残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【75話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

75話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 悪魔の食べ物

アルペア王国に本社を置いたナルモル・コーポレーションの規模は大きくなり始めていた。

ナルモルが言った。

「そうです。私たちはすでに製造工場を設立し拡張した経験があるので、難しくはないと思います。」

「そうか。私は何を手伝えばいい?」

アルペアの聖王ラヘルラもナルモル・コーポレーションを快く見ていた。

ナルモル・コーポレーションの本社と工場がアルペア王国内にあるおかげで、かなりの雇用が創出されていたからだ。

さらにナルモル・コーポレーションは、社員の福利厚生や給与もとても良心的だった。

王室の名誉を汚さないためにも、たとえ利益率が下がったとしても、社員の福利や待遇に大きな配慮をしなければならないというのが、ナルモルの持論だ。

「可能であれば、行政手続きを簡素化していただけると助かります。」

「難しいことではないな。」

ただ、一つ確認すべきことがあった。

「これは皇女の指示なのか?」

皇女が王室の政治的な武器として利用されるのは明らかだった。

言ってみれば、王室の戦略資産。

したがって、ナルモル・コーポレーションの約定が皇女の意向かどうかは非常に重要だった。

「皇女様は、私がやりたいことはすべてやれとおっしゃいました。」

それで答えは出た。

これは帝国次官で進められている極秘プロジェクトである可能性が高かった。

その波にうまく乗らなければならなかった。

実際、最初の波にはうまく乗れていたので――ちょうどアルペア王国が力をつけている最中だった。

第二の革命の波が押し寄せてくるのは明らかだった。

「それなら積極的に協力しよう。」

ナルモルは協力者を探す必要もなかった。

協力者はまさにアルペア王国だったからだ。

ナルモル・コーポレーションはすでに工場設立や拡張の経験があったため、仕事は瞬く間に進められた。

そして革命的な食べ物――「ラーメン」が誕生することになった。

ナルモルがフフフと笑った。

「製造から流通、販売まで全部私たちが担っている。それも王国単位でな。」

多くの人々の舌をとらえたラーメンは、飛ぶように売れていった。

ナルモル・コーポレーションは、まるで金の山に座っているかのようであった。

だが、世の中のすべてがそう簡単に進むわけではなかった。

 



 

大陸三大料理協会が騒ぎ立てたのだ。

[ラーメン、それは悪魔の食べ物!]

[身体を蝕む猛毒も同然の食べ物の販売を中止せよ。]

