こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は146話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
146話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 魔法の弾丸
(まさか?)
こんな状況で能力を与える夢だなんて。
皇太子を治療できる能力かもしれない。
(お願い、お願い!)
彼女は心から祈った。
どうかこの夢が皇太子の治療と関連のある夢でありますように。
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夢の中の背景は遠い未来の実験室。
実験室で二人の男が不思議そうに会話をしていた。
「ははは、これがどういうことなのか分からないな」
「そうですね、先生。休暇に行ってきましたが、どうして培養していた菌がみんな死んでいるのか分かりませんね」
夢の中の男は首をかしげた。
「これを見ろ。ここの死んだ菌たちの周りに青カビが生えている。もしかして、青カビが菌を殺したのではないだろうか?」
「え、そういえば?しかし、青カビはどのようにして菌を殺したのでしょうか?」
「研究をしてみないと。青カビが持つある成分が菌を殺したのは明らかだ」
そして夢の中の男、人類初の抗生物質を発見した「アレクサンダー・フレミング」が話した。
「もしかしたらすごい発見をやり遂げるかもしれない。これは「魔法の弾丸」になるかもしれない」
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マリは席から飛び起きる。
彼女は歓喜に満ちて考えた。
「分かった!どうやって殿下を治療するのか!」
彼女はすぐに動いた。
遅い夕方だったが、遅滞する暇がない。
直ちに夢の中の知識を利用して治療薬を作らなければならなかった。
1分、いや、1秒も勿体無い。
マリは寝室を出る前に皇太子の方を振り返った。
「少しだけ。少々お待ちください、殿下」
マリは皇居の隅にある錬金術師の研究室に向かった。
「ヒルデルン卿?」
錬金術師が驚いた表情をする。
マリはもともと有名だったので、錬金術師も彼女にすぐ気づいた。
「私が話した材料を準備してください」
「は、はい?」
「詳しい説明をする時間がありません。大事なことなので、できるだけ早くお願いします」
錬金術師は彼女の焦った表情にこれ以上尋ねなかった。
しかし、彼女が準備してほしいという材料を間いた瞬間、錬金術師は奇怪な表情をする。
「パンに咲いたアオカビのことですか?」
「はい、できるだけたくさんです。お願いします」
錬金術師は理解できないという表情をしたが、うなずいた。
「分かりました。その他の材料は必要ありませんか?」
「他の材料はコーンスターチと塩、砂糖亜鉛・・・、そして・・・」
彼女は、青カビから治療物質を抽出する吸着物質の材料を詠んだ。
「また油と弱酸性の溶液も一緒に用意してください」
「わかりました!」
特に珍しい材料ではなかったので、すぐに手に入れることができた。
マリはフレミングの知識を利用して青カビから治療物質を抽出し始める。
「まず、青いカビを最大限集めて・・・」
まもなく彼女の前にたくさんの青いカビが積もった。
「吸着液を作って治療物質を青カビから分離して、さらに油と弱酸性液の溶液に混ぜて・・・」
そのように長い間取り組んだ末、アオカビから抽出した治療薬が完成した。
それは菌を殺すことができる治療薬。
「よし!この薬なら皇太子殿下の敗血症を治すことができる!」
マリはすぐに薬を手に入れ皇太子の寝室に戻る。
研究室で格闘している間、時間が経ってもう朝日が昇った後だった。
「この薬を飲ませないと・・・!」
ところが寝室に着いた瞬間、彼女は難関にぶつかった。
それは、ゴードン男爵とオルン公爵がいたから。
彼らは不思議そうな表情でマリの手に握られた液体を見る。
「それは何だ、ヒルデルン?」
オルンはしかめ面をして尋ねた。
まるで魔女のスープのような、不気味な感じの液体を見ているような表情で。
マリは彼らにどう説明すればいいのか困っていた。
(何て言えばいいんだろう?)
皇太子を治療できる秘薬だと言っても信じられないことが明らかだ。
彼らにとってこの薬は初めて見る種類のものだったから。
マリがぐずぐずしていると、彼らは元の会話に目を向ける。
「それで?結局、ヒ素を投薬しなければならないの?」
「今のところ、これ以外に方法はございません閣下」
「はあ」
オルンは深いため息をつく。
「私も殿下の玉体にヒ素を投薬したくありません。しかし、今のところ方法が
ありません」
「そうか。本当にないのか?」
オルンは苦しそうな表情で反問する。
皇太子の体に毒薬同然のヒ素を投薬したくなかったからだ。
しかし、これ以上方法がないために、オルンが仕方なくヒ素を投薬することを許可しようとする瞬間、マリが緊迫した声で彼を止めた。
「ちょっと待ってください。殿下にヒ素を投薬してはいけません!」
「そうすると?何か方法があるのか?」
マリはつばをごくりと飲み込んで言った。
信じるとは思わないが、今のところ話してみるしかなかった。
「ここに私が殿下を治療する薬を作ってきました」
「え?」
オルンとゴードンは驚いてマリを見た。
今、何だって?
