残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【71話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

71話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 最後の晩餐

一方、アルペアの国王ラヘルラはイサベルと最後の晩餐を共にしていた。

「口に合うか?」

「わぁぁぁ。」

イサベルはトウモロコシで作られたスープをすくって食べた。

それはイサベルの好みにぴったりだった。

「最高に美味しいコーンスープです!」

後ろで見ていた料理長の顔に笑みが浮かんだ。

イサベルの口元に少しスープがついていたが、その姿は幼さを隠さず、とても愛らしかった。

「そうだな、料理長が今日はかなり力を入れたようだな。」

イサベルは親指を立てて持ち上げた。

「シェフ、大好き!」

イサベルの体は今7歳だった。

気分が最高潮に達すると理性の糸が切れ、正直な気持ちがそのまま口から飛び出してしまった。

甘くて美味しいコーンスープ。

食前のパン、甘くて少ししょっぱいバゲット。

イサベルが病室で夢見て、また夢見ていた天国がここにあった。

「ここは天国みたいですね。」

「皇女は皇族らしくなくて、表情が本当に豊かだな。」

イサベルは思わず、はっとした。

皇族はどんな時でも平静を保ち、感情を表に出してはいけないという掟があった。

そうしてこそ、国民に安定した信頼を与えられるのだから。

けれど、こればかりはどうしようもなかった。

「バゲットのパンが、本当に本当に美味しいんです!」

彼女はスープに浸して食べた。

もぐもぐ、もぐもぐ。

カリッとしたバゲットがバターと一緒に口の中で溶けていった。

ほんのり甘くてしつこくないガーリックの香りと、バターのコクが混ざり合った香ばしく甘い風味が、口いっぱいに広がった。

口の中いっぱいに幸せが広がるようだった。

その幸福感に浸った7歳の身体は、またもや理性の統制を失ってしまった。

「んーっ、おいしすぎる!」

「おいしすぎる?」

「めちゃくちゃ美味しいって意味です!」

ラヘルラは「ぷっ」と笑った。

こんな風に特別で妙な言葉がどこで使われているのかはわからなかったが、聞いた瞬間に意味がなんとなく理解できてしまうのが不思議だった。

「なるほど、『おいしすぎる』ってことか。」

宴は幕を閉じた。

イサベルは外に出ようとするシェフに向かって手を振った。

「ありがとうございます。とても美味しかったです。最高でした!」

イサベルは、この美味しい料理を作ってくれたシェフに心から感謝していた。

どうすればこの気持ちを正しく伝えられるか少し考えた末、にっこり笑って親指をぐっと立てた。

「本当に絶品でした!」

「皇女様に召し上がっていただけて、心から光栄でございます。」

シェフは周りを気にしつつ、同じように親指を立ててみせた。

初めての仕草で少しぎこちなかったが、皇女が先にやって見せてくれたので真似するのも自然なことだ。

少し気恥ずかしかったが、お互いに親指を立てたまま称え合った。

「ちょ……、超おいしい!」

 



 

ふふ、ふふふふ。

思わず笑みがこぼれた。

【超おいしい。】

それはもう、この家門の家訓のようになっていた。

長らくマンネリに陥っていたシェフは、今日で再び情熱を取り戻した。

久しぶりに心から幸せを感じたのだ。

家に戻った彼は、妻を抱きしめて感極まって言った。

「本当に涙が出るほど美しい方だった。あんな人は初めて見た!」

外見のことを言っているのではなかった。

彼は、人に心地よい幸せを与えることのできる人であり、それが本当に美しかったのだ。

「皇女様のシニョールがどうしてあんなに絶品のデザートを作り出せたのか、わかった気がする。」

「絶品って何?」

「そういう言葉があるの、ふふふ。」

「あなた、もともと子どもが嫌いだったじゃない。」

「そいつは死んだ。」

彼は、子どもを持たないと妻と合意していた。

子どもなしで、二人で世界を楽しむつもりだった。

時折、妻が「それでも子ども一人くらいはいてもいいんじゃない?」と提案することもあったが、彼はいつも断っていた。

「話を変えて悪いんだが……うちの娘を一人もらえないだろうか?どう考えても娘しか答えがない気がするんだ。」

突然の言葉に三度殴られるような衝撃を受けたが、それでも彼は今日という日をとても楽しんでいた。

イサベルは一つの家庭の人生設計を変えてしまったのだ。

 



