利用され長女はもう我慢しません

利用され長女はもう我慢しません【25話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「利用され長女はもう我慢しません」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【利用され長女はもう我慢しません】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「利用され長女はもう我慢しません」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

25話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 古代遺跡

肩を落としたゴルスとルークが向かった先は、王蛇傭兵団の本拠地からそれほど離れていない森の中だった。もちろん、魔物の森ではない。

人気のない森を歩きながら、ラディスは言った。

「変なことを考えたら承知しないわ。」

「でたらめじゃありません! 本当なんです!」

松明を持ったルークが勢いよく飛び上がった。卵の入ったかごを抱えて先を歩いていたゴルスが口を開く。

「もう十年以上も前のことです。当時はこの辺りまで下級魔物がうろついていて、この森にはほとんど人が来ませんでした。俺たちはこの近くで山の獣でも狩ろうと身を潜めていたんです。すると、鎧を着た連中がこの道を通っていきました。一人や二人じゃありません。大勢でした」

鬱蒼とした森をかき分けながら進んでいたルークは、大きな木々の間に絡みつくつるを払いのけた。すると、小さな開けた場所が現れ、その向こうにはそれほど高くない岩壁が見えた。その岩壁の間には、地盤が崩れてできたような狭い洞窟の入口があった。

ゴルスが言った。

「その連中は馬をつないだまま、あの中へ入っていきました。」

「ええ。」

「私たちは、あの向こうの洞窟にお金でも隠してあるのだろうと思っていました。」

ゴルスはごくりと唾を飲み込んだ。

「ですが、その洞窟に入った人たちは帰和しませんでした……いや、帰ってきた人はいました。たった二人だけです。黒いマントを羽織った男が、一人の子どもを連れて出てきました。」

「子ども?」

「はい。でも、それ以外の人たちは誰も戻ってきませんでした。好奇心から私たちは中へ入ってみたんです。そして驚きました。」

ルークが松明で洞窟の中を照らした。一歩足を踏み入れたラディスも思わず息をのんだ。

洞窟の内部は、四角い石レンガで造られた長い通路になっていた。右側は落石で完全に塞がれていたが、魔物の森の方向へ続く通路は、果てしなく奥へと伸びていた。

「これが禁域まで続いているのか?」

「はい! その通りです!」

ゴルスは卵の入ったかごを地面にどさりと置き、へつらうような笑みを浮かべた。

「では、私たちはここで失礼します……!」

そう言って慌てて逃げ出そうとしたルークのマントを、ラディスは素早くつかんだ。

「最後まで責任を持つって言ったよね?」

ゴルスは青ざめた顔で叫んだ。

「い、いや、責任逃れじゃありません! この通路は長いですが一本道ですから、まっすぐ進めば着きます。その先が禁域なんです! 案内するまでもありません!」

「卵を持ち出したんだから、返しに行くのもあなたたちの役目でしょ。」

ラディスは腰のベルトから短剣を抜き、威圧するように二人を見つめた。

「ひぃっ!?」

その緑色の塊に驚いたルークは、悲鳴を上げて叫んだ。

「ゴルス! ゴルス! 持っていけ!」

ゴルスはぶつぶつと文句を言いながらも、仕方なさそうに再び箱を抱えた。

その後、一行は暗い通路を進んでいった。ただ歩くだけではあったが、それだけでも決して楽ではなかった。通路はレンガでしっかり造られていたものの、空気はよどみ、息苦しくなるほど湿気とカビ臭さが充満していた。ルークが何本も用意してきた松明がなければ、本当に耐え難い道のりだっただろう。

(こんな通路があったなんて……信じられない。)

ラディスは通路を隅々まで注意深く観察した。

通路は非常に古い時代に造られたらしく、途中には地下水が流れ込んで池のようになっている場所や、木の根が入り込んで壁が崩れている場所もあった。しかし、それらはごく一部で、大半は良好な状態のまま残されていた。

