こんにちは、ちゃむです。
「余命わずかな令嬢が黒幕家に偽装就職したら」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
56話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 交錯する陰謀
私はその日、夢の中で見たこと、聞いたことをそのまま話した。話が進むにつれて、カディエンは信じ難いというように眉をひそめていく。
「つまり先生の話では、あの夢は私の過去で、その日に私を助けた女性がいた、ということか?」
「はい、そうです。」
まだあの夢が本当に過去なのかは断言できない。
(でも、これまでカディエンが見てきた夢は、どれも過去を映していた――。)
だって、その夢は過去ではないと言うには、あまりにも鮮明すぎる。
「さあな。」
だが、返ってきたカディエンの答えは悲観的だった。
「私には分からない。少なくとも、私の記憶の中には、そんな自己犠牲の精神にあふれた女性はいない。」
「幼い頃の記憶を失ったって、おっしゃっていましたよね。」
「それだけでは説明がつかない。」
「どういう意味ですか?」
すぐに信じてもらえるとは思っていなかった。それでも、何度も否定するカディエンを見ていると胸が苦しくなった。しかしカディエンは、そんな私の気持ちには構わないというように、淡々と話を続ける。
「そうだろう。相手は高貴な身分でもなく、ただの貧民街の子どもだ。助けたところで得られるものなど何もない。それなのに、なぜわざわざ助ける必要がある?」
続いて、カディエンの口元には冷たい嘲笑が浮かんだ。
「頭の中がお花畑ででもない限り、そんな話は信じない。」
カディエンは皮肉っぽく言った。その姿に、夢の中で見た幼いカディエンの姿が重なって見えた。
(私みたいな人間を助けたって、お前に得なんて一つもない。感謝する人もいないし、私は何も返せない。むしろ面倒に巻き込まれるだけだ。)
幼いカディエンもまた、無表情のまま同じようなことを口にしていた。不思議なものだ。幼い頃のカディエンと今のカディエンは別人のようにも見えたが、それでも間違いなく同じ人だった。だからこそ私は、これ以上カディエンに誤解をさせるわけにはいかなかった。
幼い頃のカディエンが受けた優しさを、記憶を失ってしまった今のカディエンにも、少しでも伝えたかった。
「閣下のおっしゃるとおり、その人はお人好しだったのかもしれません。」
カディエンは無表情のまま私を見つめた。私はぎゅっと拳を握り、彼と視線を合わせて続ける。
「でも、お人好しでも、本気で誰かを助けたいと思う人はいるんです。」
カディエン、あなたにもそんな人がいた。
「本当に……何も思い出せないんですか?」
「……」
カディエンは何も答えなかった。その姿を見て、私は胸が締めつけられる。その記憶は、カディエンにとって数少ない、他人から向けられた優しさだったのだから。
……その記憶を体験したということだ。その記憶すら切り取られてしまったのなら、カディエンに残っているのは、本当に苦しくてつらい記憶だけではないか。
(そんなことってある……?)
誰かが意図的に記憶を切り取らない限り、こんなことにはならない。しかも、私が現れるまでは、その女性はカディエンの夢に一度も現れなかったという。幼いカディエンは、何度も何度も死を繰り返していた。
(まるで誰かが、真実を見せないようにしているみたい。)
その時、不意に最後の場面でカディエンを誘っていた声が頭によみがえった。
(私があなたを助ける。約束したでしょう。)
その声は、カディエンを救った少女を装い、彼を誘惑していた。結局、幼いカディエンはその誘いに応じ、その差し伸べられた手を取ってしまった。
(その後、どうなったんだろう?)
