残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【60話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

60話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • ボランティア活動

数日後、ビアトンと会ったイサベルが尋ねた。

「わざとだったんですよね?」

「はい? 何がですか?」

「ありがとう。」

「私はいつも感謝しています。」

ビアトンは理由も聞かず、とにかく感謝していると答えた。

その表情と言葉遣いは温かくて、誠実だった。

「ビアトン先生が私に感謝することなんてあるんですか?」

「ただです。ただ。」

「ただ」という言葉には、たくさんの意味が込められていた。

イサベルがああして目をぱちぱちさせることも感謝していたし、息をしていることも感謝していたし、会話を交わしていることも感謝していた。

砂時計の砂が毎日落ちて、毎日落ちた砂が積もっていくのに、笑みを絶やさないイサベルがありがたかった。

「誰かが見たら先生がお父さんかと思いますよ。」

「クラスの半分はそう思っているそうです。」

ビアトンは「ふふっ」と笑う。

その清々しい笑みにイサベルも「えへへっ」と笑い返した。

「とにかくありがとう。先生が自ら列に並んで待ってくださったおかげで、貴族たちの不満もすっかりなくなったじゃないですか?」

「お礼を言われることではありません。私もユリのデザートの本当のファンなんです。それで並んでいただけですよ。」

イサベルは、その言葉が嘘ではないことをよく知っていた。

その気になれば、ビアトンはユリのデザートをいくらでも食べられる立場にある。

イサベルの部屋で一緒に食べてもよかったし、ユリに直接頼んでもよかった。

ビアトンがあえて列に並んだ理由は簡単だった。

実際、少し前に彼はデイルサ侍従長にこう話していた。

『皇帝の第一首席補佐官である私も列に並ぶんだから、君たちも黙って並べってことだ。』

ビアトンは何かを思い出したかのように口を開いた。

「そうだ、西のリンタ付近で地震が起きたってご存じですよね?」

「知っています。」

リンタは帝国の首都から約400kmほど離れた場所にある平野地帯である。

七王の一人である「ラヘラ」が治める地域だった。

「被害がかなり大きくて、支援が少し必要みたいなんです。帝国の各地からボランティアが集まっているそうですよ。」

「ボランティアですか?」

「はい。」

ビアトンはにっこり笑って、この世界の生態について語ってくれた。

普段、貴族たちは多くの権利を享受して暮らしている。

だからこそ、このような災害や再建が必要な状況では、貴族たちが率先して行動するのが当然だった。

それが原則だった。

「裕福な貴族たちは、かなりの救護金で代替しているんですよ。」

裕福な貴族たちはお金で。

貧しい貴族たちは自ら身体を使って、ボランティアに従事しなければならなかった。

イサベルはおそるおそる聞いた。

「私も!私もボランティアに行けそうな気がします。」

「皇女様が、ですか?」

ビアトンは目をまんまるく見開いた。

「はい。私、どうしても行きたいんです!」

言葉にはしなかったが、イサベルはビアトンの意図を察した。

地震と被害復旧、そしてボランティア活動について一部を教えたのだった。

“皇女”イサベルのために。

ビアトンは帝国の首席補佐官であり、政治に非常に精通していた。

どうすればイサベルの役に立てるのか、このイサベルが輝けるかについて、よく理解していた。

『皇女様なら自ら行くとおっしゃると思っていました。』

年齢はわずか7歳で、見た目は10代前半にも満たなかったが、それでもビロティアンの肉体を持っていた。

そのため、下手な成人男性よりも強い力と体力を持っている。

『皇女様がもっと素敵な人にならなきゃいけません。』

実際、ビアトンにとっては、皇女が輝こうがどうかは関係なかった。

輝いてもいいし、輝かなくてもよかった。

彼にとってイサベルはイサベルであり、何もしていなくてもやはりイサベルはイサベルだった。

ただイサベルであるという理由だけで、イサベルは愛されるにふさわしい人だった。

『でも皇女様が夢見ることを叶えようと思うなら、結局は名声と名誉は必要なものですよ。』

誰かが言っていた。

有名になれば、口から糞をしても称賛されるって。

だからビアトンは、自分にできる方法でイサベルを支えようと決心したのだった。

「うれしそうに見えますね?」

「もちろんです!すごく嬉しいです。」

「何がそんなに嬉しいんですか?」

「自分の体を思うままに動かせるじゃないですか。」

イサベルの年齢は7歳。

本来なら活発に動き回る年頃だが、イサベルは少し欲求不満の状態だった。

皇女の体格のせいで本能を抑えることが多かったからだ。

彼女は実は毎日、飛び跳ねたい気持ちでいっぱいだった!

