悪役なのに愛されすぎています

悪役なのに愛されすぎています【146話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【悪役なのに愛されすぎています】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

146話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 届かない淡い期待

「手袋を置いて逃げる」というロレッタの作戦は、間違いなく大成功を収めていた。

魔塔から戻った翌日、彼女のもとにエヴァンからの手紙が届いたのだ。その内容を読んだ瞬間、ロレッタは嬉しさのあまり、すぐにメロディのもとへ報告に向かった。

しかし、メロディの執務室の前に到着すると、近くにいた侍女が困ったように小声で彼女を制した。

「小さな奥様は、今はクロード様とご一緒です。今日はお入りにならない方がよろしいかと存じます、アガシ(お嬢様)」

ロレッタももう子どもではない。何年経っても倦むことなく新婚のような甘い空気を漂わせている夫婦を、わざわざ邪魔するつもりはなかった。

「う……それでも、すぐに話したかったのに」

ロレッタはエヴァンからの手紙を指先で愛おしげに弄びながら、二階の回廊を行ったり来たりと、落ち着かずに歩き回っていた。

「おい、まだ一人でトイレにも行けないのか?」

不意に遠くから聞こえてきた声に振り向くと、正装した兄のロニが、帽子を指先でくるりと回しながら近づいてくるところだった。ロレッタは即座に眉をひそめた。

「それ、淑女に向かって言う言葉!? しかも紳士のくせに?」

「淑女がどうした」

ロニはロレッタの頬を軽くつまみ、子どもをからかうようにいじめてやった。「俺にとって、お前は一生ガキだ」

「そんなこと言うお兄ちゃんこそ、一生ガキでしょ」

「若く見てくれてありがと……で、その手紙は何だ?」

「聞いてみる?」

そう言われなくても、すでに口元がむずむずしていたロレッタは、嬉しさを隠しきれずに顎を少し上げた。

「……まあ、俺じゃなきゃ誰がその話を聞いてやるんだよ」

ロニが呆れたように腕を差し出すと、ロレッタはその腕に嬉々として絡みつき、二人で玄関へと歩き出した。

「ねえ、昨日魔塔に行って、わざと手袋を置いてきたの」

「……最近の侍女でも使わないような下品な手口だな」

「ふん、手口なんてどうでもいいわ! ちゃんと成功したんだから」

「それで、魔法使いエヴァンが自宅まで届けてくれるって? いつも言ってるだろ、その軽薄そうな男を簡単に君の部屋に入れちゃだめだ。応接間で、ほかの人を同席させて会うんだぞ」

「エヴァンは軽薄なんかじゃないわ! お兄さまよりずっと紳士的よ。それに、あんなに素敵な態度だったし……」

ロレッタは本当に機嫌がいいらしく、くすくすと声を弾ませた。

「ほら、もうすぐミンディとアウグストの結婚式があるでしょ?」

皇帝が溺愛する従弟、アウグスト。彼は自分に向けられた数多の名門からの縁談をすべて退け、初恋の少女との結婚にまでこぎつけた執念の人物だ。もちろん、ごく普通の田舎宿の娘と皇帝の従弟が結ばれるまでには、数え切れないほどの紆余曲折があった。

そのすべての過程において、ロレッタは誰よりも先頭に立って二人を支え続けた。だからこそ、数日後に控えた結婚式では、証人として立ち会うという栄誉ある役目までも任されていたのだ。

「その日、エヴァンがジェレミアお兄さんの代わりに、舞踏会へ出ることになるわ。運が良ければ、手袋を受け取って、そのまま彼からダンスを申し込んでもらえるかもしれないでしょ?」

「お前が先に誘うってことか!?」

ロニは一瞬で不機嫌そうな顔を隠さなくなったが、ロレッタは当然のように大きくうなずいた。

「うん!」

「はあ、まったく気が気じゃないな。皇帝陛下まで舞踏会にいらっしゃるというのに……。あなたと踊るために、舞踏会の前にあらかじめ口実を作っておくってこと、あの男はわかってるのか?」

