こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は331話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
331話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 仄暗い底
アビゲイルは窓を見つめていた。
穴という表現がよりよく似合うみすぼらしい窓だったが、アビゲイルはそれさえも感傷的だった。
あの小さな穴がなかったら、この監獄はただの暗黒だったはずだから。
一片の日光にとても感謝した。
床には寒気を防ぐために敷いておいた藁の山があったが、あまり役に立たず、臭いにおいが周囲をいっぱいに満たしている。
大妃の兵士たちに連れられてここに閉じ込められてからどれくらい経っただろうか。
日が昇るのを2回見たので、2日が過ぎたはず。
アビゲールは人々を説得しようとしたが無駄だった。
彼女が魔女だという事実を知ると皆が背を向けたから。
魔法を使って大妃を制圧していたら、今の危機は免れただろうが、その後がさらに問題だったはずだ。
アビゲイルはしゃがんだまま自分の腕を抱きしめる。
(大丈夫。私が黒い魔力を持っているとしても、監禁が精一杯だろう)
彼女はそのように自分をなだめた。
いくら魔女であっても王妃をそんなに簡単に殺すわけがないと。
まず、なぜこのようなことが起きたのかから把握しなければならなかった。
不審な点が一つやニつではない。
「動物たちが死んだということも大妃と関連があるのか?妖精たちが井戸に毒を入れたという噂も?そして、私の魔力についてはどうやって知ったのだろうか」
大妃の目的は、自分を廃位させることだけではなかったはずだ。
そもそも大妃は摂政の席を望んでいるから。
それなら、最も危険な人はセイブリアンだった。
彼が危険に陥るかもしれないと思うと、心臓が割れるように痛くなる。
その時、上の方から足音が聞こえた。
アビゲイルはびくっとしたが、すぐに看守でないことに気づく。
小動物が近づいてくるような軽い足音だった。
しばらくして、ローブをかぶった誰かが入ってきた。
ブランシュだった。
「お母さん、お母さん!」
「ブランシュ!」
ブランシュはあわててアビゲールのところへ走ってきた。
しかし、鉄格子が母娘を遮っている。
服が汚れることもものともせず、ブランシュが監獄の前に座り込んだ。
「すみません。もっと早く来ようとしたのに、大妃殿下が監視をしていて、やっと抜け出すことができました」
アビゲイルは彼に会いに来たブランシュに会えて嬉しかったが、彼女がもっと心配だったので急いで言った。
「それは危険なことではないですか、ブランシュ?早く帰りましょう」
「しばらくは大丈夫です。お母さんは大丈夫ですか?どうしてこんな・・・」
ブランシュは鉄格子を握り締めたまま、おびえた目であたりを眺める。
いくら罪人だとしても王族をこのような所に閉じ込めることはできなかった。
最小限の礼遇さえない処遇にブランシュがむっとして言った。
「お母さんが魔女だなんて、そんなはずがありません!絶対に何か誤解があるんです」
その言葉がアビゲイルの胸のあたりをひりひりと剌した。
誤解なら本当にいいのに、残念ながら事実だった。
アビゲイルは娘に自分が魔女だと言うことができなかった。
もし魔女であることを自ら認めたら、ブランシュまで自分に背を向けるのではないかと怖かったのだ。
アビゲイルが沈黙する間、ブランシュが沈痛な声で話を続ける。
「みんなお母さんが魔女だと、動物たちを殺したのもお母さんの仕業だそうです。宮殿の中の人たちを殺そうとして失敗したんだって」
「・・・」
「大臣の多くが大妃殿下を支持しています。お母さんは信じられないと、魔女が異種族の味方をすると」
その言葉はアビゲイルに衝撃を与えるのではなく、虚しさを与えた。
妖精との交流に賛成する者もいたのに、彼らさえ背を向けてしまうとは。
自分に黒い魔力があるのが間違っていたのだろうか?
それとも、異種族との交流を進めたことが問題だったのだろうか?
