こんにちは、ちゃむです。
「あなたの主治医はもう辞めます!」を紹介させていただきます。
今回は69話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
69話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 憂鬱な相談
「・・・到底言えない」
その夜、セイリン卿が私の兵舎に来て髪の毛をかき分けた。
2人で話せるようにエルアンと先に来たのだが、セイリン卿は結局、フェレルマン子爵に真実を言えなかったようだった。
「18年間無駄なことをしたなんて、どうやって言えばいい」
私の兵舎でうろうろしていて、すべての事情を聞いたディエルの顔色も青ざめていた。
彼は金髪ではないかもしれないと何度も忠告した。
その度に、たった一つの希望だとため息をついていたアルガの顔を思い出すだけで
ため息が出てしまうようだ。
「狂ったように暴れたらどうしましょう?」
ディエルが爪をかじりながら呟く。
「それでも娘を見つけるという希望だけで生きてきた方なのに」
「そうだね」
セイリン卿の声は惨愴たるものだった。
「娘を探すと言って皇室の研究室から突然飛び出して・・・どれだけ嘲弄されたのか考えると・・・」
本来ならあまり関心がなかっただろうが、皇室研究室と良くない感情が生じた私は慎重に尋ねる。
「なぜですか?ただ出てこられたんじゃないんですか?」
「そもそも研究室がおしゃべりだった。アルガが話はまともにしなかったが、シオニーの話ではハエルドン皇子様と事あるごとに対立すると言ったんだ」
「医学で対立することは何がありますか?原則は明白ですが」
「それが正確には兄の考えで、皇子様の考えが少し違ったようだね」
セイリン卿は苦々しくつぶやいた。
「皇室研究室から出てきて・・・当然約束された伯爵位は消えたし。まあ、そのようなことが重要なわけではないが、これまで兄が研究してきたことも全て研究室に渡すという侮辱的な覚書も書かなければならなかったんだ」
もちろんその当時、フェレルマン子爵にとってそのようなことは重要ではなかっただろう。
「昔はそうではなかったが、もう世代が交替されたせいか・・・研究室の人たちが兄が実力がなくて追い出されたというように話していたよ。多分本人も知っていると思う」
誰がそのように話しているのかは分かるような気がした。
ハエルドン皇子がそのように言っていたからだ。
もう18年前のことなので、自分の思い通りに人をけなすのはとても簡単だろう。
「そうして歴史の中で兄は星を見ることなく、責任感すらない三流の医師として残るだろう」
セイリン卿は沈鬱に語り継いだ。
「でも、全部甘んじて、娘を探すという一念でそんなことは気にもしなかったのに」
ディエルがため息をつく。
むしろ他の手がかりがあれば分からないが、結局「娘」に対しては何の手がかりもない。
「それでは明日申し上げることにしましょう」
明日は狩猟大会の閉会式だったし、私とナタリーの対決結果が発表される日でもあった。
いくら調べても私が引き受けた患者、エシアン・レイジはハリフィ・ヒキガエルの毒に中毒されたのが正しかった。
ナタリーが主張したトマソ症候群なら、すでにエシアン・レイジは適切な処方が実現せずに死んだのだろう。
しかし、私の判断通り、できるだけ消極的な治療とともに無条件に毒の排出に気を使うと、彼の顔色は最初よりかなり良くなり、意識も戻ってきた。
もちろん短期間で解決できる病気ではない。
きれいに治るのはもっと時間がかかるだろうが、少なくとも峠は越えたわけだ。
エルアンやディエル、セイリン卿は、私の実力を信じているのか、この対決については何の質問もしなかった。
「あの患者はどう?」とか「君の治療法で合ってる?」のような言葉も聞いたことがない。
みんなどうせ勝つと思っているようだ。
「とにかく、ハエルドン皇子様に謝罪を受けると気分がよくないですか?」
「兄も人間だから、当然いいだろうね」
「そして・・・多くはないですが、親子検査の試薬を差し上げて・・・」
私はビーカーに少し入れた試薬を見ながらつぶやいた。
大量生産が不可能なので、全大陸の18を調査するのは難しいだろう。