「治療薬だって?まさか手に持っているそれ?」
彼女の手に握られた溶液を見た彼らの目は、一瞬にして怪しく変わった。
一見しても気持ち悪そうなものが全く薬のように見えなかった。’
「それが・・・、一体何の薬ですか、ヒルデルン卿?」
「体の中に漂う菌を殺すことができる治療薬です」
「だから、それをどこで知ったのですか?」
ゴードンは受け入れがたいと言わんばかりに尋ねた。
当然の反応だ。
彼は東帝国で最高に数えられる名医。
そんな彼に聞いたこともない液体を持ってきて治療薬だなんて。
もし彼女が有名なヒルデルンでなかったら、ふざけるなと大声で叫んでいただろう。
「どんな医書を見て製造したのですか?」
マリは何と答えるか悩んだ。
実際に存在する医書を見れば、ゴードンが分からないはずがなかった。
だからといって、実存しない医書を偽りにして答えれば、根拠のない薬を皇太子に
飲ませようとする格好になる。
結局、マリは事実を織り交ぜて話すことにした。
「これは食パンに咲く青カビを精製した薬です」
「青カビのことですか?あの汚いものを?」
ゴードンの表情が奇怪な話を間いたように変わる。
「はい、以前私が傷が化膿した時、偶然に青カビを傷に塗ったことがあるんですが、綺麗に治ったことがあるんです。その後も何度か確認してみましたが、同様の効果があり、その結果をもとに作った薬です。殿下の現状にも役立つことは明らかです」
彼女の説明を間いたゴードンは口をつぐんだ。
それなりの道理を備えた言葉だが、依然として受け入れ難いという様子だった。
「それでも殿下の体に立証されていない薬を投薬するのは・・・」
その瞬間、横から思いがけない言葉が聞こえてきた。
「マリ、あなたはその薬が殿下を治せると思うのかい?」
「・・・!」
驚いて顔をそむけると、オルンが固い表情で彼女を見ていた。
マリはうなずく。
「はい、そうです、閣下」
彼女は彼が反対すると思ってはらはらした。
しかし、オルンの反応は予想外だった。
「いいよ,マリ。君がそう言うならその薬を試してみよう」
「閣下!?」
ゴードンはもちろん、マリも驚いてオルンを眺める。
(オルン公爵がこんなに簡単にうなずくなんて)
率直に言ってマリはゴードンよりもオルンを説得するのが難しいと予想した。
それなのに、こんな反応って?
オルンはいつものように気にくわない目で彼女を眺めた。
「何度も話すが、私はあなたを信じない。分かってるよね?」
「・・・はい、閣下」
オルンは大きくため息をついた。
「しかし、君を疑いながらも、一つ認めていることがある。それはまさに他人に向けられたあなたの心と、常に奇跡を起こしてきたあなたの能力だ」
「・・・」
「今回も殿下のために奇跡を起こしてくれるだろうか?どうかお願いする」
彼の声には微弱な縄でも掴みたい切迫感が込められていた。
マリは唇をかみしめながらうなずいた。
「はい、信じてください」
もう彼のいない人生を想像できないので、彼女は他の誰でもなく、自分自身のために皇太子を治療しなけれはならなかった。
マリは青カビから抽出した薬を持って皇太子のところに行った。
ゴードンが理解できないという表情をしたが、オルンが固い表情でうなずく。
「とうせ他の方法もないんじゃない?私は彼女を信じてみる」
マリはオルンに感謝の表情を浮かべた後、まず自分の口に薬を含んだ。
意識がなかったので、自分で彼の口に伝えなければならなかった。
(どうか、効果がありますように)
彼女が抽出した薬は後日「魔法の弾丸」とまで呼ばれる奇跡の薬だが、本当に皇太子を生かすことができるかは知らなかった。
人が最善の治療をしても、結果は天にかかっているから。
マリは切に願う気持ちで自分の口に含んだ薬を皇太子の口の奥深くまで渡した。
一滴も無駄にしないように心を込めて。
(必ず・・・、起きてください。どうか・・・)
偶然が起きたのだろうか?
その瞬間、意識を失っていた皇太子の手が彼女の手を握りしめた。
「殿下?」
ただの偶然だったのか、皇太子は微動だにしなかった。
彼女はため息をついて言った。
「薬を投薬したので、もう少し待ってみなければならないようです」
「効果はいつ出るの?」
「短いと一日。長ければ二日ほどです」
オルンは重い顔でうなずいた。
その期間で効果が現れなければ、その時はこれ以上方法がないという意味だった。
オルンが許可を出してくれて良かったです。
後はラエルが目を覚ますかどうか・・・。