こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
今回は142話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
142話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 化身②
「ちょうどいいタイミングで来たみたいだね。」
ラルクは窓の外から、応接室で一人無表情のまま書類を見ているナビアを見つけて、思わずクスリと笑う。
集中しているときの無表情な顔は幼い頃と変わらない様子が、妙に懐かしくて微笑ましかった。
コツコツ。
ラルクは窓に近づき、ガラスを軽くノックしながら冗談を言った。
すると、ナビアが不審そうな表情で彼の方を振り向き、すぐに明るい笑顔を見せる。
「お父さん、クリード。」
娘の唇の動きがはっきりとそう読めた。
声はガラス越しに聞こえなかったが、その表情から明るく弾むような声が聞こえてきそうだった。
きっと喜びと幸福に満ちた声だったのだろう。
バーン!
窓が勢いよく開き、ナビアが全身で飛び出してきた。
ナビアは息をのみながら尋ねる。
「どうして二人で一緒に来たのですか?」
やはり彼が予想していた通り、ナビアの声には楽しげな響きが込められていた。
「近くで会ったんだ。」
ラルクはそう答えると窓枠を掴み、軽やかに飛び降りて応接室へ向かう。
ナビアがそのまま振り返ると、クリードもラルクをそのまま追いかけて部屋に入ってきた。
(二人、なんだか似てるな。)
ナビアは心の中で、二人がとてもお似合いだと思いながら、くすくすと笑みを浮かべた。
そのとき、クリードがそっと隣に歩み寄り、優しい笑顔で尋ねた。
「元気にしてたかい、お姉さん?」
「うん、たっぷり休めたわ。君は昨日モニカと一緒に働いて、息をつく暇もなかったそうじゃない?大丈夫?」
「僕は元気だよ。」
「それでも・・・魔力の方はどう?」
ナビアは魔力が乱れて苦しんでいるクリードの様子を直接目にしたため、心配が深まった。
クリードは「ああ・・・」と言いながら、どこか困惑した表情を浮かべる。
(そういえば、化神になってから魔力が完全に安定したんだな。)
その気付きは、ナビアとのスキンシップに関しての障害が一つなくなったことを意味していた。
「クリード?」
ナビアが不思議そうに視線を合わせてくると、クリードは反射的に穏やかに微笑んだ。
悪い考えをしたという事実を悟られたくなかったからだ。
「公爵様のおかげで良くなったよ。」
「お父さん?」
彼女の視線は、長いソファを一人で占領し、体を預けたままクッキーをゆっくりとかじっているラルクに向けられた。
どうやら一人分だけの言い訳らしかった。
「二人は何をしてたの?」
ラルクはクッキーがさらに美味しいと言いながら、それを二度噛む間にあまり大げさではなく答えた。
「うん、化神になった。」
「・・・?」
「君のボーイフレンドが私の化神なんだよ。」
「ボーイフレンド」という言葉にナビアの顔が一瞬固まる。
クリードも戸惑ってぎこちない表情でナビアをちらりと見た。
二人とも話したいことがあるようだったが、まだ自分たちの関係を整理できていないようだ。
ともかく。
「詳しく話してください。」
ラルクは化神に関することから、今朝アグニスを訪れて聞いた話まで、一気に中断せず語り尽くした。
「万神典という書物に何か特別な力があるんですか?」
「うん、万神典で直接作られた、僕の人間界に送った本だからね。もともと神々が僕らを本格的に圧迫して、人間界に避難させようとした狙いがあったんだ。」
その計画にラルクが即座に賛成した。
ナビアは自分が生贄となるという言葉にも特に深く考え込むことはなかった。
しかし、一番怒りを露わにしたのはクリードだった。
「当然、あいつらを・・・」
ぎゅっと拳を握ると、手袋がきしむ音と共に怒りが漏れ出した。
「いいえ、大丈夫よ。」
ナビアの明るい言葉に、彼の手から力が抜ける。
「大丈夫? あいつらが勝手に姉さんを使って、生贄にしようだなんて馬鹿げたことを言っているのに。」
ナビアは、それでも大丈夫だと考えた。
クリードは落ち着いたナビアを見て、どうしようもないというように小さく息を吐いた。
ずっとこの場にいれば危険だと感じ、全てを壊してしまいそうだ。
「だから公爵様が私を化身にしたのでしょうね。」
ラルクはニャラトテップを追い払った手がわずかに震えるのを感じながら、体を起こした。
この問題児を片付けるためには、神界に行かなければならないようだと悟り、心の中で少し不安を感じながらナビアに尋ねた。
「父さんは外部の神の問題のために寺院に行かなければならないんだけど、大丈夫?」
「はい、大丈夫です。」
「・・・」
(あれ?ナビアが泣かない?)