ディエルが慎重に割り込んできた。
「ところでシオニー様がその子をセルイヤーズ公爵領に送ったんだって?」
「しかし、イザベル夫人は一度もそんな話をしたことがない」
イザベル夫人は、娘とエルアンを結びつけることにした話も覚えている人だ。
関連したエピソードがあれば、私に話をしてくれなかったはずがなかった。
「たぶんそっちに送ったけど、何か問題が起きたに違いない」
「イザベル夫人が何か見逃しているかもしれないし、あまり希望を失わないようにしよう」
ディエルの言葉に私は静かに首を横に振った。
「生半可な希望が人には一番拷問なの。私が経験してみて分かる」
ハンスの件は、私にとってかなり衝撃的なものだった。
本当に家族を見つけたと思っていたあの数日間のときめきは、後にさらに大きな裏切りと挫折に戻った。
私が何の記憶を思い出しているのか気づいたディエルが覗線を落とすと、セイリン卿が一度拍手をした。
「そうだね.とにかくリチェの言うことは正しい。できるだけ気分がいい時、その時に話そう。でも・・・それでも死にそうだとか言われたら?」
その時、ディエルはいい考えが浮かんだかのように頭をもたげた。
「無理にでも生きる意志を作ってあげなければなりません」
「どうやって?」
「リチェの成人がもうすぐじゃないですか」
「私の誕生日?」
私は渋い顔で聞いた。
それが一体何の意味があるのか、すぐには理解できなかった。
回帰前、私の成人はただ子供から独立する日だった。
特に誰かから非常にお祝いを受けたりした記憶は全くない。
しかも、あの日が本当に私の誕生日だとは思ってもいなかった。
それは保育園に私が到着した日であり、本当に私が生まれた日ではなかったからだ。
「それが何だと言うの?」
私の疑問に、セイリン卿は呆れたように口を開いた。
「リチェ、君が成人になる日なのに、そんな反応は一体何なんだい?」
「それが重要なんですか?」
「もちろん」
セイリン卿は鼻息を吐き出しながら言った。
「平民だからデビュタントを開いてあげることはできないが、全体を華やかに飾って・・・」
すると、ディエルが割り込んできた。
「いいえ、それはどうもイザベル夫人との打ち合わせが必要だと思います。私が見るには、イザベル夫人は決してそのようなイベントをフェレルマン子爵私に奪われる方ではありません」
「あなたはどの家門の人なの?給料はどこで貰っているの?」
セイリン卿の鋭い目つきにディエルが直ちに口をつぐんだ。
私は手を振りながらにやりと笑う。
「その必要はありません。それが何のお祝い事になると・・・」
「兄はあなたの代父じゃないか」
セイリン卿が私の手をぎゅっと握った。
「だから・・・あなたの成人のお祝いを必ず直接受けたいとお願いしてみて。そうすれば、その時までは生きているんじゃないの」
「その後は?」
「それはその時のことを考えればいいことよ」
私が不審そうにまばたきをすると、セイリン卿は涙声で再度頼んだ。
「人を生かすとしよう、リチェ・・・ どうか代父が祝ってくれる盛大な誕生日パーティーを開きたいとお願いして」
「私は嘘が下手なのですが」
「兄は医学以外は馬鹿だから、無茶苦茶な嘘にも騙されるわ」
「・・・分かりました」
結局、私は仕方なくうなずいてしまった。
「人一人を生かすとして」という言葉が私には途方もない重さだったから。
まあ、誕生日パーティーを開いてほしいと言うのが、そんなに出来ないことではないのだけど。
「成人への賄り物として何を準備すればいいのかな」
セイリン卿が下唇をかみしめながらつぶやいた。
「とにかく、セルイヤーズ公爵城に負けてはいけない」
「プレゼントなんか要らないのに・・・」
「何言ってるの?」
彼女が私の髪を耳の後ろに渡してくれてにやりと笑った。
「多分、お父さんも喜んで何日も悩んでいる姿が目に浮かぶ」
私の馬車を待っていたフェリックス老人を思うと、心がおかしくなった。
「いよいよいつも落ち込んでいた我が家にもときめきが訪れるね」
「そ、そこまで・・・」
「ありがとう、リチェ」
彼女は私の頭をそっと撫でてくれた。
ふと、華やかな成人の誕生日パーティーも悪くないような気がした。
アルガに真実を伝えたときの反応が怖いですね・・・。
リチェの成人式を派手に祝ってもらいましょう!