階段のようなものを見るだけで、走って飛び降りたくなる衝動に駆られ、それを抑えるのがとても大変だった。

「ハア、ハア、息が切れそうですよね?」

「そうですよね? 息がぜいぜいしますよね?」

前世では息が切れると苦しかった。

いや、そもそも息を切らして動くことすら不可能だった。

でも、この体は違う。

どれだけ動いても痛くならず、息が少し上がっても大丈夫だった。

「汗もダラダラ出たりするんでしょう?」

「汗ダラダラ、喉もカラカラ、そんな感じですか?」

病院では汗をかいたことがほとんどなかった。

激しく体を動かしたことがなかったので、汗がダラダラ流れるような経験もなかった。

「それで冷たい水もゴクゴク飲んだりするんでしょう?」

「もちろん。冷たい水もゴクゴク飲みますよ。」

「へへ。奇跡です!」

イサベルは、自分でも知らないうちに「へへ」と笑いながら言った。

誰かにとっては当たり前のことすべてが、イサベルにとっては奇跡だったのだ。

でもふと、イサベルの表情が曇った。

「私、ちょっとおかしくなってる。」

「どうしてですか?」

イサベルは肩をしょんぼり落とした。

さっき、とても大きな失言をしてしまったどう考えても、さっきの発言は失敗だった。

「リンタ地方で地震の被害があって、ボランティアが必要だったじゃないですか。」

誰かは大きな被害を受けただろう。

家が崩れ、かけがえのない誰かが怪我をしたり、亡くなったかもしれない。

多くの人が苦しんでいるだろう。

『私、少しおかしくなってたのかも。』

ひとつのことを深く考えると、別のことを忘れてしまうのが、七歳の身体のせいか、今日は少し空しく感じられた。

楽しいだけではいけないことだった。

「これは、笑えない楽しさですよね。こんなの、だめじゃないですか。」

そんなとき、ビアトンの声が聞こえてきた。

片膝をついて私と目を合わせたまま話した。

「少し泣かなくても大丈夫ですよ。黄女様はようやく七歳ですから。」

あまりにも確信に満ちた表情と口調。

そのおかげで私は少し安心した。

ビアトン嬢は、いつも不思議な安心感を与える人だった。

「まだたくさん学んでいく年齢だから、責める必要はありません。」

「……本当ですか?」

「さっき少し泣けなかったのは事実ですよ。」

ビアトン嬢は静かに、私の「泣けなかったこと」を指摘してくれた。

でもそこには、責めたり蔑んだりする様子は一切なかった。

「ごめんなさい。」

「ちょっと笑えなかったとしても、さっき私の世界は奇跡でいっぱいでした。」

「……え?」

ああ、私の破壊力。

ビアトン先生の言葉のおかげで、私はむしろ平静を取り戻すことができた。

「皇女様が楽しんでいること、それが私には奇跡なんです。」

「……そ、そう言ってくれてありがとう。」

現代に生きてきた私にとって、あんな表現はまだ慣れていなかった。

でも、ビアトン卿の真心だけはしっかりと伝わってきた。

表現が洗練されていなかっただけで、その気持ちまで洗練されていないわけではなかった。

「お茶でもお持ちしましょうか?」

「いいですよ。」

ビアトン嬢は布団をかけてくれ、澄んだ優しい声で子守唄を歌ってくれた。

眠気がふわりと訪れた。

私はほとんど無意識の状態に入りかけていた。

「私が七歳でよかったです。」

自分が何を言っているのかさえ、よくわからなかった。

自分がさっき何かを言った気もするし、夢の中でつぶやいた気もする。

うとうとしていると、ビアトン先生の声が聞こえた。

「七歳……。」

ん?ビアトンが何か言ったような……。