 

自分が一つの家庭の未来を完全に変えてしまったことも知らぬまま、イサベルはラヘルラの言葉に耳を傾けていた。

「私は人を信じない、状況を信じる。」

それはラヘルラが自分自身に課した呪文だった。

彼女もまたイサベルの愛らしさに心を奪われつつあったが、それを理性で押しとどめていた。

『陛下がこのすべてを指示なさったのだろう。』

もちろん、皇帝であるロンは何も指示してはいなかった。

『つまり、皇女のすべての行動には政治的な計算が働いているということか。』

だからラヘルラは「皇女」という“人”の愛らしさを信じないようにしていた。

代わりに、皇帝が皇女のためにここまで動かす“状況”を信じていた。

そして今回、イサベルがボランティアの場で示した魔法の力も信じていた。

「私は自分の目で見て判断したことだけを信じる。皇女が皇女の魔法で、正確に言えば“テイサベル移動ゲート”を通じて何か陰謀を企んでいるとは思わない。偽りの技術で何かを得られるとも思えない。」

むしろ魔法連邦側が執拗に“テイサベル移動ゲート”を非難する理由は理解できる、と。

「そういう意味で言ったのよ……」

ラヘルラが何かを提案し始めた。

ラヘルラは続けた。

「私は、皇女が持っている知識や技術が、いつか人類を助けるきっかけになると思ったの。だからね、我がアルペア王国であなたが提案した『テイサベル移動関門』を積極的に推奨して使ってみようと思うの。どう思う? 今のこの雰囲気なら、国民の反発もそれほど大きくはないと思うのよ。」

「本当ですか?」

イサベルは目をぱちぱちさせた。

「ええ。今はあなたが何をしても、たとえ失敗しても、拍手で迎えられる雰囲気だから、この時を好機と判断したの。」

「政治的にはかなり危険な決断ですよね。」

ビルロティア帝国は、外交と政治において慎重だった。

賢明な皇后セレナが登場する前まで、ビロティアンはただ剣術だけを崇め、武力だけで築き上げられた帝国だった。

そのため政治的立場では魔法連邦の方が優位にあった。

だが今、ラヘルラは魔法連邦ではなくビロティアン側に立つと言ったのだ。

見えない不利益を甘受しなければならない可能性が高かった。

「人は誰しも選択をしなければならない時がある。」

ラヘルラはまだ王合同会議のことを忘れてはいなかった。

妙に早く終わった王合同会議の初日を。

『近いうちに会議が再開されれば、陛下が指をくわえて待つ日になるでしょう。』

『そして、一番疲れて休みたくなる日でもありますよね。』

『陛下が恥ずかしがるのはそのためです。まもなく訪れる皇女の誕生日なのです。』

それはすべて、皇后が下す試験のようなものだとはっきりわかった。

王国会議の初日。

皇女の誕生日が皇帝にとっていかに重要かを示していた。

その日、多くの王たちは王室の真意を探ろうと必死になったが、明確な答えを得ることはできなかった。

『多くの王たちもまた、皇女の価値を見極めよという無言の命令だったのだろう。それは皇女を支えよという無言の暗示だった。間違いない。』

それこそが王室の「真意」である――そう判断したのだ。

もちろん、皇后の深い思惑などはなく、皇帝はただ本当に疲れて休みたくて、少し気恥ずかしくなっただけだった。

だが、イサベルが積み重ねた小さな功績は、次第に大きなものとなっていった。

 



 

