こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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83話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 裏工作②
試験が行われる1週間前。
ユジェニーは1階にある広い自習室にいた。
広いホールには長い机と椅子が置かれ、受験生たちの間で簡単な討論が許される代わりに、さほど静かすぎるわけでもない、適度な集中環境を提供していた。
ユジェニーは少しの騒音があった方が集中しやすいと感じるタイプだったので、普段からこの自習室を好んで利用していた。
「マクレードさん。」
集中力が少しずつ落ちていく頃、エイビントンが問題を抱える少女に近づいてきた。
クラリス・レノン・グレジェカイア。
彼女は異国の王女であり、王自らが直接見守る特別な能力を持った戦争の英雄だった。
彼女はこの首都園に来るや否や、すぐさま話題の中心人物となった。
ハンサムな王子や強力な魔法使いに大事にされている少女という点で、皆の好奇心を引いたのだ。
もっとも、クラリス本人はガラスの花というよりは燃え盛る花のように気難しい一面があるように見えたのだが。
数人の受験生はすでにユジェニーに対して「本当に面白い人みたいだね」と好奇心と感嘆を表していた。
それでも、クラリスは王子や魔法使い以外の人物と共に過ごすことができなかった。
それはエイビントンのせいだった。
彼がクラリスを嫌うのは、これ以上近づくのが難しかったからだ。
エイビントンは既に保証された未来を持っているに等しかった。
優れた成績と、王妃の前任者からの人脈を持ち合わせている彼は、学業試験が終われば、相当な役職に就くことが期待されている。
そのような人物に無駄に媚びる必要はなかった。
もちろん、保証された未来という点ではノアやヴァレンタインもまた、無敵の安定感を持っているに等しかった。
だが、平凡な受験生の立場から見れば、当面の未来に役立つのは、すぐに自分の直属の上司になる可能性がある相手に気に入られることだ。
雲の上に浮かぶ存在ではない。
どうやら何の罪もない少女一人を皆が過剰に取り扱う状況が生じているようで、ユジェニーはクラリスに対する態度をどうするべきか、少し戸惑っていた。
「少し隣に座っても構いませんか?」
ユジェニーは返事の代わりに、軽く羽ペンを動かしていた。
普通なら、「自習室の席は個人の所有物ではありません。許可を求める必要はありません」と答えるところだが、そうはしなかった。
「今日はお静かですね。ベルビルの要求のせいですか?」
ユジェニーの考え通り、「怠惰な」クラリスは、まさにユジェニーの思考を正確に突き止めるような返答をした。
「……!」
驚いて羽ペンを持つ手を止めた瞬間、向かい合った薄茶色の瞳が愛らしい微笑を浮かべた。
……こんな顔立ちなら、誰の好意をも引き寄せられるのではないか。
エイビントン・ベルビルがその中に含まれないことがむしろ不思議に思えるほどだ。
「驚かせてしまったならごめんなさい。」
「グレジェカイア様はベルビルの要求を……知っているということですか?」
「実はそうです。マクレド様がその要求を不快に感じているということもね。」
一体どこでそんな話を耳にしたのだろうか?
他の受験生たちが知らないことだ。
まさか彼らが話しているのを誰かが聞いていたのか?
いや、それはあり得ない。
あの時、周囲には誰もいなかった。
いずれにせよ、それは重要ではなかった。
「何の意図でこんな話をしているの?」
ユジェニーは警戒しながら尋ねた。
まさかこのまま師範たちや、彼女を見守る王室へ報告されるのではないかと心配したからだ。
クラリスは羽ペンを軽く置いた。
「私はただ、マクレドさんが彼の要求を受け入れてはいけないと伝えに来ただけです。」
「彼の脅迫内容は……聞いていないようですね。」
普段は感情を表に出さない性格のせいか、ユジェニーは自分が少し苛立っていることに気付いた。
「それとも、貧しさを知らないお嬢様だから、彼の権力を理解できないのですか?」
「いいえ、私が言いたいのはそういうことではありません。」
話をすればユジェニーの気分を害するかもしれない内容だったが、クラリスは微笑みを崩さずに続けた。
「エビントン・ベルビルをここから追い出したいと思っているのは私ではないということです。」
「それじゃあ、グレゼカイア様じゃないとすれば……?」
そう尋ねると、クラリスはユジェニーの顔をじっと見つめた。
まるで答えを隠そうとしているかのように。
『エビントンが私を追い出したがっているって?』
ユジェニーはクラリスの言葉をすっかり信じることができなかった。
エビントンが自分を嫌っていることは知っている。
だが、それが彼に自分を追い出そうとさせるほどの理由になるのだろうか?
これに対し、クラリスはこう答えた。
「マクレドさんを慕う受験生が多いからです。」
「それが理由だって?ただそれだけのことで?」
エビントンが穏やかに善意を受け入れることができないせいで、策略を企てて彼女を追い出そうとするほどのことなのか?
とにかく、エビントンの行動が少しおかしいことは確かだった。
彼がいつか指摘した通り、彼はかなり優れた成績を自分で出す人物だった。
初めて試験を受けるような人ではないにせよ、そんな彼が不正行為に手を染めるとは到底思えなかった。
ましてや、不正行為が自らの立場を危うくする可能性があることを考えると、自身の安泰を最も重要視するエビントンがそんな手段を取るとは考えにくかった。
そこでユジェニーは一旦、クラリスの提案に従ってみることにした。
ただし、解答用紙に直接答えを書くような行為はせず、彼との約束された行動を試してみたのだ。
「先生!」
結果はすぐに現れた。
「ユジェニーが奇妙な紙を持っているようです。」
クラリスが声を上げた。
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