「……です。」

でも私の身体は眠気に勝てなかった。

さっき、確かに何か言ったのに……思い出せなかった。

目を開けると朝だった。

ビアトンはイサベルに布団をかけてあげた後、しばらくの間、イサベルのそばを見守っていた。

イサベルの寝言が聞こえてきた。

「私が生きていてよかったです。」

ビアトンはにっこり笑った。

「本当に。心が深くても深すぎますね。」

独り言を言いたくて、でもそのせいでイサベルが起きてしまうのが嫌で、魔力を使って移した。

イサベルの耳をそっと覆って、自分の独り言が伝わらないようにしてあげた。

「そこまで申し訳なく思わなくてもいいと思いますよ。」

少し喜んでもいいし、その喜びに酔って被害を受けた人々のことを一時忘れてしまうこともある。

皇女様は今ようやく七歳。

そんなこと一つ一つ考えて感情を感じる必要なんてないとビアトンは思った。

なにせ喜びでいっぱいになっても、まだあと十四年も残っているのだから。

ところがイサベルがまた、寝言をつぶやいた。

「……つらいです。」

ビアトンはイサベルを慎重に見守った。

そして少なからず衝撃を受けた。

『悲しい夢でも見ているのだろうか?』

イサベルの目から涙がこぼれていた。

何を言っているのか、ビアトンは耳を澄ませて聞こうとした。

声がとても小さく、発音も不明瞭だったため、ビアトンは魔法を使って声を拡張し、発音を修正して解釈した。

イサベルの声が聞こえてきた。

「嫌われたくないです。」

ビアトンは石のように固まったまま、イサベルを見つめた。

イサベルははっきりと「嫌われたくない」と言った。

「私はただ、具合が悪いだけです。」

ビアトンは唇をそっと噛んだ。

そうだ。

イサベルはただ少し体が弱くて、他の人よりも早く死ぬだけだ。

「ごめんなさい。」

イサベルは生まれつき魔力の感知能力を持つ天才だった。

イサベルの感情に同調したマナがあふれ出た。

ビアトンは優れた魔剣士であり、そのマナを通して、今イサベルがどれほどの恐れを感じているのかを明確に感じ取ることができた。

「何がそんなに怖いのですか?」

わずか七歳の小さな身体で、一体どんな経験をして、何を想像しているというのか。

どうしてあんなにも深い恐れを感じているのだろう……。

「どうして、皇女様がそこまで怖がらなければならないのですか?」




イサベルの無意識はいつも前世を思い出させた。

前世で彼女は多くの支援と応援を受けたが、同時に多くの憎しみと悪口にも耐えなければならなかった。

「そんなに具合が悪いのに、勉強はどうやってするの? 結局は支援を受けようとしてるんじゃない? うわ、気持ち悪っ。」

彼女の記事には多くの応援コメントがついていたが、それに比例してかなりの悪質コメントもついていた。

応援コメントに比べれば悪質コメントの数は少なかったが、彼女の脳裏に強く刻まれたのはほとんどが悪質コメントだった。

そのせいで、幼い頃の彼女は布団をかぶって泣いてばかりいた。

『怖いです。すごく怖いです、先生。』

極度の恐怖感にとらわれた時には、医師や先生の言葉すら耳に入らなかった。

鎮静剤を投与されてようやく眠れるほどだった。

大衆メディアとマスコミはまるで無数の目のようで、それは幼い頃の彼女には耐えがたいほどの恐怖だった。

「誰かが私をつけ回してるんです。怖い怪物たちがみんな私を見てるんです。」

年を重ねるにつれてそのような不安症状はかなり改善されたが、彼女の胸の奥深くにはまだ残っており、その幼少期の体験は彼女の人格形成に大きな影響を及ぼした。

 