ラヘルラが席を立った。

「私はこのあたりで席を譲るとしよう。」

イサベルの“5年”を受け取るために、北部大公ロベナが現れた。

その場に残ったのはロベナとイサベルだけだった。

「約束を守らなければなりませんよ、皇女。」

「はい。」

ロベナはじっとイサベルを見つめた。

イサベルの足が小刻みに震えていた。

必死に気づかれまいとしているのがはっきり分かった。

『一人で外の巨人を相手にしようとした時のことを思えば、とても勇敢で芯の強い子だけれど、また一方では頼りない幼子でもある。』

今も瞳は揺らがず強い意志を示しているのに、身体は小刻みに震えていた。

『何だろう、体と心が少しずれているって感じかしら?』

彼女の目が細められた。

『まるで子どもの体に大人の魂が入り込んで、どこか噛み合っていないような感じね。』

イサベルはロベナの目の前に立った。

その身体はまだ震え続けていた。

「行きましょう。」

「そうですね。」

イサベルはできるだけ落ち着いて歩いた。

ロベナが尋ねた。

「5年が消えるのに、怖くはないのか?」

「怖いです。とてもとても怖いです。」

「それなのに、どうしてそんな選択をした?」

「ラーちゃんは私の大切な友達だからです。」

先を歩くロベナの口元に微笑みが浮かんだ。

『本当に良い友を得たのだな、アーロン。』

ロベナとイサベルはアルペア王宮で最も近い神殿を訪れた。

神殿の周りは普段なら多くの人で賑わっているのが普通だったが、今日は不思議と人の姿がなかった。

巨大な正門の前に、ただ一人の門番が立っているだけだった。

「ん?」

イサベルはその門番から不思議な感覚を受けた。

門番を見た途端、不思議と震えが止まった。

「どうしたのだ?」

「門番さんに挨拶してもいいですか?」

「好きにしなさい。」

ロベナは気にしないというように肩をすくめた。

トタトタ。

『可愛らしくも走るんだな。』

ロベナの目に映るイサベルは、まだ小さかった。

とても短い足で一生懸命駆けていく。

その歩みに、不思議と喜びと嬉しさがにじみ出ていた。

「こんにちは。」

「……」

門番の体がわずかに震えた。

すでにロベナ大公とイサベル皇女が訪問するという公文は伝えられており、門番もイサベルの正体を知っていた。

それでもなお、門番は返事をしなかった。

ロベナが近づいた。

「門番。なぜ礼を尽くさぬのか?」

「……」

ロベナは心の中で笑みを抑えた。

彼女の瞳が星のようにきらめいた。

実際のところ、彼女は無礼を楽しんでいた。

[ロベナ、黙りなさい。]

[でも不思議じゃない?]

[何がだ?]

[体格も顔もすべて変わったのに、不思議だと思わない?]

まるでイサベルが自分の父親を見つけたかのようだった。

(ん? なぜか妙に誇らしげに見えるのは気のせいか?)

【まったくその通りだ。】

(ああ、本当に誇らしいのね。)

