残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【52話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

52話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 転送ゲート④

次はイサベル本人が直接応じた。

「お久しぶりですね、ユルリン記者さん。」

「私のこと、覚えてますか?」

「ええ、私にとって必要な質問をしてくださった記者さんですよね?」

ユルリンは正直、少し驚いた。

あの時の記者会見にはたくさんの記者がいたし、イサベルは本当に多くの質問に答えていた。

その中でユルリンのことを覚えていてくれたとは思わなかった。

「実は、父にユルリン記者さんを呼んでほしいとお願いしたのは私なんです。」

「えっ?」

「ユルリン記者さん、良い人な気がして。」

イサベルはユルリンの姿を覚えている。

『夏に涼しい風が出てくる石を作りたいです。私の友達が暑がりなんです。それから、夏に頭がキーンとするくらい冷たいマンゴースムージーを作って分けて食べたいんです。桃を桃ゼリーに変えてくれる魔法の装置も作りたいです。』

イサベルがそう話したとき、ユルリンの目は何かを夢見ていた。

少なくともその瞬間だけは、ユルリンはイサベルの熱烈なファンであり、彼女と同じ夢を見る人だった。

とても短い時間だったが、はっきりとそうだった。

『ただ私も、誰かの贈り物になりたいんです。』

イサベルの言葉に、ユルリンはハンカチで涙を拭いながら言った。

『皇女さまは本当に温かいお方ですね。一介の何の身分もない貧しい者のために、そこまで深いお気持ちをお持ちとは思いませんでした。本当に感動しました。』

イサベルは、そんなユルリンの姿を覚えており、だから彼女を呼んでほしいと頼んだのだ。

ユルリンは胸が熱くなって、心の中で感動していた。

「私のことを覚えていて、呼んでくださってありがとうございます」

結局イサベルは、再び自らテイサベル移動ゲートの安全性を証明してみせた。

ユルリンは感じていた。

実は薄々気づいていたけれど、認めていなかったことが頭の中をいっぱいにした。

『もともと安全なものじゃなかったの?』

彼女は専門家ではない。

だからこそ、専門家である魔法使いたちと魔道工学者たちの言葉を信じるしかなかった。

権威ある学者が「それは過度に危険だ」と言えば、それを鵜呑みにするしかない状況だった。

『ミロテル魔法連盟やマタプをはじめとした魔法使いたちは、こうした大衆的な技術が広まることを望んでいないのが明らかになった。』

ユルリンが見たテイサベル移動ゲートは安全だった。

それを今、ビルロティアン帝国の人々——いや、イサベル皇女の周囲の人々が自らの身体で証明している。

次の日にはミハエル皇子が志願した。

「皇子殿下も志願なさるんですか?」

「うん。僕、エルベ山脈が好きなんだ。最近は行けてないけどね。」

「でも皇子殿下が志願なさるのは、正直あまりお役に立たないかと…… いや、その、やたらと頑丈な身体をお持ちですし。」

「ふふ、かまわないよ。」

ミハエルは今日も何も考えていなかった。

彼は移動ゲートを使ってエルベ山脈で思いっきり遊んで帰ってきた。

何にせよ、それもまた安全性を証明した。

さらに、イサベルの魔法師の師匠であるカリンまでもが志願した。

ユルリンは慎重に言った。

「カリン卿。あなたはいつかミロテル魔法連邦に戻らなければならない方ではありませんか?確か、あなたはビルヘルム卿の……」

一瞬、ユルリンは口を閉ざした。

ビルヘルムは現在行方不明の状態だからだ。

表向きにはビルヘルムは立派な養父であり、ユルリンもそう思っていた。

「すみません。私が軽率でした……」

「私はただ、魔法使いとしてより進歩したものを証明したかっただけです。」

「でもこれはもしかしたら、魔法使いたちを裏切る行為になるかもしれませんよね?」

「進歩した技術を無視することは、魔法を裏切る行為です。私は魔法使いたちを裏切るつもりはありませんが、魔法そのものを裏切りたくはありません。」

カリンは移動ゲートを通って姿を消した。

ユルリンの頭の中はますます混乱していった。

『カリンほどの有望株なら、ミロテルでも重用されるはずなのに。どうして?』

そんな人が真実のために立ち上がった。

真実を知らせるために、保証された未来を捨てて。

ユルリンには理解できなかった。

『どうしてそこまでできるの?』

皇女はどうせ21歳になったら死ぬ。

未来を保証できない。

それなのに、なぜカリンがこんなことをするのか。

『私には見えない、何かがあるの?』

保証された未来、食事よりももっと大事な何かがあるのか。

