・公爵様を傷つけようとしたじゃないですか」
「そうでなけれはもっと良かったが、仕方がない」
エルアンは落ち着きのない口調で話し答える。
ウェデリックをとても大事にしていると思ったが、そうではないのかもしれない。
エルアンが後ろにいたので表情は見えなかった。
(やっばり暖かい時は暖かいけど、結局は冷静な人なんだ)
私は心の中で、そう結論を下した。
自分にもこんなに優しいが、養女にするというイザベル夫人の言葉には完全に線を引いたのではないか。
一定の範囲内から外れると冷淡になる傾向が明らかだった。
(それがちょうどお兄さんの位置だったのにね。欲張るものを出さなければ)
なんでテーマが分からないの。
確かに、「セルイヤーズ」を欲しがる人たちには恐ろしいほど残酷だった。
「どうするつもりですか?」
「そんなに気にしないで、リチェ」
エルアンは私の毛先を撫でながら言った。
「残忍だったりするのは嫌いじゃないか」
「それはそうですね」
「勝手に解決するよ、リチェ。それでもありがとう、全部私のことを考えてこうしてくれたんだから」
「そういうわけです」
私はため息をついて答えた。
「あのお菓子の成分を私がしっかり突き止めていたら、ここまで大きなことを作らなくてもよかったのに」
「でも・・・」
エルアンはにっこり笑って耳元でささやいた。
「誰かが私のためにこうしてくれるということ自体が私は感動なんだ」
エルアンの立場から考えると、私は大変な幸運だろう。
子供の頃の面倒を見て、元気に帰ってこさせて、悪いことを考えていたいとこまで検挙してくれて。
「ところで皇太子さまは大丈夫でしょうか?」
どうせ攻撃されることは分かっていた。
無事に生き残って何事もなく狩り大会が終わり、背後は見られなくなることも。
とにかくそのことで騒々しい時にウェデリックを捕まえたかった。
あの暗殺現場に偶然エルアンがいるとは知らなかったけど。
「もちろん」
エルアンはため息をつきながら言った。
「何も知らずに体を使うだけで、まったく平気だから心配しないで」
「はい」
「考えもしないで」
「はい」
「安否を聞かないで」
「私は皇室の医療スタッフは絶対に行きません」
「それでもとにかく」
「皇太子さまの側室も考えていません」
「そんな言葉が出回るということ自体が非常に不愉快なんだ」
「成人になっても・・・季節の変わり目までは公爵城にいるはずです」
私の成人はもう本当にもうすぐだ。
狩猟大会が終わった後、ウロウロと時間が経てはすぐ私の誕生日だった。
「季節の変わり目まで?」
「はい、少し寒くなる時も体の調子がいいかどうか見てみましょう」
それさえも、フェレルマン子爵が引き続き公爵城についていれば、あえて私を必要としなかった。
しかし、成年以後、もう少し公爵城にとどまる理由がある。
(カンシラに会わなければならない)
きっとカンシラは近いうちに私を訪ねてくるはず。
健康上の問題が明らかに生じる予定だったからだ。
(過去を見ることができるという水晶玉を持ってくれば、私の両親を本当に見つけることができるだろう)
さすらいのジプシーであるカンシラに自分の居場所を「セルイヤーズ公爵城」と言っておいたので、それまでは公爵城にいなければならなかった。
(とにかく、私の居場所や場所は、何であれ状況を見て決めないと)
突然私を抱いていた彼の片手がもっとぎゅっと私をつかんだ。
「え」
エルアンの声がゆるくなった。
「そうだね。何でも状況を見て」
私は一緒に馬に乗るのもちょっと危険だと思う。
彼に抱かれていると、彼の熱気に体が巻きこまれるような錯覚がした。
「状況は、どう変わるか誰も知らないだろ?」
エルアンは両親の極端な部分を受け継いだのですね。
リチェは気づいていないようですが。