できるメイド様

できるメイド様【211話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「できるメイド様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【できるメイド様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「できるメイド様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっておりま...

 




 

211話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 決死

その夜、マリはストロン伯爵の言葉の真意を理解することとなる。

「これ……これは一体何ですか?」

マリの声は震えていた。

ただ震えるだけではなく、彼女の全身は恐怖に震え、目の前の光景を直視することさえ辛かった。

「おや、ご覧ください、大義のためです。我々が捕虜を生かしておく余裕はありません。それに放免するわけにもいかず、やむを得ず全員処刑することにしました。」

ストロン伯爵が彼女に見せようとしたのは、今日の戦いで捕虜となった王国軍の兵士たちを処刑する場面だった。

「や、やめてください。それは、そんなことは許されません!」

マリは動揺を隠せなかった。

捕虜となった兵士たちは約300人。

彼ら全員がここで処刑されるというのか?

「申し訳ありませんが、たとえどれだけ王女様を敬愛していようと、その願いを叶えることはできません。これから東帝国に進軍しなければならない我々が捕虜を残しておくわけにはいかないのです。」

マリは唇を噛み締めながら懇願した。

「お願いです。このどうしようもない状況でも、せめて彼らだけでも助けてください。どうか、お願いします……!」

ストロン伯爵は面白そうに微笑むだけで、特に返答はしなかった。

マリは彼が自分の言葉に耳を貸さないことを痛感した。

彼に何かしら望むものがあることに気づいた。

「お願いです……。どうかお願いします。何でもしますから。」

「何でもとは?」

ストロン伯爵が唇を吊り上げた。

「それなら、私の前に跪き、私に服従することを誓いなさい。そうすれば、彼らを助けてあげましょう。」

「……!」

マリの顔色が青ざめた。それは彼女を侮辱するための提案だった。

「そ、そんな……」

その瞬間だった。

捕虜となっていた兵士たちが叫び声を上げた。

「いっそ私たちを殺せ、この外道が!」

「絶対に従わないでください、陛下!」

その叫びにストロン伯爵が肩をすくめた。

「そうですか。ではどうされますか?私はどちらでも構いませんが。」

マリは拳を握りしめ、苦渋に満ちた顔で彼を睨みつけた。

そして、彼女は決心を固めて口を開いた。

「あなたの言葉に従います。ただし、ひとつ条件があります。」

「条件?」

「王である私が跪くことは、クローアン王国があなたに屈服したことを意味します。しかし、その前に私が聖地に行き、罪を清めることを許してください。」

彼女の言葉にストロン伯爵は一瞬考え込んだ。

聖地とは、王国の建国が始まった場所であり、王にとって非常に深い意味を持つ地だ。

「その願いを叶える理由はないと思いますが。」

ストロン伯爵は肩をすくめた。マリは毅然とした表情で続けた。

「クローアンの王たちは、重要な出来事があるたびに聖地を訪れてきました。もし最後にその訪問を許されないなら、私はここで自ら命を絶ちます。」

彼女の力強い声に、ストロン伯爵は考えを変えた。

どうせ聖地はこの戦線から到達可能な距離だ。

そして、王国の建国が始まった聖地で彼女が屈服する姿を見るのも非常に興味深い。

「悪くないですね。聖地であなたが跪く姿を見れば、王国民もその意志を失うでしょう。」

ストロン伯爵は彼女の提案を受け入れた。

ただし、彼女を屈服させるという秘めた欲望に満たされた決断だ。

彼は彼女の目に宿る輝きを見逃さなかった。その輝きは自らの命を賭けた覚悟を示していた。

クローアンの聖地はクロネ山脈の西北に位置する峡谷だった。

峡谷の下にはケイル川の急流が流れていた。

建国王シェルマンは、かつて東帝国軍の追撃を受け、この峡谷からケイル川の急流に身を投じて生き延びた。

その後、シェルマンはクローアンを建国した。