ラディスは、もしかするとそれは古代魔法のおかげなのかもしれない、と考えた。通路にはところどころ古代文字が刻まれた石壁があったからだ。ゲートのように厳重に管理されているわけでもなく、文字が光っているわけでもないため、ゴルスやルークはまったく気づいていないようだった。

いや、ラリングやデュラスでゲートを見たことがなければ、ラディス自身も気づかなかっただろう。

(もしかしたら、この通路もゲートのような古代魔法の遺跡なのかもしれない)

途中で休憩を取り、交代でかごを担ぎながら歩いているうちに、長い沈黙が重苦しく感じられてきた。その間も、ゴルスとルークは他愛もないおしゃべりを続けていた。

「最初は何も分からずここへ来たもんだから、歩いても歩いても何度も引き返しましたよ。目印なんてありませんし、どこまで行っても終わりが見えないんです。」

「ははっ、まるで俺たちの未来みたいだな!」

「……」

再び沈黙が流れた。

「それで、何度目かの挑戦でしたっけ? 今度はちゃんと準備して、とうとう最後まで行けたんですよ!」

「そうなんです。石の扉を開けると、広くて何もない空き地が広がっていて、珍しくてあちこち歩き回りました。周りには白い木がびっしり生えていて……」

興奮気味に話すゴルスを見て、ラディスは疑いを捨てた。ゴルスが語る景色は、彼女が記憶している禁域の風景と一致していた。この通路は、本当に禁域へとつながっているようだった。

「……そして、たどり着いた広場の端に卵があったんです。見た瞬間にわかりましたよ。あれが魔物の卵だって!」

「ひひひひっ!」

「かなり肝が冷えたよね。」

ラディスはうなずきながら言った。

「それを、お金を出して買っていく人がいたってこと?」

ゴルスは得意げに答えた。

「そう聞いていました!」

「まともじゃないわね。」

とはいえ、物好きな人間というのは思っている以上に多い。討伐隊にも、そうした依頼が持ち込まれることは時々あった。たとえば黒ユニコーンの角やサーベルタイガーの牙のようなものは、収集家の間では魔石よりも高値で取引されることもあった。夜霧蝶の標本のように、魔物そのものが高値で取引されることもありましたし、用途は分かりませんが、魔物の肉や血を買い取る人までいた。

「卵をうっかり割っただけで、せいぜい下級魔物がわらわら集まってくるくらいじゃないのか?」

「それが、グールにインプ、ハーピーまで現れて、大騒ぎになったんですよ。」

ラディスは呆れた。

「そんな大騒ぎになったのに、その卵をそのまま開拓民に売りつけたの? 自慢してるの? もっと殴られたいの?」

「ち、違います!」

ゴルスは慌てて首を振った。

「腹が減って仕方なかったんです! その卵を生で食べた奴が、魔力が暴走してひどい目に遭ったって噂が広まってからは、卵もさっぱり売れなくなりました。お嬢さんには想像もつかないでしょうけど、そんな汚い手でも使わないと、俺たちみたいな底辺傭兵は生きていけないんです。」

「だからって、そんな卑劣な手を使うの? そんなことをすれば、いつか必ず報いを受けるわ。……私に見つかったみたいにね。」

「は、はい! 正義感あふれる立派なお嬢様に、私たちみたいな下っ端の気持ちなんてわかるはずありませんよ……!」

ゴルスがへりくだって言い返すと、その横でルークが青ざめて叫んだ。

「申し訳ありません! 二度とそんなことはしません! 心を入れ替えます……!」

ラディスは冷ややかな目で二人を見つめたあと、視線をそらした。

『正義の味方』だなんて、とんでもない。彼女は正義感に突き動かされてこんなことをしているわけではなかった。正義の使徒になりたいなどと、一度たりとも思ったことはない。前世でもそうだったし、今でもその考えは変わらない。彼女は、自分の身を守るだけで精一杯だった。

ラディスはもともと冷淡な人間だった。時折、屋敷を抜け出して魔物狩りをしていたが、それも崇高な目的があったからではない。万一に備えて質の良い魔石を集めておきたかったことが一番の理由であり、彼女の知る限り、最も効率の良い訓練は実戦だったという理由もあった。また、何だかんだで恩義のある侯爵家の力になりたいという気持ちもあった。

とはいえ、正義感から行動していたわけではない。

(腹が減っていたから?)

