こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は68話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
68話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 流行りが広がる時
朝目が覚めると鼻先がスッキリしていた。
少し前までは面倒だった布団が、とても安らかに感じられる季節。
秋。
私が一番好きな季節。
夜の散歩の時間が愛らしく、落ち葉が絢爛たる暖色に染まり、長い服を用意し始める季節。
「最近の女性は、みんな君と似た服を着ているよ」
ヴェリテがそう話す。
今の王国では私のデザインした服が大流行だった。
ルダンコートをはじめ、短いジャケットのスペンサーやフレンチジャケットなど、飛ぶように売れている。
「それから服だけでなく、君たち夫婦も最近凄く人気があったよ」
半分からかったような言い方になぜか胸が痛かった。
否定したいけれど、どうしても否定できないから。
予想外の流行が一つあった。
私とセイブリアンが流行と言えばいいのか、カップルルックが流行と言えばいいのか。
私たちが同じデザインのルダンコートを着たのが問題の始まりだ。
「服まで着こなすほどの仲良し夫婦」というとんでもない噂が広がり始めると、私たちを真似する人が出てきた。
流行が大きくなるにつれて噂も膨らんでいる。
セイブリアンが私のために領地を一つくれたとか。
私専用のランジェリーショップを一つ買ったとか。
何にしろ本当に馬鹿げた噂だ。
特にランジェリーショップ!
「・・・まあ、とにかく、これでモイズ卿の頑固さも和らぐでしょう」
「それなら幸いだね。カリンが着ていた服が流行しなかったのも幸いだし」
ヴェリテが淡々と話す。
そう、カリンが着ていたミパルティは思ったほど流行しなかった。
正確な理由は分からないけれど、今の人たちの目には、とてもオールドに見えたのかもしれない。
私の気持ちとしては、新しいドレスが脚光を浴びることができないのは、少し残念だった。
「うーん・・・。私はミパルティが流行ったら嬉しいけど。多様な服が出るのはいいことだから」
それにロブ・アラ・フランセーズに比べれば、体にも負担が少ない・・・。
しかし、ヴェリテは肩をすくめるだけ。
「多様な服ね。君、不思議なものをたくさん作ってるよね。セイブリアンに作ってあげたジャケットカッコよかったよ」
「ありがとう!私の好みに合わせて作ってみたの」
「セイブリアンはいいね。新しい服も着て・・・」
ヴェリテが椅子に座る。
「秋だからか、みんな新しい服をあつらえているけど・・・」
彼の背後で落ち葉がハラハラと落ちているように見える。
何となく物足りなさと羨ましさが滲み出ていた。
そんなヴェリテの姿に笑いがこぼれると、彼は慌てて私を見る。
「なんで笑うの?」
ううん、笑ってはいけないわ。
もう少し隠しておこうと思ってたけど、このままだとヴェリテが泣いちゃうかもしれない。
「ちょっと待ってて」
私は部屋から箱を持ってきた。
「その箱は何?」
「見てちょうだい」
ヴェリテの代わりに箱を開ける。
その中には、紳士用コートの「ジェストコール」が入っていた。
太ももまで覆う長いコート。
青色のシルクに銀糸で装飾し、カフスに刺繍が施されて全体的に華やかで優雅な雰囲気が漂う。
「メンズコートじゃないの?君が着るつもり?」
「いいえ、これはあなたへのプレゼントよ」
プレゼントという言葉にヴェリテの目が大きく開いた。
大きな銀色の瞳が、鏡のように私に反射しそうだ。
「直接与えることはできないけど、あなたが姿を具現するのを見て、その中でこの服を再現できるような気がして。できる?」
「えっと・・・」
私はヴェリテがよく見えるようにコートを広げた。
「早く渡したかったんだけど、手を加えてみたら、少し時間がかかっちゃった」
私は悪戯っぽく笑う。
「セイブリアンの服よりも、こっちの服の方が長くかかったわ」
「・・・」
ヴェリテは無言で、表情は妙に強張っている。
気に入らなかったかな?
うーん、やっぱり服より友達を探した方がいいのかもしれない。
それでもヴェリテへの最初の贈り物は服をあげたかった。
それが私が一番上手に作れるものだから。
コートを持ったまま、ヴェリテの顔色をうかがっていると、鏡が一瞬白く染まる。
間もなく彼が再び姿を現した。
服が青のジェストコールに変わっていて、彼の身幅にピッタリだ。
わぁ、ヴェリテに合わせてデザインしたけれど本当によく似合ってる!
「どう?気に入った?」
「・・・うん。とても気に入った」
ヴェリテの声は湖のように詰まっていた。
彼は信じられないというように自分の服を覗き込んでいる。
こんなに喜ぶのを見ると苦労した甲斐があったわ。
ニッコリ笑うと、ヴェリテは咳払いをした。
「この服、カッコいいね。ありがとう」
「気に入ってくれて良かったわ」
満足して箱を閉めると、ヴェリテの驚いた声が聞こえた。
「何でまた閉めるの?それは僕のだよね?誰かにあげたら駄目だよ。ここにかけておいたら駄目?」
わぁ、本当に気に入ってくれたようだ。
鏡の中から飛び出しそうな勢いに、私は嬉しくて笑い転げた。
「分かった、分かった。後でマネキンを持ってくるわ」
ヴェリテは固く口をつぐんだまま、うなずく。
これは本当に他人にあげたら大変なことになるような目つきだ。
「それじゃあ、私は食事に行ってくるわ」
「今日はセイブリアンと約束がある日だったね。いってらっしゃい」
出かける前に後ろを見ると、ヴェリテは珍しそうに自分の服をあちこち見ていた。
初めてプレゼントを貰った子供のようで可愛い。
そんな彼を見ていると目が合った。
一瞬でヴェリテの顔が赤く染まる。
「早く行け!」
「今度また作ってあげるね」
「・・・うん」
クスクス笑って私は足を運んだ。
やっぱり私が作った服を着て喜んでくれると凄く幸せ。
今回はヴェリテ回でした。
この二人の組み合わせは和みますね♪
ヴェリテもセイブリアンに負けない美男子ですので、これからも様々な服を着てほしいです。
後はアビゲール以外の友達も。