こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は165話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
165話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 少しずつの変化
連絡を受けたバハンと皇居楽団は、直ちにクローヤン地方に駆けつけた。
「子爵様!」
「お会いできて嬉しいです、バハン卿」
二人は嬉しい再会を果たした。
「来てくださってありがとうございます」
「いいえ、呼んでいただいて、こちらこそありがとうございます。意義深い仕事ができるようになって嬉しいです」
バハンは期待に満ちた目つきで話す。
「それで私たちが演奏する曲はどんなものですか?子爵様が久しぶりに音楽を作曲されたと聞いたので夜も寝ずに走ってきました」
本来は楽章であるバハンが作曲した曲を演奏するのが原則だが、今回だけは違った。
クローヤン王の国民のために、マリが直接徹夜しながら曲を作曲したためだ。
バハンは久しぶりにマリのレベルの高い曲を演奏できると思い、子供のように興奮した様子だった。
そうして楽団は演奏会を開き始める。
華やかで雄大な、大規模な演奏会ではない。
むしろ街を背景にした素朴な街の演奏会だった。
人生に疲れた人々が行き来しながら音楽を聞きながら、一筋の休息を取れるようにしようという意味だ。
「何だ?帝国皇居楽団?」
「いや、気持ち悪い。他のところに行こう」
最初は予想通り、王国民の反応が良くなかった。
しかし、マリの頼み通り、楽団は揺らぐことなく演奏を続け、1人2人の音楽に耳を傾ける人が生まれ始める。
無視して通り過ぎるには音色がとても美しかった。
政治的な立場を離れ、音楽は美しいものだから。
「・・・」
人々は広場を行き来しながら音楽を聴く。
最初から最後まで席を守りながら聞く人もいれば、そのまま通り過ぎながらこっそり聞いて去る人もいた。
とにかく音楽は聞く人が誰でも皆の胸に静かに沈み、人生に疲れた人たちに一筋の休息を与える。
「いいね。音楽がこんなにいいものだったのか・・・」
誰かが思わずつぶやくと、他の誰かもうなずいた。
「・・・そうだね」
その音楽を演奏する人たちが帝国の楽団であることは不満だったが、それでも音楽の素晴らしさは誰も否定できなかった。
美しく暖かい曲。
パチパチ・・・。
どこからか聞こえる拍手の音に、楽長バハンは驚いた表情をする。
誰かが初めて拍手をしてくれたのだ。
首をかしげると、かなり多くの人が演奏を聞いていた。
不満そうな顔の人も多かったが、音楽を聞きながら平穏な表情をしている人も多い。
「いいね」
バハンの顔にも温かい笑みが浮かんだ。
自分が演奏する音楽が人々に幸せを与えることができるということは、音楽家としての最高の喜びだった。
「すぐ次の楽章に行きます。アダージオで、ビオラから」
少しずつ、少しずつ変化が起きた。
依然としてクローヤン王国民の心は頑固だったが、小さな石が湖に波紋を起こすように変化は明らかに起きていた。
「すごいです、閣下」
リン男爵は感嘆の声で話す。
「なぜ閣下が帝国の聖女と呼ばれるのか分かりました」
これまで総督たちがクローヤン王国民の心を慰める試みをしなかったわけではない。
しかし、すべて反感を呼び起こしただけで、彼女のように成功的な成果を出した人は誰もいなかった。
「いいえ、ただ運が良かっただけです」
マリは照れくさそうな顔で言った。
「いいえ」
リン男爵は首を横に振る。
彼女がこのような成果を出すことができたのは、王国民を政治的な目的ではなく、真に愛する気持ちで接近したためだ
リン男爵、いや、西帝国のラキ伯爵はその事実をよく知っている
ゆえに真に感心した。
この世の誰が彼女のようにできるだろうか?
彼は笑いながら言った。
「とにかく、おめでとうございます。すべてが順調に進んでいますね」
「いいえ。男爵様が助けてくださったおかげです」
二人は和気あいあいと会話を交わす。
とにかくリン男爵が言ったように、すべてがとても順調だった。
こんなにうまく進んでもいいのかと思うほどだ。
このまま進めば、クローヤン地方を安定させるという目的も無理なく逹成できるだろう。
そのためだった。
マリはもちろん、アルモンド子爵をはじめとする護衛要員の警戒が緩んだのは・・・。
「演奏会に参加しようとしていますか?」
「はい、たまには私が行って直接ピアノを弾いてみようと思います」
マリはきちんとした演奏用のドレスに着替えて言った。
思ったより演奏会の効果が良い。
音楽は人々の固い心を溶かす効果があった。
「分かりました。準備します」
マリは警備兵の警護で広場に向かう。
すでに広場にはかなり多くの人が演奏を待っていた。
広場の中央に設匿された壇上に先にマエストロ・バハンが上がる。
「この場にご出席くださった皆様にお礼を申し上げます。今日は少し特別な演奏者をお招きしました。今日演奏する曲の作曲家であり、最高のヴィルトウオーソであるマリ・フォン・ヒルデルン子爵様です」
烈火のような拍手はなかった。
みんな壇上に上がるマリを、ぼんやりと眺めているだけだ。
それでも初めてコモン城に到着した時に感じた敵意が薄められたことが確実に感じられたので、マリは満足した。
「お会いできて嬉しいです。足りないですが、ピアノのソリストとしてこの場に立つことになりました。皆さんが楽しい時間を過ごしてほしいです」
そう言ったマリは、かすかに微笑みながら、頭を下げる。
ところが、その瞬間だった!
思わぬ惨事が起こった。
ブン!
重い何かが風を切る音が聞こえ、突然の不吉さが彼女の背筋を横切る。
そして彼女の瞳が大きくなる瞬間!
パァッ!
マリの頭は大きく揺れた。
「マリ!」
「子爵様!」
「きゃあ!」
裂けるような叫び声が彼女の周りから沸き起こる。
マリは自分の意志とは裏腹にひざまずいた。
何が起こったのか把握できなかった。
覗界がぼやけていて、体に力が入らない。
マリは手を上げて頭を撫でる。
簡単な動作なのに手がぶるぶる震えた。
「血?」
血が手についていて、床に落ちた血のついた石も見える。
(石に当たったのかな?)
彼女はぼんやりと考えた。
「マリ!マリ!くそっ!マリ!」
ウィンター伯爵が青ざめて自分のところに走ってくるのが見えた。
遠くから帝国を呪う叫び声も聞こえる。
そしてそこまで。
彼女の視界は急速に暗くなった。
順調過ぎるくらいに進んでいた中での惨劇。
マリは無事なのでしょうか?
そして、ここからどうなるのでしょうか?