こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は99話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
99話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 愚かな選択
なぜだろうか。
耳元から聞こえる皇太子の話を聞いた瞬間、マリは胸が熱くなった。
彼の心配はすべて誤解だった。
自分がここに来た目的は麻薬密輸犯を無理に掃討しようとするためではなかったからだ。
ところで、私の心臓はなぜこんなに揺れているのだろうか。
「はは」
マリの唇から意味の分からない笑い声が流れる。
皇太子は眉をひそめた。
「どうして笑う?」
彼女は答えられなかった。
口を開けたら、すぐにでもドッと涙がこぼれそうだから。
(分からない。本当に)
自分は彼の元を去らなければならない。
それが自分と皆のための道だった。
けれど、なぜこれほど彼の胸に抱かれることに安堵感を覚えるのだろうか?
彼の声を聞くと心が落ち着くのだろうか?
船に乗って発つ前に胸をいっぱいにしていた張り裂けそうなもどかしさが、なぜ今は感じられないのだろうか?
「分からない」
マリの目から一滴の涙が流れ落ちる。
本当に何も分からない。
「おい、マリ?すまない、私があまりにも怒ってしまったから・・・」
皇太子はマリが涙を流すと、自分があまりにも怒ってしまったからだと思って慌てる。
彼は困惑した顔で謝った。
「どれだけ心配で怒っても、こんなに怒ってはいけなかったのに。すまない。だから泣かないでくれ・・・」
冷や汗を流す皇太子を見て、マリは気づいた。
(ああ、そうなんだ)
マリは微笑む。
目から涙が流れたまま、めちゃくちゃな笑みで。
「殿下」
皇太子が目を大きく開けた瞬間、マリは口を開いた。
「ありがとうございます」
彼女はもう一度告げる。
「ありがとうございます、本当に」
マリは目を閉じて心の中で考えた。
(離れたくない)
彼に対する自分の気持ちは分からない。
そんな心を振り返る余裕がなかったからだ。
しかし、確かなことは一つあった。
離れたくなかった。
このまま彼のそばにいたい。
彼のそばにいて、いつも無理をする彼を助けたかったし、疲れた時にお茶でもてなしてあげたかったし、たまには美味しい食事をしながら一緒に会話もしたかった。
(彼のそばにいることくらいは大丈夫じゃないかな。だから、彼を助けることくらいはいいんじゃないかな)
実は分からない。
これが正しい選択なのかどうか。
理性的に考えると去るのが正しいだろう。
去れば正体がバレて命を落とす危険もない。
何よりも、彼のそばにいれば、自分は彼に揺れ続けるだろう。
彼と自分、みんなが大変だろう。
しかし、この瞬間、マリは愚かな選択をしたかった。
そうしないと、自分の心が死んでしまいそうだから。
マリは空を見上げて祈った。
(主よ。私と殿下を祝福してください)
お願いです。
どうか、どうか。
私を哀れに思ってください。
どんな結末でもいいから、彼と自分の話が不幸ではない結末で終わることを。
彼女はそう切に祈った。
その日の出来事はすぐ首都全体に広がった。
後の事情はとにかく、マリがまたとてつもない功績を立てたのだ。
「聞きましたか?ヒルデルン卿が麻薬密輸の犯人たちを一網打尽にしたそうですよ?」
「本当ですか?一体どうやって?」
「密かに犯人たちを追跡した末、密輸現場を捉えたそうです。それで現行犯で全員捕まえたそうです」
「本当に凄いですね、フォン・ヒルデルン卿は」
危うくとても頭を痛めそうになった事件だが、未然に一網打尽にしたのだ。
大きな功績に違いない。
人々は、再び大きなことを成し遂げたマリに感嘆の声を上げる。
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「・・・事実じゃないのに」
もちろん、真実を知っているマリ本人は恥ずかしい表情を浮かべていた。
まったく褒められることではなかったのに、恥ずかしくて死にそうだ。
だからといって真実を語ることもできないので、当分は恥ずかしい気分のまま過ごさなければならない。
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とにかくもう一度首都全体がマリの立てた功績で賑やかな時、妙な表情を浮かべていた人がいた。
「モリナ王女が密輸現場を襲ったって?」
まさにこの陰謀の背後者だったカラクタ伯爵、いや、ヨハネフ三世だった。
「はい、陛下」
情報部所属の副部長ロイスが答える。
「どうやって、あの場所でアヘンを荷役するのか分かった?それも正確な時間まで把握して・・・。情報が漏れたのかな?」
「そんな兆候はありません」
「理解できないね」
ヨハネフ三世は舌打ちした。
実際、アヘンの件は彼がそれほど比重を置いたことではない。
それでもある程度東帝国を混乱さえ皇太子の視線を惹いてほしかったのに、このように計画を始める前に一網打尽されるなんて?
「ますます心を刺激するね」
ヨハンは先日会ったモリナ王女の姿を思い出し、薄く微笑んだ。
「やはり殺すには勿体無い。どんな手を使ってでも私の手に収めた方がいいね。他の事業は順調に進んでいるだろう?」
「はい、もちろんです。首都の多くの高位貴族が関心を示しています」
「そう、いいね。今日会う新しい顧客は誰だって?」
顧客。
それは彼らの餌を意味する。
執事ロイスは書類を見ながら落ち着いた声で答えた。
「シュレーアン大公家のアリエル公女です」
ひとまずマリの脱出計画は頓挫しました。
ヨハネフ三世の計画が不穏です・・・。
アリエル公女も次の事件に関わっているようですね。