こんにちは、ちゃむです。
「捨てたゴミは二度と拾いません」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

110話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 新年祭⑩
男たちの姿が見えなくなるほど離れて、ようやく足を止めた。
「そんなこと言ったらどうするんですか。失礼じゃないですか!」
私が素早く言い返すと、ダイアンは首をかしげた。
「それのどこが失礼なんですか?嫌なことを嫌だって言っただけなのに。」
「相手を不快にさせないように、遠回しに言う方法もあったでしょう。」
「私はそのほうが、むしろ相手に失礼だと思うんですけど。」
ダイアンは珍しく真剣な顔でそう言った。
「嫌いなら嫌い、好きなら好き。はっきり言って振り払うか、少しでも受け入れるなら相手に希望を持たせるだけじゃないですか。」
「それは……。」
「レイラだってそんな経験、あるんじゃないですか?」
確信に満ちた質問が鋭く胸を突いた。
過去、フィレンの行動に戸惑いながらも曖昧な反応を見せていた自分の姿が思い浮かび、痛ましい記憶が頭の中をかき乱した。
雲の上に乗って浮かんでいたような気分が一気に消え去った。
「ごめん。私、ちょっと言い過ぎたかも。」
ダイアンが短くため息をついて、私の肩を軽く叩いた。
「こんなふうにまで言うつもりはなかったけど、一瞬焦って口が悪くなっちゃった。ごめんなさい。」
「……いえ。」
全部正しいことだったから。
ダイアンがはっきり言ってくれたおかげで、この間、自分がどれほど浅はかだったかを改めて実感した。
「本気で私のことを心配して言ってくれた言葉だよね。ありがとう、ダイアン。」
「うう……。」
なんで突然、妙な声を出すの?
「大丈夫ですよ、ダ……!」
心配になって「大丈夫?」と聞こうとしたそのとき、ダイエンが私をぎゅっと抱きしめた。
「どうしよう、好き。」
「ダ、ダイアン?」
「私、レイラが本当に大好き。ナトゥシャ王国ごと抱きしめたくなっちゃった。」
何を言ってるのかよくわからない突拍子もない言葉だったけど、彼女が私を好きだというのは確かに伝わった。
私も笑いながらダイアンの背中をぎゅっと抱きしめた。
「私もダイアンが好きです。」
その後、ナンパは何度かあったが、すべて断った。
ダイアンが断ったこともあれば、私が断ったこともあった。
以前、ウィリオット公爵邸で働いていたときに、ナンパについてのよくない話をいくつか聞いたことがあった。
そのうちの一つが、ナンパをしたのに断られるとプライドが傷ついたという理由で、難癖をつけて解雇するという話だった。
「私たちが何か劣ってるから断ってるとでも!?」
もしかしてそんな状況になるのではと心配していたが、違っていたのか、嫌味を言われた。
私は内心で深くため息をついた。
「どこが劣ってるっていうのよ!」
ダイエンは腰に手を当てて厳しく言った。
「頭から足先まで全部足りないよ!特に顔が一番足りない!」
「えっ?!」
「うわ、声まで上げて。性格もだいぶ足りないね。」
全部合ってる気もするけど、これはちょっとひどくないか。
「私の顔のどこがどうなのよ!」
「どうって?完全に残念な顔だよ!」
「ざ、残念ですって?私が?ありえないこと言わないで!」
「話にならないわね!鏡見ないの?それとも、美的感覚が完全にないわけ?」
「やめて、ダイアン。」
このままでは本当に喧嘩になりそうで、私はダイアンを止めた。
「どうして?こんな奴らには現実を思い知らせないとダメなんだってば!」
けれどダイアンは止まらず、言葉をまくしたてた。
「点数で言うなら満点が10点中、1点レベルのくせに、誰に向かって偉そうにしてるの?ちゃんと見る目はあるんだから!」
「この女、本当に……!」
男が手を振り上げた。
だめ、ダイアンが殴られる!
男を止めようとしたが、後ろから誰かがぱっと飛び出してきて男の手をつかんだ。
銀色の髪が風に舞う。
まるで氷のように冷たい銀色の瞳がとても魅力的だった。
「ヒルタイン卿?」
どうしてここに?
