こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は83話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
83話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 一緒にダンスを
「あ・・・、それはちょっと・・・」
マリが困った表情をした。
彼女の拒絶にキエルはガッカリした表情を浮かべる。
「もしかして私と踊るのは嫌でしょうか?」
「いいえ!そんなことはありません。ただ、私はダンスが下手なので・・・」
マリが恥ずかしそうな顔で言った。
「もし一緒に踊ったら、とても失礼になるでしょう」
キエルは自分を断ったわけではないことに気づき、安堵の表情を浮かべる。
「そんなことは大丈夫です。どうせ気楽に踊るダンスですから」
「ダメですよ。きっとたくさん踏むと思います」
「え?」
「キエルさんの足です。何度も踏んでしまうに違いありません」
マリはそれだけは駄目だという決然とした表情で首を横に振った。
彼女の言葉にキエルはくすくす笑う。
「ああ、そんな訳なら本当に大丈夫です」
彼は彼女の手を優しく掴んだ。
白い手袋越しに強靭ながらも暖かい感じが伝わった。
「足が踏まれるのは、リードする人が初心者の時とかです。私は思ったより上手なので、そんな心配はしなくても大丈夫ですよ。この前仮面舞踏会の時に一度一緒に踊ってみたので分かりますよね?」
「・・・」
「私に任せてくれればいいので、楽に一曲踊りましょう、レディー」
マリはしばらく彼に掴まった自分の手を見つめながら悩んだ。
「本当に・・・、足を踏むかもしれません」
「ちゃんと避けるので大丈夫です。それに踏まれたらどうなると?」
キエルは言葉を続けた。
「他の人でもなく、私が大切に思っているマリちゃんなのに。どれだけ踏んでも大丈夫です」
二人は踊り始めた。
マリが言ったように、彼女のダンスは未熟だ。
ちゃんと習ったことがないので当然だろう。
しかし、キエルは本当に上手だった。
彼は出来るだけ簡単についていけるようにゆっくりとマリを導き、彼女が失敗しようとするたびに巧みな腕前で引き留める。
おかげでマリはリラックスしてダンスを楽しむことができた。
「ありがとうございます」
「何がでしょうか?」
「その・・・、全部です」
マリは心を込めて言った。
そう、キエルにはいつも感謝している。
全部だ。
しかし、それと同時にさらに申し訳なかった。
彼の心を受け入れることができないから。
「はぁ」
マリの顔が暗くなると、キエルは表情を固めた。
彼女の本音を察したのだろうか?
「そんな表情をしないでください。私は今十分に幸せですから」
「・・・はい」
マリは懸命に微笑んだ。
しきりに悪い表情を見せるのも彼に失礼だと思い、彼女は複雑な考えを振り払った。
そして音楽の流れに合わせて踊ることだけに集中する。
一方、そんなマリを沸かすような視線で眺めている人がいた。
宴会場の上座に座っている皇太子ラエルだ。
「・・・」
ラエルは口を固く閉ざし、キエルと手を取り合って踊るマリを見つめた。
胸が沸き、傲慢な感情が彼の心を揺さぶる。
(何をあんなに笑っているんだ?あいつと踊るのがそんなに楽しいのか?ダンスなら私もいくらでも踊ってあげられるのに)
ラエルは心の中で呟く。
キエルの手が彼女の体を掠めるたびに爆発しそうな感情が込み上げてきた。
今すぐにでも駆けつけて二人を引き離したい。
(服はなんであんな風に着てきた?皆がチラチラ見ているじゃないか)
宴会場に来てマリを見た瞬間、ラエルは胸がドキドキした。
普段も綺麗に見えたが、今日はまるで天使が降りてきたように美しかったからだ。
もちろんマリが実際にそこまで美しいわけではないが、ラエルの目にはそのように見えた。
ところが、そのように美しく飾った彼女は、自分ではなくキエルハーンのエスコートを受けていた。
その事実を思い出した瞬間、ドキドキしていた心がギクシャクする。
しかも上着のはだけたドレスを着たせいで、何人かの雑種たちがチラリと彼女を眺めていた。
皺くちゃになった気分がますます底に落ちていく。
彼らに雪かきをしろと叫びたかった。
「くそ・・・」
ラエルは何の罪もない酒を飲む。
その瞬間だった。
彼らのダンスを見ていたラエルの目が裂けそうなほど大きくなる。
マリがキエルの胸に優しく抱かれていったのだ!
「・・・!」
実際、ダンスによる動作に過ぎなかったが、彼にはそう見えなかった。
彼女とキエルがお互いの息遣いが届く距離で瞳が向き合うのを見た瞬間、ラエルの頭の中から何かがプツッとキレる。
頭の中が白く麻痺していく感じがして、もう我慢できなかった。
「殿下?」
そばにいたオルンが飛び上がったラエルを見て驚いた表情を浮かべる。
鉄仮面の下から感じられる勢いが尋常ではなかった。
「しばらく行ってくる」
「え?どこへ?」
ラエルは答えずに大股で足を運んだ。
「あの、殿下?」
皇太子の赴いた場所。
そこはダンスが終わったばかりでホールから降りてきたマリとキエルがいる場所だった。
キエルは常に優しくて好印象ですよね。
今のところは彼が優勢ですが、ラエルは二人の元に行ってどうするつもりでしょうか?
マリにダンスを申し込む?