二つはミロテル魔法連邦所属の協会で、もう一つはビロティアン帝国所属の協会だった。

彼らはラーメンの危険性を訴え、それを悪魔の食べ物だと非難した。

その結果、ラーメンに関するあらゆる噂が大陸全土に広まり始めた。

「聞いた?あれだよ、ラーメンとかいうやつ?あれを食べると体に毒素がたまるんだってさ。」

「結局、悪魔化が進行するらしいぞ?」

「おいおい、気味が悪いな。」

「ナルモル・コーポレーションって実は黒魔法使いたちが支援してるんじゃないか?」

料理名匠として有名なマレセンスもまた直接ラーメンに言及し、それを糾弾した。

「それは非常に危険な悪魔の産物です。麻薬以上に体と心を蝕み、終局には悪霊を呼び寄せるでしょう。」

多くの人々が恐怖に包まれた。

あちこちでラーメンが焼かれて廃棄され、ナルモル・コーポレーションに莫大な投資をしていたアルペア王国でも少なからぬ騒ぎが起きるほどだった。

いくつかの記事を読んだイサベルは、はぁーっと深いため息をついた。

「これ、本当に美味しいのに。」

むしろ現代のラーメンよりも良いくらいだ。

味は現代のラーメンと似ているが、塩分とカロリーが低かった。

栄養面でも優れていた。

「この味を知らないなんて、損をしてるね。」

イサベルは「ふうーっ」と熱い湯気を吹きかけ、「ずるずるっ」と麺をすすり上げた。

前世では味わえなかった、しびれるような感覚だった。

「まさか、この私が“麺をすする”なんて!」

前世の体では夢にも思わなかった偉大な行為。

ついに“麺すすり”に成功してしまったのだ。

すると、向かいに座っていたユリが暗い表情で言った。

「皇女様……大丈夫ですか?」

「うん、ちょっと悔しい気はするけど、平気だよ。」

料理名匠や料理協会の一部からラーメンを公然と糾弾され、イサベルとユリ、ナルモルが一緒に非難を浴びているところだった。

「どうして平気でいられるんですか?」

「うーん……」

実際のところ……まあ、慣れてるから……。

日本にいたときは、これより何千、何万倍も強烈な欲望を食べてきたから。

だからこの程度じゃ全然大したことない。

そう言うのも少し気恥ずかしくて、ただにっこり笑って答えた。

「とても危険で体に悪い麻薬だって、こっそり売買されることもあるでしょ。」

「え?」

「悪いってことが完全に証明されたものですら裏取引されるじゃない?でもラーメンは美味しいし、体にもそんなに悪くないし、しかも安いんだよ?時間がきっと解決してくれると私は信じてる。」

この世界では、飢えて死ぬ人も多かった。

少なくとも物質的に豊かだった韓国社会とはまったく異なる世界だ。

だからこそ、ラーメンは彼らにとってとても良い食料になるだろう。

「ラーメンにあれほど神経質に反応して悪魔の食べ物だと主張する人たちって、ほとんど上流層の人たちだって知ってる?」

貴族か、富裕層。

彼らだけが情報を独占でき、彼らだけが噂を共有する世界なのだ。

「その人たちは、飢えの苦しみを知らない。」

しかしイサベルは飢えを知っていた。

もちろん人々の支援のおかげで、実際に餓死寸前までいったことはなかったが、彼女はいつもトッポッキやラーメンを食べたがっていた。

他の人がみんな一度は食べるというピザやハンバーガー、コーラも食べてみたかったのだ。

そんな食べ物は7歳になる前に数回しか口にしたことがなかった。

だから精神的にいつも飢えていた。

食べたくなくて食べなかったのではなく、食べたいのに食べられなかったのだから。

「そういう人たちは、誰がなんと言おうと、本当にお腹を空かせている人ならきっと食べると思うわ。」

イサベルは念のため、もう一度確認した。

「ユリお姉さんがラーメンを開発したんでしょ?そこに本当に人の体に害を与えるものなんて入ってる?」

「いいえ!絶対に違います。もしそうだったら、皇女殿下に差し上げるなんてしませんよ。」

「でしょ。私はユリお姉さんを信じてる。結局は時間が解決してくれるわ。」

イサベルはにっこり笑った。

大衆やメディアに慣れてきた彼女は、最近はイサベルはその出来事もただ堂々と受け止めていた。

『皇女様は今日も本当に凛々しいですね。』

ユリは唇をきゅっと噛んだ。

そして、あまりに悔しくて胸をドン!ドン!と叩きたくなった。

『どうして人々は、皇女様の心をこんなにも誤解するの?』

ユリはイサベルの前世を知らない。

だからこそ、イサベルが「本当にラーメンを食べたいから」開発を頼んだのではないと信じていた。

『安い値段で最低限の栄養を摂れる食品を開発して、民を助けたい――その温かいお気持ちを、なぜわかってくれないの!』

ユリは自室に戻ると、筆記具を取り出した。

イサベルは「時間が解決する」と言ったが、ユリは黙っていることができなかった。

イサベルにアイディアをもらってラーメンを開発したのが、まさにユリだった。

彼女の机の片隅には、数多くの化学関連の本が並んでいた。

『私が何の勉強もせずにラーメンを開発したと思う?』

物語の中のユリは、もともと数学の天才だった。

もし小説の通りなら、数学だけを学んでいただろうが、今は大きく変わっていた。

彼女は今や化学を学んだ料理研究家であり、勉強が楽しくて仕方ない天才だった。

『絶対に黙ってなんかいない。』

 



 

帝国首都の外城にいる侍従長キルエンが、フォークを投げ捨てた。

フォークが壁に突き刺さった。

「何をくだらないこと言ってるの?」

彼女がビールジョッキを叩きつけた。

ガン!