イサベルが再び口を開いた。

「こんにちは、門番さん。あの、もしよろしければ一度だけ手を握っていただけませんか?」

「……」

しばしの沈黙の後、門番に扮したロンが尋ねた。

「なぜですか?」

「お願いします。手を握ってください。」

イサベルはきらきらした瞳で門番を見上げながら、細い小枝のような手を差し出した。

確かに10歳ほどの幼い身体をしてはいたが、ロンの目から見るイサベルの手は、どうしても子供のそれには見えなかった。

父の目から見れば、イサベルは三歳のときも幼子であり、五歳のときも幼子であり、十七歳になった今も幼子のままだった。

「……」

ロンが手を差し出すと、イサベルはぱっと駆け寄ってその手をぎゅっと両手で握りしめた。

「お父様。」

「……」

「手を握れば分かります。」

ロンの体が震えた。

「何をおっしゃっているのか分かりません、皇女殿下。」

「お父様の手を握れば、とても安心できるんです。世界で一番、力強い手なんですから。」

前世のイサベルは、母と父の手をいつも恋しく思っていた。

母や父の手を握って病院に行く子どものように。

誰もが羨むほどだった。

あの手を握って病院へ行けば、もう何も怖くない気がした。

そんな幻想と願望を抱いていたが、それは本当だった。

『もう怖くない!』

5年が消えてしまうという事実はあまりにも悲しかったが、もう恐怖を感じることはなかった。

イサベルはぱっと笑顔になって言った。

「もう怖くありません。」

もともと死ぬはずだった人生。

その人生に16年という贈り物が加えられただけだった。

しかも、それは一生夢見てきたような贈り物だった。

ロベナが呟くように言った。

「本当に怖がっていないのね。」

「はい。」

「どうしてそんなふうに思えるんだ?」

「お父様の手を握っているじゃないですか。」

「それがどうした?」

「とてもとても力強くて、すごくすごく安心できるんです。」

「……」

「それが私の願いだったんです。」

「たかがそれだけのこと?」

たかが父の手を一度握るだけのことが、そんなに大したことか、と。

ロベナの懐に抱かれたイサベルはまばゆいほどに輝いていた。

人が心から満ち足りた幸福を感じるとき、あのような光が見えるのだ。

『でも……』

その明るい光を放つのは、イサベルだけではなかった。

もちろん、人間の限界を大きく超えている彼は、超人的な精神力でそれを抑えようとしていたが、それでも漏れ出すものはあった。

『あの人間も幸せそうだろ?』

ロンの体から、かすかな光の筋が滲み出ていた。

ついにロベナは、ぷはっ!と笑いをこらえきれずに声を上げた。

「陛下、もう仮面は外してください。どうせ全部バレていますよ。」

「……」

イサベルとロベナは、この門番がロンであることをとっくに知っていた。

だがロンは、自分の本来の姿を見せようとはしなかった。

ロベナはくすくす笑いながら言った。

「皆知っているのに、誰も知らないふりをしている……それは一体どういうお気持ちなんですか?」

「……何をおっしゃっているのか分かりません、大公。」

「そうかい。まあ、そういうことにしておこう。皇女の手をなぜあんなにも宝物のように握りしめているのかは分からないがな。」

イサベルはふと虚しさを覚えた。

つい先ほどまで目の前にいて、手を握ってくれていた父の姿が消えてしまったからだ。

差し伸べられた温かな感触が消えると、胸の奥が少しひんやりした。

「ふん。」

「落ち込む必要はない。どうせこの辺りのどこかで、お前を見守っているはずだ。」

「お父様がですか?」

「もし本当に私がお前の“5年”を奪おうとするなら、その瞬間に私の首を斬るだろうよ。」

「……え?」

「それが心配で、きっと今もここでじっと見ているんだろうさ。」

「いや、そんなことをするくらいなら、子どものそばにいればいいだけじゃない。どうして魔法の首飾りまで首に掛けて、わざわざ隠れているのかは分からないけれど。」

ロベナが先に立って歩き、イサベルがその後ろについていった。

神殿の中には人気はなく、巨大な大理石の柱がずらりと並んでいた。

「皇女、ひとつ面白い事実を教えてあげようか?」

「なんですか?」

「君のお父上のことなんだけど、実は私とはとても長い因縁があるんだよ。」

「知っています。天空島の主である北部大公と、ビロティアン皇帝ロンの因縁はとても有名ですから。」

「私と本当に数多くの戦場を共に駆け抜けたことも知っているかい?」

「はい、知っています。」

「君の父上は指輪ひとつ身につけることすら嫌う人だ。剣を振る感覚がわずかでも変わるのを嫌う、とかなんとか。」

「……」

「でも今日は、体型すら変えてしまう魔法のアーティファクトを使ったんだな?私があれを少し貸してくれと頼んだときには、全く取り合わなかったのに。あの頑固さのせいで、私はどれほど苦労したことか。」