それに、そもそもあの声の正体は何だったのだろう。私はじっとカディエンを見つめた。彼も不思議そうな表情で私を見返してくる。もしカディエンの失われた記憶が、あの声と関係しているのだとしたら。その記憶を消すために、無理やり記憶そのものを切り取られたのだとしたら。
そう考えてみると――
(消された記憶は、それだけじゃない。)
私が最初に見たカディエンの夢。祭壇に縛りつけられ、何かの術を施されていたカディエンの姿。
(もし、あの女性と彼らがつながっているのだとしたら……。)
そして彼らがカディエンの記憶に細工をしたのだとすれば、すべての辻褄が合う。
(カディエンは……。)
私はカディエンを見つめた。彼は何も知らない。自分に何が起きたのかも、自分の記憶の中に何が隠されているのかも。
(もし真実を知ったら……。)
彼は傷ついてしまうだろうか。彼らはカディエンを「メルセデス家の人形」と呼んでいた。もしそれがあの術と関係しているのだとしたら、軽々しく話してしまうことで、かえってカディエンを深く傷つけてしまうのではないだろうか。
(でも、いつまでも隠し続けるわけにもいかない。)
ただの記憶喪失だと思っていたものが、実は誰かによって無理やり切り取られた記憶かもしれないと分かってしまった以上――もう、「カディエンのため」という理由だけで気軽に踏み込める領域ではなくなっていた。
それでも……やっぱり怖い。そうしてためらっていると、不意にカディエンが口を開いた。
「先生。」
私ははっとしてカディエンを見た。紫色の瞳は揺らぐことなく、ただ真っすぐ私だけを見つめていた。
「先生が何を悩んでいるのかは分からないが。」
私は思わず息をのんだ。カディエンはいつも、予想もしないタイミングで私の心を見透かしたようなことを言う。いつもの無表情のまま書類をめくりながら、カディエンは――
そう考えていると、カディエンが苦笑するように言った。
「先生が思っているほど、私はそんなに弱くない。」
「……」
「だから、私のことで悩んでいるのなら、そんなことで無駄に気を落とすな。」
相変わらず素直じゃない言い方だ。それでも、不器用なその言葉の裏にある優しさはとても温かくて、私は自然と心が和らいだ。
(そうだった。あなたは、こういう人だった。)
ただの黒幕でも、メルセデス公爵でも、サブ主人公でもない。私だけが知っている、本当のカディエンの姿。
私は静かにうなずいた。
「はい。そうします。」
そう答えると、穏やかに笑みを浮かべた。
「実は、閣下にお話ししていない夢があるんです。」
カディエンは、話してみろと言うように視線を向けた。私は小さく息を整え、話を続ける。
「閣下が初めて魔力暴走を起こした日、実はその時にも閣下の夢を見たんです。」
「ウサギの夢か?」
「あれは……閣下の悪夢を隠すための言い訳でした。」
「よりによって、あんな夢を?」
「……」
私はぎゅっと唇を結んだ。思っていた以上に、カディエンは私がウサギの夢を見たという話を気にしていたらしい。
「ええと……とにかく、その時に見た夢には……幼い頃の閣下が出てきたんです。」
「そうだろう。これまで見た夢は、どれも幼い頃の私が主人公だったからな。」
「はい。でも……幼い頃の閣下は祭壇に縛りつけられていました。それに、古代神殿の紋様が描かれたローブを着た者たちに、術を施されていたんです。」
「術?」
「はい、その……」
乾いた唇を湿らせようと、私は一度つばを飲み込んだ。それでも喉は詰まったままだった。
「……その術に成功すれば、『メルセデスの人形』を手に入れられると言っていました。」
「……メルセデスの人形、か。」
私の言葉を繰り返し、小さくつぶやいた彼の口元には、冷たい笑みが浮かんだ。
「先生の言うとおり、あの夢が過去の記憶を映しているのなら、その夢もまた、私が実際に経験したことというわけだな。」
私は返事の代わりに、静かにうなずいた。そして私は、自分が夢の中で知ったことを、彼にすべて話した。
私は、イグリードの存在、ジェフリー、そして彼らの最期まで、すべてを話した。話を終えるまで、カディエンは一言も口を挟まなかった。
「それでは、失礼します。」
パタン。
部屋を出た私は、そのまま扉にもたれかかり、大きく息を吐いた。
(全部話してしまった。)
信じるか信じないかはカディエン次第だ。それでも、すべてを打ち明けたことで胸のつかえは少し取れた。
(……でも、本当にこれでよかったのだろうか。)
いや、違う。私は首を横に振った。カディエン本人が「大丈夫だ」と言っているのに、私が勝手に決めつけるのは、かえって彼を欺くことになる。
(カディエンも、もう少し考えてから話してくれると言っていた。)
だから、今は待とう。
そう思って歩き出そうとした、その時だった。
「おや、プリントン先生。報告は終わりましたか?」
突然聞こえた声に、私は振り返った。ウィンストンだった。彼はいつにも増して疲れた表情をしている。無理もない。カディエンの命令で、院長を別棟へ送り届けて戻ってきたばかりなのだから。
私は気の毒そうにウィンストンを見つめ、小さくうなずいた。
「はい、お疲れさまでした、執事さん。」
「は海……いえ。それでは。」
軽く頭を下げて別れようとした、その時だった。ふと思い出した私は、ウィンストンに声をかけた。
「執事さん、一つお聞きしたいことがあるんですが。」
ウィンストンは小さく首を傾げた。
ヒュウウ――
ガタガタッ!