「仕方ないでしょ」

ちょうど玄関前に着いたので、ロレッタは腕をほどき、ロニの帽子がずれないように被せ直してあげた。

「エヴァンは私のこと、好きじゃないもの」

「……ばかなの?」

「エヴァンはばかなんかじゃないわ! ジェレミアお兄さまの後を継ぐ、天才魔法使いなのよ!」

ロニはずり落ちかけた帽子を直しながら、いっそ哀れみの混じった意地の悪い笑みを浮かべた。

「誰が、その哀れな魔法使いがばかだなんて言った? お前のことだよ」

「哀れですって! お兄さまったら本当に!」

「哀れとばかだなんて、ずいぶん強烈な組み合わせだね」

「え?」

じっとロニを見つめていたロレッタの表情に、やがて……にやりとした、含みのある笑みが浮かび始めた。

「エヴァンと私が“世紀のカップル”ですって!? 最近聞いた話の中で、いちばん素敵な賛辞じゃない……」

「……」

ロニはそれ以上付き合っていられないとばかりに、照れくさそうに視線を伏せたまま、逃げるように馬車に乗り込んだ。

窓の外を眺めると、すっかり機嫌を良くしたロレッタが、きらきらとした笑顔で手を振っている。

「……あいつのことが、そんなに好きかよ。このバカ」

ロニの小さな呟きは、馬車の発車音にかき消されていった。

 



 

秋は足早に深まり、公爵家の領地一帯が美しい色彩に染まる頃――アウグストとミンディの結婚式の日がやって来た。

この身分差の結婚について、社交界では好意的ではない見方をする者もいた。単に民心を得るための政治的な芝居にすぎない、そう冷ややかに受け取る者さえいたのだ。だが、ロレッタだけは、この世の誰よりも二人の真心を理解していた。

「だからこそ、私たちはあなたに、この結婚の証人をお願いしなきゃいけないと思ったの。ロレッタ」

神殿の司祭控室。結婚式の準備を終えたアウグストは、ロレッタに向かって深く腰を折った。「僕たちの願いを受け入れてくれて、ありがとう」

「うううん、いいのよ」

ロレッタは彼にふさわしい礼を返し、微笑んだ。

「本当に愛し合っている人たちの証人になれるなんて、私にとってもすごくうれしいことだもの。幸せに生きてね? もう十分そうだけど」

「もちろん、そのつもりだけど……」

アウグストは少し気鬱そうにしながら、窓の外へ視線を向けた。多くの首都貴族がミンディを歓迎していないことは、公然の秘密だった。アウグストは、彼らの冷たい敵意が大切なミンディを傷つけてはいないかと、いつも心配していたのだ。

「そんなに心配しないで。ミンディがあなたを選んだんでしょう?」

「……それでも」

「それに、今やミンディは私の大切な友だちでもあるの。もし彼女に何かとんでもないことをしでかす人がいたら、誰であろうと私が黙ってはいないわ」

ロレッタが両拳をぎゅっと握って鼻息を荒くするのを見て、アウグストは張り詰めていた表情を緩め、小さく微笑んだ。

「ありがとう」

「感謝はいいから。それで、もう一人の証人は誰なの? もしかして、皇帝陛下?」

結婚式の証人は、二人必要だった。普通なら、結婚する当人たちを最もよく知る友人がその役目を務めるものだ。だからロレッタは、ミンディの故郷の友人の誰かが来るのだろうと思っていた。