 

ビアトンは穏やかな性質のマナを呼び起こし、イサベルの部屋全体を包み込んだ。

それは現代で言うところの「精神安定剤」と似た効果をもたらした。

「皇女様。大丈夫です。誰もつけ回していませんよ。」

非常に鋭敏なマナを通じて、ビアトンはイサベルの精神状態を読み取った。

イサベルの心は揺れ動く波のように荒れていた。

「怖い怪物なんていませんよ。」

ビアトンは大きな手でイサベルの頭を優しく撫でてやった。

彼は父親にはなれないが、少なくともこの瞬間だけは、世界で一番頼もしいお父さんの手になってあげたかった。

「たとえ怯えていても、僕が抱きしめてあげますから。」

少し時間が経つと、イサベルは次第に落ち着きを取り戻し、深い眠りに落ちていった。

ビアトンはその日、夜明けまでずっとイサベルのそばを守っていた。

ビアトンの目つきは、どの日よりも深かった。

『あの子は太陽のように明るい子じゃなかったんだな。』

イサベルのことを誤解していた。

その心は深く、ひたむきに優しい皇女なのだと思った。

その心の奥深くには、想像もできないほどの大きな恐れが根を張っていた。

「そうだ。それは当然だ。それはあまりにも当然のことだ。」

大人でも死を思うと怖い。

ましてや十一歳のこの子供が、どれほど怖かったことだろうか。

「幸せです」「プレゼントです」――それらすべての言葉は、実は「怖いです」「そばにいてください」という意味だった。

そうだったのだ。

イサベルの前世を知るはずのないビアトンは、そう確信した。

彼は心の中で固く誓った。

「方法を見つけなければ。」

人類がまだ克服できていない呪い。

「ナルビダルの烙印」を克服する方法を。

 




 

7王のうちの1人、ラヘルラは顔をしかめた。

「は? 皇女だって?」

『シハンブの悪女が死んだら』の世界観では、皇帝と王はほぼ同格に近かった。

戦略的な同盟を結んだパートナーに近いという設定だった。

本来はそうだったが、現皇帝であるロンとセレナが率いるビロティアンがあまりにも強大なため、現在は上下の明確な上下関係ができている状態。

いずれにしても皇帝と王は協力者関係であり、常に王の方が皇女よりも立場が上だった。

「いや、あのガキがなんで? たった一人前にも満たない子供が何をできるって?」

「しかし、ビロティアンの肉体を持っているので、成人の補佐役数人分の役割は十分にこなせるはずです。」

「いや、あいつが一体何をするって? あの子がボランティアとして来たら、犬一匹でも世話しなきゃいけないし、気も使ってあげなきゃいけないし、どれだけ多くの人員が支援に必要だと思ってるのよ。」

