こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は317話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
317話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 妖精との交流
ネルゲンの門が開くと、見慣れない服飾を着た人たちがぞろぞろと中に入った。
みんなが10代前半の子供のような小柄で丸い顔をしている。
中にはひげが生えている中年男性もいた。
人間は異種族の訪問者に向かって礼を述べる。
前に立っていたミラードは丁寧に頭を下げた。
「いらっしゃいませ、スレビイェンの使節団の皆さん。ネルゲンヘの訪問を歓迎します」
「ありがたいですね。私はオベロン王子と申します」
その声に押されるような顔をする。
間もなく彼の両瞳に戸惑いが通り過ぎた。
妖精を初めて見た人たちも驚く気配が歴然としていたが、ミラードが感じる当惑感は全く違うものだ。
自分を「オベロン」と紹介した王子は、先日までブランシュを護衛していた魔法使いとそっくりだった。
耳や髪の毛の色、瞳の色が異なることはあったが、偶然の一致と見ることはできない。
ベリテは凍りついたミラードをちらりと見て、ぽんと投げるように尋ねる。
「案内しないのですか?」
「し、失礼しました」
ミラードは慌てて正気に戻り、妖精使節団を謁見室に案内する。
「スレビエンの使節団が到着しました!」
謁見室の門が開くと、王座に座っているセイブリアンが見えた。
彼は礼装をしたまま、無愛想な顔で使節団を眺めている。
ベリテの顔にも喜びは見られなかった。
ただ礼儀正しく丁寧に挨拶をするだけ。
まるで初めて会った人のように。
「森の子孫であり、スレビエンの嫡統後継者であるオベロン・ニーベルンゲンとゼルダ・ニーベルンゲンが挨拶します」
「遠いところまでお越しいただき、お疲れ様でした。我々は妖精の後継者たちを心から歓迎します」
多少距離感のある挨拶が行き交う中、アビゲールとブランシュは嬉しくてたまらなかった。
ベリテはそのようなブランシュをちらりと見て、再び正面を見つめる。
ブランシュはその覗線に当惑した。
普段なら自分に向かって笑ってくれたはずのベリテだった。
しかし少年は知らない人を見たらしく、あまり気にせずセイブリアンに声をかける。
「取引再開に対する妖精王の答えを持ってきました」
ベリテは前に出て手紙を渡す。
セイブリアンが内容を確認している間、隣にいたゼルダが口を開いた。
「我々はネルゲンの要請を受け入れることにしました。取引を再開しますが、3年前と同じ価格に引き下げ、また連合軍側への武器供給を中止します」
朗報が聞こえてくると、謁見室にいた彼らが心を一つにして安堵の息を吐く。
予想よりもよい結果だった。
セイブリアンは手紙を最後まで確認した後、妖精の兄妹を眺める。
「ありがとう。その見返りにスレビエンでは何が欲しいのかな?」
「その部分は追々話を交わそうと思います。まずは妖精王の息子を3年間保護してくださったことへの恩返しだと思ってください」
ゼルダは笑顔で自分のそばに立っているベリテをちらりと見た。
ベリテはその視線を無視して口を開く。
「まずは遠いところを来て疲れているので、旅装を解いてほしいのですが」
「わかりました。詳しい話は明日しましょう。ゆっくり休んでください」
短い謁見が終わると、ミラードは妖精たちを客室に案内する。
貴賓のために用意された部屋だった。
ゼルダが自分の部屋に先に入った後、ミラードはベリテが泊まる部屋を案内する。
「ここはオベロン王子様のお部屋です。そして・・・」
彼は結びがつかなかった。
どう見てもベリテなのに、妖精族の王子って?