「それはそれで、もう一人の証人のことでずっと気にしてたの。だって、証人は式の間、ずっと隣に一緒にいなきゃいけないでしょう? 誰が来るのか教えてくれなかったし」

「あ、いや、そうじゃない! ただ、君と親しい人として名前を挙げたかっただけなんだ」

「親しい……人? まさか、本当に皇帝陛下じゃないでしょうね?」

ロレッタは、会うたびに過剰なほど自分を気にかけてくる若き皇帝の顔を思い浮かべ、露骨にうんざりした表情を浮かべた。

「はは、兄上は君を特別にかわいがっているだけだよ。それに、今日の証人は兄上じゃない」

アウグストはそう言って素早く首を振ると、固く閉ざされた扉のほうをちらりと振り返った。そろそろ、もう一人の証人が到着する時間だった。

ちょうどその時、外から侍従の「証人の方がご到着です」という声が響き、控室の扉が開いた。

自然とロレッタもそちらへ顔を向ける。

白い扉の隙間から、正装に身を包んだ男性の姿が現れた。

「……?」

ロレッタは目を大きく見開いたまま、呆然とその人物を見つめることしかできなかった。これは夢を見ているのではないか、そう思ってしまうほどだった。

「殿下」

男は礼法に則り、まず皇族であるアウグストに丁寧な挨拶を捧げると、ゆっくりとロレッタの前で足を止めた。

「……お嬢さん」

「エヴァン……」

ロレッタはわずかに震える自分の両手を胸の前で握りしめたまま、かろうじてその名を呼んだ。

ローブを身につけていないエヴァンを見るのは、ずいぶん久しぶりだった。いや、正確には、今日はローブの有無が問題なのではない。仕立ての良い、きちんとした礼服に身を包んだエヴァンを見ること自体が、ロレッタにとって初めてのことだったのだ。

「……やっぱり、僕にはこういう格好は変ですよね?」

少し照れたように、落ち着かない様子でそう言うエヴァンに、ロレッタは慌ててぶんぶんと首を横に振った。

今、この場でおかしなものがあるとしたら、それはエヴァンではなく、激しく脈打つロレッタ自身の心臓だった。

(どうしよう、エヴァンの顔、眩しすぎてまともに見られない……!)

恥ずかしさが一気に込み上げ、ロレッタは誤魔化すようにむっとした表情のままアウグストを振り返った。

彼が口の形だけで「うまくやっただろ?」と悪戯っぽく問いかけてくる。ロレッタは真っ赤になって勢いよく首を横に振った。

(何が“うまく”よ、心臓がもたないわ!)

それでも、式の間ずっとエヴァンと一緒に過ごせるのだと思うと、正直、飛び上がりたいほど幸せだった。

(でも、もしエヴァンがこんなふうに近くにいて、これ以上目立つ存在になったら……私、今よりもっと好きになってしまいそう……)

いや、違う。確信している。ロレッタはもう、とっくに底なしに彼に惚れ込んでいるのだ。彼女は熱くなった頬を隠すように、小さく息を吐いた。



実のところ、エヴァンはアウグストのことをあまり好いていなかった。おそらく、最初の出会いの印象があまり良くなかったせいで、今もなお苦い記憶が胸に残っているからだ。

彼らがまだ幼かった頃。サミュエル公に付き添って皇宮を訪れていたアウグストは、エヴァンの姿を見つけるたびに駆け寄ってきては、必ず親しげに声をかけていた。そして決まって、そのあとに「なあ、ロレッタは……」と彼女の話題を切り出すのだった。

エヴァンは、自分が「大切なお嬢さん」として堂々とロレッタを呼ぶことのできる立場にあるアウグストのことが、ずっと羨ましかった。――いや、正直に言えば、激しく嫉妬していたのだ。

アウグストとロレッタの関係が、実のところは「気心の知れた友人」にすぎないと知ってからも、その一抹の焦燥感は消えなかった。

だからこそ、結婚の証人になってほしいと最初に頼みに来たアウグストの願いに、エヴァンは容易に首を縦に振ることができなかった。その大役は、心からアウグストを祝福できる別の友人が務めるべき場所だと思ったからだ。しかも、理由はそれだけではなかった。