ブランシュは震える声で言った。
「お、お母さんを・・・火刑にしなければならないという人たちもいました」
自分が閉じ込められていた2日間、ブランシュも苦しい時間を過ごしたはずだ。
セイブリアンもベリテもなく、この子一人でどれほど多くのことを耐えてきたのだろうか。
アビゲイルが沈黙すると、ブランシュはさらにいらだたしそうになった。
子供は母親の手を握りしめ、哀願するように言った。
「お母さん。今からでもこの種族との交流を諦めてください!そうすれば、大臣たちもお母さんを支持してくれるでしょう!」
凄絶な訴えだった。
その訴えにアビゲイルは全身が固まってしまうようだった。
ブランシュがどんな気持ちでその話を切り出したのか見当がつかない。
「でもベリテは?」
「お母さんが死んだら、結婚しても何の役にも立ちません!」
ブランシュの顔にこんなに絶望的な焦りが漂うのをアビゲイルは生まれて初めて見た。
どんなに恐ろしいだろうか。
どれほど不安だろうか。
鉄格子を破るように握ったか弱い手の震え。
アビゲイルはしばらく黙っていたが、ブランシュの手の上に手を重ねた。
彼女はやっと話を切り出す。
「ブランシュ、ごめんなさい。私は他種族との交流を諦められません」
ブランシュの目にひびが入るような気がした。
ガラスが割れて水が溢れるように悲しみが漏れ出そうな。
普段ならおとなしくうなずいたはずのブランシュだったが、今この瞬間だけは母親の意思に従うことができなかった。
ブランシュはうつむいた。
肩が震える中、凄絶な哀願が聞こえてきた。
「お願いします、お母さん。一度だけ退けばいいじゃないですか。お願い・・・お願いだからあきらめてください。どうか交流をあきらめてください。どうしてそんなに固執するんですか」
「ブランシュ」
アビゲイルはかろうじて鉄格子の間に手を伸ばし、ブランシュの頬を撫でる。
優しい手つき、そして真剣な覗線だった。
「お母さんは引き下がれない」
そのはっきりした言葉にブランシュは混乱と絶望を同時に感じた。
ブランシュが割れるように震えながら口を開いた。
「どうしてですか?一体どうして・・・」
「この前ブランシュはコルセットのために食事の調節をしなければならなかったよね?」
多少突拍子もない話に、ブランシュは怪認な顔をしてうなずいた。
アビゲールは優しい口調で話し続ける。
「お母さんはそれが本当に嫌だった。ブランシュが強制的に服に体を合わせるのも嫌だったし、不便な服を着るのも嫌だった」
アビゲイルは美しい服を作りたいと同時に、楽な服を作りたかった。
しかし、いくら自分が新しい服を作っても限界はある。
戦争のように大きなきっかけがない以上、文化は簡単には変わらないはずだった。
そんな悩みをしていた時に訪れたのがまさにナディアとベリテだった。
「お母さんはブランシュがスレビエンの服を着た時、本当に嬉しかった。海の絹で作った服が欲しいと言った時も嬉しかったし」
自由を追求する人魚に会って色々な人が変わり、妖精と会うことになるとまた別の変化が生じ始めた。
それはあまりにも貴重な変化だ。
命をかけてもいいほど大事な機会。
少しでも世の中が変わることができる機会。
「ブランシュ。ママはブランシュがどんな服を着ても非難されない世の中を望んでいる。「あなた」の選択がいつも尊重されることさえできれば・・・。いつも君が望む通りに生きていけるなら。ブランシュ、あなたにもっと良い世界を与えたい。だからお母さんは絶対に引き下がれない」
娘が生きていくこの世の中が少しでも良い所になることを願った。
ひたすらそれだけがアビゲイルの望みだった。
ブランシュは目を見開いて何も言えなかった。
アビゲイルは慰めるように静かな声で話す。
「大丈夫だよ。みんな興奮してるんだよ、簡単に火刑させたりはしないから。そしてもうすぐ殿下とベリテも帰ってくるだろう?」
「・・・」
「だからあまり心配しないでね、ブランシュ。ここは思ったより快適でもあるし、少しだけ耐えればいいから。分かった?」
「・・・はい。お母さん。」
しばらくした後、ブランシュはようやくうなずいた。
その時、門の方からノマがこっそりと顔を出す。
「そろそろ看守が戻ってきます。行かなければならないようです」
アビゲイルはゆっくりと手を放した。
なんとなくこの手を離したら二度と握れないような不安を感じながらも。
「クララ、ブランシュをよろしく」
「はい、王妃様」
クララは固い顔でブランシュの肩を抱きしめる。
ブランシュはかろうじてアビゲールの手を離し、席から立ち上がった。
「・・・今日ベリテが連絡をくれるから早く帰って来てくれと言います。何とかして助けてくれるでしょう」
「うん、その間待っているよ」
アビゲイルは、早く行ってというように目配せした。
自分は本当に大丈夫だというように。
ブランシュはかろうじてアビゲイルを後にして刑務所を出た。
頬に響く風が春らしくなく冷たかった。
自分の部屋に戻る道。
ブランシュの顔にはいつもと違う悲壮感が漂っていた。
「お母さんが私にもっと良い世の中を与えたいとおっしゃった」
私に世界を与えたいなんて。
そんなに大きな愛だなんて。
その愛にどう報えばいいのか分からない。
しかし、アビゲイルが自分により良い世の中を与えることを決心したとすれば、ブランシュは全力を尽くして母親を助けたかった。
「まずはベリテと連絡をしないと」
ベリテ側から一方的に連絡を与える構造なので待たなければならなかったが、幸い今夜が連絡日だ。
「数時間だけ待てばいいんだ。その間に少しでも大臣達を説得して・・・」
どのように説得すれば良いか悩みながら部屋に入る途中、何かがカサカサと音を立てて踏まれた。
割れた骨が踏まれるような音。
足の下を見下ろすと、それはガラスの破片だった。
いや、鏡だった。
鏡は数十個の破片に割れて床を覆っていた。
ブランシュの当惑した顔が鏡片に幻影のように反射する。
驚いて周りを振り向くと、部屋の中の鏡がすべて割れていた。
ブランシュが青ざめた顔で後ずさりした。
(一体誰がこんなことをしたんだ?ベリテの鏡は無事だろうか?)
ベリテの鏡が割れていたら、すべてが水の泡だ。
ブランシュが急いで足を踏み出そうとした瞬間。
何かが乱暴に自分の口をふさいだ。
湿った布の手触り。
そして強い薬の匂い。
反抗する暇もなかった。
ブランシュの小さな体がぐったりすると、茶色の髪をした誰かがにっこりと笑う。
大妃の計画で閉じ込められたアビゲイル。
一方でブランシュにもピンチが。
彼女を襲った人物とは?