風が吹くたびに古びた窓が激しく揺れ、その隙間から冷たい風が吹き込んでくる。肌を切り裂くほどではないものの、身震いするには十分な冷たさだった。問題は、窓だけではなかった。長い間、人の手が入っていなかった別館は、廃墟と呼んでもおかしくないほど荒れ果てていた。
それでも、ウィンストンが使用人たちに命じて掃除や最低限の修繕をさせたおかげで、今の状態になったのであって、それ以前は足を踏み入れることすら難しい有様だった。
今日からこの別館の主人となった院長、ヴィゲン・サンチェスは、不満げに舌打ちした。
「よくも……半端者のくせに、この私を侮辱しおって。」
こんな決定を下したカディエンを思い浮かべると、彼のこめかみがぴくりと震えた。もちろん、あの場でヴィンセントに手を上げようとしたのは、自分がやり過ぎだったことは認めている。もしあの平手が本当にヴィンセントに当たっていたなら、この処遇に怒りを覚えたとしても、不当だとは言えなかっただろう。
だが、その手は結局ヴィンセントには届かなかった。ヴィゲンは眉をひそめる。
「あの家庭教師は……」
確か、名前はリビア・フリントンだったか。
(たとえメルセデスが主人を失う日が来たとしても、孤児院長の手には渡りません。だから、身の程を超えた欲は抱かないことです。)
まるですべてを見透かしているかのように鋭く輝いていた琥珀色の瞳を思い出し、ヴィーゲンは息を潜めた。リビア・フリントンが本当に何かを知っているのか、それとも単なる勘なのかは分からない。だが、一つだけ確かなことがある。このまま放っておけば、いずれ自分の計画の邪魔になる。長年メルセデスを見守ってきた勘が、そう告げていた。
(あの女は……始末しなければならない。)
ヴィゲンが決意を固めていた、その時だった。
コンコン――。
突然のノックの音に、ヴィゲンは驚いて振り返った。
ギィィ……。
固く閉ざされていた扉が、重いきしみ音を立てながらゆっくりと開く。その向こうに、一つの人影が立っていた。北側の別館は薄暗く、日の光もほとんど差し込まないため、廊下には濃い影が落ちている。人影は闇に包まれ、顔までは見えなかった。
「誰だ。」
ヴィゲンの問いかけに、闇の中の人物は小さく笑った。顔が見えないにもかかわらず、ヴィゲンは相手の正体に気づいたように舌打ちする。
「お前か。まともに報告も上げず、よくも私に会いに来られたものだ。」
「……公爵の動向については、そこまでだ。」
そこまで報告したヴィーゲンは、一度口を閉じると、再び静かに言った。
「今はそれより、新たな命令を下す。」
「任務」という言葉に、人形の動きがぴたりと止まった。ヴィゲンは人形へ向かって冷たい声で命じる。
「この屋敷の家庭教師――」
「……」
「リビア・フリントンを始末しろ。」
命令を下すヴィゲンの口元には、残忍な笑みが浮かんでいた。
(この道も久しぶりだ。)
私は街路樹の並ぶ道を眺めながら考えていた。初めてこの道を歩いた頃は青々と葉が茂っていたのに、いつの間にか冬を迎え、葉はすっかり落ちてしまっていた。
(いや、実際にはそんなに時間は経っていないんだよね?)