大きな音とともにテーブルにひびが入った。

不思議なことに、ビールは一滴もこぼれなかった。

「私が食べているものが悪魔の食べ物だって?じゃあ何?私が悪魔ってこと?」

(……大将、今の姿はちょっと悪魔っぽいですけど……)

そう口に出せる随行員はこの場に一人もいなかった。

随行員たちはそっと、そっと席を外していった。

「こんなに美味しいのに、よくもそんなことが言えるわね?」

ラーメンが悪魔の食べ物だと言い出した男たちが怯えた。

キルエンが男の一人の首根っこをつかんで持ち上げた。

「た、助けてください。」

「誰が死ぬって?」

キルエンはどんなに酒に酔っても、魔力を使っていない一般人を殴ることはなかった。

「よく見ろ。」

キルエンは片腕で男を持ち上げたまま、魔力を男の体に流し込んだ。

「無人族っていうのはな、魔力で体を精密に観察できるんだ。分かるか?」

「そ、それは……」

「お前、初期の浮腫だろ?」

男の顔がみるみる赤くなった。

「ち、違います!」

「悪魔なんかじゃないわ。ただ見た目がそう見えるだけ。」

キルエンはふうっとため息をつくと、男を群衆の真ん中に投げ飛ばした。

ドサッ!という音とともに男は地面に叩きつけられた。

「逃げたら、殺すわよ。」

「は、はい。」

キルエンは器をそのまま持ち上げ、ラーメンのスープをゴクゴクと飲み干した。

そして魔力を解き放った。

青白い気配が彼女の全身を包み込み、渦を巻いた。

「私は自分の体を確かめたけど、何一つ異常はなかったわ。分かる?」

「……は、はい。」

「異常なんてまったくないの。」

キルエンはわざと大声を張り上げ、周囲の人々に聞かせた。

人々全員が息を呑んだ。

キルエンの(荒っぽい?)おかげで、外城の周辺でラーメンを悪魔の食べ物だと言う者は一人もいなかった。

キルエンは男に近づき、低い声で囁いた。

「ところでさ。お前に噂を流せって命じた奴は誰だ?」

キルエンの目に映ったこの男は、ただの一般人ではなかった。

金を受け取ってデマを広める輩だった。

彼に近づき、さらに小さな声で囁いた。

「正直に言え。舌を切られる前に。」

もし我らが愛らしくて大切で気高い皇女様を侮辱するために動いたのなら、ただでは済まない。

その言葉は穏やかだったが、口にしただけでなく、むき出しの殺気が男の体を貫いた。

「ぜ、全部話します!」

 



 

外城の守備隊長キルエンは、悪意をもって組織的に噂を流す勢力が存在することを明らかにした。

それが始まりだった。

ビアトンがそれに関する報告を上げた。

「はい、陛下。公務が多忙を極め、私のような報告は一切耳を貸されず、すべての業務を重く私に押し付けておられた陛下。その陛下がようやく腰を上げられ、この件に深く関わり、御身をもって視察された事案について、私に直接調査せよと仰せつけられました。私は動けぬ体を引きずり、手足を使いながら情報をかき集め……」

