残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【54話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

52話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • カッコいい皇女様②

エルベ山脈の兵士たちの自発的な支援のおかげで、テイサベル移動ゲートの安全性はほぼ完璧に証明された。

一度に10人を超える人員を安全に輸送できる移動ゲート。

その事実だけでも、すでに安全性は確認されたとも言えるだろう。

それにもかかわらず、依然としてミロテル魔法連邦と魔塔の権威と理論を信じる人々は多かった。

「ビロティアン帝国が策略を巡らせているのよ。イサベル皇女の功績を誇張するために。」

「でもさ、それが何の意味があるのか分からないね。」

数百年の間、剣術帝国と魔法連邦はそれぞれの領域をうまく守ってきた。

しかし今回、ビロティアンは数百年にわたる黙示のルールを破り、魔法の領域に足を踏み入れたのだ。

「これ、なんかおかしくない?グリンネが動揺してるって。」

「何の話?」

「剣術帝国が魔法まで手に入れてごらんよ。世界を独占しようとしてるのさ。危険すぎるでしょ?世界の均衡を崩そうとしてる第一歩かもしれないんだよ。」

魔法連邦側は、剣術帝国が「静かになれば欲が出る(=黙っていれば何でも欲しがる)」と考えていた。

そして、多くの人がそれに簡単に扇動される。

その頃には、内部の人々のために安全ではないものを安全であるかのように装っているという意見が支配的だった。

そんなある日、イサベルと昼食を終えたナルモルがフォークを置いた。

「皇女様。本当にデマじゃないのですか?」

イサベルの隣に立っていたルルカの体がぴくっと動いた。

なんということだ、そんな卑俗な言葉を皇女様の前で使うなんて。

だが、イサベルがくすっと笑っていたため、まずは出しゃばらなかった。

正直、ルルカも腹が立ったのは同じ。

「皇女様がどれほど誠実で美しい考えを持っておられるかも知らずに、ビロティアンの視点から、皇女様を表に立たせる先導者だの何だのと……確かに不愉快になるのも無理ないね。」

「お金の匂いがプンプンするっていうんですよ。私だったらすぐに皇女様に連絡して、提携パートナーシップを結んでいたと思います。」

あまりにも世俗的な言葉に、ルルカは少し戸惑った。

「どうせパートナーシップなんて結ばれていなかったでしょうけど。」

イサベルがぱちぱちと瞬きした。

いつもよりずっと澄んだ目つきだ。

ルルカはなんだか切なくなる。

「いい考えでもあるの?」

「もちろんです。私にはとっても良い考えがありますよ。」

「それって何?」

「移動ゲートを使って、必ずしも人を送る必要はないんですよ。」

「……」

イサベルは、まるで頭を一発殴られたような気分だった。

考えてみると至極当然の話だ。

なにも人を使って実験して証明する必要などなかったのだ。

「小さな物を先に送って管理すれば良さそうです。どうせ真実は隠せません。時間が経てば大衆もテイサベル移動ゲートについてよく分かるようになります。分かれば、もう怖がらなくなるでしょう。」

「なんでこんな簡単なこと思いつかなかったんだろう?」

「この移動ゲートは、何百年も人を移動させてきたのですから。」

だから保守派が怖がるのだ。

イサベルたちも当然、人を送るべきだと考えていた。

「私がいたスラム街のこと、覚えてますか?」

「うん。」

「そこにいた靴を磨く女の子のこと覚えてる?」

「うん。お兄ちゃんが教えてくれた。」

名前はアリ。

ミハエルはアリを哀れに思わないようにと言った。

「彼女があんなに希望を失わず、一生懸命生きていける理由、わかる?」

「それって何?」

「実はあの子にはお姉さんが一人いるの。時々手紙をやり取りしてて、それがアリが耐えられる理由なんです。」

貧困層の人々にとって、手紙を一度送ることすら簡単ではない。

手紙を送受信するにはかなりのお金がかかるため、日々の生活で精一杯の貧困層にはその余裕がなかった。

「テイサベルの移動ゲートを使えば、手紙のやりとりがもっと簡単で便利になるんです。」

「……」

「そしてそれは、すぐに帝国流通網の礎になるでしょう。流通網を支配する者が、すぐに世界を支配するのです。フフフ。」

金の匂いがする、金の匂いがする。

金の雨が降ってくる。

ナルモルはいやらしく笑った。

その間、イサベルは再びこの場所の現実を実感した。

日本では、たった数百円あれば手紙を送れる。

正直、手紙を送る必要もなかった。

スマートフォンを何度かタップするだけでメールが送信され、ビデオ通話もいくらでも可能だった。

ナルモルが尋ねた。

「どうしてそんなふうに考えるんですか?」

「ただ、文明の恩恵があまりにも不公平に感じられて。」

「もちろん公平にはできませんよ。」

「でも、もう少しは公平であってほしいな。」

「ふーん……」

「どうして?私がこんなこと言うのが変かな?」

「皇族らしくない発言だと思います。少し変だとは思います。」

もしかすると正しいことを言っているのかもしれない。

やや理想主義的で教科書的な話をしているのかもしれない。

イサベルも、明確に否定はしなかった。

「でも、それがイサベルらしい言葉ですね。私は、皇女様の視点が現実的ではないかもしれませんが、美しいと思います。」

ナロモルは思わずイサベルの手首の方をそっと見つめた。

イサベルがあのように世界を見つめている理由を知っている。

彼女は世界に贈り物を残して去りたいと言った。

世界が、自分が去った後も自分のことを覚えていてくれたら嬉しいと語った。

『陛下の美しい詩は、もしかするとナルモルの落日によるものかもしれません。』

彼はふと、胸が痛いと感じた。

『私もお手伝いします。』

ある日、「ナルコイン」の創設者であり、世界で最も裕福な後援者となるナルモルは、あのナルト帝国の準備を始めた。

「まずやらなければならないことがあります。」

彼はイサベルが思いもよらなかった多くのことを思いついた。

ナルモルが言った。

「まず試験的に、小型テイサベル移動ゲートを作って運用しなければなりません。」

イサベルが概念を提示すると、ナロモルはすべてを具体化して頭の中でロードマップを描いた。

「どんな勢力がどんな工作を仕掛けてくるかわかりません。物品を壊したり、手紙をすり替えたりするかもしれません。だから、厳格に管理できるよう、最小限の物量で運営しなければなりません。本当は貧民街に設置して使えるようにしたいけど、それはあまり良い考えではないと思います。」

「なぜそう思うの?」

「彼らは目の前のパンにすぐ誘惑される環境にいますから。すぐに買収されてしまいますよ。」

ナロモルは彼らを侮辱するつもりはなかった。

ただ、彼らの劣悪な環境が彼らを簡単に惑わせる可能性があるという事実を突きつけただけだ。

「皇女様が私に任せてくだされば、私が完璧に実行してお見せします。」

流通網を制する者が大陸を制することになる。

テイサベル移動ゲートが、その礎となるだろう。

すると、イサベルが尋ねた。

「……めんどくさくないの?」

「はい?」

「もともと動くのもめんどくさがってたよね?すでに億万長者なのに、さらに情熱的に億万長者になりたがってたのがナルモルお兄ちゃんじゃなかった?」

「お金を稼ぐのはめんどくさくないですよ。」

小説の中だったら、「金持ちになって怠け者になります」と言いそうだが、今のナルモルは違っていた。

「この世で一番の金持ちにしてさしあげます。」

彼の目標は「世界で一番の金持ち」になることではなかった。

イサベルを「この世で一番の金持ち」にすること。

ナロモルの設定が変わった。

 



 

 

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