そして、王の後継者たちは建国の出発点となったこの場所を聖地として定めた。

「陛下!ううっ!」

「いけません!」

聖地の近くには、クローアンの王国民が涙を流して集まっていた。

事前にストロン伯爵が王国民を集めていたのだ。

彼女が跪く姿をすべての者に目撃させるためだった。

「先祖たちと良い会話を交わされるといいでしょう。」

ストロン伯爵は嘲笑うように語った。

マリはかすかに彼を見つめ、峡谷へ向けて歩を進めた。

峡谷の端で急流を見下ろし、立ち止まった。

「ここが建国王シェルマンが身を投じた場所……。」

彼女は他の王族たちとは異なり、聖地に特別な畏敬の念を抱いていた。

峡谷は予想以上に深い。

もちろん、見るだけでそれが分かるが、実際に目の当たりにするその高さは想像以上に険しかった。

(どうしてこんな場所から飛び降りることを決断したのだろう?見ているだけで恐ろしい。それだけ切羽詰まった状況だったのか?)

マリは物思いにふけった。

彼女は建国王に対して何の敬意も抱いていなかった。

そもそも王の後継者という自覚すらあまりなかったのだから。

しかし、この峡谷を見ていると、わずかに胸が痛んだ。

どれほど追い詰められれば、このような場所から身を投じることを決断したのだろうか?

そう考えていると、ストロン伯爵が無言で峡谷を見つめる彼女に冷笑を浮かべた。

「聖地を見て祈りでもするのですか?誰が祈ろうと奇跡など起きはしませんよ。」

マリは静かに彼を見返した。

「奇跡を願っているわけではありません。ただ、罪を償いたいだけです。」

「何?」

「私の力不足で王国にこのような屈辱をもたらしてしまったのですから。」

その言葉に王国民はさらに声を張り上げて泣き叫んだ。

マリは彼らをしばらく悲しげに見つめた後、ストロン伯爵に向き直り、こう告げた。

「王国の先祖たちに謝罪の意味を込めて、一曲踊らせていただけませんか?」

「そのようにしてください。」

マリは一瞬、空を見上げた。

自分の絶望的な心とは裏腹に、空は清々しいほど澄んでいた。

彼女はその空のどこかにいるであろうラエルを思い浮かべた。

『陛下、どうか私をお助けください。』

マリはゆっくりと手を挙げ、踊り始めた。

それは以前、夢の中で踊った舞そのものであった。

彼女が踊り始めると、場内の全員が息を呑んだ。

美しかった。

滑らかな動きの中で、手のひらや体の動きが人々の視線を引きつけた。

しかし、その踊りの本質は単なる美しさだけに留まらなかった。

クローアンの王としての責任を果たせなかったことへの罪悪感と苦悩が、手の先から一つ一つに溢れ出ていた。

その光景を見るだけで、人々は彼女の悲しみが胸に迫るのを感じた。

王国民たちは女王の純粋な踊りに涙を流し、敵対する西帝国の兵士たちですら胸を刺されるような痛みを覚えた。

ただ一人、その場にいたストロン伯爵だけが異なる感情を抱いていた。

彼が彼女の踊りを見ながら感じたものは、非難にも似た、捻じれた過去の記憶だった。

欲望だった。

『手に入れたい。』

ストロン伯爵は口元を上げた。

彼女が悲しみに打ちひしがれる姿が彼の胸を締め付けた。

彼がこれほどまでに願ったのは、彼女が苦悩する姿を見ることだった。

『まだ足りない。もっとだ。』

彼は唾を飲み込んだ。

そうだ、まだ足りない。

彼女がさらに苦しむ姿を見たかった。

その瞬間、マリの目がストロン伯爵と交わった。

「……!」

かすかだが、悲しみに満ちた彼女の瞳の奥底には、彼に対する切なる願いが込められていた。

ストロン伯爵は薄く微笑んだ。

そのどんな誘惑よりも彼女の瞳が彼を魅了した。

その願いに満ちた目を壊したかった。

さらに大きな絶望を与えたかった。

彼はまるで引き寄せられるように彼女に近づいていく。

その場にいた誰もが彼女の踊りに見入っていたため、彼を止めることはできなかった。

「……」

一歩、二歩。

彼とマリの距離がさらに縮まった。

踊りを舞う彼女の目には、一瞬の恐れが走った。

その恐れを見たストロン伯爵の胸には、さらに強い欲望が燃え上がった。

「美しいですね。私もご一緒してよろしいですか?」

ストロン伯爵の手に、彼女の小さな手が触れた。

彼はその手の温もりを感じ、自分の腕の中に引き寄せる。

そしてその腕に彼女の身体を抱き寄せ、ストロン伯爵は薄く微笑んだ。

そしてその瞬間、その場の誰もが予想していなかった出来事が起こった。

「え……?」

パシャッ!

