こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は67話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
67話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- お似合いの夫婦
アビゲールとセイブリアンの二人の姿に、令嬢たちは感嘆気味で、ほんの少し羨ましがっていた。
そして、ストーク公爵の顔に被せられた感情は、それよりも激しくて暗いもの。
彼の顔は黒く強張っていたが、セイブリアンは無心そうに彼を見る。
ストーク公爵は吃りながら、もう一度挨拶した。
「お元気でしたか、殿下」
「おかげさまで。ところで、服がどうかしたのか?ストーク公爵」
セイブリアンの声が薄氷の湖のように感じられる。
先ほど、アビゲールと会話をした時とは全く違う声色。
「ええ、令嬢たちが男性用の服を着ているのが不思議で尋ねていたところです」
ストーク公爵は卑屈な笑みを浮かべる。
しかし、セイブリアンは表情を緩めなかった。
「それが問題になるのか?私も同じ服を着ているが」
「問題というより・・・」
ストーク公爵の声が次第に小さくなっていく。
自分を目の敵にするセイブリアンだ。
何を言っても反芻するに違いない。
それに、彼もこんな着こなしをするのなら、アビゲールの肩を持つに違いないだろう。
ここで「男、女」を云々言っても、自分にとって損になることは間違いなかった。
「誤解です。斬新なデザインですから・・・」
退くタイミング。
宮で長く生き残るためには、足を切る時を知らなければならない。
ストーク公爵はアビゲールに向かって深く腰を下げた。
「申し訳ありません、王妃殿下。私が無礼を犯したようですね」
すでにアビゲールは当惑を消していたが、そうだとしても無念がないわけではない。
彼女は冷静に強張った顔で口を開く。
「許しましょう。娘さんが待っているはずですから、早く行きなさい」
「はい、心配してくれてありがとうございます。それでは、またお会いしましょう。国王殿下、お姫様も次回お目にかかります」
ストーク公爵はそう言って、覆いから放たれた蛇のように静かに消えていく。
アビゲールはその姿を静かに眺めて、再びセイブリアンに視線を向けた。
改めて見ても私が作った服だ。
確かに、セイブリアンにも服のプレゼントを贈ったことはある。
「令嬢たちの服を作ったのなら、お父様の服はあるのですか?」というブランシュの問いかけのため。
馬鹿げたことに、そんな思いは少しもなかった。
なぜだろうか?
おそらくセイブリアンなら、自分の作った服には関心がないと思ったからだろう。
そうだとしてもブランシュにそのような質問を投げかけられた以上、服を作らないわけにはいかなかったのだ。
急いで作った服。
自分の服のような形になったにも大きな意味はない。
何の考えもなく、自分好みに作っただけだ。
そうやって作られた、ただの形式的なプレゼントだったのに、本当に着るとは思っていなかった。
しかも、その服を着たままここまで来るとは。
「アビゲール、ストーク公爵と何かありましたか?」
私と同じ服を着たセイブリアンは見慣れない光景を呈していた。
こうなると知っていたら、もう少し気を使って作れば良かったかな?
「いいえ、特には。ところで、殿下はどのようなご用件で?」
「お茶会が無事に終わったのか気になったので。何事もなかったなら幸いです。じゃあ、これで失礼することにしましょう」
セイブリアンは短い挨拶を残して立ち去っていく。
突風が過ぎ去った野原のように静かで慌ただしい。
いずれにせよ、これで安心して令嬢たちを見送ることができる。
「今日は来てくれてありがとう。今度また・・・」
振り返ると、少女たちは皆、顔を赤らめていた。
一人の令嬢が両手で顔を覆ったまま話す。
「お二人とも、とてもロマンチックです!」
「ロマンチック?」
アビゲールは、自分とは全く縁のない言葉を聞いて慌てた。
「お二人がこのように服を合わせて着るなんて。とてもお似合いです!」
「しかも、お茶会が終わる時間に合わせて来てくれるなんて。殿下は王妃様を非常に愛されていらっしゃるのですね!」
「え?愛ですか?」
愛?
思わず笑ってしまうところだった。
愛だなんて、ここにセイブリアンがいなくて良かった。
この話を聞けば、彼がどれだけ嫌そうな表情をすることか、いや、案外喜んだかもしれない。
食堂でもわざと愛情を誇示したではないか。
どうせ演技をするなら、しっかり演じよう。
自分勝手に想像を広げる令嬢たちを眺めていたアビゲールが口を開く。
「殿下にも困ったものです。来ないでと言ったのに、こうやって必ず来てくださるなんて」
「あらあら」
令嬢たちの羨望の眼差しを受けながら、アビゲールはわざと虚勢を張った。
そんな彼女の姿を、ブランシュはニッコリ笑て眺めている。
そしてもう一人。
そんなアビゲールを見ている人がいた。
セイブリアンは廊下の突き当たりに立って彼女を眺めていたのだ。
距離は遠かったが、アビゲールの顔ははっきりと見える。
自分と同じ服を着ているアビゲール。
彼は袖の飾りを無性に触ってみた。
彼女と同じ服を着ていたのが嬉しくて。
服一つで心がこんなにウキウキしたことはなかった。
自分を嫌っているのではないという言葉に、セイブリアンは大いに安堵する。
彼はしばらくアビゲールを眺めて、足を運ぶ。
セイブリアンの口の端は微かに上がっていた。
無事にストーク公爵を撃退したアビゲール。
セイブリアンとの仲も順調ですし、これからの彼女の評価は大きく変化するでしょう。
同じ服を着ていることに喜ぶセイブリアンが微笑ましいですね♪