少し驚きながら彼を見ていると、今度は誰かが後ろから私の肩に触れた。
振り向くと、フードを深くかぶった男が立っていた。
フードで顔は見えなかったが、誰かすぐに分かった。
「陛下……?」
「しっ。」
カリアンが手袋を私の唇の上に当てた。
「外では“カル”と呼ばなきゃ。」
ああ、そうだった、そう言ってたっけ。
「はい、カル様。」
すぐに呼び方を変えると、カリアンは小さく笑った。
「でも、よく私だってわかったね。顔が見えなかったはずなのに、どうやってわかったの?」
そうだな。どうしてわかったんだろう。
「ただ、カル様だっていう感じがしたんです。」
「そう?不思議だな。」
「うわあああっ!」
男の悲鳴が無様に響いた。
振り返ると、男を地面に押し倒して取り押さえているヒルタイン卿の姿が見えた。
「ごめんなさい!間違いました!もう二度としませんから、どうか許してください!」
「口のきき方がなってないな。」
カリアンの言葉に男はすぐ声のトーンを変えた。
「申し訳ありません!二度といたしませんから、どうかお許しください!」
ヒルタイン卿は黙ってカリアンを見た。
どうするべきかを尋ねているようだ。
「放してやれ。楽しい祭りで血を見るのは良くない。」
ヒルタインはすぐに男を放した。
男は大げさに倒れ込んだ。
ダンスの場から立ち上がった男は振り返ることもなく逃げ去った。
「大丈夫か、アンドリアン子爵?」
「大丈夫です。ですが、あなたは……」
カリアンがフードをそっと上げて顔を見せた。
遅れてカリアンだと気づいたダイアンは慌てて腰をかがめた。
「ダイアン・アンドリアン、ブルードラゴンの祝福を受けた尊いお方にご挨拶申し上げます。」
「“カル”と呼べばいい。」
「カル様!」
ダイアンが返事をする前に、誰かが慌ただしくカリアンを呼びながら走ってきた。
「お見送りせずに帰られたら困りますよ、カリ殿!」
デロント子爵だった。
彼を見たダイアンの瞳がキラキラと輝き始めた。
そして、ダイアンがデロント子爵に興味を持っていることに気づいた。
「アステル子爵?」
「こんにちは、デロント子爵。」
「はい、こんにちは。アンドリアン子爵殿もいらっしゃったのですね。」
「アンドリアン子爵とは、なんと厳かな。」
ダイアンが手を軽く重ねながら、愛嬌たっぷりに言った。
「外から見る目も多いので、“子爵”でなくダイアンと呼んでくださっても構いませんよ。」
ダイアン、とても積極的だね。
「私がどうして子爵様のお名前を呼べますか。」
デロント子爵は驚いた様子で手をひらひらと振った。
「大丈夫ですよ。公的な場ではなく私的な場ですし。」
しかしダイアンは諦めず、さらに積極的に出た。
「私もデロント子爵のお名前を呼びますから、気軽にダイアンと呼んでください。」
「……。」
「どうですか? 恥ずかしがらずに、呼んでみてください。」
ダイアンが何度も繰り返すので、デロント子爵はついにダイアンの名前を呼んだ。
「ダ、ダイアン。」
「はい、ベルン。」
ダイアンは明るく笑いながらデロント子爵の名前を呼んだ。
その様子をじっと見ていたカリアンが、私にだけ聞こえるくらいの小さな声で言った。
「アンドリアン子爵、ベルンに関心があるのか?」
カリアンの目にもそれが見えたようだ。
ダイアンがあれほど露骨にアピールしているのだから、隠す理由もないと思い、私はすぐに答えた。
「はい、そうです。」
「そうか?」
カリアンは顎をさすりながらデロント子爵とダイアンをちらちら見て、独り言のようにつぶやいた。
「では、二人のキューピッドになってみようか。」
キューピッドだなんて。
思いがけない言葉に、私は少し驚いてカリアンに尋ねた。
「デロント子爵とダイアンを結びつけようとしているんですか?」
「そうだよ。ちょうど二人とも結婚適齢期だし、いいんじゃないかと思ってね。レイラ、君はどう思う?」
「私は、二人がお互いを想い合っているなら、構いません。」
「では、決まりだな。」
カリアンがやや楽しげな声で言った。
「一緒に祭りの見物をしながら、あの二人をうまく結びつけてやろう。」









