こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

363話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 人魚の国④
ドラゴン?
今、ドラゴンと言ったの?
ドラゴンについては私も知っている。
だが、グンヒルドが話しているドラゴンは、物語の中に出てくる架空の生物ではないようだった。
一体何があったんだ?
ナディアが表情を引き締めながら言った。
「さっき言った問題というのがこれよ。塔を建設中に問題が起きたの。ブランシュ、ドラゴンについて知っている?」
「東洋の異種族のドラゴンのことですか?」
「そうよ。普通は東洋に留まって、西側にはほとんど来ないのに、この近辺に巣を作ったらしい。」
グンヒルドのあの傷もドラゴンにやられたのか?
あの強いグンヒルドがここまで大きな負傷を負うなんて。
一体どうして……?
胸がざわつくような感覚だった。
ナディアは唇を軽く噛みながら、どこか憂いのある表情で説明を続けた。
「不老不死と言えるほど寿命が長くて強いけれど、群れを作らずひっそりと生きる種族よ。」
一生目にすることはないと思っていたけど……。
「でも、攻撃的な種族ではないと聞いていました。どうして戦いが起きたんですか?」
ブランシュの問いに、ナディアは困惑した表情で答えた。
「おそらく、ドラゴンの巣の近くに接近したのが問題だったんじゃないかと思うわ。塔を建てようとしていた島がその巣の近くだったのよ。」
荒々しいドラゴンが海を飛び回る姿が目に浮かぶようで、ナディアは肩を一度震わせた。
「そのせいで塔の建設は中止されたわ。ヒルド姉さんが戦ってみたけど、こんな結果になったの。」
ナディアの隣に立つグンヒルドは腕を組み、顔を歪ませていた。
痛みよりも、誇りを傷つけられたことが堪えている様子だ。
「くそ、もう一度やれば私が勝つのに。あの時は油断しただけだ。」
「ドラゴンにどうやって勝つつもり?個体だけでも異種族の中では最強なんだから。」
ベリテが指摘すると、グンヒルドの眉間に怒りの皺が寄る。
彼女は目をぎゅっと閉じたまま声を上げた。
「ドラゴンには弱点がある。その急所を突きさえすれば私の勝ちよ。もしドラゴンの巣にさえ捕まっていなければ、即座に討伐できたのに……!」
「ヒルド!落ち着いて!冷静になって!」
その時、ナディアが突然ヒルドを呼び止め、声を荒げた。
沈黙していたヒルドは戸惑った目を向けた。
「ヒルドは良い子だ!ヒルドなら大丈夫よ!」
「お前はさっきから私に指図ばかりしてるが、いい加減にしないか?」
「私はヒルドに話してるのよ。ヒルド姉さんは何をしてもいいの!」
その言葉にグンヒルドの眉間の皺がさらに深くなった。
「これが妹だって?」とでも言いたげな目でナディアをじっと見つめ、一息ついた。
ひとまずグンヒルドの怒りは少し収まったようだ。
ブランシュが目線を動かして言葉を発した。
「他の島に塔を建てれば問題ないのでは?」
「できることはできるけど……塔の建設よりもっと大きな問題だ。ドラゴンが天候を操って妨害しているんだ。」
「天候ですか?今日は晴天でしたよね。」
「少し前までは台風が貿易に影響を与えたりして問題を起こしていたのに、今はまた霧が発生している。」
そう言えばアトランシアに来る前に東部領主が言っていたことを思い出した。
セイブルがつぶやくように言った。
「東部領主から霧が問題だと聞いていましたが、それもドラゴンの仕業だったのですね。」
「おそらく。」
うーん、本当にいろいろと厄介な状況だ。
塔の建設を諦めたとしても、天候まで支配されてしまうとは……。
異種族というよりも、まるで神がいるかのような不気味さだ。
皆が黙々と沈黙を保っている中、ナディアの短い笑い声が静寂を破った。
「よし!くだらない話は後回しよ。」
いや、後回しにできないこともあるかもしれないが、彼女は何事もなかったかのように微笑みながら言葉を続けた。
「とにかく、今度は中立の塔を見せたいと思ってるのよ。セイブルもいつも仕事で忙しいだろうから。この機会に正体を隠して『視察』してみるのはどう?ここには見どころがたくさんあるし、恋人同士にピッタリな場所も多いわよ。」
ナディアはどこか得意げに笑う姿を見せていた。
これって……『視察』って書いてデートと読むべきなのだろうか?
結婚して何年も経っているけど、実際ちゃんとしたデートをしたことはない。
何かと色々なことがあったし、セイブルが王として忙しかったので、簡単に席を離れることもできなかった。
しかし、問題があるのにこんな風に進んでもいいのか。
視察よりも、龍への対処を先に考えるべきなのでは?と思えてならなかった。
「赤ん坊も連れて行くといいわよ。見ればきっと楽しめるから。」
グンヒルドの提案に、ブランシュは何も返答できずにいた。
一瞬呆然とした後、ブランシュは小さく笑みを浮かべた。
「私はとりあえず、龍のことについて少し調べてみたいです。視察はお母様やお父様にお願いしてもいいですか?」
「え?私たちが?」
うーん、どうしたものかと少し困った表情を見せたセイブルだったが、私たちの視線が集まると、ブランシュは毅然とした態度で話し出した。
「皇帝の命令です。お二人は視察をお任せください。」
言葉は厳粛だったが、私たちを見つめる顔には遊び心が満ちていた。
その言葉にセイブルは戸惑いながらも頷いた。
「皇帝陛下の命令には逆らえないな。では視察に行ってきます。」
「よろしくお願いします、王妃陛下。」
愛嬌があるのか威厳があるのか判断がつかない娘たちの会話が交わされた。
セイブルが私を見つめている。
「リリー、一緒に視察しよう。私も中立地帯がどんな様子か見てみたい。」
「皇帝陛下の命令だから仕方ないね。」
いつの間にかベリテがセイブルのそばに近寄り、イベルを抱き上げていた。
「イベルは私が見ておくから。義母さま、義父さま、視察頑張ってきてね!」
私は肩をすくめながらもセイブルと腕を組み、振り返らずに出発した。
イベルも元気よく手を振って見送ってくれる。