「要点だけ。」

「どうやら魔法連邦側の高位魔法師たちが料理協会の研究者たちを支援しているようです。」

「……。」

「黙って見過ごされますか?」

「もし見過ごさなかったら?」

ビアトンはそっと様子をうかがった。

『かなり怒りを買ったようだな……。』

皇帝が座る椅子は、堅固で貴重な紫檀の木で作られている。

その紫檀の椅子の肘掛けが、きしむほどに握り締められていた。

政治勢力の陰謀や言論戦などには一切関心を払わなかったヴィロティアンの皇帝が、今やそうしたことに極めて敏感に反応しているというのは、注目に値する事実だった。

『もっと話してもいいかな?』

ビアトンは実際には、周到に計算して皇帝に言葉を投げかけていた。

彼はいつも余計な言葉を加えるタイプだった。

今はこれ以上言うべきでないと感じ、すぐに本題を切り出した。

「いい考えがあります。」

ロンが口を開いた。

「言ってみろ。」

「現在、ミロテル魔法連邦が料理名人たちを抱き込んで料理協会を牛耳っておりますが……」

「本題を。」

「公開討論会を開いてはいかがでしょう。」

「それがイザベルにどんな得になる?」

ビアトンは一瞬、言葉を失った。

ロンの表情が冷酷ではなかったからだ。

「まだ若い子どもが、魔法連邦に雇われた料理の巨匠たちと議論を交わすというのか?あの狡猾な老人たちは、些細な揚げ足取りを一つ見つければ、それだけで名誉を失墜させることなど造作もない。奴らの目的は、どうせ剣と刃だ。それに巻き込まれれば、ただでは済まない。イサベルがうまく対応するとしても、結局は本戦であり、もし失敗すれば大きな被害を被ることになる。ましてや、失敗が許されないほど大きいのに、よりによって皇帝の側近であるお前が私にそんな無謀な提案をするというのか?」

ビアトンはしばし口を閉ざした。

あれほど皇帝が怒っているときは、一旦沈黙するのが最善だということを、これまでの数多の経験で知っていたからだ。

コンコン。

ちょうどそのとき、ノックの音が響いた。

「父上、イサベルです。いらっしゃいますか?」

「入れ。」

「はい!」

イサベルだった。

明るく笑みを浮かべて扉を開いたイサベルは、瞬時に執務室の張りつめた雰囲気を察した。

『なんだか……気まずい雰囲気?』

イザベルは顔に浮かんでいた微笑みを消し、慎重に口を開いた。

「お父様。お願いがあって参りました。」

「お願い?」

イザベルはおそるおそる周囲の様子をうかがった。

『なんだか深刻な話をしていたみたいなのに、この空気はなに?タイミング間違えたかな?』

少し不安になった。

イザベルは知らず知らずのうちに声を落として言った。

「公開討論会を一度開いてみてはどうでしょう?」

「……」

「私はまだ若く、剣術もできませんが……」

「実に素晴らしい考えだ。」

よく見ると、ロンが軽く笑っていた。

その姿にイサベルの心はすっかり和らいでしまった。

『そうよ、あれこそがハンサムってやつ!』

彼女の素直な気持ちは表情にありありと浮かび出た。

ハンサム一人、ハンサム二人。

ここはハンサムだらけの場所だった。

緊張でこわばっていた笑顔が再び花開いた。

なんだ、無駄に緊張してただけじゃない。

「本当ですか?」

「そうだ。」

「絶対にがっかりさせません!私、やれます。本気です!」

まさか自分が討論なんてものをやることになるなんて!

前世では一度も経験できなかったことを、今こうして経験している。

イザベルの幼い肉体は、その新しい体験をくすぐったいほどの喜びとして受け止めていた。

彼女は深々と頭を下げた。

「お許しいただき、ありがとうございます。」

よかった!

緊張していた分だけ、むしろ安堵感がいっそう大きく感じられた。

『ビアトン先生はどうしてあんなに口をぽかんと開けてるんだろう?なんだか唖然としている表情みたい。お父様は妙に……ビアトン先生の視線を避けているようにも見えるし。』

さっきまで張り詰めていた空気は、もうすっかり消えていた。

イザベルの感じたところでは、執務室の雰囲気はむしろ温かさを帯びていた。

『私の勘違いだったのかな。』

そして数日後、公開討論会が開かれることになった。

討論の参加者は、ナルモロコーポレーションの代表ナルモロ、王室の侍女ユリ、そして皇女イサベルであった。

 



 

 

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