ストロン伯爵の首から血が噴き出した。

「な、何だと?!」

西帝国の兵士たちが驚きの声を上げた。

ストロン伯爵はよろめきながら膝をつき、自分の首を押さえて血が止まらないのを感じながら、信じられない表情を浮かべていた。

「こ、これは……?」

ストロン伯爵の目に映ったのは、マリの手に握られた小さなガラスの破片だった。

彼女はそれを袖の中に隠し、彼が油断した隙に彼の首を切りつけたのだ。

ストロン伯爵はすべてが彼女の計画だったと悟った。

マリは跪いたストロン伯爵を冷たい視線で見下ろした。

これが終わりではなかった。

ただストロン伯爵を殺しても戦争は終わらない。

戦争に勝利するための計画は、人心の掌握から始まった。

「一緒にいたいとおっしゃいましたね?」

マリの声は普段と違い冷淡だった。

ストロン伯爵は、彼女がこれまで出会った中で最も冷酷な敵だった。

そこには一切の情けがなかった。

「その願い、叶えて差し上げます。」

彼女は跪く彼の手をしっかりと握り、血が流れる彼の体が力を失い崩れ落ちるのを支えた。

そしてそのまま彼の体はマリに凭れかかった。

「各員!」

「そこをどけ!」

ようやく我に返った西帝国の兵士たちが駆け寄り始めた。

しかし、すでに手遅れだった。

マリは彼らに向かって声を上げた。

「私、クローアンの王モリナが宣言します。奸悪なストロン伯爵が偉大なるクローアン王国を侮辱したことを本王が罰します。彼の魂は救済を受けることなく、永遠に煉獄で苦しむがよい。」

そして彼女は今度はクローアンの民を見つめた。

「私の力不足のために、王国がこのような状況に陥ったこと、本当に申し訳ありません。」

「陛下! 陛下!」

彼女が何をしようとしているのかを悟った民たちは、狂ったように彼女を呼び止めた。

しかし、マリは静かな表情を浮かべていた。

「どうか、私が今日ここを去ったとしても、あまり悲しまないでください。クローアンの意志は私にあるのではなく、あなた方にあります。あなた方が屈しない限り、私はたとえ死んでも永遠にあなた方と共にあります。」

「陛下! ダメです!」

そう言い終えた彼女は背を向け、険しい崖下に広がる激しい急流を見つめた。

流れは激しく、見るだけでも目眩がするほどの崖下の急流が広がっていた。

(私にできるだろうか?)

最初から覚悟していたものの、恐怖に全身が震えていた。

しかしマリは歯を食いしばった。

どれだけ怖くても、ここで飛び降りなければならない。

彼女が「死ぬ」ことでしか、この計画を成功に導くことはできなかったのだ。

(陛下、愛しています。)

彼女は目をぎゅっと閉じ、最後に彼を思い浮かべた。

その瞬間、彼に会いたくてたまらなかった。

狂おしいほどに。

そうして決意を固めた彼女は、崖の縁に足を踏み出した。

ストロン伯爵と共に。

「駄目です、陛下!」

「止めろ!」

王国の民と西帝国の兵士たちは狂ったように叫んだ。

しかし、すでに遅かった。

パシャッ!

マリはストロン伯爵と共に崖から飛び降り、激しい急流が彼らを呑み込んだ。

「馬鹿な……こんなことが……」

その場にいた全員が凍りついたように崖下を見下ろしていた。

モリナ女王とストロン伯爵が同時に命を落としたのだ。

ケイル川の急流は何事もなかったかのように、ただ激しい水流をたたえて流れているだけだった。

 



 

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