おかしい。自分が思い描いていた光景はこれではないのに。
(うちの娘は父親と一瞬でも離れるのが嫌だって感じじゃなかった?)
「・・・泣かないの?」
ナビアの額にはわずかにしわが寄った。
「私、子供じゃないんですよ。どうして泣くんですか?」
「でも父さんが神界に行くんだぞ?」
「はい、行ってらっしゃい。」
「3日も父さんに会えなくても平気なのか?涙の一滴くらい流れるんじゃない?」
「一滴も出ませんよ。」
ナビアは少し冷ややかな視線でラルクを見つめる。
その目は彼を明確に安心して見送る輝きを帯びていた。
もちろん、昨日戻ってきた父さんがまた三日後に神界へ行くのは寂しいことではあるが、それが一大事というわけでもないだろう。
それに実際のところ、ナビアはとても忙しい状態だった。
今もこうして父さんと会話する余裕などないほどだ。
(父さんの話によれば、すぐに外三村と協力してアグニスを奪還する準備をしなければならないのに。)
忙しい時期を上手く乗り越えて、一息つける時に楽しい時間を過ごせればいいのだ。
だが、ラルクは公と私の区別が全くできない堅物な性格だった。
彼は一度口を尖らせてつぶやいた。
「父さんは不満だ。」
しばらくして、そばで見守っていたクリードも、諦めたように静かにため息をつき、視線を逸らす。
(自分は将来あんな父親にはなるまい。)
ラルクはまさにその考えのもと、立派な反面教師として彼を見ていた。
「早く行ってきてください。お父さんが戻るまでに忙しい仕事を全部終わらせておきますから。」
「ふん、お父さんがいてもいなくても関係ないの?お父さんが大事なの、それとも仕事が大事なの?」
「お父さんです。」
「そうか、お父さん・・・え?」
ラルクは冷静な態度で娘が仕事の方が大事だと言うと思いきや、その答えに少し驚いて動揺した。
ナビアはそんな彼の反応を不思議そうに見つめながら、はっきりと再び言った。
「もちろんお父さんが大事です。だからこそ、早く仕事を終わらせてください。終わらせて、お父さんと一緒に家に帰るつもりです。」
ラルクは口元を動かして何かを言おうとしたが、気を取り直して改めて問いかけた。
「本当?」
「はい。だから遅れないで行ってきてください。」
彼はすぐに納得したようだった。
「もちろんだ。何かあったらニックスに連絡して。すぐに戻るから。」
「分かりました。」
ナビアはニコニコと微笑み、気分が良さそうな父を見てさらに明るい笑顔を浮かべる。
「お父さん、行ってくるね。」
「はい。」
ラルクの視線がクリードに向けられた。
「神に会いに行ってくる。何か言いたいことがあれば、敬虔な気持ちで祈りに込めるんだ。」
「はい。」
ラルクはそれ以上迷う理由もなく、手のひらを軽く打ち鳴らした。
パチン!
金色のオーラのような雰囲気が空間に一瞬広がったかと思うと、すぐに消えた。
応接室にはナビアとクリード、二人だけが残された。