残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【68話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

68話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 氷の世界②

キンバルクルはハッと我に返った。

何かに激しく殴られて気を失っていたのに、自分が気絶していたという事実自体をすっかり忘れていた。

[かかってこい。]

[許さないぞ。]

キンバルクルは、自分よりもはるかに強力な1級魔物を前にしてもまったくひるまなかった。

ひるまなかったどころか、心の底から自分が勝てると思った。

不思議なことに、1級魔物のオヌンバク(外眼縛)は巨人が見えなかった。

【どうやら私が倒したようだ。】

【やっぱり私は強い。】

はっきりとは覚えていないが、とにかく私が倒したのだろう。

キムボルコルはそうやってまた自信をつけ、堂々と歩いた。

あそこからイサベルの匂いがする。

イサベルのところへ近づかなければ。

床が滑りやすく、何度も転びそうになったが、キムボルコルにとってそんなことは問題にならなかった。

滑りやすい床という難関を乗り越え、イサベルに近づいたキムボルコルは、奇怪なものを見つけた。

自分を襲おうとした、あの奇妙な女だ。

[許さない。]

なぜか彼女に見覚えがあった。

だが、キンバルクルの状態であるアルンは、自身の叔母であり、知恵の勇者であり、飛行島の大公であるロベナをまったく見分けられなかった。

[イサベルから離れろ。]

牙を剥いて飛びかかった。

そして彼はまた大きな衝撃で気絶し、その隙にイサベルが意識を取り戻した。

「プルコよ!」

キンバルクルがロベナに殴られて気絶しているのを、イサベルは目にした。

ロベナはキムボルコルが傷つけられないようにと、凍りついたキムボルコルをそっと抱きしめた。

「まだ教育ができてません。5年間をかけて育てると約束しましたから、まだ契約期間は有効です。私がちゃんと教育しますから。」

「そんなに早口で言われたら、私にどうやって伝わると思う?」

ロベナは少しつっけんどんな口調で言ったが、彼女の目はかなり柔らかくなっていた。

『正気に戻るやいなや、アロンを守るために駆け寄ったのね。』

彼女はイサベルの体の状態を正確に把握した。

まだ体が完全に回復しておらず、まともに動くのもつらい状態だ。

それでも無理してあれほど速く駆け寄れたということは、イサベルがアロンを心から大切に思っている証だった。

『アロン。あなたは本当に愛されているのね。』

少し気分がよくなった。

同時に、気絶したアルンを見て少し胸が痛んだ。

『私がアルンをああしたって知ったら、カデルリナが大騒ぎしそう。』

カデルリナがいつも言う言葉があった。

『私は勇敢で賢いほうではないけど、竜の中では一番ケンカが強いの。だから、意地悪する竜がいたら言いなさい。私が懲らしめてあげる。』

おかしなことにその言葉はある程度事実であり、今回叱られる竜はおそらく自分になりそうで、ちょっと不安だった。

まあ、それはあとで考えることだ。

「もう叩かないから。さあ、起きて。」

「ほんとにですか?」

「本当に。」

「叩いちゃだめです。本当です。」

イサベルは目だけを動かして後ろにいるロベナを見た。

ガタガタ震えて足を震わせているのに、言うべきことはちゃんと言うその様子が不思議だった。

ふと、ある感情が彼女の頭の中をよぎった。

『まさか……』

ロベナ大公は胸の中にふつふつと湧き上がる感情の正体を探ろうとした。

『まさか……私、今この子を可愛いって思ってる?』

あのちっぽけな人間の子どもが、本物の龍人キムボルコルを守るって、あんなに勇気を出すなんて。

『ダメダメ、しっかりしなさい!』と、自分に言い聞かせる。

『カデリナの末路を見たでしょ? 可愛さを感じた瞬間、終わりなのよ。』

どういうわけか黒炎竜カデルリナは、人間たちが言うところの「15歳病」にまだかかっている。

それは500年前、彼女がある人間に「かわいさ」を感じたことが原因だ。

それ以来、彼女はいつも「かわいいものが一番怖い」と口癖のように言っており、知恵の竜ラビナもそれに同意していた。

『気をつけなきゃ。かわいく思っちゃダメ。』

それでもあの子の姿がどうしても目についてしまう。

ひどく怯えてしょんぼりと立っている、あの灰色の髪の少女は、彼女が見てきたどんな生命体よりも愛らしかった。

『化粧を直さなきゃ。』

彼女は元々、人間界に深く関わるつもりはなかった。

だが今は、少し状況が危うくなっていた。

あのかわいさに一瞬でも気を取られたら、黒炎竜の尻尾が…。

状況が状況なだけに、別の話題を出すことにした。

「ビアトン、お前も感じたか?」

「奴が普通の外見の巨人ではないとおっしゃるんですか?」

「そうだ。一緒にちょっと調べてみよう。」

「いきなり誘惑的ですね?怪しいですよ。」

「早く来い。私が突けば隙ができる。そしたらお前も皇女をもっと守れる可能性が出てくるだろ?」

「早く来ないで何してるんですか?」

ビアトンが先に倒れた巨人の外見を確認しに行った。

ロベナもビアトンと共に倒れた巨人を調べてみた。

『ああ、もどかしい。龍眼を積極的に使えばすぐに分かるのに。』

しかし今の彼女は、知恵の竜ラビナではなく、北部大公ロベナだった。

竜としての力を過剰に使いすぎると、ロベナ大公としての身分を放棄しなければならない。

それが竜たちの不文律だった。

「何かわかった?」

「確実ではありませんが、痕跡の構成はあります。」

ビアトンは声にマナを込めてロベナの耳に伝えた。

イサベルにはこの内容を話したくなかったからだ。

[最近ある人間を追跡していたのですが。]

[それで?]