「……僕が証人としてお嬢さんの隣に立つなど、ボールドウィン公爵が不快に思われるでしょう」

「ですが、公爵は別のことをおっしゃっていました」

「え?」

「当日は、神殿の内部に魔力石を使い、光で満たす予定だそうです」

「……!」

「魔法使いエヴァンがロレッタ様のそばにいてくれるなら、公爵も安心なさるだろう、と」

「私がいなくても、お嬢様は長い間、安定した精神状態を保っていらっしゃいます」

エヴァンはそう反論したものの、どこか不安を隠しきれず、結局はその提案を受け入れてしまった。

ロレッタと魔力石。過去の出来事を知る者であれば、この二つを同じ空間に置くことに恐怖を覚えるのは、当然のことだったからだ。

エヴァンはふと現実に戻り、隣に立つロレッタを見やった。

まもなく式が始まると聞いているせいか、ロレッタはひどく緊張している様子で、肩をすくめ、首までぎゅっとすぼめている。

(もしかして……お嬢さんも、神殿の内部を魔力石で埋め尽くすっていう噂を耳にしているのかな?)

これほど不安そうな彼女の姿を見ていると、エヴァンは自分の力不足が申し訳なかった。もしここに師であるジェレミアがいれば、どれほど大量の魔力石を用意されようとも、一瞬でロレッタを安心させ、今日という日を心から楽しませてあげられただろうに。

「そんなに……心配しなくても大丈夫ですよ」

エヴァンが壊れ物に触れるように慎重に声をかけると、ロレッタはぱちくりと目を見開き、彼の方を振り向いた。

「え、うん?」

「力不足かもしれませんが、私なりに最善を尽くしてお嬢様をお守りします。ですから、魔力石のことは心配なさらなくても大丈夫です」

「エヴァンが……私を?」

「はい。師匠ほど頼もしくはないでしょうが、それでも一応、あの方の弟子ですから」

ちょうどその時、式の開始を告げる厳かな鐘の音が響き渡り、控室の中を行き交う人々の足取りはいっそう慌ただしくなった。

ようやく準備を終えた新婦のミンディが、慣れないドレスの靴を半分引きずるような格好で、侍女たちに背中を押されながら出てくる。アウグストは、今にも転びそうなミンディの腰を、さっと引き寄せて支えた。

その瞬間、焦った侍従が控室の扉を勢いよく開け放ってしまったため、アウグストとミンディは互いに抱き合っているその熱い姿を、神殿に集まった王都のすべての貴族の前にさらすことになってしまった。

どっと湧く会場。同時に、一人の司祭が柔らかな音色を奏でる弦楽器の演奏を始めた。

式の始まりを告げるその調べに合わせて、アウグストとミンディの両家が、広大な神殿の中央通路を進み始めた。

その後に続いたのは、魔力石を一つずつ手にした神殿の司祭たちの列だった。色とりどりに輝いていた無数の魔力石は、やがて司祭たちの手を離れ、足並みをそろえて神殿の天井付近をゆっくりと漂い始める。まるで満天の星空のようだった。

控室から合流したロレッタとエヴァンは、この美しい行列の最後尾に位置していた。二人はこの神聖な儀式の証人であり、司祭たちとともに、最も近い場所で新郎新婦の一瞬一瞬を見届ける義務がある。

エヴァンは、天井の魔力石をじっと見つめたままフリーズしているロレッタに、そっと手を差し出した。

「……?」

「手を……握りますか? お嬢さん、少し怖がっているように見えますから」

「あ、うん……」

彼女は小さくうなずき、慌ててその手に自分の手を重ねた。ほどなく、ぴたりと重なり合った二人の手は、お互いの体温を確かめ合うように強く握りしめられた。

 



 