ベリテは目が合うと笑顔を浮かべる。
「どうしてそんなふうに見ているんですか?」
「い、いいえ。では、これで失礼します」
ミラードは渋い顔で部屋を出た。
ベリテは他人のように振る舞っていたので、確信が持てなかった。
見知らぬ部屋に一人で残ると、ベリテは小さくため息をつく。
するとふと、用心深い声が聞こえてきた。
「あの、失礼してもいいですか」
ミラードが出て行くと、まだ閉まっていないドアの向こうにブランシュがためらいながら立っているのが見えた。
「はい、どうぞ。ネルゲンのお姫様にご挨拶を申し上げます」
ベリテは丁寧に腰をかがめて挨拶をする。
その姿にブランシュは答礼をするどころかこわばってしまった。
記憶を取り戻した後、解決する方法が思い浮かんだとし、急いでスレビエンに向かったベリテだった。
ベリテが去った数日が数年のように長かった。
その間、ブランシュは戦々恐々と不安を飲み込んでいた。
家族とはうまく出会ったのだろうか、呪いをかけた悪い人にまたしても害を受けるのではないか。
幸い、ベリテは無事に帰ってきたが、どこか別人のように感じられる。
服装からそうだ。
ベリテはスレビエンの服を着ていて、ブランシュに丁寧で格式ばった。
距離感のある礼儀。
ベリテらしくなかった。
いや、それがオベロンらしかったのかもしれない。
記憶を取り戻したので、自分が知っていたことと違う人になったかもしれない。
そこまで考えが届くと、ブランシュはドキッと怖がる。
こんなふうにベリテと別れることになるのか。
記憶が戻ったので、自分の故郷に帰ると言ったら。
二度と会えなかったら・・・。
その時、茶目っ気たっぷりの声が聞こえてきた。
「ああ、やっばりぎこちない。ちょっと素敵なふりをしてみようと思ったのに」
ベリテがニヤリと笑う。
その姿にブランシュは一瞬魂が抜けて、涙があふれた。
青い目が水に濡れると、ベリテが驚いてあたふたしながら近づいてきた。
いつものベリテだ。
「ブランシュ、どうしたの?うん?」
「そ、それが。一瞬ベリテが別人になったようで、もし記憶を取り戻して・・・私を忘れたのかなと思って、それで。別れるかと思って、怖かった・・・」
それ以上言えないままブランシュはすすり泣く。
「・・・」
その顔を見て、ベリテはにやりと笑った。
そして、小さな手でブランシュの涙をさっと拭う
「約束したじゃないか。いつも君のそばにいると」
ベリテの親指が優しく目元をかすめて通り過ぎると、指先に涙がにじんだ。
暖かい手だった。
鏡の中にいた時でさえ優しかった手。
オベロンという名前を取り戻したが、依然としてベリテだった。
その慣れた手と覗線にブランシュは心が溶け落ちるようだった。
「よかった、ベリテが帰ってこなかったらどうしようって心配してたのに・・・。あっ、ベリテって呼んではいけないよね?本当の名前はオベロンだから」
「いや、ベリテって呼んでもいいよ。私はベリテという名前がもっと好きだから」
ベリテはブランシュの手をぎゅっと握る。
少年の口から出た「ベリテ」という名前は、もともと自分のものだったかのように慣れていた。
「王妃様がベリテという名前をくれなかったら、もう粉々になってどこかに捨てられたかも知れないよ」
アビゲイルは彼に名前を与え、滞在する場所を与える。
ベリテで生きてきた3年という時間がこれほど大切になるとは誰が知っていただろうか。
「ベリテになったおかげでブランシュにも会えるようになったし」
鏡に閉じ込められた3年という時間が安らかだったとは言えなかった。
その圧倒的な孤独と空虚をどうして忘れることができるだろうか。
その時間を耐えることができたのは、ある人のおかげ。
ブランシュ、そしてアビゲイル。
まあ、セイブリアンも少しはあったとしよう。
ドビンを許したのも結局そのためだ。
一生鏡の中で暮らすところだったことを考えるとムカッとなるが、それでもおかげでブランシュに会うことができたからだ。
そのすべての呪いがブランシュに会うためだったとしたら、それは呪いではなく祝福だった。
オベロンという名前が本物であるように、ベリテという名前もまた別の真実に過ぎなかった。
オベロンとしてネルゲンを訪問したヴェリテ。
ブランシュに対する態度が変わっていなくてホッとしました。
ヴェリテはこれからどうするつもりなのでしょうか?