「それで、身分を隠したままボランティアをしたいとおっしゃってます。一般のボランティアと同じ扱いを望んでいるそうです。」

「いや、それって言うのは簡単だけど、あの子の母親と父親は皇后と皇帝じゃないか。」

しかし皇女がボランティアに行くと言い張るのを止める者もおらず、結局ラヘルラは皇女のボランティア活動を許可した。

数日後、皇女はラヘルラが治める「アルフェア王国」の王宮に到着した。

「すぐ来たのね。」

「はい、テイサベル移動ゲートを使いました。」

ラヘルラはイサベルと少し会話を交わした。

わずかな会話だけでも、こう思わずにはいられなかった。

『気取らず、明るくて温かい子だ』……誰もがそう感じるに違いなかった。

『そうだ、この子もやはりビロティアン皇族の子だということを忘れてはならない。』

おそらくあの姿は、徹底的に演出された姿である可能性が高かった。

しかもあの子は最年少でオリンピアードの首席を占めた天才であり、テイサベル移動ゲートを作り出した天才だ。

『だからあの子の純粋さも仮面に違いない。』

ボランティア活動に参加するという話もまた、徹底的に政治的な計算から出てきたものだと考えた。

『たった7歳だという考えは捨てなければならない。』

大人と接するときと同じように接するべきだ。ラヘルラはそう判断した。

向こうが政治的な戦略をすべて練ってここに来たのなら、こちらもそれに見合った成果を得なければならなかった。

彼女はゆっくりと尋ねた。

「イサベル。ところで、前回の王合同会議の初日を覚えているかしら?」

「はい。覚えています。」

「王合同会議がいつもと違って、すごく早く終わったことも知っているのね。」

その時、皇后セレナが王たちに怒りをぶつけていた。

あの時のミステリーは、今もまだ解明されていない状態。

「その日、0時に何があったのか教えてもらえる?」

「……え?」

ラヘルラは皇女を通じて、皇帝と皇后の真実を知りたかった。

『その日決まった予定は、陛下が指折り数えて待っていた日なんです。そして一番疲れて休みたい日でもあるんです。』

最初はとんでもない話だと思った。

だから当然、真意を隠した暗号のようなものだと思った。

「鋼鉄のような肉体を持つ皇帝が、決して疲れることのない肉体を持つお方が、最も疲れて休みたいと言った日というのはどういう意味だと思う?」

イサベルが目をぱちくりとさせた。

「本当にお父様がそんなことをおっしゃったんですか?」

私は再び尋ねた。

「本当にお父様が直接そうおっしゃったんですか?」

「正確に言えば、皇后様がおっしゃったの。」

「そうなんですか?」

私はまた、お父さんが直接そう言ったのだと思っていた。

わかってたよ、もう。

少しがっかりした。

「そう、確かに一番疲れて休みたくなる日だっておっしゃってたわ。皇帝陛下もそれを明確には否定されなかったし。」

「その日は私の誕生日なんです。」

「誕生日?本当に誕生日なの?それ以外に特別なことは?」

「うん、その日は本当に私の誕生日でした。その夜、サプライズでお祝いしてくれて、小さなパーティーも開いてくれたのでびっくりしました。」

「つまりあなたの言いたいのは、娘の誕生日のために、他の皇帝ではなくロン・ビロティアン皇帝陛下が、王合同会議を早々に切り上げたってこと?」

「そうだと思います。」

「論理的におかしい話だってこと、皇女様もわかってるわよね?」

ラヘルラはしばらく何かを考えた後、再び尋ねた。

「特別なことって本当に何もなかったの?」

「うーん、私の残された誕生日があまり多くないってことが特別かな?だからお父さんが私を少し特別に扱ってくれてるのかも。」

お父さんより私の方が先に旅立つから。

自分より寿命の短い誰かに心を開くというのは、すでに別れを覚悟しているということで、それで私を少し特別に扱ってくれてるのだと思う。

「……あ。」

ラヘルラは忘れていたことを思い出したかのように「あっ」と言って、私を見つめた。

「かわいそうに見なくても大丈夫ですよ。私はとても明るく元気に過ごしてますから。」

「ごめんね。別に君を同情しようとしたわけじゃなかったんだ。」

「いいえ、大丈夫です。」

少し時間が経ったあと、ラヘルラが口を開いた。

「それで、本当にボランティアをするつもりなの?」

「はい。そのつもりで来ました。」

「どうして?」

「理由って必要なんですか?」

「皇女イサベルには必要ね。」

「ただ、自分にできる最善を尽くしたいんです。」

「それが……最善だと?」

「人より何倍も速く時間が進んでいるから、何倍も一生懸命生きなければならないと思ったんです。」

ラヘルラは首をかしげた。

「そう。何を意味しているかは分かったわ。どうかその言葉が本心でありますように。」

「はい?」

「いや、なんでもない。ボランティア活動は明日からすぐに始めるようにして。」

 



 

 

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