最後にここを訪れたのは、まだ一か月も前ではない。それなのに、まるでずっと昔のことのように感じるのは、この短い間にあまりにも多くの出来事があったからだろう。
そんなことを考えながら歩いていると、やがて巨大な建物が視界に入ってきた。まるで大聖堂を思わせるような、荘厳で荘麗な建物だった。私は階段を上り、大きな扉の前で足を止める。そして微笑みながら声をかけた。
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
「ええ、お久しぶりですね。」
「はい、はは……。このところ少し忙しくて……」
あれほど堅物だった門番の騎士とも、軽く世間話ができるほど親しくなっていた。それだけ、私がこの場所へ頻繁に通っていたということだ。身分証を見せると、私は図書館の中へ足を踏み入れた。
ふと思ったことだが、この図書館だけは現実から切り離された空間のようだった。外の季節がどう移ろおうと、館内はいつも同じ空気を保っている。本を保存するために、温度や湿度を常に一定に管理しているからだろうか。どこか懐かしさを感じる古い紙の匂いも、その理由の一つかもしれない。
短い感慨を胸に、私は唇を開いた。そして――。
「レモンさん、もう出てきてください。全部分かっています。」
大きすぎず小さすぎもしない私の声が、部屋の奥まで静かに響いた。
ギィ……。
「はは、驚かせようと思っていたのですが、見抜かれてしまいましたか。」
本棚の陰から、白金色の髪にレモン色の瞳をした男が、楽しそうに笑いながら姿を現した。すぐに私の前まで歩み寄ると、優雅な所作で私の手の甲に口づけをして挨拶する。
「お久しぶりです、リビアさん。その後、お元気でしたか?」
あまりにも自然な振る舞いに、私は手を引っ込めながら答える。
「それはレモンさんのほうが、よくご存じでしょう?」
「はは……。」
彼は否定することもなく笑うだけで、その様子が少し癪に障った。
「執事さんから聞きました。昇進されたそうですね。」
私の言葉に、レモンは静かに微笑んだ。戴冠式の日、馬車の中で「レモンに会うには大きな商店へ行かなければならないのか」と尋ねた私に、レモンは心配はいらないと答えていた。
(念のためウィンストンに聞いてみたら――)
(彼は閣下と先生を守った功績を認められ、図書館の司書に昇進しました。)
という返事が返ってきたのだった。
「昇進されたなら、どうして何も教えてくれなかったんですか?」
私たちは、お互いに近況を頻繁に報告し合うような仲ではない。それでも、その知らせくらいは私の耳に入っていてもよかったはずだ。不思議そうな表情で尋ねると、レモンは優しく――微笑みながら答えた。
「リビアさんの近況は、時々耳に入っていました。ただ、別件で少し忙しかったもので。」
「別件ですか?」
「セルレベル卿について調べてほしい、とおっしゃっていたでしょう?」
「あ……。」
私は目を丸くした。そうだった。セルレベル卿について調べてほしいと頼んでいたのだった。レモンは穏やかな口調で続ける。
「調べていくうちに、いくつか興味深いことが見つかりましてね。そこまで掘り下げていたものですから、ご連絡が遅くなってしまいました。」
私は緊張した面持ちで彼を見つめ、尋ねた。
「何が分かったんですか?」
しかしレモンは、すぐには答えず、ただ静かに私を見つめていた。
レモンは穏やかな口調で続けた。
「私は構いませんが、このままだとリビア様が落ち着かれないでしょう。まずはお掛けになりませんか?」
「あ……」
その時になってようやく、自分がずいぶん焦っていたことに気づいた。レモンに聞きたいこと、確かめたいことが多すぎて、知らず知らずのうちに気持ちが急いていたのだ。私は肩の力を抜き、ゆっくりと机の前の椅子へ腰を下ろした。
星空がよく見える席で向かい合って座ると、私はすぐに本題へ入る。
「では教えてください、レモンさん。セレベル家について、何か分かったことはありますか?」
