こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は85話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
85話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 緊張のダンス
皇太子とキエルハーン。
帝国で最も美しい二人の男性であり、互いに強力な政敵。
そんな二人が一人の少女を同時に好きになるなんて、妙なことに違いなかった。
誰かが呟く。
「小説のような展開で、羨ましいですね」
一方、令嬢たちの羨ましさを一身に受けるマリは、「私が皇太子とダンスだなんて!」と青ざめた表情でパニックに陥っていた。
(殿下の足を踏んだら?)
いや、絶対踏むことになるだろう。
彼女はダンスの超初心者だったから。
(駄目!それだけは)
マリはヒールで皇太子の足を踏むのを想像した。
恐ろしい想像だ。
「どこか不便なのかな?」
ラエルが尋ねると、マリは急いで答える。
「殿下、私と踊ることをもう一度だけ考え直してください」
「・・・」
「このまま踊れば殿下に失礼を犯すことは明らかです。ですから・・・!」
ラエルはただため息をつく。
踊るために彼女の肩に乗っていた彼の左手が上に上がり、彼女の頭を抱きしめた。
鋭い雰囲気とは裏腹に柔らかい手つきで。
「・・・!」
彼が自分の髪を撫でるとマリの胸がドキドキする。
電気が心臓に突き刺さるような感覚だった。
「あの、殿下、手を・・・」
マリが震える声で話した瞬間、ラエルは腰を曲げて彼女の耳元に自分の唇を持っていく。
耳たぶと唇が触れそうな距離で彼は言った。
「どれだけ失敗してもいいから楽に踊りなさい」
マリの顔がカッと熱くなる。
(こんな状況で楽に踊るなんて!)
彼女は泣きべそをかいた。
今耳たぶから感じられた彼の息遣いのせいだろうか。
胸が落ち着かなくて口を開けることができない。
(しっかりして、マリ!踏ん張ったら駄目よ!)
背が低いので履いている靴のかかとがとても高かった。
踏まれると痛いのは間違いないだろう。
(ステップを・・・!)
しかし、その瞬間。
ギュッ!
マリのかかとがラエルの足の甲をまっすぐ踏んだ。
「・・・!」
マリの顔が死体のように青ざめる。
結局事故を起こしてしまったのだ。
「申し訳ありません!」
その時、ラエルは言った。
「こんなことで何を気にする?それより足は捻っていないか?」
先ほどの鋭い雰囲気とは全く違う優しい声。
きっとすごく痛かったはずなのに全然目立たないのはもちろん、むしろ自分のことを心配していた。
ラエルがニヤリと笑う。
「もっと踏んでもいいから、楽に踊りなさい」
「いいえ、絶対に踏みません!」
マリは固い意志で答えた。
しかし、緊張で硬くなった体が一瞬にして良くなるはずがない。
その直後、彼女は再び間違いを犯した。
「・・・!」
今度は足を踏む失礼ではない。
しかし、ある意味さらに最悪のミスだったが、足を捻挫して彼の胸に倒れてしまったのだ。
「ごめんなさい!」
けれど、その瞬間、ラエルが片手でマリの腰を抱きしめる。
しっかりと。
彼女が自分の腕から離れないように。
「殿下・・・」
マリは震える声で口を開いた。
頭から感じられる固い彼の胸に、自分の腰を包み込んだ彼の腕に頭が白紙のように変わる。
何も考えられなかった。
「ダンスが下手だね」
「・・・!」
「これからはたくさんと踊らないといけないのに、練習をしないと」
マリは慌てて頷いてラエルの腕から抜け出そうとした。
「はい、できるだけ練習してきます。ですから手を・・・」
しかし、ラエルは腰を包んだ手を緩めない。
むしろもう少し力を入れて自分の方に抱きしめた。
彼の固い体がさらに密着する。
マリの胸が張り裂けそうにドキドキした。
「練習はできる。どうせ、もう私とだけ踊るのだから」
「・・・!」
マリは何の返事もできなかった。
全身で感じられる彼の感触に心臓が張り裂けそうに。
ラエルは目を薄く閉じ、そして彼女の腰を包んだ腕の力を少し緩めながら言った。
「もう少しこのまま」
おっとりした声。
普段の彼の姿から全く想像できない甘い声。
ちょうどオーケストラ団が甘い旋律の音楽を演奏し始めた。
ラエルはその音楽に合わせてマリを腕の中で優しく導く。
マリはリンゴのように赤くなった顔でダンスを追った。
胸が張り裂けるようにドキドキしながら、同時にムズムズする感覚に。
「マリ」
「・・・」
「この前言った通り、私はあなたの全てが欲しい」
マリは黙ってラエルの言葉を聞く。
「それで君が私を押し出しても待っているつもりだ。私が望むのは心のない空殻ではないからね。君の心まで全部欲しいから」
そこまで話したラエルの雰囲気が低くなった。
「けれど、私は辛抱強くない」
その重い声を聞くと、マリはまるで猛獣の餌食になった草食動物になったような気がして胸がドキドキする。
「もし今日のように再び私を刺激したら・・・」
その瞬間、ラエルは腰を巻いた腕に力を入れ、彼女を再び自分の方に強く抱きしめた。
逃げられないように。
まるで閉じ込めておこうとするかのように。
「そのまま君を攫ってしまうかもしれない。だから私をあまり刺激しないでくれ。これは警告だよ」
終始優しいキエルと、結構強引なラエル。
どっちも魅力的ですが、そのうち二人が直接争ってしまうのではないでしょうか?