呆れるほかなかった。言い訳にも限度がある。腹が減っていたという理由だけで魔物の卵を持ち出し、してはいけないことを繰り返した結果、ゴルスは多くの人を巻き込み、やがて密猟者となって処刑されることになる。

(誰かに知られるのも時間の問題ね。)

ラディスはそう結論づけた。彼女は、ゴルスが皮肉ったように、何か崇高な使命があってこんなことをしているわけではなかった。これから起こる悲劇を知っているからこそ、見過ごせなかった。それだけのことだ。

途中で何度か休憩を取りながら、どれほど歩いただろうか。ついに通路の終点が見えてきた。丸い広場の奥には、巨大な石の扉がそびえ立っていた。ルークが石の隙間に松明を差し込むと、広場の様子がよりはっきりと見えた。

「これは……!」

ラディスは確信した。この通路は、やはり古代魔法の遺跡だった。広場の床に敷き詰められた石には、ラリングのゲートで見たものによく似た古代文字の文様が刻まれていた。

感嘆したラディスが広場を見回している間に、籠を下ろしたゴルスとルークはその場にへたり込んだ。

「はぁ……本当に死ぬかと思った!」

「歩いていて倒れるかと思ったよ!」

「もう無理!」

そんな二人を呆れたように見つめていたラディスだったが、実際には彼女もかなり疲れていた。体よりも精神的な疲労のほうが大きかった。終わりの見えない闇の中を歩き続けることは、想像以上に過酷だった。しかし、休んでばかりもいられない。

(いったい、どれくらい時間が経のだろう?)

侯爵邸を抜け出してから、かなりの時間が経過しているはずだった。暗闇の中にいたため正確な時間は分からないが、少なくとも丸一日は過ぎているように思えた。もしかすると、屋敷の者たちが彼女を捜し始めているかもしれない。

今回戻れば、もう「夜の散歩」なんていう悲しい言い訳では、ごまかせなくなるかもしれない。ラディスは寂しげに微笑んだ。

(別に隠すようなことじゃないのに……どうしてあんなに隠していたんだろう?)

答えはすぐに出た。知られたくなかったからだ。ラディスは魔物討伐だけは得意だったが、それを誇りに思ったことは一度もなかった。討伐隊という非日常の場所では、その力は生き抜くための武器になった。しかしティルロードへ戻れば、ラディスはまるで汚れた泥沼から這い出してきた野良犬のように扱われていた。

「できるだけ部屋から出てくるな。みっともないし、気味が悪い。」

魔気の影響で紫色に変色した肌を見たマーガレットは、まるでラディスが毒キノコにでも変わってしまったかのように顔をしかめた。

(それ、うつるようなものじゃないわよね? デイビッドにうつったら大変だから、あなたはデイビッドに近づかないで。)

今のマーガレットなら、そんな言葉を聞いても傷つくことはないだろう。だが、前世のラディスは違った。もしかしたら水で洗えば紫色が消えるかもしれないと、肌が擦り切れるほど体を洗い、どれほど涙を流したことか……。

「……」

ラディスは静かに首を横に振った。

(それも、もう起こらないことだ。)

これでゴルスとルークは、卵を持って好き勝手することはもうできないだろう。それにラディスがティルロード家から離れた今、彼女の家族ももう彼女を苦しめることはできない。

ラディスは籠を抱え、何かをひそひそ話しているゴルスとルークに向かって言った。

「行こう。」

「えっ?」

ルークは絶望したような顔で首を振った。

「無理です! 一歩も歩けません!」

これまでラディスの言うことには素直に従ってきたルークも、今回はさすがに断固とした態度だった。それも当然だ。ラディスに散々殴られ、そのうえ一日中歩き続けたルークは、本当にボロボロの状態だった。

(少し殴りすぎたかな。)