するとレモンは穏やかな表情のまま問い返した。
「リビア様、以前お話ししたことを覚えていらっしゃいますか? 大使館が個人的に運営している孤児院について。」
私は頷いた。忘れるはずがない。大使館が秘密裏に運営している、未登録の孤児院。誰が見ても怪しい施設だった。
「面白いことが分かりましてね。」
「面白いこと、ですか?」
「セルレベル卿、ジェフリー・カスバート、そして今回新たに赴任した神学部教授ギレックス・バルセル。この三人には共通点があります。何だと思いますか?」
クイズを出すように、レモンは楽しげな表情で尋ねた。
私は呆然と彼を見つめた。その瞬間、一つの予感が頭をよぎる。私はゆっくりと口を開いた。
「……まさか、全員同じ孤児院の出身なんですか?」
「正解です。賞品はこちらになります。」
レモンは「手を出してください」というように手を差し出した。言われるまま手を伸ばすと、レモンは私の手のひらに、コトンと何かを乗せる。
「これは……」
淡い黄色をした、小さく丸いものだった。
「レモンキャンディーです。まさか、レモンキャンディーまで嫌いというわけではありませんよね?」
そう言うとレモンは、傷ついたふりをして、くすくすと笑った。私が初めてギルドを訪れた時、「レモンは好きですか」と聞かれて、「嫌いです」と答えたことを覚えていたらしい。私は思わず苦笑した。そして小さく首を横に振る。
「嫌いじゃありません。」
好きというほどでもないけれど。
「ありがとうございます。いただきます。」
包み紙をはがすと、私はレモンキャンディーを一粒、口に放り込んだ。レモンの言うとおり、ほのかな酸味のあとに甘い砂糖の味が広がる。特別なものではない、ごく普通のレモンキャンディーだった。それでも、甘酸っぱい味が口いっぱいに広がると、複雑だった頭の中が少しだけすっきりした気がした。
「おいしいですね。」
「それは良かったです。ご希望でしたら、もっと差し上げますよ。」
「あ、いえ。一つで十分です。」
そう言うと、レモンは少し残念そうに眉を下げ、小さくつぶやいた。
「そうですか。仕方ありませんね。では、召し上がりながらお聞きください。」
私は頷いた。私が頷くと、レモンは穏やかに微笑み、再び話し始める。
「リビア様の推測どおり、あの三人は全員、その無名の孤児院の出身でした。それだけではありません。帝国の要職に就いている人物の中にも、その孤児院の出身者が少なからずいます。皇宮、皇立アカデミー、そして各地の神殿にも。」
「……まるで帝国そのものを乗っ取ろうとしているみたいですね。」
「その見方は、あながち間違いではありません。それから――神殿に潜入していたあの男も。」
まさか……。
私が動揺した表情で見つめると、レモンは静かに微笑んだ。だが、そのレモン色の瞳には、さっきまでの笑みは少しも宿っていなかった。
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過去の夢をめぐるカディエンとのすれ違い
リビアが夢で見た「幼いカディエンを救った女性の記憶」を話すも、カディエンは自身の過酷な「死の悪夢」しか覚えておらず、自己犠牲的な存在を頑なに信じようとしない。
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ヴィゲンの暗殺指令
別館送りにされた院長ヴィゲンがリビアに対して強い恨みと警戒心を抱き、正体不明の「人形」にリビア・フリントンの始末を命じる。
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レモンの調査結果と組織の影
王都の図書館でレモンと再会したリビアは、セルレベル卿やジェフリーらが全員「無名の未登録孤児院」の出身であり、帝国の要職へ広がる大規模な陰謀に関わっているという衝撃的な事実を知らされる。