ロベナの知る限り、それはロンが絶対にしないはずのことだった。

「絶対にやらないことをやったのね、自分の娘のために。」

絶対に変わらないと思っていた人を、お前が変えてしまったのだ。

ロベナはにっこり笑って言った。

「お前は本当に、いい子なんだな。」

――そう言いながら、二人は神殿の中央へと到着した。

そこには非常に年老いた老臣が一人立っていた。

「約束を果たそうか?」

老臣が口を開いた。

「ごきげんよう。自己紹介いたします。私の名は――冷厳な北風と冷たい血潮の代弁者、カデリノンと申します。」

やけに自分を飾り立てるような言葉があまりにも長かった。

まるで、黒炎竜カデリナのように。

私は「冷厳な北風と冷たい血潮の代弁者、カデリノン」という言葉を聞いた瞬間、
滑稽でありながら荘厳で、複雑で不思議な感情に包まれた。

『すごく変だ!』

そして……

『かっこいい!』

私の理性は「変だ」と言いながらも、心は「憧れる」と叫んでいた。

そして、私の感性は「かっこいい」と叫んでいた。

7歳の肉体を持つことの副作用は深刻だった。

そんなものがかっこいいはずがないのに、心臓がどきどきして自尊心が傷ついてしまったのだ。

「どうしてそんなことを?」

「とてもかっこいいお名前だからです。」

「……え?」

荘厳な北風と冷たい血流の代弁者カデルノン様ですら、私の反応を意外そうに見ていた。

間違いなく、彼も自分の名前がどこか中二病っぽくて気恥ずかしいということを自覚しているに違いない。

「本気ですか?」

「本気です!」

「本当に?」

「はい、本当です。もう一度言ってください。」

「何ですか?」

「その立派な異名のことです。」

「ふっ、冷厳な北風と冷たい血潮の代弁者――ですな。」

なぜか老臣は少し嬉しそうに見えた。

彼は慈しみに満ちた眼差しで私を見つめ、こう言った。

「にこにこと笑う姿が、なんと可愛らしいことか。」

「本当ですか?」

私は、会ったこともない祖父に抱かれるような、そんな温かい眼差しを感じた。

「大賢者様も素敵ですよ。」

大賢者はしばし私をじっと見つめていた。

私は自分でも理由が分からないまま、大賢者を見返していた。

『私を哀れんでいるのか?私の5年を奪う張本人だから?だからこんなふうにじっと見ているのか?』

……目元が隠れていて表情がよく見えない。』

かなり長い沈黙が流れた。

たぶん大賢者様は、私を軽んじているわけではなかった。

しばらくの時間が過ぎてから、大賢者様が口を開いた。

「……本当に本気なのか?」

「はい?」

「本気で“かっこいい”と言ってくれたのは、黄女様が初めてです。世の中で、こんなに胸が高鳴る日が来るとは思いませんでした。」

よくわからないけれど、大賢者様はかなり感動しているように見えた。

年を重ねると、かえって心が若返るというけれど、まさにそんな感じだった。

私のささやかな一言や褒め言葉で、おじいさんを喜ばせられるというのは、なかなか悪くない経験だった。

『どうせ嘘じゃないしね?』

7歳の肉体は、心からあの中二病みたいな異名を格好いいと思っていた。

理性が少し抑えているだけで、私は嘘をついているわけではなかった。

「本当に格好いいんですから!」

「いつか皇女様のようなお方が現れてくださると信じていました。私の真価を見抜いてくださるのですね。ふふふ。」

その時、ロベナ大公が口を開いた。

ロベナ大公は渋い顔をしていたが、普段とは妙に雰囲気が違っていた。

「いい加減にしてくださいよ、もう。」

「今、大事な話の最中ではありませんか?」

「ったく、だからそんなこと大した問題じゃないってば。」

ロベナ大公が声を荒げた。

どうやら二人はとても親しい間柄のようだった。

「おい、ロベナ大公。私の方が年長なのに、そんな口をきいて声を荒げるのはどうなんだ?」

「……殺すぞ。」

すると大賢者様は腕を組み、ゆっくりと持ち上げて自信満々に言った。

「タイマン勝負の申し込みは歓迎します。」

「……」

私は思わずくすっと笑ってしまった。

大賢者の口から「タイマン勝負」なんて言葉が出てくると、妙に人間味があって、いいなと思った。

それでも私は釘を刺した。

「大賢者様!ロベナ大公様はとても強いんですよ。」

なぜか大賢者様は、ロベナ大公を孫を見守るような眼差しでじっと見つめていた。

 



 

 

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