こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は272話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
272話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- もう一度②
「キスしましょう、セイブリアン。何度もたくさん」
私はそう言ってセーブルに用心深く近づく。
彼はビクッとして後退りし、壁に背中がぶつかる音がした。
い、嫌なのかな?ビックリしたのかな?
いきなり怖くなって、私はそっと距離を置いたままセーブルの顔色を見る。
彼は妙な表情をしていた。
驚いたようでもあり、喜んでいるようでもある。
思いがけないプレゼントを貰った子供のようにも見えた。
「本当にできるのですか?」
「はい、本当にできます。でも・・・」
私は彼の口元を見上げる。
アビゲールの身長も低い方ではないが、セーブルがあまりにも大きくてキスするには爪先立ちをしなければらならないようだった。
「背が高くて届かないと思います」
すると、壁にもたれていたセーブルがずるずると滑り降りてきて、あっという間に視野が似てきた。
「これくらいでいいでしょうか?」
「は、はい!」
降りてくる速度が電光石火級だ。
私がうなずくと、彼の手が注意深く私の腰に触れる。
抱きしめようとしているのかな?
しかし、彼はそっと手を取り、今度は手首を掴んで、その後は肩に乗せて右往左往する姿になった。
な、何だろう。
彼の意思を知る術がなくじっと見つめると、セーブルが照れくさそうに視線を避けながら口を開く。
「す、すみません。私はキスは初めてなので・・・」
照れくささと緊張がたっぷり込められた瞳が、水の中に入った宝石のようにチラチラしている。
その瞳を見た瞬間、私の中の何かが湧き上がるようだった。
果敢に壁をドンと突いた後、反対の手でセーブルのあごを掴んだ。
「大丈夫です、私だけを信じてください」
バンビ、心配しないで。お姉ちゃんは実践経験はなくても理論はあちこちでたくさん聞いたから!
「目を閉じてください」
「はい」
セーブルが慎ましやかに目を閉じた。
震えるまつ毛を見ると、彼がどれほど緊張しているのかが感じられた。
ああ、おかしくなりそう。
思わず乾いた唾を飲み込んだ。
私は息を止めたまま、彼の唇にそっとキスをする。
仮死状態で眠っていたセーブルの唇は冷たかったが、今は生き生きとした温もりが感じられた。
あまりにも柔らかくて暖かかった。
ただ肉と肉が触れただけなのに、蜂蜜でも塗ったかのように甘い。
心臓が破裂する一歩手前。
彼がとても愛らしく、永遠にこの時間を止めていたかった。
チュッ、と軽く唇が落ちる音が聞こえ、しばらくしてセーブルの瞼が静かに開いた。
何かに酔った人のように、朦朧とした目つきに私は少し心配になる。
「大丈夫ですか?気分が悪くなったり・・・、そんなことないですか?」
もしかすると、このようなスキンシップが前王妃を思い出させてしまうのではないか。
キスは初めてだから大丈夫かな。
セーブルは沈んだ声で言った。
「・・・分かりません」
やはりちょっと曖昧な様子だ。
私だけが良かったようで罪悪感を感じる。
その時、セーブルが手を伸ばして私の頬を包んだ。
「ですから、もう一度やりましょう」
「え?」
「もう一度すれば分かると思います」
セーブルが優しく私を引き寄せ、あっという間に彼の唇が私の呼吸を飲み込んだ。
春が毎年訪れても、いつも新しいように2回目のキスも忽然とした。
彼は前よりもう少し長くキスをしてから首を離す。
彼の静かな瞳の中に私がこもっていた。
「どうですか?」
「分かりません。もう一度キスしましょう」
この春を永遠に捕まえようとする人のように、セーブルが私を抱きしめていた。
唇が触れた瞬間、季節さえ春で止まってしまった感覚。
私たちの唇、体、呼吸が一対のようにピッタリ合っていた。
息さえ止まったまま、私たちはお互いの唇だけで呼吸していた。
「・・・はあ」
しばらくしてから彼が唇を引き離して息を吐く。
セーブルの青い瞳は、深さの分からない幸せで輝いていた。
目が合うと彼がニッコリ笑う。
瞬間、心臓の片隅がガタガタと音を立てて、恥ずかしさが押し寄せてきた。
「もう、お分かりでしょう?大丈夫ですか?」
「ええ、いいですね」
そう言って、彼は幼い獣のように私の肩に頭を擦り付けてくる。
「だから、またやりましょう」
うわぁ、すごく可愛い!
一日中キスだけしたい!
再び彼にキスをしようとすると、私のネックレスからトントンとノックが聞こえてきた。
「あの、アビゲール?何かあったんじゃないよね?」
ヴェリテ!?
私はビックリしてセーブルから離れた。
「ヴェ、ヴェ、ヴェリテ?見てた?」
「いや、見てないよ。君が行ってから時間がかなり経過したのに、私を呼ばなかったから・・・」
あっ、そういえば私の魔力について話すために来たんだ。
キスに気を取られてうっかりしてたよ。
「ヴェリテと何かあったのですか?」
セーブルはそう聞きながら、そっと私の腰を掴んで自分の方に引き寄せた。
キスも重要だけど、ひとまずもっと急なことがある。
「はい、重要な話をしに来ました。ですから、キスの続きはまた今度で」
「分かりました」
彼は残念そうにも素直に私の腰を離してくれた。
「えーと、この話はヴェリテと一緒にした方がいいと思うのですが、呼んでもいいですか?」
「ええ、もちろんです」
キスに夢中でヴェリテのことを忘れていたようです。
アビゲールの秘密を聞いて、セイブリアンはどう反応するのでしょうか?