[その男の名前がビルヘルムなんです。ご存じですよね?ミロテル魔法連邦創設魔法使い、ビルヘルム。]

[名前くらいは知ってる。]

[あの外見の巨人の体からかすかにビルヘルムの匂いがします。]

[そうなのか?]

[それに、あいつの肩のあたりを見てください。骸骨の形に似た奇妙な模様があります。普通の外見の巨人たちには見られない模様です。]

[そうか。]

ロベナは特に興味がなさそうに視線をそらした。

実際、特に興味があるわけでもなかった。

彼女にとって重要だったのは、イサベルに対して感じた「かわいさ」をどうにかごまかすことだけだった。

ほどよく視線を逸らしたので、もうイサベルの方を見ないことにした。

「まあ、私は特に関係ないから、あなたが調べなさい。私にとって重要なのは、皇女との約束を果たすことだけよ。あと5日残ってる。5日後にまた来るから。それまで皇女をしっかり守って。」

ロベナは最後の通信を送った後、その場から姿を消した。

イサベルは驚いた。

「き、消えました、先生。」

「そうですね。何かとても急いでいたようです。」

「えっ?」

「もともと他人の前では魔法を使わないんです。表向きは剣士ということになってます。」

イサベルは首をかしげた。

「表向きに剣士って、どういう意味ですか?」

「実は剣士というより魔法使いに近いんです。まあ、剣術も私より強いですけど。」

「どういうことですか?私はロベナ大公が父上と渡り合えるほど強力な剣士だと聞いてましたけど。」

「まあ、そういうふうに知られてはいますよね。」

ビアトンはクスッと笑った。

「それで、以前は私の前で魔法を使わなかったのに、今日は魔法を使ったんです。それも転移魔法のような、とても難しい高難度の魔法ですよ。詠唱もせずに、ただ使ってしまったんですよ?ああ、本当に不思議ですね。」

ビアトンはロベナについて何かを知っているような口ぶりだった。

 



 

『宮廷密話』の記者ユルリは、驚くべき光景を目撃していた。

王宮に隠れていてもよいはずの7歳の皇女が、北門から自ら出ていって、外見の巨人を止めたのだった。

ユルリはその場で速報記事の原稿を書き始めた。

【皇女は、彼女の先生であるビアトン卿と力を合わせて、ロベナ大公が到着するまでの十分な時間を稼いでいた……】

ユルリはイサベルから目を離せなかった。

「ビロティアンにはあんな皇女がいるのか……。」

ビロティアン帝国の国民たちは幸せだろう。

ユルリは心からそう思った。

皇女に感心しながら草稿を記していると、あまり歓迎したくない顔を見つけた。

「またあいつ来たの?」

心の中でつぶやいたその人物は、帝国最大の消息通であり、合計12人いる特別記者の一人だった。

ユルリは11番目の特別記者であり、そのすぐ下に後輩が一人いた。

12番目の特別記者の名前は「ルサリン」。

ユルリの同僚でありライバルである人物は、ユルリとはあまり良い関係ではなかった。

「先輩のやっていること、到底見過ごせなくて言いますけど。」

「どういう意味?」

「この前送った原稿、上層部でボツになったんです。」

「……なんだって?」

ユルリはリンタ地方で起きた出来事を記事にして速報に載せていた。

その記事の主人公はイサベルだった。

イサベルの転移門に関する内容もかなり肯定的に書かれており、リンタ地方でのイサベルの活躍についても多く取り上げていた。

「先輩って、皇女の取り巻きでもいいんですか?」

「……」

「私たちの職業、なんだか忘れましたか?私たちは記者ですよ。」

「そうよ。私たちは真実を伝える必要がある人たちよ。」

ルサリンはしきりに頭を横に振った。

「最近童話でも読んだの?それとも急に理想論者にでもなった?まったく馬鹿げた話。記者は真実を知らせる人じゃない。ただ情報部に雇われた職員なだけ。」

「……」

「だから私たちは、私たちに給料を払う人たちの望むことをして、お金をもらえばいいのよ。誰が私たちにお金を払ってるのか忘れたの?」

噂では最大のスポンサーはミロテル魔法連邦と魔塔だ。

「お姉ちゃんはもう手を引いて。お姉ちゃんの原稿は全部廃棄されるわ。これからの取材は私がするから。」

「何を馬鹿なこと言ってるの?」

「これを見て。命令書も持ってきたのよ。」

ルサリンの後ろには、がっしりとした大柄な男が一人立っていた。

その男の名前はマイケル。

職業は研修記者で、ルサリンの下で仕事を学んでいる最中だった。

実際のところ、記者としての業務よりは雑用を主に任されてはいたが。

「いやー、どうしよう。人事評価が目前なのに、うちの先輩が僕の下につくことになっちゃいましたね、ホホ!」

 



 

 

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