ラディスは少し反省した。少しだけ。

その時、ゴルスが勢いよく立ち上がった。

「俺が行きます。ルーク、お前はここにいろ。」

ゴルスは重々しい石門と、鎖でつながれた滑車の取っ手へ歩み寄った。彼は顔を真っ赤にしながら力いっぱい取っ手を回した。

ギギギ……という重い音とともに錆びた鎖が動き出し、石門が少しずつ開いていく。人が一人通れるほどの隙間ができると、ゴルスは取っ手を固定具に引っ掛け、額の汗をぬぐった。

「開きました!」

ラディスはゆっくりと石門の隙間を通り抜けた。門を抜けた先には、周囲一面が濃い霧に覆われ、何も見えなかった。

湿っているというより、水の中にいるような感覚だった。霧には魔物たちの体から漂う生臭い悪臭が濃く染みついていて、息をするのも苦しい。むしろ石門の内側にあった淀んだ空気のほうがましだと思えるほどだった。

禁域では風すら吹かない。それでも、色を失った世界の中では、ときおり風の音にも似た不気味なうめき声が聞こえてきた。卵の入った籠を抱えたまま、ラディスはその場に立ち尽くし、ぼんやりと周囲を見回した。

この音。この臭い。それらは、彼女の一度目の人生の記憶を呼び覚ました。

(何かおかしい。)

(副隊長……!)

ぼんやりと森を見つめていたラディスは、はっとして首を振った。

「違う、違う!」

帝国討伐隊の副隊長・デイビッドとして生きたラディスの人生は、もう終わった。彼女はすでに死んでいる。今ここにいるのは、18歳のラディスだ。自分自身のために生きると決めたラディス。

「起こってもいないことよ。まだ起きていないことを恐れる必要なんてない!」

ラディスは袖で口と鼻を覆った。禁域は毒キノコや毒草が群生する危険な場所だった。風さえ吹かず、淀んだ禁域の空気は――それ自体が危険だった。

おそらく、つい先ほど絶望的な記憶を思い出した影響もあったのだろう。ラディスは振り返りながら言った。

「あなた、鼻と口を……」

だが、そこにゴルスの姿はなかった。

石門の間から、ギギギッという鎖が巻き上がる音が響いた。ほとんど閉じかけた石門の隙間から、ゴルスの叫び声が聞こえてくる。

「うはははっ、運のないお嬢さんだ! 魔物の餌にでもなるんだな!」

続いて、ルークの悲鳴のような声。

「ゴ、ゴルス……! いくらなんでも女の人なのに……!」

「俺の卵を返せ! この門は内側からしか開かないんだよ! くははははっ!」

ラディスは慌てて手を伸ばしたが、石門はすでに閉じかけていた。

 



 

  • 禁域への潜入と古代遺跡の正体

    ラディスは、魔物の卵を持ち出した傭兵のゴルスとルークを脅し、かつて下級魔物が徘徊していた森にある隠された洞窟へと踏み込む。そこは古代魔法の技術によって造られた重厚な石レンガの通路であり、果てしなく続く地下道を進んだ末に、魔物たちが生息する危険な禁域へと通じていることが判明する。

  • 過去の記憶と家族からの呪縛の克服

    過酷な地下道を歩きながら、ラディスは前世で帝国討伐隊の副隊長「デイビッド」として生きていた記憶や、ティルロード家で家族から冷遇され「気味が悪い」と排斥されていた痛ましい過去を回想する。しかし、すでにその苦しみから解放された彼女は、過去の幻影に囚われることなく自分のために生きる決意を新たにする。

  • ゴルスの裏切りと絶望の罠

    禁域にたどり着き、魔物の卵の入った籠を返そうとした矢先、ゴルスが本性を現す。彼は内側からしか開かない石門を突如として閉ざし、ラディスを危険な霧と魔物が巣食う禁域の内部に閉じ込めたうえで、「魔物の餌にでもなるんだな」と嘲笑いながら置き去りにするという裏切り劇を引き起こす。

 

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