一方で、ロレッタはかなり強い良心の呵責を感じていた。

普段からエヴァンは心配性なところがあるが、今日はそれを完全に脇に置いて、ロレッタを壊れやすいガラス細工でも扱うかのように、過剰なほど気を遣ってくれている。

実のところ、ロレッタは魔力石そのものを少しも怖れてはいなかった。ただ、隣にいるエヴァンがあまりにも物々しく、かつ素敵に見えて、別の意味で緊張してしまっていただけなのだ。

(エヴァンに、魔力石が怖いわけじゃないって、正直に言わなきゃ……)

ロレッタは彼と並んで証人席に腰を下ろした時、「ねえ、あの……」と、少し言いにくそうにエヴァンを呼んだ。

すぐに彼はロレッタの方へ身を乗り出し、彼女の顔色を注意深くうかがう。

「どこかお加減が悪いですか? 大丈夫ですよ、お嬢様。どうかご心配なさらず――僕が隣にいますから」

ロレッタは、彼の優しい勘違いから生まれたこの甘いひとときから、どうにか抜け出さなければと思った。これは彼の心配につけ込んで、自分の欲を満たしているだけにすぎない――そう自分に言い聞かせたのだ。

「分かりましたよね? 何も怖がる必要はありません」

けれど、エヴァンが両手で彼女の手をそっと包み込んだ、まさにその瞬間。

「……」

ロレッタは、自分の本心を正直に打ち明けることもできないまま、ただ彼に温かく握られた手を見つめるしかなくなってしまった。

幼い頃――彼女が魔力を求めてせがむと、エヴァンはいつも、こうして優しく手を握ってくれた。しかし、あの事件以来、彼がロレッタに触れることはもちろん、手を取ってくれることさえ、ほとんどなくなっていたのだ。

(もう二度と、こんなふうに手を取ってくれないと思っていたのに……)

再び彼女を見つめたエヴァンは、ロレッタを安心させるために、できる限り余裕があるようににこりと微笑んでみせていた。

(エヴァン、耳まで真っ赤じゃない……)

長年の付き合いで、ロレッタには分かっていた。彼が必死に動揺を隠そうとしていることを。

(ということは、もしかして……)

エヴァンが、ほんの少しは自分に好意を持っているという意味ではないだろうか。興味のない相手の手をこんなふうに握って、あんな反応をするはずがない。

(違う、違う! 絶対に期待しちゃだめ!)

ロレッタは慌てて心の中で首を振った。実際、彼女はこれまで何度も「もしかしたらエヴァンも、私のことを……」そんな淡い希望を、こっそり胸に抱いては破れてきたのだ。

確かに、彼が彼女の気持ちを真っ向から受け止めてくれることは一度もなかった。だが、だからといって彼女を冷たく突き放すことも決してなかった。時折、こんなふうに誰よりも優しく接してくれるからこそ、タチが悪い。

そのたびに胸に芽生えた小さな期待を、自分で摘み取るように、ロレッタは思考を深い奈落へと落としていった。

(だから、今回も勝手に期待して、勘違いなんてしちゃダメ。期待しては傷つくなんてこと、もう何度も繰り返してきたんだから)

心を持たない石ころでさえ、これほど何度も同じ痛みを経験すれば、同じ過ちは繰り返さないだろうと思えるほどに、彼女の恋心はすり減っていた。

(エヴァンは……私のこと、好きじゃないもの)

そんな痛む気持ちを一人で健気に噛みしめているうちに、やがて新郎新婦が誓いを立てる神聖な時刻となった。

ロレッタは慌てて顔を上げ、前方を向く。

ふと、新婦席の近くで目が合ったミンディが、ロレッタの切ない胸中など知る由もなく、「(エヴァンのこと)好き?」とでも言うように、いたずらっぽく眉を上げて微笑んできた。

ロレッタは今にも泣き出しそうな顔になりながらも、完全に図星だったため、仕方なくこくりとうなずくしかなかった。

 



 

 

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