『どうして私には見えないんだろう?』

いや、彼女は少し正直になることにした。

見えないのではなく、「見ようとしなかった」のだ。

『いつから見えなくなってたの?』

今より若かった頃。

ユルリンにも真実が見えていた時代があった。

鉄のような意志で真実を知るために足で駆け回った、若き日の彼女がいた。

『なぜ今は真実を見ようとしないの?いつから?なぜ?』

彼女の心の中で、小さな炎が燃え始めた。

そして、しばらく後。

ユルリンは取材中に最も驚くべき出来事を経験した。

テイサベル移動ゲートを通じて、多くの人の姿を目にしたのだ。

「だ、誰なんですか、あなたたちは?」

ユルリンは驚いて声をあげた。

ざっと見ても10人以上はいるようだった。

『あの人数が一度に移動したの?』

それは従来の常識を覆す、非常に危険な行為。

移動ゲートは現在の魔法技術と魔道工学の結晶体。

時間の圧縮と空間の圧縮を同時に兼ね備えた高度な技術である。

高度に発達した技術であるだけに、複雑で危険だ。

そのため、一度に移動できる人数を最小限に抑える必要があった。

『魔力を使える人たちなのか?』

自分で魔力を操れる人たちでも、一度に何人もを移動させるのは難しい。

それでもせいぜい5〜6人が限界だった。

それが常識だった。

『いや。ただの普通の人たちだ。』

行動を見ればわかる。

魔力を使える人たちは、たいてい高い地位に就いている。

ごく少数の天才を除けば、何年にもわたってエリートコースを歩んでようやく魔力を扱えるようになるのだから。

彼らは薄い外套を羽織っていた。

断言はできないが、魔力を操る者ではないようだった。

ユルリンは彼らに近づいて尋ねた。

「どなたですか?」

その中で最もガッチリして屈強そうな男が答えた。

「私はエルベ山脈第7境界哨所の兵長ルカインと申します。そちら様は?」

「私はテイサベル移動ゲートに関して取材している《クィッソクマル》のユルリンと申します。」

「クィッソクマル?おい、お前ら、クィッソクマルって知ってるか?」

「知りません!」

「知らないです!」

「わかりません!」

《クィッソクマル》は大陸で最も有名なニュース誌であるにもかかわらず、彼らはそれさえも知らなかった。

それは特におかしなことではなかった。

小さな村のような地名は貴族には馴染みがあっても、日々を必死に生きている庶民には無縁の話だったからだ。

ユルリンは落ち着いた口調で答えた。

「大陸で最も大きな村なんですね。それで、エルベ山脈からいらしたんですか?」

彼らが話し始めた。

その話を聞いたユルリンは驚いた。

「つまり、兵士たちが自ら志願してこの移動ゲートの安全性を検証しているということですか?一人ずつだと城を満たせないから、一度に何人かで移動してるんですか?」

1人が100回に分けて移動するより、10人が1回で移動する方が危険だ。

ルカイン兵長はためらいなく言った。

「上の連中は嘘ばかり言ってやがるな。」

「え? 嘘って?」

「新しい移動ゲートが危険で使えない?安全性に問題があるって言ってたけど、それ全部嘘だぜ。」

彼は不満げに唾をペッと吐いた。

彼は明らかに怒っていた。

「なあ、みんな?」

「その通りです!」

「その通りです!」

彼らはエルベ山脈の国境哨所を守る兵士たちで、そのほとんどが貧しい民出身だった。

だから、移動ゲートのような高度な文明の恩恵にあずかる機会などなかったのだ。

ユルリンはその兵士たちを見つめた。

兵士たちは皆、同じ表情をしていた。

「……あ……」

たとえ無表情に見えても、彼らの顔には切実さがにじんでいた。

彼らはこの移動ゲートが稼働することを心から願っていた。

『あれが稼働すれば、自分たちも家族と自由に行き来できるかもしれない』

あの荒れた北の果て。

エルベ山脈を守るというその厳しい任務の地にも、見守るべき大切な人たちがいるのだろう。

彼らはその大切な人々のために、あの場所で任務に就き、エルベ山脈を守っている。

あんなに重たく粗末な防寒服をまといながら。

彼らにとって、魔塔や魔法の学術研究に名を連ねる有名な魔法使いたちの理論よりも――今この場で新たに使える門は、より貴重なものだった。

ミロテルの主席魔法使いたちよりも、王宮の7歳の王女の方が、より偉大な魔道工学者だった。

『私は何のためにここに来たのだろう?』

エルベ山脈で王宮を訪ねてきた兵士たちの顔が、頭の中から離れなかった。

『幼い頃の私はなぜ記者になりたかったんだっけ?』

自分の宿舎へ戻った彼女は、取材の方向と内容を完全に変え始めた。

 



 

 

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